00:00昔あるところに
00:13太郎中名の怠け者がおった
00:17真っこと横着という
00:20中心議題となりました
00:22ここにもの付けられんブラブラ男で
00:30いやそれどころか
00:33畑の縁にも手のひらにも豆を作ったことがない
00:38村役が厳しい意見をしても
00:41安定今日は日和がいいなとか言うて
00:46どこか行ってしまう
00:48さても呆れたゴロゴロ男
00:51そんな風で今日も今日とて
00:54日がない一日ブラブラ暮らし
00:57真昼の道を歩いちょると
01:00太郎
01:03ここじゃここじゃ
01:05お前の足元じゃ
01:08声の在りかを見回せば
01:12小さな壺が転がっちゃう
01:15この中に何やらおるのかな
01:24おや
01:28へへへへへ
01:31わしはお前のような
01:33何もせん人が好きなんじゃ
01:35どうじゃ一つ
01:37わしをお前ん方に住まわせてくれんかの
01:40へんちょこなやつじゃな
01:45太郎は
01:50目がいい加減な男じゃから
01:53深くも考えずに言われるまま
01:56壺の小人をおのが家さ連れて帰った
01:59壺の小人はまっことちいっこいやつで
02:04指の先ほどながら頭のてっぺんは剥げちょって
02:08コロリとした面白い姿をしちょる
02:12いくら怠け者であっても珍しいものを見りゃ
02:17しばらくはつらつらっと見て
02:19楽しむちゅうこともある
02:21が
02:23そこがそれ
02:25ひとところに腰が座るちゅうことのない
02:28ぶらぶら男の少年がたちまち出て
02:31壺の小人を家の中にほっぽり出したまま
02:35ついーっと
02:36思って遊びに出てしもうた
02:39だからして家に残された小人が
02:50何やら一人でにやりとしたのも知るわけがない
02:55ううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう
03:25帰る人疲れもいけんで帰る人
03:33ほい
03:35疲れて帰る人
03:42うい
03:44こりゃあやっぱりオラがお家だでや
04:03誰じゃろ
04:14ああああああああ
04:31あんた寝てるなあさっきのに
04:35そうじゃよ
04:38さっきオラが見たときこんなんじゃったにどうしてそんなに大きくなったんじゃい
04:44そりゃおめえがなんもせんとよ遊んでくれればわしの体はこの通りなんぼでも大きくなるんじゃよ
04:52お前が遊べばわしゃ太るんほほほほほほ
04:57これからもよ遊んでくれやおい
05:01はぁ
05:05ああああ ああああああ
05:09ふーふーふーふーふーふーふーふーはーふーふーふー
05:21初めはちょっと面食らった太郎じゃったらそこがそれ
05:24やったらそこがそれ怠け者のお着物 この先どうなるか考えるのがめんどくさい
05:31気にするのもめんどくさい 折りからの田植えで猫の手も借りたいほど忙しい村の衆を尻目に相変わらずのブラブラ
05:42遊び
05:45ああああああ カラスカーと鳴いて根倉に帰れば太郎もどこやらから根倉に帰ってきある
05:54そんなふうにして太郎が遊べば壺の男も気増しに太って生きやる
06:15さてそんなふうに四五日経った夕方のこと
06:20ええええええええ
06:23なんとなんと太りも太ったり男の手足はとうとう家の外にはみ出しよった
06:32自分
06:41まっことどこにも隙間が見つからん
06:44まっことどこにも隙間が見つからん
06:58じゃからその世は外に突き出ておる男の大きな足の陰で寝る有様
07:05そうしたある日のこと人でのたり家から拝倒しに頼まれてことある暇もなしに太郎はた上に引っ張り出されて生まれて初めてちびっと働いた
07:22上に稼いだ
07:37なに
07:39ん
07:45おんや
07:46はみ出とった男の手足が見えん
07:51はぁ
07:53男は朝よりずっと縮んどった
07:57はぁ
07:59はぁ
08:00はぁ
08:01はぁ
08:02はぁ
08:03はぁ
08:04はぁ
08:05はぁ
08:11次の日も手伝い頼みに来たで
08:14まあ行くことにした
08:18また
08:19税に稼いだ
08:21はぁ
08:23はぁ
08:24はぁ
08:25はぁ
08:27はぁ
08:28はぁ
08:29はぁ
08:30はぁ
08:32はぁ
08:33はぁ
08:34はぁ
08:35はぁ
08:36はぁ
08:37はぁ
08:38はぁ
08:39はぁ
08:40また次の日も頼みに来たで
08:43今度はいそいそ出かけた
08:46はぁ
08:47はぁ
08:48はぁ
08:49はぁ
08:50税に稼いだ
08:54お前さん
08:56知人だろう
08:57へぇ
09:00仕事をすりゃお前様は知事むそんでおらが家は広うなる
09:07おまけに銭が貯まるええことばっかりじゃ
09:11へぇ
09:13それからの太郎はどうしてどうして怠けもんどころか
09:21手に豆作っておまけにタコまで作って働いた働いた
09:27なんもかも
09:29一人前にやるようになった
09:31そうなると哀れなのは家で待ってるあの男よ
09:35助けてくれ
09:37助けてくれ
09:39これ以上働かれるとわしは消えてしまうよ
09:43んな
09:45太郎殿
09:47わしをもう一回壺に入れて道端に捨ててくだされ
09:51おたるみします
09:55太郎は何やら哀れに思えて男の言う通りにしてやった
10:00た
10:14そして元の道の旗に捨ててやった
10:17はぁ
10:19あれからのち誰かがあの壺を拾ったということも聞かんが
10:24しかしよっとすると
10:27どこかの怠け者の家で
10:29あの壺の男が
10:31ぶくーりぶくーり太っちょるかもしれんな
10:35ご視聴ありがとうございました