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  • 2 週間前
Japanese folk tales
トランスクリプション
00:00昔々、日立の国に、のんのんだいら中、山と山に囲まれたちっちゃな村があった。
00:21そして、花の木川という、水のきれいな川が流れておった。
00:41その村の外れに家があり、伊兵中男と一頭の目馬が暮らしておった。
00:51伊兵のところは貧しくて、その日食べるのもやっとだった。
00:57だから、馬小屋も建てられず、馬は裏山の乗っ腹に話しがいにしておった。
01:06ある日のことじゃ、目馬が駒を産んだ。
01:11はぁ、つもた。
01:14なんと、伊兵のところに生まれた駒には、角が二本生えておった。
01:23これを知った村の衆は、おったまげて、さっそく伊兵の家へ駆けつけてきた。
01:44顔も体も馬だが、角の悪馬なんて見たこともねえ。
01:48はぁ、そうだ、おら、初めてだ。
01:53こんな、角のある馬が生まれるなんて、ただごとじゃねえ。
01:59第一、気持ちが悪い。
02:01早いとこ始末したほうがええんでねえか。
02:05村の衆は一目見るなり、角のある駒をなんとかしろと言った。
02:10それからは村の人が、伊兵の家へ毎日押しかけてきた。
02:16伊兵、駒はどうした?
02:20伊兵、駒は始末したか?
02:25しかし伊兵には、とっても駒を始末することなどできやしなかった。
02:31そうこうしているうちに、母馬はお産の肥立ちが悪かったのか死んでしまった。
02:52そして伊兵は、駒を青と名付け、ますます可愛がった。
02:57コウマは、母馬の死も知らんかのように、元気に野原を飛び回っておった。
03:11おおおお、あれを見ろ、あれは伊兵の家の馬だ。
03:17なんという馬だ。
03:20いや、はや、たまげた。
03:21青は山のCの大木に登って、ちょこんと座っているのじゃった。
03:29みんな腰を抜かすぐれぶったまげた。
03:33これを見た村の人は気味悪くなって、前よりも増して伊兵を攻めるようになった。
03:41あのコウマは、やっぱりただのコウマじゃねえ。
03:45山の神が乗り移った、化け物馬だ。
03:48このままにしとったら、大変なことになるぞ。
03:55伊兵、おめえの手で早く始末しろよ。
03:59伊兵、伊兵だか。
04:05青よ、村の人は言っておるが、おらにはそんなことはとてもできねえ。
04:12その夜のことじゃった。
04:25村から逃げ出してきたある馬が、畑を荒らし作物をむしゃむしゃ食べ始めた。
04:33あくる朝、村の人たちはびっくり仰天。
04:48いって誰だ。
04:50見ろ。馬の足跡があるぞ。
04:53こんなことをする奴は、伊兵のとこの化け物馬に、ちげねえ。
05:00村の人たちは、大事な畑を荒らしたのは、青だと思い込み、伊兵の家へと向かった。
05:08さあ、伊兵、覚悟はできてるだろうな。
05:11もう我慢できねえ。この場で小馬を始末するか、それとも、おめえが村から出て行くか。
05:21それに小馬が食い荒らした畑の弁償をしろ。
05:26さあ、どうする、伊兵。
05:29返答するだ。
05:32村人たちから青のことを告められた伊兵は、ただ謝るばかりじゃった。
05:37ことによったら、村の人たちの言う通り、あの小馬は化け物なんだべかな。
05:48村の人たちの大切な畑を荒らすなんて。
05:53ほんねえ、青がでっかくなって暴れだしたら、そりゃあ大変なことになんねえとも、かげんねえだな。
06:01村の人たちに追い詰められた伊兵は、泣く泣く青を縛り上げて、
06:19花抜き川の青く淀んだ淵の底へ、ぶん投げてしまった。
06:25青を始末した伊兵は、心が重く、夜が明けても布団をかぶって寝ていた。
06:44のんのんだいら村の人たちは、小馬がいなくなったと聞いて喜んだ。
06:53よかったな。
06:55ひと安心だ。よかっただな。
06:59それから何日か経ったある日のこと。
07:20おんや、雨だ。
07:29風も出てきただと。
07:31ああ、雷様だ。
07:37雨も風もますます激しくなった。
07:40そのうちに稲光が横から縦に変わった。
07:44いや、そのおかねえこと。
07:48雷様は、のんのん平村のあちこちに落っこち始めた。
07:55こいつは、きっと伊兵の奴が、
07:57角の生えた小馬を、花抜き川に沈めたせいじゃねえのけ。
08:02そうだっぺ。
08:04伊兵のせいに、ちげえね。
08:07村人は、またまた伊兵の家へと走った。
08:11その時じゃった。
08:12何だめ。
08:23山津波だ。
08:35うわあああああ。
08:37まだ、つぶれる。
08:39うわあああああ。
08:42と叫んだ時は、
08:44ドロドロに溶けた暁が、
08:47畑だの家だのの上に、流れてきた。
09:093時は、
09:17青よ。
09:20どこからか、
09:23紅馬の鳴き声が、聞こえてきた。
09:28青よ
09:30どこからか
09:33コウマの鳴き声が聞こえてきた
09:36
09:39その鳴き声は
09:43伊兵衛には何か訴えているように聞こえた
09:47伊兵衛は
09:49畑を荒らしたのは俺じゃねえ
09:54と聞こえた
09:56すまねえ
09:58本当にすまねえ
10:01この俺さえお前のことを信じておれば
10:04こんなことにはならなかっただ
10:07すまねえ
10:09本当にすまねえことをした
10:11勘弁してくれろ
10:15今でも
10:24耳をすましてみると
10:27コウマの悲しげな声が
10:30鼻抜き側から聞こえてくるという話じゃ
10:35私の声が聞こえてくると
10:38私は
10:40私の声が聞こえてくると
10:41聞こえてくれろ
10:44北海道や

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