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  • 3 か月前
Japanese folk tales
トランスクリプション
00:00
00:12昔昔 和歌山の神とんだという村里での話です
00:21村里の外れには 吉谷水草の生い茂った沼の続く荒れ地があり
00:29その真ん中に一軒の貧しい漁師の家がありました
00:38漁師にはおたえという娘がおりました
00:49帰りなさい スマンな今日は獲物が何も取れんかった
00:55その代わり山の木の実をとってきた
00:59こんなにたくさん
01:02ん 家の周りの荒れ地では
01:06作物もあまり育たず山で獣をその日その日の生活でしたが
01:12ん 親子はそれでもなんとか助け合いながら暮らしを立てておりました
01:21ある夜のことでした
01:24何やらあまり見かけない男が漁師の家にやってきました
01:28あんた心当たりでめっぽう腕の立つ漁師や
01:36それを聞いての話やが
01:38ツールをうたんかね
01:41たかく買いとるがの
01:43馬鹿なことを言いなさんな
01:46そんなことをしたら
01:47ご漁師様からきつい音が目をちょうだいする
01:52そうかい いい話なんだがな
01:56父さん
02:05ツールを打つなんてやめて
02:07ツールを打ったらどんな音が目を受けるかわからない
02:11心配せんで
02:13ツールを打ったりなんかしやせん
02:17ところが
02:20次の日もまた次の日も
02:23男は漁師のところへやってきました
02:26つかまらんように
02:28夜打つんや
02:30いい金儲けになるやがな
02:34やがて秋も終わり
02:40冬の訪れを告げる
02:42雪が降り始めた頃のことです
02:45ある日のこと
02:47同じ上富田の村里に住む知り合いの女房が
02:52漁師の家へやってきました
02:55こんばんは
02:57だいぶ寒なったな
03:00これを珍しい
03:03こんな雪の日にどうしたんじゃ
03:06いいやね
03:08村のカスケードはあんたを知ってるやろ
03:11あの男がおたえちゃんを嫁に欲しいって言うてきとるんや
03:17こういう話は一時も早い方がいいと思うてな
03:21あの若者やったらわしゃ承知や
03:25おたえはどうや
03:28父さんがいいという人なら
03:32そんならええ
03:34そんならええ
03:35そんなさっそくそう返事しておきましょう
03:38こんなええ話
03:40雪もやむやろ
03:43ところがその日から
03:51雪はやむどころかどんどんどんどん激しくなっていくばかりでした
03:57おかえりなさい
04:02寒かったでしょ
04:04だめじゃ
04:05雪がひどくて何も取れん
04:09心配しないで
04:11畑の大根もまだ残ってるし
04:15ああ
04:16じゃがあれだけでは何日ももたいんやろう
04:20吹雪はそれから何日も何日も激しく降り続き
04:27漁師はもう外へ出ることもできませんでした
04:31正月明けにはおたえは嫁に行くというのに
04:38このままでは嫁入り衣装一つ着せてやれん
04:42それどころか空門さえもそこをついてしまう
04:50ようやく吹雪も収まって
04:57幾日かが立ちました
05:00ああ父さん
05:03実は町へ行っていたんや
05:06見てごらん
05:08わあきれいな
05:11これで嫁入りの着物を作るとええ
05:14今日ちょっとまとまった金が入ったんで買ってきた
05:18父さん
05:20それからおたえは島を見つけてはせっせと着物を縫いました
05:29もうすぐ縫い上がるというある夜のことでした
05:34ずいぶんと遅い
05:36どうしたのかしら父さん
05:39父さん
05:45おたえは父親の様子の何やらおかしいのをいぶかりながら
05:54暗闇にじっと立ったままの父親に近づきました
05:58その時
06:00父親の足元に何やらぼーっと白く光るものが見えました
06:05なんとそれは撃たれた鶴の姿でした
06:12父さんなんてことをしたの
06:16大きな声を出すんじゃない
06:19父さん
06:21鶴は撃たないってあんなに約束したのに
06:24ご両親様に見つかれば
06:27どうなるかわからないのよ
06:30今度までじゃもうやめる
06:34ほんとね
06:34父さん
06:36しかしそれからも漁師は鶴を撃ったのでした
06:51花嫁衣装の次は花嫁道具
06:57あれも持たせたいこれも持たせてやりたいと
07:01漁師の望みは限りない広がり
07:05そして狂ったようにチリを撃ったのでした
07:08そしてある月夜のことです
07:16父さん
07:19父さんやめて
07:22今日私羊でおふれを見たのよ
07:26隣村の靖さんが鶴を撃って捕まえられたそうよ
07:31だから父さん鶴を撃つのだけはやめて
07:35私何もいらない
07:37何もなくてもいい
07:39それより父さんの身に何かあったら
07:42私どうしたらいいの
07:45ねえ
07:47わかった
07:49もう心配せんでいい
07:52先に寝てなさい
07:54父さん
07:55おたいの必死の願いも
08:00もはや漁師の心を変えることはできませんでした
08:03おたいは泣きました
08:05泣いて泣いて泣き続けたのでした
08:09やがておたいは何事かを決心したように
08:24静かに縫い上がった花嫁衣装を身につけました
08:29おたいは家を振り返りました
08:41長い間父と二人貧しいけれど楽しく暮らした家なのでした
08:48沼では漁師が獲物を探しておりました
08:55そして吉の葉陰に一羽の鶴の姿を見つけました
09:04父さん
09:16鶴を撃つのはやめて
09:18お願い
09:19鶴を撃たないで
09:22勘弁してくれ
09:23おたい
09:24これが最後や
09:26もう
09:50お前は
09:56どうして
09:58おたい
10:00おたい
10:00おたい
10:02おたい
10:04漁師の腕に抱かれていたのは
10:08冷たくなったおたいの姿でした
10:11深い吉の葉陰で漁師は
10:15おたいの体を抱きしめたまま
10:18いつまでもいつまでも泣き続けておりました
10:22こんなことがあってから
10:30やがてこの辺りでは
10:32鶴の姿は見えなくなったということです
10:37ご視聴ありがとうございました
10:42ご視聴ありがとうございました

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