00:00昔々和歌山に サンゴ寺というお寺があった
00:18このお寺には和尚さんと小僧の陳年の二人が住んでおったが
00:23一月ほど前から一匹の狸が住み着くようになっておった
00:29こいつがなかなかひょうきんなやつで
00:34マカジロと呼んで和尚さんも陳年も大層かわいがっておった
00:44マカジロマカジロおいで
00:46マカジロはよ出ておいで
00:53今日はお前に一つ頼みたいことがあるんやがね
01:04ほで化けてくれんかいの
01:09ほねえ早おばけんかい
01:14何度言ったらわかるんじゃ
01:18マカジロをおもちゃにするなと言ったはずじゃぞ
01:22わしに課せ
01:24よしよしかわいそうに
01:29この調子やとあと20日ぐらいで生まれそうじゃな
01:40生まれるって
01:42おめでたじゃよおめでた
01:46マカジロに赤ん坊ができるんじゃよ
01:49へえ
01:51マカジロは実はメス狸じゃった
01:56和尚さんは陳年に
01:58生き物が子供を産むことがどんなに大変なことかを
02:03とくと話して聞かせた
02:053月になっていつもなら
02:10雪も溶け始める頃なのに
02:13溶けるどころかまた雪が降ってきた
02:15よいしょ
02:18うっうっ
02:22陳年さん
02:23生が出るな
02:25また自分は元気か
02:29ああ今度赤ちゃんが生まれるんやと
02:34ほんまかいな
02:37こりゃあめでたい
02:38早速村の衆に知らせてやろ
02:41ふぅー寒い
03:04また次郎は元気な赤ちゃんを産むために少しでも暖かいところをと寺に降りてきた様子じゃった
03:13陳年は床下で震えるまた次郎を見てまだまだ藁が足りないだろうと思い大きな束をそっと床下のところに置いて
03:34ご視聴ありがとうございました
04:04一体誰が頼んだんじゃろう
04:20その女の人が間違いなく和歌山の産後寺から来たとおっしゃいましての一つお題の方をよろしく
04:30寺の名前を出されたからにはほっとくわけにはいかんな
04:36それでその女というのはどんな感じの人
05:00マヨンじゃなぁ
05:16その頃又次郎は寺への道を大きなお腹を抱え
05:33よろよろと歩いておった
05:46ご視聴ありがとうございました
06:16ご視聴ありがとうございました
06:46赤ちゃんが生まれるまでそっとしといてやろう
06:55それから五日後
06:58お嬢さん早く早く
07:02待ちに待った赤ん坊が生まれた
07:09覗いてみるとかわいい子だぬきが三匹
07:13あのうぶぎにくるまして寝ておった
07:16今日は特別じゃこれでも食べて力をつけろ
07:24どうやら床下は冷え込みがきついので赤ちゃんかわいさについつい騙して産着を注文したんじゃろうが
07:38しかし騙すということは一番悪いことじゃ
07:43まあ今回だけは多めに見てやるが
08:13大きな穴が開いたようじゃった
08:37あああああああああああああ
08:55ひと月すぎそ
09:07ご視聴ありがとうございました
09:37それから何ヶ月か過ぎ
09:46秋の彼岸の近づいたある朝のこと
09:49陳年が門を開けてみると見たこともないような見事な山の幸が
09:56どっさりと山門のところに置いてあった
10:01村の衆ならこんなところにはおかんはずじゃし
10:04近くの山にはないものばかりだ
10:08やはりまた白が持ってきたんじゃろうと
10:11和尚さんと陳年はとてもうれしい気持ちになった
10:15また会いましょうか
10:27はい
10:28ご視聴ありがとうございました