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  • 2 日前
Japanese folk tales
トランスクリプション
00:00昔々 補正の金岡といえば都では並ぶものはないと言われた絵描きの名人でした
00:21カナオカの描く花からは本当に香りが漂ってくるようでした
00:33そればかりではありません
00:39都で人々を集め十条もある大きな紙に何やら手を描き始めました
00:47なんとそれは一頭の大きな虎で本当にうなり声まで聞こえてくるようでした
00:58そんなわけでしたから人々は名人の描いた絵を一枚でも多く手に入れようと大金をはたいて買いにやってきました
01:11本人 カナオカに絵でかなうものなどこの世にいやしないと
01:18どこへ行ってもその評判で持ちきりでした
01:22そうなればカナオカも気分の悪かろうはずもない
01:27評判を耳にしては花高々
01:30一人 越に行っておりました
01:33そんなある日のこと
01:37カナオカは噂に名高い那智の滝を写生しようと
01:44熊野の国へ旅立ったのです
01:46ご視聴ありがとうございました
02:16金岡は途中木の国の藤城峠で腰を下ろし
02:29海岸の景色に見とれておりました
02:32とそこへ七八歳の男の子が魚の入ったたらいを担いで通りかかりました
02:42こりゃ小僧どこから来たんじゃ
02:48熊野からじゃよ
02:51藤城まで魚売りに行くところだ
02:54おじさんはどこへ行くんじゃ
02:58わしかわしは那智の滝へ絵を描きに行くところじゃ
03:04じゃあおじさん絵描きさんか
03:09オラも絵描くのが大好きだ
03:12毎日地面に棒で描いて遊んどる
03:16カズオも絵が好きか
03:23おじさんオラに筆と紙を貸してくれや
03:27こらこのお方をなんと心得とる
03:32このお方は都でも一番
03:36ああよい筆と紙を貸し切れ
03:40弟子はしぶしぶ
03:42馬の蔵に縛り付けてあった
03:45大きな筆を下ろしました
03:48いやーでっけえ筆じゃ
03:52カズオ絵なんか相談にでも描けるものではないぞ
03:58できる
04:12今度はおじさんの番だよ
04:14何か描いておくれよ
04:17よし見とれ
04:23いやー
04:26カナオカも掛け声もろともにカラスを掛き上げました
04:32小僧が描いたウグイスもカナオカが描いたカラスも
04:39見事な出来栄えでした
04:41おじさん
04:43今度はこの絵の鳥を飛ばせてみようよ
04:47
04:48鳥を飛ばす
04:50冗談を言って大人をからかうもんじゃない
04:55何簡単だよ
04:57じゃあオラから先にやるよ
05:00おじさん
05:16今度はおじさん
05:30おじさんの番だよ
05:32わ、わしの番
05:35おじさんどうしたんじゃ
05:45おい、筆を持っておれ
05:49小僧ごときに負けたんではわしの名がスタル
05:54カカカカニーよ
05:57だめかー
06:10ところが小僧が眉をピクピクと動かすと
06:15お、ほれ、みろ、動いた、動いたろ
06:26カカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカ
06:56今度は飛んでいった鳥を絵の中に呼び戻そうよ
07:01マリー鳥を呼び戻すじゃと
07:05そんじゃオラからやるよ
07:15そう小僧は子供投げに言うとポンポンと手を打ちました
07:20するとうぐいすが舞い戻ってきて絵の中に入り込んでしまいました
07:28よーし今度はわしの晩じゃ
07:38さあカラスよ戻ってこい
07:56おいカラス戻ってこい
08:05どうしたんじゃ戻ってこい
08:14カラス
08:15しかし
08:20カナオカが何度手を打ってもカラスは戻ってきませんでした
08:26戻ってこい
08:28戻ってこい
08:30戻ってこい
08:32戻ってこい
08:34おじさん
08:37おらもう行くよ
08:39戻ってくれ頼む
08:42なんと
08:48どこからともなくたくさんのカラスが
08:51夏の木に集まりあざけるかのように鳴き続けておりました
09:00確かに
09:03いくら名人こせのカナオカといえどもあの子にはかなわいよ
09:08なにしろあの子は熊の御元様の化身じゃからなあ
09:12いくら名人こせのかなおかといえども
09:16あの子にはかなわんよ
09:18何しろあの子は熊の権限様の化身じゃからな
09:42筆活性えいこんなふうでこうしてくれる
09:48それにしてもう無念じゃ
09:57わしのかいたカラスに笑われるとは
10:01熊の権限様が
10:08わしの思い上がりをたちなめられたのかもしれん
10:13その後都に帰ったかなおかは
10:18二度とおごることなく
10:20絵の修行に励んだということです
10:23名人といえどもおごり高ぶりはならん
10:27という戒めを残して
10:30この子世のかなおかが筆を投げつけた松を
10:34筆捨ての松と呼ぶようになったということです

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