00:00昔々、ヒバリとウズラとカラゲイジ、ヨシキリとも呼ばれる。
00:20このサンバの鳥は、もともとは仲良く助け合って暮らしておった。
00:30バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バン、バ
01:00どうしただ、そのゾーリー。
01:02ええじゃろ。
01:05かわいいゾーリーじゃのー。
01:09町の石で凍ってきたんじゃ。
01:12かわいいの、ちょっくら貸してくれんか?
01:16ダメじゃ、ダメじゃ。
01:20じゃあ、これ貸すで、触らしてくれろ。
01:25いいじゃ、じゃ。
01:30この赤い花尾のゾーリーは町の石でも、一足しかなくって他に変わりがないんじゃ。
01:41だからいいや、じゃ。
01:46それまでは、何でも分かち合っていたサンバじゃったが、
01:52しばりは人が違ったみたいにゾーリーを見せびらかすだけで、触らしてもくれんかった。
02:00それから何日かして、
02:02うずらに用ができて町に行くことになったそうな。
02:07ところが、
02:09考えてみると、
02:11うずらは歩く鳥なのに、
02:13ゾーリというもんがないことに気がついた。
02:16そこで、うずらは、ひばりの持っていた赤い花尾のゾーリーを履いてみたかったので、
02:23カラゲージにも頼んで、一緒にひばりのところへ貸してもらいに行くことにした。
02:31ひばりどん。
02:37ひばりどん。
02:38ひばりどん。
02:40なんじゃ。
02:42ひばりどん、きょーらどうしても、
02:45町さ行かねばなんなくなった。
02:47ちょっくらゾーリは貸してくんねえか。
02:51いやじゃ。
02:53あのゾーリはおらの一丁らじゃで。
02:56貸すわけにはいかん。
03:00うずらどんは飛べねえから、
03:02遠い町まで歩いていかなきゃならん。
03:05ちょこっと貸してやれえや。
03:08いいや。
03:10じゃあ。
03:12そんなこと言わんで。
03:14わしら、ともだちじゃないか。
03:16なんでも、分かち合っとったじゃないか。
03:19ちょこっとだけ貸してやれえや。
03:26ひばりどん、あるかねえ、とりだべ。
03:29ほんならちょこっとだけ貸してくれや。
03:32このとおりだ。
03:33このとおりだ。
03:39うわぁ、わぁ、わぁ、わぁ、わぁ、わぁ、わぁ、わぁ。
03:43こうしてひばりはとうとう断れんようになって、
03:47いやいやながら、ちょこっとの間、
03:50うずらにゾーリを貸してやった。
03:53うずらはうれしくて、
03:59待ちに行く途中、みんなに赤い花子のゾーリを見せてやるいた。
04:03ほうほうほうほうほら。
04:05ほらほら、いいじゃろう。
04:07見てみー、かわいいじゃろう。
04:11いいじゃいやぁ、けれっ!
04:13で!
04:16ああ!!
04:24ううわん、かわあら、わあら。
04:26ひぼちゃこりゃえれえことになったー。
04:29おづらは泥水で汚れた通りの片方を慌てて川で洗った
04:38あー大変だー
04:59あ、なにーどこさ行ったーあれー
05:08うづらは町に行く用事も忘れて必死になって片方の道路を探した
05:14でも夜になっても見つからず泣く泣く家へ帰ってからゲージのところへ相談に行った
05:24うんだかーそりゃ大変だったなー
05:33うんわかったわかったオラも一緒にひばりどんとこに行って詫びてやっからもう泣くのはやめろ
05:41ほだから言っただべーほだからオラ嫌だって言っただべー
05:50この通りはオラの一狂オラだぞ
05:54あやまられたって知らねーぞオラはゆずさねーかんな
05:58なんぼしても探して来ねばかんにしねーかんな
06:03ひばりはかんかんになって怒った
06:08あやまってもゆるしてくれないとなれば探すしかない
06:12そこでうずらとカラゲージは二人して毎日毎日川上から川下まで一生懸命探して歩いたがやっぱり見つからんかった
06:23いやんだー
06:28なあひばりどんオラたちなんぼ探しても見つかんねーんだ
06:34もうかんにしてくれんかどう
06:36いやんだ見つかるまで絶対に許さねー
06:41なあひばりどんこの兄弟やっからよ
06:47頼むから許してくれろこの通りだこの通りだ
06:52頭探れば済むってもんでね
06:56オラは絶対にかんにしねーかんなー
07:01ひばりはそう繰り返すばかりで決して許してはくれなかった
07:07そこでうずらとカラゲージはそれからも毎日
07:12通りの片一方を探して歩いたが見つからなかった
07:18このバカタレメガーだから言っただめ
07:23貸すの嫌だってあれほど言っただめ
07:26このバカタレメガー
07:34大丈夫かずらどん
07:38なにしんだひばりたんは歩かねーから通りなんかなくたって困ることなかろうがー
07:44ゲージゲージからゲージ
07:50どりの片方ぐらいなんなんだ
07:51ゲージゲージからゲージ
07:54どりの片方ぐらいなんなんだ
07:56やかましい
07:59おめえまでグルになるよってこの
08:01んーバカタレメガー
08:03バタカレメガ!
08:04大丈夫か?
08:10ゲージーゲージーからゲージー、どれの片方ぐらいなんなんじゃ!
08:15ゲージーゲージーからゲージー、どれの片方ぐらいなんなんじゃ!
08:22ヒバリド、俺が悪かった。この通りだ、この通りだ、この通りだ!
08:30そりゃ、そったらことばっかり言ってねえで!
08:34早よ、通り、見つけてこい!
08:36見つけてこねば、俺は何度でも殴るからな!
08:44そうして、次の日の朝…
08:52おい、うずら、通りは見つかったか?
09:00おーい、からゲージー!
09:17に、逃げたなぁ…
09:20うずらゾーンは草むらの中へ隠れろ。
09:24おらはよしの中へ隠れっから。
09:29ヒバリは絶対許してくれないし、だからといって、その端部に叩かれるのは我慢がならない。
09:37そこで、からゲージーと、うずらはそれぞれ隠れて暮らすことにした。
09:42おい、からゲージー!おい、うずら!
09:47どこか隠れたー!
09:49出てこーい!
09:52おい、からゲージー!おい、うずら!
09:55どこか隠れたー!
09:57出てこーい!出てこーい!
10:01それ以来、うずらは通りの片方をなくして、ごめんごめんと草むらの中で隠れて暮らし、からゲージーは今でもうずらに同情して、ゲージー、ゲージー、からゲージー、通りの片方くらいなんなんじゃーと、よしの中で泣いているそうな。
10:24そうして、ひばりはといえば、いなくなったうずらと、からゲージーを探そうと、今でも空高く舞い上がって、飛び続けているのだそうな。