00:00昔、あるところに大きなお寺があったそうな。
00:17その寺には、和尚さんと他に大勢の小僧さんたちがおったそうな。
00:30ところが、その中の一人の小僧が、何としても聞かぬ小僧で、毎日毎日何かといたずらをしては、周りの者や和尚を困らせておったそうな。
00:50今日もお前のいたずらで一日が始まるようじゃが、今度はどんな言い訳をするつもりじゃ。
01:07違う、違う和尚さん。これはいたずらじゃないんだ。
01:13和尚さんがありがたいお経を読んでるのに、この二人悪病しとったんじゃ。
01:19だから、おらがこうやって。
01:22よーっと。
01:24和尚さんの代わり、お仕置きをしてやっただよ。
01:27なんとしても聞かぬこの小僧に、ほとほと困り抜いた和尚は、懲らし目のために小僧にこう言うた。
01:40お前のようないたずら者は、この寺へ置いておくわけにはいかん。
01:46今日限り、どこへなりと出て行くわよい。
01:52へっ。
01:52出て行く前に、二つの教えをお前に聞かせてやる。
01:58一つ、大木の陰より竹矢部の陰こそよけで。
02:03二つ、座敷の中より縁こそよけで。
02:08旅先で、何かことがあったら、必ずこの言葉を思い出すのじゃ。
02:15小僧はその日のうちに、どこへともなく寺を出て行った。
02:22んー。
02:23しんどい。
02:35あそー、あそー、あそー、あそー。
02:42へっ。
02:43へっ。
02:45へっ。
02:45ああああああ
02:49ああああああ コラー待てい
02:55くそー
02:59雨じゃー 急に降り出した春先の雨はあっという間に土砂降り止まった
03:08小僧はやっとのことで大木の下に駆け込んだ
03:25小僧はその時ふと和尚さんの言ったことを思い出した
03:32大木の影より竹やぶの影こそ避ける
03:41小僧は何のことやらよくわからなかったが近くの竹やぶに向かって走った
03:48小僧が竹やぶに逃げ込んだ途端に大木の雷が落ちて燃え上がった
04:02大木の雷が落ちている
04:11雨が止むともう夜になっておった
04:21ん
04:22見るとそこは山の中の小さな村じゃった
04:31こんばんは
04:33旅のもんですけど
04:35どうぞ一晩だけ止めてくださりませ
04:39お気の毒じゃがこの村では人は止めんことになっとるのじゃ
04:47一晩寝るぐらいじゃったらこの先に空き寺があるんじゃが
04:54そう言われて寺へ行ってみると太い柱は曲がり高い抜きも傾いて荒れ果てておった
05:05ああ、汚い寺じゃがこんばんはこの寺でゆっくり眠れるわい
05:11その時、小僧はまた和尚さんの言った言葉を思い出した
05:28二つ、座敷の中より縁こそよけれ
05:33はっ
05:34先ほどの雷のこともあったので、また何ぞ起こっても困ると思い小僧は
05:44仕方なく縁側に出て眠った
05:48すると、夜も更けた頃、何やら寺の中の気配で目が覚めた
06:00見ると、なんと腰の細い女が一人、ポツンと座っておった
06:15わっ
06:21ひっ
06:27はっ
06:29はっ
06:31はっ…はっさ、はっさ、はっさ、今夜は何ぞうまい者は来ておらんか
06:34今夜は何ぞうまいものは来ておらんか
06:39いいえ何にもございません
06:43さっきここにうまそうな人間がおったような気がしたんじゃが
06:49そうかそれは悔しいことじゃ
06:54そういうと四角い顔の化け物は消えていった
07:02すると
07:05今度は一つ目の丸い顔の化け物が現れた
07:13ほぼほぼほぼほぼほぼほぼこにやわなんぞ
07:22ごちそうはないか
07:26いいえごちそうはありませぬ
07:30月が昇った頃に誰ぞ来たようじゃったが
07:35この通り座敷の中には誰もいません
07:42そうかそれは悔しいことじゃ
07:47そう言うと丸い顔の化け物はまた床下へと消えていった
07:56よし俺が退治してやる
08:01おそごし
08:04待て
08:09お前は何者だ
08:23はい私は使われないまま捨てられた手切れのせいでございます
08:29ならば先ほどの四角い顔と丸い顔の化け物は何じゃい
08:35はい昔この寺の和尚様が宝の一部銀を霧の箱に入れて
08:43オクラにしまっておきました四角いのはその一部銀のせいでございます
08:50丸い方はやはりこの床下に隠しておきました
08:54一門線のせいでございます
08:58もう夜が明けます
09:04私はこのままの姿でいることはできません
09:09はっ
09:15小僧は驚いて目を凝らすと
09:18今まで細腰の娘がいたところに細い毛穴が一本転がっておった
09:27細腰の正体はこれじゃったのか
09:34おらこのお堂の中で寝てたら化け物に食われるところじゃった
09:41和尚様はおらのことを心配して
09:45二つの言葉をくれたんだ
09:48そして
09:52細腰の言った通り
09:55寺の床下からは山ほどの一門線が
09:59そして蔵からは一部銀がどっさりと出てきた
10:04ナムアミダブン
10:08ナムアミダブン
10:10ナムアミダブン
10:12そしてあの細腰の手切れは
10:15焼いて念ごろに供養をした
10:18その後
10:21和尚さんに感謝した小僧は
10:24和尚様のような偉い坊さんになろうと
10:28この寺で修行に打ち込み
10:32後には立派な坊さんになったということじゃ
10:37それではまた
10:40ご視聴ありがとうございました