00:00昔、昔、ある山奥に小さな貧しい村が
00:30それは空にもことかくほどの貧しさで
00:35村人たちは三人目、四人目の赤子が生まれると
00:40泣く泣く山に捨てるほどの貧しさじゃった
00:43そのような時、村人たちは山の狐に赤子を取られたということにして
00:53山にたくさんいる狐のことを小鳥狐と呼び習わしておったそうじゃ
01:00そんな貧しい村の中でも、とりわけ貧しい一軒の家で四人目の赤子が生まれた
01:14うーん、どうしたんじゃ、ママ食わんのか
01:19とっとさ、おらの家にももうすぐ小鳥狐が小鳥に来るんか
01:27そんなことを心配しとったんか
01:30そんなことあらせん
01:33狐が取りに来ても、おらとカカサで追っ払ってやるでな、カカサ
01:38そうじゃともさ、心配せんと早お食べ
01:43ああ、よかった
01:45そんな子供たちに、ひもじい思いをさせまいと夫婦は頑張って
01:56畑を一枚増やそうと、朝から晩まで休むことなく一生懸命働き続けた
02:08残った邪がある枯葉が舞い落ちる日
02:15うっ
02:17う、かじゃ胸が
02:28トトサー
02:29!
02:30日頃からat
02:31それほど体の強くなかったトトサーは、毎日のムリが叩いたのか、突然死んでしまった
02:34ねぇ
02:37カカサと4人の幼い子供たちが深い悲しみの中に残された
02:48じゃがいつまでも泣き悲しんでいるわけにはいかなかった
02:54カカサ
02:56心配せんでもええ
02:59オラがととさの分まで働くからな
03:03次の日からカカサは以前にも増して一人で頑張って働き続けた
03:133人の子供は家に置き4人目の赤ん坊を背負って父をやみながらの畑作りじゃった
03:22一日の畑仕事を終えたカカサが
03:33芝を抱えて帰るその道には大抵キツメが青い目でじっと見つめておった
03:41やらんぞ
03:46うちはこの子を山に捨てるようなことはせん
03:50どんなことがあってもな
03:53カカサは食わんのか
04:03カカサはええ
04:06カカサこれくれ
04:09カカサええんじゃ
04:11それよりママ食ってはよ
04:14大きくなって一緒に働いてくれろ
04:17その方がカカサは嬉しいんじゃ
04:21そうは言ったものの
04:24家の食べ物は減り続けた
04:27できた
04:38やっとのことで2枚目の畑を作り上げたカカサは
04:44昨夜の子供の気持ちが嬉しくて
04:47しばらくぶりに子供らを風呂にでも入れてやろうと
04:51いつもよりもたくさん芝を刈り集めた
04:55あまり励んだのでカカサの背中が熱くなったのじゃろう
05:03背中の赤子が泣き出した
05:06カカサが土の上へ寝かすと
05:10赤子はやっと落ち着いて機嫌よう笑い出した
05:15こうしてカカサの仕事ははかどった
05:20担ぎ切れんほどの芝の束が
05:23みるみるできていった
05:25早く帰って体を洗ってやろう
05:30フロジャーフロジャー
05:34どっこいしょ
05:40さあ夕を明かそう
05:42みんなも手伝ってくれや
05:44さあ久しぶりのお風呂じゃ
05:47どうしたフロジャー
05:57いったいどうしたんじゃ
06:00やややきつねにやってしもうたんか
06:17イヤヤ!イヤヤー!
06:25イヤヤを山に忘れてきたことに気づいたカカサはすぐに山に控えそうと思ったのじゃったが足が動かんかった
06:34イヤヤがいなければ畑仕事がはかどる食いぶちも減る暮らしも楽になる
06:42そんな考えがふと頭に浮かんだ
06:47イヤヤ、カニーやで
06:55カカサ
07:01カカサ!
07:04カカサ!
07:10カカサ!
07:12カカサ!
07:13カカサ!
07:14カカサ!
07:16カカサ!
07:18カカサ!
07:19カカサ!
07:21カカサ!
07:22キツネなんぞにイヤヤはやらん!
07:27イヤヤ!
07:29イヤヤ!
07:33イヤヤ!
07:36イヤヤ!
07:37イヤヤヤ!
07:38イヤヤヤ!
07:39イヤヤヤヤ!
07:40イヤヤヤ…
08:00ニアでああああああああああ
08:15どの裏いたったか
08:19雪はしんしんと降り続いておった カカサはふと何かを聞いたような気がした
08:30それは赤子の笑い声のように聞こえた
08:49それは紛れもなくややの笑い声だった
08:57なんと木切れ人形を口に加えた狐がややの周りを跳ね回っておった
09:08それは間違いなく山の狐がややをあやしている姿だった
09:15やあやあ
09:22そうやったんかそうやったんか
09:31おおきにこもりしてくれとったんやな
09:36おおきにおおきに
09:40あんな狐でさえ
09:46ああしてこうしっかり育てているのに
09:50ほら恥ずかしいことしてしまった
09:53その後
09:581枚増えて2枚になった山の畑にはよくそばが実り
10:044人の子供を
10:06運営させずに育てることができた
10:09それを見習って
10:11村の人たちも山に畑を作るようになり
10:15村はだんだん豊かになっていったそうな
10:20そしていつの間にか山に住む狐のことを小鳥狐と呼ぶものがいなくなり
10:30変わって小森狐と呼ぶようになったということじゃ
10:36仲間
10:40浮に行こう
10:42寿命
10:48お祭り
10:53お祭り
10:57えええ
10:58お祭り
11:00お祭り