00:00ねえねえねえねえよ
00:08ねえねえねえねえこんぼよ
00:17ねえねえさんせいとこさんせい
00:26あしたはよおけさんせい
00:34はよ春が来るとええなあ
00:40むかしぼうちくぜんの海辺のむらむらを行商して歩く一人の子連れの女がおった
00:51女はいつも赤ん坊を背にしっかりとおぶっておった
00:57焼いて嫌なら炊いてくわしゅう
01:05炊いて嫌ならなまでくわしゅう
01:13そして10年赤ん坊は目なしごになっておった
01:23ん
01:25はかまん
01:27わいたの浜の家
01:30つじもいっぱいに咲かせる山があった
01:34春の訪れとともに山のあちらこちらにと
01:38うすわかぼけの大きな花を咲かせて
01:41山全体がまるで花畑のようになるのじゃった
01:56そんな春の昼さがりのことじゃった
02:00背中に赤ん坊をおぶった子守の娘は
02:03つつじに誘われるように山へ入っていったのじゃった
02:07なんときれいな花の山じゃ
02:14娘は一目見て花の美しさに見惚れてしもた
02:21この花の間を思いっきり飛び歩くことができたら
02:29どんなに楽しかろう
02:32そう思うと
02:35娘の背中には赤ん坊が急に重たく感じられてくるのじゃった
02:41実際すっかり寝入っている赤ん坊は
02:47娘の小さな背中にずっしりと重く
02:50のしかかってくるようじゃった
02:53娘はふと
02:55おぶい紐の結び目に手をかけた
02:58赤ん坊をおろせば
03:00怖いおかみさんに怒られてしまう
03:03じゃが今なら誰も見ておらん
03:09すっかり眠っとるし
03:13ちょっとの間じゃったらよかろう
03:17おぶい紐をほどくと
03:26娘は赤ん坊をツツジの根元の草むらに寝かせた
03:32するとどうじゃ
03:42手も伸ばせる腰も伸ばせる
03:45すっかり軽くなった娘の体は
03:48まるで空でも飛べそうじゃった
03:51おかげで心まで軽くなった
03:54娘はおかみさんに怒られてしまうことも
03:58わずかなダチンを削られてしまうことも忘れて
04:02ウキウキとツツジの山深く入っていってしまう
04:06美しい
04:16羊の花に囲まれて
04:18花をつみつみ山を歩いていると
04:21まるで夢のような気分だった
04:25娘は夢中になって
04:27花のお山の中を飛び歩いておった
04:40どれぐらいの間遊んでおったろうか
04:44娘は両手にいっぱいの花を抱えて
04:47深い花畑から出てきた
04:50晴らucherを図ります
05:03クラル ELAR
05:06うちは何をしておったんだろう
05:11undertow になって遊んでいた娘は
05:14自分はどうしてこの山に来たのか
05:17すっかり忘れてしまうたのじゃあた
05:20ん
05:21ん
05:22ん
05:23娘は物心つく頃にはもう一人ぼっちじゃった
05:43怖いおかみさんの下で朝は早うから夜遅くまで働かねばならぬ目の上じゃった
05:51娘のお母さんは病床をしていて病気で死んだと聞かされておった
05:58身寄りもなく生まれた家さえわからぬ娘は今の方向先へ引き取られた
06:13やがて娘はわいたの浜の入り口に差し掛かっておった
06:18そこには大きな松が一本立っておった
06:23ねえねえねえねえねえよお母さん
06:43その松は忘れていた遠い日の何かを娘の胸に呼び覚ますようじゃった
06:57ぼっちづいてくわしょで
07:07こもりこもりをしとったんじゃ
07:12大事なややをつつじの前に
07:17娘はこもりをしていたことを思い出し大急ぎで元来た道を引き返した
07:31おめでとうございます
07:59これ何をするんじゃ
08:02これ
08:29これ
08:31これ
08:34これ
08:36脱い
08:39脱い
08:43脱い
08:45脱い
08:49脱い
08:53脱い
08:55脱い
08:58カンニンナ、置いていってしもって
09:09カンニンナ
09:11おっかさん
09:18娘は遥かな日の母親の背中の温かみを思い出していた
09:31そして赤子を二度と背中から下ろすまいと心に誓うのじゃった
09:48その後、若松の人々は
09:59蜘蛛の咲くわいたの浜の道を
10:02小忘れの道
10:03娘に子守りをしていたことを思い出させた
10:08大きな一本松を見返りの松
10:12と呼び
10:13一層我が子を大事に育てるよう
10:18自分に言い聞かせたということじゃ
10:21ねんね、ごんぼうよ
10:26ねんね、さんせ、とこさんせ
10:35あした、はよ、おけだ