00:00昔 北の院内の里に
00:09達子という娘がおった 明るくよく母を手伝って働く娘であった
00:18春ともなれば野山に花が咲き誇る かぐわしい匂いをいっぱいに吸いながら達子は胸を膨らませていた
00:28夏ともなれば黄金の光が欲しげもなく降り注いで ハチキレンばかりに躍動するタツコの肌を小麦色に焦がした
00:40秋ともなれば馬にまたがってかけるカツコの足を ススキがくすぐにハギが微笑みた
00:50冬ともなれば見渡す限りの銀世界にタツコは浮かれてうさぎを追う
00:58マイクルー雪はタツコの白い肌をさらに白く滑らかに磨き上げた
01:06そんな風に自然のままに振る舞ってタツコは美しい娘となっていった
01:14しかしタツコはそんな自分の美しさというものをまだ知ってはいなかった
01:22ある秋も深い日のことであった
01:28好みを摘んで山を歩き回ったタツコは不当
01:34鈴のように澄んだ水ごとに誘われて 茂みを奥へと湧き入った
01:44ひんやりと冷えた茂みの奥に 鏡を置いたように泉があった
01:52せみ通った泉の水に引かれるように タツコは手を伸ばした
01:59タツコには 泉の水が自分の手をどこまでもどこまでも吸い込んでしまうように思われた
02:08山を歩いて蒸気したタツコの体の中を 泉の水は心地よく広がっていった
02:16ほっと息をついたタツコは 何気なく泉の水もに映る自分の姿に目を落とした
02:24これが私?
02:26タツコは初めて見る自分の姿をしばらく眺め続けていた
02:32きれいだわ
02:36この日からタツコは変わった
02:41今まで野山を気ままに走り回っていたタツコは
02:47じっと物思いに沈む日を送るようになった
02:52そして冬になった
03:04こうしているうちにすぐに春が来る
03:20そして夏が来て
03:23秋が来て
03:25また冬になって
03:29そうやってどんどん歳をとってゆく
03:36ああやだやだ
03:38歳をとって今の美しさを失いたくない
03:41いつまでもいつまでも今のまま
03:45美しいままでいない
03:48美しいままでいない
03:52美しいままでいない
03:55美しいままでいない
03:58歳をとってこの美しさを失っていくなんてとても私には耐えられない
04:11そうだ
04:15神様にお願いしよ
04:20思い余ったタツコは真夜中の道を観音堂へと向かった
04:25神様
04:30私は年をとりたくありません
04:32どうか
04:34どうかいつまでも若いままに
04:36美しいままにしておいてください
04:38神様
04:40こうして
04:42舞よ舞よタツコは
04:44観音堂への山道を通い続けた
04:48そして百日目の夜
04:52タツコよ
04:54百日もの間よく通い続けた
04:58それほどの願いとあれば叶えてもやりたい
05:03しかし
05:05お前の願いは人の身には許されることではない
05:11神様
05:12どうぞお願いをお聞きください
05:15このまま生き続けることには耐えられないのです
05:19楽しい
05:22かわいそうなタツコよ
05:25美しさにとらわれ苦しむお前の姿
05:30あまりに哀れた
05:33この山を北へ踏み分けて進むがよい
05:37そこに湖がある
05:39その水を飲めばお前は英語の若さを売ることができるだろう
05:45翌日タツコは母に
05:50北の山に行くとだけ言って家を出た
05:54お母さん
05:56タツコの親不幸を許しください
05:59でも
06:00こうするよりほか仕方がないのです
06:03タツコは山を北へ北へと入っていった
06:08深い山の森は淵の底のように暗い
06:13タツコは恐ろしいのを我慢して進んだ
06:17タツコ
06:21村へ帰れ
06:22村へ帰れ
06:23ああああああ あああああああ
06:32お願い邪魔をしないで 私は湖に行かなくてはならないの
06:39山の鳥たちはみんなでタツコが北へ行くのを止めたがタツコは聞かなかった
06:45なおも山を行くと今度は森が豪豪となり出した タツコ
06:57タツコ 聞けタツコ
07:02村へ帰るのだ これより先へ人間が踏み込むことはなら
07:08帰るのだ
07:15うーん 神様が私を許しになったのよ
07:21どうか通して
07:24森を抜けると険しい谷へ差し掛かった
07:30谷の底から強い壁が吹き上げて タツコを襲った
07:37これから先へ進めます 村へ戻った
07:41村へ戻れ
07:43あああ みんな私を湖へ行かせばいいとする
07:48でもどうあって私は湖へ行かなくては
07:52飛び散る岩の破片に顔を持っても傷ついた
07:57それでもタツコは岩にしがみついて前へ進んだ
08:02タツコが山に入って3日ほどの日が経った
08:08湖だわ
08:10足は傷つき もう一歩も歩けなかったがタツコは体を引きずりながら湖へと近づいた
08:25とうとうやってきたわ
08:28この湖の水を飲めば
08:32私はいつまでも若く美しくいられる
08:36湖の水は水晶のように透明に輝いていた
08:43あああ 冷たくていい
08:47まずタツコはその水を飲む前にもう一度考えるのだ
08:54英語の若さと引き換えに二度と再び人間の世界には戻れないのだ
09:01タツコは黙って一息に湖の水を飲み込んだ
09:07体の中に水が染み通っていくと
09:12血という血がどーっと熱くなり
09:15体中を逆さに流れていって目が眩んだ
09:20やがてタツコは一頭の龍になっていた
09:35しかしタツコは龍となった自分の姿を見ることはできなかった
09:41湖にはいつもと河原の美しいタツコの姿が映っていた
09:50タツコ もうお年を取ることもない
09:56この湖でいつまでも美しく若く暮らすがよい
10:03神様 ありがとうございます
10:07タツコは幸せです
10:13こうしてタツコは北の山から二度と村へ帰ることはなかった
10:19その後村の母のもとへといつでも湖の魚が届けられるようになった
10:27タツコが元気で暮らしている証に送ってくるのだと伝えられた
10:34駅中心配 山からコの中心配 山からジェルが寄っている
10:39駅中心配 山から夕焼けられた
10:42レッドウザーバーで平均と羽根の光を通していた
10:44レッドウザーは証に撮影され出ている
10:46シーンシーンシーンがいた
10:47前端の光を通しても昨日に
10:47駅中心配 山からジェルが抜かる
10:50駅中心配 山からジェルが寄っている