00:00昔、鶴ヶのお炭治の聖源という坊さんが
00:17花車という名の女の人と結婚して
00:21坊さんを辞めて蕎麦屋を始めた
00:24聖源丼の打つ蕎麦は
00:31打ち加減といい出し加減といい体操うまかった
00:35蕎麦一丁上がり
00:40はいよお前さん
00:42その上恋女房の愛嬌も並外れていいもんじゃから
00:49蕎麦屋は毎日毎日大繁盛じゃった
00:54ところでこの聖源丼の蕎麦屋に
01:08毎日欠かさずやってくる二兵という蕎麦好きの男がおった
01:13いらっしゃいニヘイドン
01:16今夜は遅かったね
01:18仕事が長引いちゃってよ
01:21いつものぶっかけ蕎麦早いとこ頼むよ
01:24はいよ
01:25蕎麦じゃ蕎麦じゃ蕎麦じゃ
01:36どんどん食うでよ
01:38どんどん作ってくれや
01:40蕎麦
01:46蕎麦くれや
01:49はい
01:50はいただいま
01:52二兵丼の蕎麦食いの早いこと早いこと瞬く間に蕎麦を耐えられるものじゃから
02:10聖源夫婦はいつものことながらもう汗だくじゃった
02:14はいおかわりやおかわりやおい
02:22二兵丼すまんが今日はいつもより客が多くてな蕎麦はもう売れ切れじゃ
02:28蕎麦はない
02:30二兵丼が明日また寺をしてくれんか
02:34本日すまんけどな
02:36蕎麦もうないんか
02:40二兵丼よ
02:44俺の作った蕎麦毎日食ってくれるのはありがていが
02:48ちょっと食いすぎじゃねえかの
02:52本日な
02:54二兵丼の腹ん中にゃよ
02:56蕎麦好きの虫がおるんじゃな
02:58蕎麦好きの虫か
03:00そりゃうめえことを言うな
03:04オラの腹ん中に蕎麦好きの虫がおるんなら
03:08坊さんやめてきれいな嫁さんをもらった聖元さんの肌の中には
03:12きっと色っぽい虫が住んどるかもしれんな
03:16こりゃまいった
03:18次の日
03:24聖元丼は早くから蕎麦をたくさんこねて待っておった
03:30昨日のように足りなくならんようにと思ったのじゃ
03:36その日もいつものように大変な繁盛ぶりじゃった
03:40じゃが
03:42どうしたわけかあの蕎麦好きの二兵丼が
03:45いつになっても姿を見せず
03:48とうとう店を閉める頃になってもこんかった
03:52どうしたんじゃろうな
03:54二兵丼
03:56本にな
03:57あの蕎麦好きの人がこんなんてな
04:00次の日もそのまた次の日も二兵丼はこんかった
04:11そうして4日目店を開くにはまだ早く
04:18そろそろ聖元丼が蕎麦を家にかかろうとしていた頃じゃった
04:23こ…こ…こう…
04:33うごぉ…
04:44もう…
04:46俺もう
04:49二兵丼じゃないの一体どうしたんじゃ
04:52じゃあ ウォラーもう大きいねー
04:58あんたねえどが大変だよ 花車どうした一体どうしたんじゃ
05:06ねえど この店のそばは何倍食ってもう
05:10うめぇ 今はそんなことを言ってる場合じゃないやろう
05:15どっか体の具合でも悪いんか オーラー
05:20ハラオスカシャーもっとうまかろうと思って3日間何も食わずにいたんじゃ 腹が空いて死にそうやはよう
05:30ハイオーソバー食わせてくれ ウェイ
05:36それまでやるとはに平等は大したもんじゃ 関心するの後回しにしてはよそば作ってあげないよ
05:45ブースーじゃな ニヘイドン早速腕に寄りかけてそば作るでな
05:52まっとれよ 早くニヘイドンにそばを食わそうとあわてた制限
05:57うふうふうふうふは胃を沸かすやらそば粉をこねるやらでてんてこがいじゃった
06:03そば食いてはよーはよーそば食いて
06:11そば食いてはよーそば食いて
06:17ところがそばをうまく食いたいばかりに3日も飯を食わず倒れてしまったニヘイドンのへそのあたりがもそもそしだしたかと思ったら
06:34おかしな虫が中から入らしてきた
06:39ん
06:46ん
06:47ん
06:48ん
06:51ん
06:53ん
06:55ん
06:57ん?なんじゃこの虫は?
07:12そば食う虫なんて決対な虫もいたもんじゃ
07:31そり
07:34にへどんまちどんさん さあさにへどんそばができましたよにへどん
07:41そば?
07:47さあ10杯でも20杯でも好きなだけ食べておくれ
07:53ところがどうしたことじゃろう
08:043日も食べずに腹をつかせておったにへどんじゃったが
08:09あれほど好きだったそばを出されても一向に食べようとはせんかった
08:15どうしたんじゃにへどん?
08:27俺なんで今までこんなそばなんぞ食うとったんじゃろ
08:33えぇ?
08:35あ、見とるだけで気分が悪くなってきた
08:41嫌いじゃ嫌いじゃ嫌いじゃ
08:45そばは嫌いじゃ
08:47もうそばは嫌いじゃ
08:51どうしたんじゃにへどんは?
08:57本人なぁ
09:03そうじゃ虫じゃあの虫なんじゃ
09:07虫ですって?
09:09まだいるかもしれ
09:14いるとしたらこの辺りじゃが
09:19虫ってなんのことです?
09:21せいげんどんは台所でそばを食っておった虫のことを女房に話して聞かせた
09:29あの虫はにへどんの腹の中にいたそば好きの虫が
09:35そばができるのを待てずににへどんが寝ている間に腹の中から這い出して
09:41そばを食うていたのじゃろう
09:44あんたその虫ここ捨ててしまったんか?
09:48うん
09:50そんでにへどんはそばが嫌いになったんじゃ
09:55それ以来にへどんは二度とそばを食いに来ることはなかったし
10:10そば屋の前を通るときでさえ鼻をつまんで足早に通り過ぎるようになったということじゃ
10:31そば好きの虫という変わった虫もおったもんじゃ
10:37ん
10:39ん
10:40ん
10:41ん
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10:45ん
10:47ん
10:49ん
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10:53ん
