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  • 2 日前
Japanese folk tales
トランスクリプション
00:00昔、昔、こういう昔、この世にまだ天と海しかなかった頃のことじゃ。
00:20二人の若い神様が、長い長い矛を担いで、空の中ほどにかかる浮き橋という橋へ降りてきた。
00:35二人の若い神様は、高い高い、空よりも高い神様の国から来たのじゃった。
00:44さて、二人の若い神様は、浮き橋の上から担いできた、長い矛で下の世界の海を、えんやらえんやらとかきまわし始めた。
01:05そして、矛を引き上げた。
01:07すると、矛の先からしずくが落ち、潮が固まって、一つの島が出来上がった。
01:23これは面白い。
01:26二人の若い神様は、また矛を海へ降ろした。
01:30そうして、ちっこい島やでっかい島、それにちゅっくらいの島という風に、いくつもの島々が生まれたのじゃった。
01:50生まれた島々は、たいそうな出来栄えじゃった。
02:00うーん、出来たぞ、出来たぞ、美しい島が出来た。
02:09見事な島よの。
02:11うーん、実に見事じゃ。
02:15見物に集まったたくさんの神様たち、大喜びで下の世界に出来た島々を、眺め下ろしておったが。
02:23見事な島じゃが、あの、残念なことじゃ。
02:30あんな、見事な島のどこが残念なのじゃ。
02:36見事じゃから、残念なのじゃ。
02:42あの、見事な島へ降りて行く道がない。
02:46わしはぜひ、あの島へ降りて行きたいと思っとるのに、残念なことじゃ。
02:56そういえば、そうじゃの。
02:58確かに残念じゃな。
03:02あの島へ、降りてみたいの。
03:05道が欲しいの。
03:07ああ、そこまでは出来んことじゃ。
03:12一つ、道の神様に頼んではどうじゃろう。
03:16そこで神様たちは、道を司る神様のところへ、頼みに行ったのじゃ。
03:26考え深い道の神様は、しばらく考えておったわ。
03:31よろしい。道をつけてやるとしろ。
03:36おお、よかったのかな。
03:38これで、下の島へ行けるぞ。
03:42じゃが、あの、その道は、あの、お前様たちだけが本当に、
03:51入れような時だけ、使うのじゃ。
03:55はい。
03:56決して、むやみに使ってはならぬぞ。
04:00さもないと、たちまち壊れて、二度と使えなくなるからぬ。
04:07そう言って、神様の国から、下の島へ、さーっと道をつけたのじゃった。
04:15が、道というより、それは、はしごじゃった。
04:20それでも、神様たちは、大喜びじゃ。
04:23さー、あげるぞ。
04:25わしも行くぞ。
04:28こうして、神様たちは、はしごをつたって、下の島へ、降りていった。
04:36下の世界へ、神様が降り立つと、美しい娘たちが、遊んでおった。
04:42ああ、そらの神様じゃ。
04:47神様方がおいでじゃ。
04:50ああ、本当だ。神様が。
04:57神様たちは、すっかり下の国の娘たちが気に入って、たちまち仲良くなったのじゃ。
05:03おう。
05:21神様たちと娘たちは、そうして、幾日も幾日も、
05:25ウキウキと、楽しいときを、過ごしたんじゃ。
05:28う、う、う、う、う、う、う、う、う、う。
05:33ところがあると
05:43娘たちは高い高い空の雲の上へ抜けている大橋部を見上げて
05:50こう言い出した
05:51なあ神様お願いがあるんじゃがな
05:56なあなんじゃお願いとは
05:59おらたちも一度空の国へ連れてってもらえんじゃろうか
06:05空の国がどんなところか見てみたいんじゃ
06:11まあええじゃろ
06:13それはならんぞ
06:15神の国は神様たちだけのいるところで
06:19下の国のものは上がってはならんのじゃ
06:23それにこのはしごは勝手なことに使ってはならんのじゃ
06:29いやいやそんなこと言わずに空の国の見物をなあなあなあ
06:36お願い見物させてくれろ
06:39ねえねえねえったら
06:42お願いお願いお願いじゃ
06:45娘たちがわいわいとせがむので
06:49神様たちもすっかり困り果てて
06:52よろしい
06:56それならそっと内緒で連れて行くとしよう
07:01いやあうれしいうれしいうれしい
07:03わあちゃんちゃんうれしい
07:05これ娘たちよ
07:07その代わり登って行くときには声を立ててはならんぞ
07:12もし声を立てるとすぐに道の神様という
07:17偉い神様にわかって
07:20わしらはお叱りを受けねばならんからの
07:24はーい
07:26そこで神様たちは一人ずつ娘の手を引いて
07:32はしごを登って行った
07:34はい
07:36はい
07:37登るにつれ娘たちの目に
07:41自分たちが住んでいた国がだんだんはっきりと姿をあらわしてきた
07:48ああきれい
07:52美しい
07:54これこれ
07:55声を立ててはならんとあれほど言うたではないか
07:59道の神様の目にとろいたら大変だ
08:04しかしはしごを高く高く登るにつれて
08:12下の景色は一層くっきりと美しくなっていくのじゃった
08:17娘たちは踊る胸を抑えても
08:22声をこらえるのが大変じゃ
08:24そしてとうとうこらえきれなくなって
08:28わーきれい美しいな
08:34本当じゃ夢のようじゃ
08:38わー美しい
08:41わー夢のようじゃ
08:43何やら想像しいな
08:47おいおだまりと言ったらおだまりよ
08:50道の神様に聞こえてしまうぞ
08:53平気じゃ
08:55なんなら道の神様も呼ぶがいいじゃ
08:59そうじゃそうじゃ
09:01この美しい眺めを見せてやろうよ
09:04うわー
09:05何よ
09:06あなたなことが言ってやるのだ
09:08しっかり
09:10どうやらわしが言った約束が守れなかったようやな
09:18どうやらわしが言った約束が守れなかったようやな
09:20うーん
09:27とうとう
09:28道の神様にわかってしようとは
09:44ご視聴ありがとうございました
10:14そのかけらの一つが京都府の宮津湾に落ちたのじゃそうな
10:20今も宮津湾の奥にある天の橋立がその時の梯子のかけらじゃ
10:30と言われておるのじゃ
10:44ご視聴ありがとうございました

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