00:00昔、貝の国に弓の上手な一人の漁師がおった
00:20ある種のこと、その漁師は一匹の大鹿を追って、伊豆の山奥へとやってきた
00:28やった!
00:42村人たちはその夜、漁師を村長の家へ招いて、ある相談事を持ちかけた
01:01それは村人たちが最も恐れている、赤い二つの月についてやった
01:07この村と隣村との間にはバサラ峠という峠があり
01:12そこでは今までに何人もの人間が何者かに飲み込まれたことがあるのじゃった
01:20そんな夜は決まって赤い二つの月が出る
01:24息子を、夫を、妻を失った者たちがおった
01:28村人たちは漁師に、その赤い月を言おうとしてくれと頼んだのだった
01:34気の優しい漁師は、次の日の朝、早速村人たちを
01:43赤い月が一番よく現れるという場所へと案内させた
01:48やれやれ、これで一安心というものじゃ
01:52FT
01:54こんなのだ
01:58漁師は、その場所に着くと
02:02ドカッと腰をおろして
02:05夜のくるのを待った
02:13うーーー
02:16うーーーーー
02:22どうしたどうした
02:26あそこあそこ
02:29なんだ
02:37スプロでねえか
02:39夜は
02:46しんしんと透けていった
02:48スプロでねえか
03:18スプロでねえか
03:20スプロでねえか
03:38スプロでねえか
03:42漁師は赤い月に飲み込まれて死んでしまった
04:04漁師には貝の国に二人の娘がおった
04:15村人たちは泣く泣く二人に父親が赤い二つの月に飲み込まれて死んでしまったことを伝えた
04:22姉の名を小松
04:25おっと
04:27妹の名を小杉と言った
04:31許してくれろ
04:34オーナーたちが悪かった
04:36勘弁してくれろ
04:40それから何日か経ったある夜
04:46小杉
04:49おっとが死んでからというものろくろく何も食べてないじゃないか
04:54そのままじゃ死んでしまうよ
04:56姉ちゃん
04:57ん?
05:01ほら
05:04おっとの仇が討ちてえだ
05:06このままではおっとがかわいそうでなんね
05:10ほら
05:12仇が討ちてえだ
05:14小杉
05:16小杉
05:18ねえちゃん
05:26姉ちゃんはな
05:28一人でバサラ峠行って仇を討とうと思ってたんだ
05:33姉ちゃん
05:34小杉
05:36何度にもう一つ弓があるでな
05:39小杉が弓を引けるようになったら一緒に行こう
05:42うん
05:44次の日から
05:53二人は一生懸命に弓の練習をした
05:56そして秋が過ぎ冬になった頃
05:59小杉も弓を引けるようになった
06:02二つ目の秋
06:04二人はついに身近くを整えると
06:07バサラ峠へと向かった
06:10大変じゃ大変じゃ
06:13何あの二人がやってくる
06:16仇討ちにやってきただよ
06:20仇討ち
06:22ほら村長のところへ知らせてくろう
06:26仇討ち大変じゃ大変じゃ
06:31村人たちが必死になって二人を引き止めようとした
06:46じゃが二人の決心は固く変わらんかった
06:50次の日の朝
06:55二人は父親の墓へお参りすると
06:58そのままバサラ峠へと向かって行った
07:01無事で帰るんじゃぞ
07:04村人たちは娘たちの父親を思う心を持って涙を流した
07:11二人がバサラ峠に着いた頃には
07:17もう日はすっかり暮れておった
07:20夫
07:21おらたちを守ってくれろ
07:24小杉
07:30うん
07:31二人が用意した矢は
07:36各々一本ずつ
07:38鋼の矢で矢尻には毒が塗り込められておった
07:42小杉怖いか
07:44うんうん
07:45夫が守ってくれるよ
07:48うん
07:48夫
07:50夫
07:56姉ちゃん
08:01小杉
08:07いいか
08:08うん
08:08小杉
08:16やっぱりあれは化け物の二つの目だ
08:19姉ちゃんは左の目を狙う
08:21小杉は右の目を打て
08:23うん
08:25うん
08:26さあ
08:28化け物もっとこっちへ来い
08:30小杉今だ
08:31小杉今だ
08:35姉ちゃん
08:37小杉今だ
08:46小杉今だ
08:47姉ちゃん
08:49姉ちゃん
08:51怖い
09:19ご視聴ありがとうございました
09:49大社は7日7番の田打ち回ったという
09:55その心臓の音は遠く村の家々まで聞こえた
10:00じゃがそのうち矢の毒が回っていったか
10:04その音はだんだんと小さくなった
10:14こうして娘たちは親の仇を討つことができた
10:18大社が挟まって死んだ世話をじゃがさみといい
10:24小杉はこの土地に留まって末永く父親の墓を守ったという
10:31それでこの辺りを小杉原というそうじゃ