00:00昔々、自然と畜然にまたがるセフリ山に、ベンジャーさんという綺麗なお姫様がおられた。
00:20ベンジャーさんとは、ベンザイテン様のことじゃった。
00:30ベンジャーさんはいつも美しい着物を着て、琵琶を弾いて美しい音色を楽しみ、幸せに暮らしておられた。
00:45ある日、ベンジャーさんは、武善の彦さんで開かれた神さんの寄り合いに招かれた。
01:00うんや、ベンジャー様、相変わらず、お、綺麗、お、綺麗。
01:07アラン、そうかしら。大黒様ったらお口がうまいのね。
01:12なんてことを言い合ったりして、とにかく神様の寄り合いは、なごやかに行われたのじゃが、
01:19頃はちょうど5月の初めの時分だったもので、
01:23彦さんはシャクナゲの真っ盛り、薄桃色の花があたり一年咲いておった。
01:30あれ、なんとも美しかった。
01:41その時、ベンジャーさんの見たシャクナゲの美しさは、いつも身の回りにある財宝金銀と違って、胸を打つような美しさだった。
01:53アサインとこの山にもシャクナゲの花ほしいなぁ。ほんまにほしいなぁ。
02:06それを聞いとったのが、ヒコさんの天狗じゃった。
02:09ベンジャーさんの声を聞いて、天狗は恐ろしい声で言いなさった。
02:14いいんやなら、このシャクナゲの花は、一本でもこの山からよそへ持っていくことはなら。
02:24そんなこと言わんと、天狗さん。ねえ、よかろうもん。
02:29あたりの着物でも、宝物でも、なんでも好きなもの持ってってもよかとよ。
02:36だから、そのシャクナゲ、一本でええからね、天狗さん。
02:43へへへへへ、そりゃ、まあ、その、ん?
02:48なら、なら、ならと言うたらなら。
02:52うふーん、天狗さんの意地悪。
02:57やだ、どうしてもシャクナゲがほしい。
03:02やーめ、いかんと言うたらいかん。
03:06それでも、ベンジャーさんはどうしてもシャクナゲがあきらめきれんかった。
03:11神さんの寄り合いも終わって、みんな神様が帰ったあと、
03:17一面のシャクナゲの咲くヒコさんの中ほどに立って、
03:21まるで娘っ子のように、さき見られるシャクナゲの色や匂いを楽しんでいるうち、
03:27時も経つのも忘れておった。
03:31なんて美しか花じゃろう。それにええ匂いじゃん。
03:37いやー、一本くらいなら持って帰っても、天狗さんも許してくれるじゃろう。
03:43のう。
03:44おーれ、そこで何しとんか。
03:48驚いて見上げると、天狗が赤い顔から腕を立てて前を降りた。
03:53それでも、ベンジャーさんはシャクナゲを一株掴むと、大急ぎで逃げ出した。
04:00ハハハハハハハハハハハハハハ
04:02くれよ!シャクナゲを持っていじゃならん。
04:06くら、待て、待てん!
04:08待たんか!
04:13腹を立てたヒコさんの天狗は、もっと追いすがってくる。
04:17くれよ!
04:19ベンジャーさんは繋いでおった、そらを問う天魔に正たくs
04:30研磨よ!さよ飛べ!
04:35電車さんがあまり急かすもんで
04:37研磨も雲の間をあっていくらほらこっちいくらほら
04:41起こった点はどんどん迫っていくぞ
04:46この山に桜をあえて!
04:51さよいそげ!研磨よ!
04:53研磨が空いてくれたい
04:55それでもとうとうセフリヤ場の竹の屋敷あたりで追い越されることになった
05:19貴重な手を使い寄って許さんぞ!
05:24こりゃー!
05:26やー!かんじんかんじん!やー!
05:29電車さんはシャク投げを放り出した
05:36放り出されたシャク投げは地上に落ちていく間に
05:41花びらも小枝も根っこまでチリチリになって
05:45風の中を漂って竹の屋敷のあたりにひらひらと散っていった
05:53ベンジャーさんはヨーヨセフリヤ場のてっぺんに逃げ帰ったのだった
06:00さて、ベンジャーさんは一度は失敗したけれど
06:10あのシャク投げがどうしても忘れられんかった
06:19なんて美した花じゃろ
06:22あんな花がうちのシフリヤ場に咲いとったらどんなにええだろう
06:29今度こそ上手いことシャク投げとってくるきに
06:41ベンジャーさんはまた千魔を飛ばして彦さんに出かけた
06:48チコさんへやってきたベンジャーさんは
06:58天狗に見つからんように大きな雲の中に隠れるとそっと様子を伺いました
07:04ひめひめ、天狗さんはお昼寝中らしかね、今のうちに
07:16今度は花の香りを楽しむ間もありはしない
07:21手早く一株のシャク投げを掴むと大急ぎで天魔に飛び乗った
07:25今度は上手くいきました
07:31この一株のシャク投げをセフリヤ場一面に増やして
07:38果たせてやろうとベンジャーさんは天魔を飛ばした
07:46もう大丈夫だよ
07:50セフリヤ場はすぐそばじゃ
07:53と、思ったその時
07:57こりゃ、待って、待って、わかった
08:01このわしの目はごまかせんぞ
08:04わしのシャク投げ一本でもやるもんか
08:09行く手の雲の中で巻きぶせしておった天狗が
08:13またものすごい顔で現れると
08:16ベンジャーさんを手振り山の鬼と鬼が花あたりに
08:20お料まになりました
08:21ひゃーん
08:23お料まになる
08:25ゆりゃお料
08:26お料まになる
08:28わしのシャク投げをお返し
08:30シャク投げをお返し
08:32やーん、パチー、パチー、離してくるんだ
08:36さっやくこのシャク投げを返して
08:39おわしのシャク投げ
08:41おやすみなさい
09:10おやすみなさい
09:40おやすみなさい
09:47こんなわけでデンジャーさんが落としてしまった二株のシャクナゲは
09:52それぞれオネの鬼ヶ花とふもとの竹の屋敷に目をおろし
09:58その時から毎年毎年一面に薄桃色の花を咲かすようになったということじゃ
10:06けれどもデンジャーさんの住んどったセフリ山山頂には
10:11今は今でもシャクナゲは一本も生えとらんそうじゃ
10:16あれほどシャクナゲが欲しかったデンジャーさんは
10:22それ以来セフリ山で泣き暮らしておったそうじゃが
10:26いくら贅沢なデンジャーさんでも手に入らんものがあったというわけじゃ
10:32赤いのシャクナゲが欲しいか
10:39ご視聴ありがとうございました