00:00昔々 富山のある村に 十兵衛という百姓がおりました
00:18貧乏な十兵衛は 畑を耕すにも 刃の欠けたくわしかなく 買い替えるお金もありませんでした
00:34ところで この村はずれに 肩掛けを着た二つの肩掛け地蔵様が 並んで立っておりました
00:46うちっ
00:49ん
00:52ちょっと
00:54ん
00:56ん 十兵衛は時々地蔵様のところへ行っては 周りをきれいに掃除したり大事に世話をしたりしておりました
01:08ん 地蔵様先に飲んでくだされ
01:14ん
01:17ん
01:19ん
01:22それじゃあ地蔵様 また来るでな
01:26ん
01:29ん そんなアルバンのこと
01:32ん
01:33十兵衛の夢の中に 肩掛け地蔵様が 訪ねてこられました
01:37ん
01:39ん
01:40ん
01:41ん
01:42ん
01:44ん
02:12ん
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03:00ん
03:01ん
03:02ん
03:03ん
03:04ん
03:06ぅ
03:10ん
03:12ん
03:14ん
03:15ん
03:16ん
03:17なんと不思議なことに
03:20するりと体がくぐり抜けられたのでした
03:24くぐれた、くぐれた
03:27そうして二つの地蔵様の肩のあたりから
03:32クワが飛び出してきました
03:34わ、出た、出た
03:37ありがて、こいじゃ
03:42こうして地蔵様から借りたクワで耕すと
03:48大した疲れもなく
03:49はやばやと畑の梅が出来上がりました
03:53おかげで畑はしっかり耕せました
04:14地蔵様ありがとうございました
04:17そうお礼を言い
04:22借りたクワを地蔵様に返すと
04:24ジューデーは帰って行きました
04:26さて、それからひもたち
04:33夏祭りの頃になりました
04:36今日の祭りでは
04:58裏の家に持ち回りで村の人が大勢やってきます
05:03でもお礼もお礼も
05:07おらの家には何にもねえんです
05:12地蔵様
05:15どうかおらにお礼とお礼を
05:19ありったけ貸してください
05:22寄り合いが済んだら
05:25必ずお返しいたします
05:28ジューデーは一心にお祈りしてから
05:33地蔵様の狭い肩の間をまたスルリと
05:37くぐり抜けました
05:38すると二つの地蔵様の肩のあたりから
05:48お前頭腕がポンポンと飛び出してきました
05:53ありがてえこっちゃ
05:57かたかけ地蔵様は
05:59おらの頼みをみんな聞いてくだされた
06:03その日寄り合いに集まった村人たちは
06:08きれいなお膳やお腕を見て
06:11びっくりしたり感心したりしました
06:13いやあ見事なお前頭腕じゃ
06:18ほんとねえ
06:20ほんとねえ
06:23十勢丼は大した金持ちなんじゃな
06:27そうして寄り合いが終わった後
06:31十勉は地蔵様から借りたお前頭器を
06:35きれいに洗いました
06:37一つぐらいなら返さんでもいいじゃろ
06:54あんまり立派なものなので
06:59つい返すのが惜しくなり
07:02十勉はお膳の一組を天井裏へ隠してしまいました
07:07地蔵様に借りたものぜんぶそろえて
07:25お返しします
07:27これで借りたものはぜんぶでございます
07:37それからずっと月日が過ぎた頃
07:49十勉は何くわぬ顔で地蔵様のところへ向かいました
07:53またおらの願いを聞いてくだされ
07:59薄と金を貸してくだし
08:03餅をついて食いてです
08:07ついた餅は真っ先に地蔵様にお供えいたします
08:16済んだら元のように必ず返します
08:21十勉は肩掛け地蔵様にお願いをして肩の間をくぐろうとしました
08:28あれーくぐれねー
08:40十勉は肩の間をくぐろうとしましたがどうしてもくぐれません
08:45一杯
08:50一杯
08:51卵
08:53二杯
08:54二杯
08:56二杯
08:58二杯
08:59二杯
08:59おう!
09:14おう!
09:20おう!
09:24おう!
09:2910米お前はまだ貸したものを返しておらんじゃろう
09:3810米はそれを聞くと急いで家へ駆け込み
09:43隠しておいたお膳を抱えて地蔵様のところへ走って行きました
09:48地蔵様を騙してすいませんでした
09:55ごまかした品物はこの通りお返しいたしますでどうか許してください
10:03誠に言います
10:11こうして地蔵様に一生懸命謝りましたが
10:20それからというものかたかけ地蔵様からは
10:23何を頼んでも二度と品物は貸してもらえなかったそうです
10:29でも10米は心の中で後悔しつつも
10:35地蔵様の世話を続けたということ