00:00昔昔トントン昔
00:09あるところにそれは力持ちのタヒエという男がおった
00:15タヒエの仕事は日雇いじゃった
00:18誰かオラに仕事くれろ
00:23飯食わしてくれろ
00:27何でもするだでよ
00:31タヒエの力は大したものだった
00:35仕事は人一倍できるし他のものの何倍もはかどる
00:40じゃがその分飯の方も人の何倍も食うた
00:45これではどこでもこれはたまらんとすぐにお払い箱になった
00:51タヒエは仕方なく里の村を後にして山の村へ入っていった
01:01一軒の家の向き下に立つと雇ってもらえないかとお願いした
01:07年寄りはタヒエの頭の先から足のつま先までしげしげと見つめておったが
01:20よし働いてもらうだ
01:26年寄りがタヒエを雇ったのは
01:34家から少し下ったところにある水車小屋で米付きの仕事をしてもらうためじゃった
01:42こんな米付きぐらいわけはねえ
01:50だどもなんで水車使わねえだ
01:58立派なウースもあるだに
02:02これならほっといても米がつけるじゃろ
02:05それも水車が回っての話じゃ
02:09見ての通りじゃ
02:21水車を回す川の水をあの湯輪が山から転がってきてせき止めてしまったんじゃ
02:30どかしたらいいだべ
02:32バカなこと言うでね
02:39ところで実はな
02:42この小屋に夜になると化け物が出ると言って
02:46雇い人が誰もいつかんのじゃよ
02:49ほー化け物が
02:51そうなんじゃ
02:53大乳堂の化け物だそうじゃ
02:56だからその正体を見届けてもらいたいんじゃよ
03:01その代わり飯などなんも食うてもいいぞ
03:05飯さえ食わしてもろうたら化け物なんか怖くねえぞ
03:10やがて夕方になると年寄りは
03:16握り飯を持ってきて
03:19家兵に手渡すとそそくさと帰っていった
03:22いいだが夜はしっかり頼んだぞ
03:32夜中になるとどこからともなく生臭い風が吹いてきて明かりを吹き消した
03:51するとその時急にあたりの様子がおかしいな
03:55そして年寄りが言うた通り
03:58家兵の前に小山ほどの大乳堂が現れた
04:03そこのでかいの何ぞ言おうかえ
04:23なんだ黙っとらんで
04:27なんとか言うたらどうだ
04:30用がないんなら出てけおら眠たいだ
04:37さっさと行っちまえ
04:39こいつ聞こえないのか
04:42えりお前が動かんならおらが追っ掘り出してやる
04:47おお重いぞ
05:06ああああああ
05:09ああああ
05:15ん
05:21なんと 多平が投げつけた大乳洞は水車小屋の中で埃だらけになっていた石薄じゃった
05:32ハリー通りで重かったはずだ それにしても石薄が化けて出るなんて
05:40あああああ こやつ
05:43しょうこりもなくまた出てきよったなぁ もう待ってくれ
05:49寝ている山をしてすまなんだ 事実はお前様の力を見込んで是非とも頼みがななななに頼みじゃと
06:00こうこの通り者 様子聞いてやろう
06:06わしは知っている通り一緒にすぎゃじゃが随分長いことあの大岩が邪魔をして米付きの 仕事をしておられるじゃ
06:17なんじゃそれならはよ 岩をどかせばいいじゃねーか
06:22そりゃあ何度もやってみた でもわし一人の力ではピクリとも動かんのじゃ
06:30そこで小屋に来る者に力を貸してもらおうと思うが わしを一目見ただけで
06:39駆け物だと言って逃げ出してしまう
06:43そりゃあもっともだ そんなわけで
06:47来る日も来る日も小屋の中でただ
06:51ほこりをかぶってジェイプしている毎日じゃ
06:55うーん
06:58昔はよかったなぁ
07:01水車はぐんぐん回ってたし毎日山ほど米付いて ただ俺は毎日精一杯働いてたなぁ
07:12ええええええええええええ ええええええ
07:14お前さん
07:16一生のお前がたのぬ あの大岩をどかしてくれ
07:22ほら働きてぇだよ 仕事をしてぇだよ
07:27タヘイは大乳洞の話を聞いているうちに なんだかだんだん気の毒になってきた
07:35よーしわかった 任せておけ
07:39大乳洞とタヘイは小山ほどもある大岩に取り付くと 力いっぱい押し出した
07:47せーの
07:49せーの
07:50せーの
07:52せーの
07:53せーの
07:56せーの
07:58せーの
08:01これもっと力入れるのがんばれー
08:06分かってるだ
08:08がんばってるだ
08:10せーの
08:12せーの
08:14せーの
08:15せーの
08:16せーの
08:18これ何してるかもっと力入れるだー
08:22やっぱりだめだー
08:24ほらいいしうすだーと疲れるなー 慣れてるだー
08:28自分で力は使ったことはもうー
08:30どうしたらよしもうひとしたー
08:38せーの
08:40せーの
08:41せーの
08:42せーの
08:43せーの
08:44せーの
08:45せーの
08:47けーの
08:48もー
08:50はん
08:52はぁああああ
08:54ぁ anlam
08:58ええええええええええええええ
09:05いやうわあああああああ
09:07らづれ
09:08ああああああ あああああああ
09:12ええええええ
09:15ええええええ
09:18ああああああ
09:23ああああああ
09:26me
09:29カフェの力で大湯は取り除かれ
09:33川は勢いよく流れ出し水車はよみがえった
09:38ん イシウスよよかっただなぁ
09:43メイパイあたらだ
09:47水車が回ってるだ
09:51ああああ
09:54ことの次第をたひえはと言いよりに話した
10:00そうじゃったのか大入道の化け物というのはこのイシウスじゃったのか
10:07久しく使わずほったらかしておったから情けなくなって化けで出てきたんじゃな
10:16それからは水車小屋の大きなイシウスはどんどん米をつき
10:22大飯ぐらいのたひえどんもやっと働き口が見つかってこの小屋でイシウスとともにいつまでも働いたということじゃ
10:34そうじゃったなぁ
10:39そうじゃったなぁ
10:40り focusing
