00:00ん
00:00昔 岐阜の絵な坂下っちゅうところに
00:14のんていう 化け物がおったになる
00:18そいつは何でも 木曽川をまたいでガボガボ水を飲み寄ったって言うから
00:25そりゃあどでかいもんに間違いねえがどんな風な化け物が誰もその正体を見たものはおまかった
00:37その年も天気の具合が悪い年で 川の水があふれで出た畑や家が流され
00:45風が吹いて何でもかんでも吹き飛ばされて 村の州はみんな脳が暴れとるんじゃ
00:52脳を早く死ぬ目にはならんと その話し合ったになる
01:02その脳ってのは 困ったことに女の子が好きで
01:07ええええええええええええええええええええ
01:15村のシュウは 脳が暴れ始めると村中で一番可愛い女の子を一人捧げることにしておった
01:25ん
01:42こうやって毎年毎年一人ずつ女の子を捧げとるうちに
01:48この坂下にはもう 可愛い娘っ子が一人もおらんようになってしもうたそう
01:55ん
01:561年が過ぎこの年の嵐はことのほか激しい
02:00また脳が女の子を催促して暴れまーっとも違いなかった
02:06磯川があふれ このままだとまた旗がすっかり流される
02:15このがさ
02:17一人だけ女の子が残っとったんじゃ
02:20でもなぁ
02:23この娘はつゆというのじゃが
02:26可愛くないといえば気の毒じゃが
02:29この通り色は浅黒って鼻は上向いて
02:32誰が見たってお世辞にも可愛いとはいえなんだ
02:36おっかー
02:39私が言ってやるに
02:41おっかー
02:43私が脳のところ行ってやるに
02:46なんとーそりゃあいかん
02:48うん
02:50私が行きゃ脳はおとなしゅうなるに
02:53母と二人暮らしのつゆは無理やり母に頼み込んだ
02:58ダメダメそればっかりは
03:01やめてけー
03:03母親は村の衆を集めてきてやっ気になって反対して
03:08それだけはやめてけろ
03:10やめてくれおねげーだ
03:12でもさもう坂下には女の子はおらん
03:16今年は私の行くばんや
03:20私が行けば脳がおとなしゅうなるに
03:24村人たちは必死に止めた
03:26もしこの子を脳に差し出したら
03:30こんな子をよこした俺を馬鹿にする気かって怒っちまって
03:34もらごと潰してしまうんじゃねえかって心配して
03:38止めたんじゃったが次は
03:40どうしても行かしてけれ
03:43私が行けば脳は静なるに
03:46そう言って目の傘つけて雨の中をおしろいも便にもつけずに一人で脳のところへ歩いていった
03:53山の上でつゆは恐ろしくて恐ろしくてならなんだ
04:14山田
04:32me
04:35ああああああ ああああああああ
04:43ああああああああ モンもしやをメイン
04:51ニューヨーやワシがノーダー お前は私がこわくないロカ
04:59わしの顔を見て希望を失わんかった娘は初めてじゃぞ
05:05うはっはっはっは 名は何と言う?
05:08うわうわ私はつゆって言う
05:12つゆか
05:15ええ名前じゃ名前もええがなんてかわいい娘じゃ
05:20かわいい?私が
05:23お前は本当にかわいいええ子じゃ
05:26とんでもねえ私はかわいくないに
05:31こんなかわいくない娘を食ってもちっともうまくないやろけど
05:35どうか私を食うたら暴れんようになってほしいやがな
05:41つゆは本当は恐ろしくて恐ろしくてたまんなかったが一生懸命脳に頼んだ
05:47いやいやお前はかわいくてええ娘じゃ
05:52今までなんでこんなかわいい娘をくれなんだかの
05:57かわいいかわいい
06:01脳はよっぽどこの色の黒い娘を気に入ったらしい
06:07つゆを大事そうに抱えると
06:10小鳥しながら行ってしまった
06:13その夜
06:27脳の進む山の向こうの空が寄っていて想像しかったので
06:32村の人たちは気が気ではなかった
06:35ずっと
06:42たまいだ
06:46たまいだ
06:47たまいだ
06:48たまいだ
06:50そして
06:52次の日の朝
06:54空はどんよりと曇っておったが
06:57おっかー
07:00おっかー
07:03おっかー
07:05脳に連れ去られたはずのつゆが帰ってくるでねえか
07:10そればかりではね
07:12以前に連れて行かれたかわいい女の子たちも
07:15うちそろって帰ってきた
07:17おっかー
07:18おっかー
07:19おっかー
07:21つゆ
07:22おっかー
07:24よー帰ってきたの
07:26おっかー
07:27よかった
07:28もちろん村のしゅうはこぞって大喜びだ
07:33それにしても思いもよらん
07:36なんでおげなことが起こったんだか
07:39村のしゅうは集まってつゆの話を聞いた
07:42つゆがニコニコして言うには
07:44ほほほほほほ
07:47ノーはわたしのことほんとにかわいい
07:52ええこうやって
07:54お前のようなかわいい子が
07:57初めから来てくれるやそんなに暴れることはなかったの
08:00今までちっともかわいい子をわしにくれなんだって
08:05ノーは言ったぞ
08:06わしはお前のような子が好きじゃ
08:09わしはお前に会えて本当によかった
08:12お前はお母と二人暮らしじゃ
08:16早く帰ってお母さんを大事にするんだ
08:20ノーは優しくそう言ってくれたんじゃ
08:24けどな私は言ってやったんじゃ
08:28私が好きじゃったら私の言うこと
08:31なんでも聞くか
08:33聞くとも聞くとも
08:35それじゃあ今までに食うた女の子
08:38一人残らず返してけれ
08:40そんな無茶な
08:43でもお前の願い事じゃ叶えてやろう
08:49こうやって
08:58ノーは女の子たちを返してくれたんや
09:02おいでな
09:04ノーは私と約束した
09:07これからはもうめちゃくちゃには暴れんようにするって
09:11ほれ見ろ
09:12雲が晴れてお天堂様が見えてきたに
09:15本当に何日ぶりかの太陽じゃった
09:24何も怖いものがなかったノーが
09:32この女の子の機嫌を損ねるのが何よりも恐ろしくなって
09:37たまに梅雨の顔が見たくなって山の向こうに顔を出すことがあるが
09:44梅雨がぐーっとにらみつけると
09:49すぐに大人しようになったんやと
09:53その後ノーは大きな足跡を残して山の向こうへ消えてしまったそうやが
10:01その足跡が池になって
10:05その池を土地の人たちは
10:08モーガー池と呼んでいるそうな
10:11エナの里には
10:20それからは穏やかな天気が続くようになったそうや
10:26ご視聴ありがとうございました
10:38ご視聴ありがとうございました