00:00昔々、あるところの山寺に、和尚と小僧が住んでおった。
00:30おい、小僧!小僧!おるか?おい、小僧!
00:37はいはい、お呼びですか、和尚さん。
00:40囲炉にかけた豆が煮えたか、煮て来てくれ。つまみ食いするな。
00:46はいはい、煮て参りましょう。
00:50まったく家の和尚と来たら、人使いが荒いんじゃから、もう。
01:05見ただけじゃわからんな。
01:11おりゃー、うめぇ。
01:33豆は煮えたのか?
01:36まったく何をぐーたらぐーたらしてるんじゃ。
01:40いや、お丸が食うていいと言うた。
01:47お許しを?
01:49まったく何と言う、意地の汚い。
01:55どれ、和尚が。
02:02うわー、うまそうに見えとるわい。
02:05待てよ。
02:07あいつを怒って、わしが食うているところを見つかっては何にもならんの。
02:12何かいい知恵は。
02:14そうじゃ。
02:18そこで和尚、豆を湯飲みに入れて、小僧に隠れて、豆を食うことにした。
02:30まさか、便所で豆を食うとは思うまい。
02:37ちょっと匂いはすれば、ここが一番。
02:40うまい。
02:43うまい。
02:46うまい。
02:47和尚様、本堂の掃除が済みました。
02:50和尚様。
02:52どこへ行きますか?
02:54和尚様。
02:56和尚様。
02:58和尚様、豆が煮えすぎますよ。
03:03和尚様、豆が焦げますぞ。
03:08豆が焦げますぞ。
03:12うまそうじゃ。
03:14待てよ。
03:15また和尚様に見つかったら怒られる。
03:18何か良い知恵は。
03:20そうじゃ。
03:21あ、和尚様。
03:34何しに来たんじゃ。
03:36はい、あの。
03:38豆のおかわりを持ってきました。
03:42それはご苦労。
03:46えへへ。
03:47えへへ。
03:48えへへ。
03:49そう、まあこの二人こんな調子で毎日を暮らしておったそうじゃ。
03:55その和尚。
03:57今夜は十五夜という日に急に里芋が食いとうなった。
04:04おい、小僧。おい、小僧。
04:07はいはい、お呼びですか、和尚さん。
04:10小僧、畑へ行って里芋掘って来い。
04:15おい、芋でも煮て月見しよう。
04:18和尚様、里芋掘って来い言うても、寺の畑には豆ばかりですよ。
04:25そんなこと聞かんでもわかってるわい。
04:28だから下の百姓の畑へ行って掘り起こして来い。
04:32和尚様、そりゃいけません。
04:35そりゃ盗みになる。
04:38人の物を盗むというのはいけないことです。
04:41捕まったらえらい目に遭うで、わしは嫌です。
04:45安心せい。捕まえられたらわしがちゃんと話す。
04:50わしにいい治安があるんで取って来い。
04:54じゃあ、そのようにうまくいきますかいな。
04:58わしがちゃんと答弁するんで、安心して取って来い。
05:03なら、和尚様、頼みますで。
05:06小僧は嫌々ながら、熊を担いで寺を出た。
05:12おい小僧、ちょっと待て。忘れておった。
05:16芋を起こす時にはな、起きろ起きろ言うてほれ。
05:21それがまじないじゃ。
05:23へぇ、それじゃ芋を起こす時には起きろ起きろ言いますんですな。
05:28そうすりゃ大事ないんかいな。
05:31小僧は山を降りた。
05:35村に着いた時は、そりゃあ、美しい十小屋のお月さんが顔を出しておった。
05:43小僧は気が引けたが、和尚はああまで言うんじゃからと。
05:48起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ。
05:54起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ。
06:02なんじゃありゃ、芋のすっぽじゃな。
06:06ややややや、小坊主そんなとこで何しとるんじゃ。
06:09起きろ起きろ。何が起きろじゃ。
06:12これはまじないだと言いました。
06:14誰が。誰がって、和尚様がそう言って芋を起こせば大丈夫だって。
06:21何?和尚が取って来いと言うたのか?
06:25ええ。人のものを盗んで、和尚もねえもんだ。一緒に行くべ。
06:31一時は、百姓は小僧を首すぎし捕まえて寺へ乗り込んだ。
06:40やい、和尚、出て来い。
06:43いかがなされたな。
06:45いかがなされた?この小坊主に芋を盗みに起こした宗者が本当か?
06:52和尚がそげなことしてええのか?
06:55やい、和尚、返答せんかい。
06:57わしは芋盗みなどを言うとらん。
07:00和尚様。
07:02この場に及んで、この小坊主に常に着せるのか?
07:07そげなことで、よく仏さんの罰が当たらんもんじゃな。
07:12その、今夜は十五夜じゃろうが。
07:19なぁ?
07:21うん。
07:27おおさ、それがどうしたんじゃ。
07:28まあ、そう、ごらんと。
07:32不良じゃの。
07:34芋を盗んでなにが不良じゃい。
07:37さてそこじゃよ。
07:39そこじゃよこれこそ今起こすとき起きろ起きろと言うたろうな
07:45へえ
07:46おしお何を思ったか筆と短冊を出してサラサラとしたかめた
07:53この歌はどうじゃな
07:57なんじゃいそれは何のまじないじゃい
08:01十五夜の芋の子供の寝入りしよ月見よと起こすが何で腹立つと書いたどうじゃ
08:11これを聞いて着性の親父参ってしもた
08:18悟りもは掘ると言わんで起こすとこの辺りでは言うのじゃった
08:24のうあんまりいい月じゃけん
08:29芋の子供じゃって月見がしたかろうと思ってな
08:32芋の子を起こしてやったんじゃ
08:35そのどこが腹立つんじゃ
08:38なるほどそりゃあ道理じゃ
08:45わかったそう言われては一言もないわい
08:50じゃよろしゅうに
08:52どうじゃ小僧うまくいったろうが
09:04さすがお嬢様でござりますな
09:07それではさっそく芋を煮ていただくとしようか
09:12これは食い出がありますが
09:15そうじゃ言い忘れたことがあった
09:20な、なんじゃ
09:22お嬢様
09:25芋を起こしてもかまわんが
09:28そのかわり芋食うたりせんと
09:31ちゃんと月見させてくだせえよ
09:34食うたりしたら芋の子がかわいそうですね
09:38まあいい歌ができたぞい
09:41じゅうごやの芋の子供の月見しを
09:46人が食うたら芋は不眠
09:49じゃあ頼んましたぞ
09:51お嬢様
10:09この芋どうしたらええですか
10:12引き見させたらええじゃないか
10:16それからというの
10:28このあたりではじゅうごやの番には
10:32里芋を備えるようになったそうだ
10:36ご視聴ありがとうございました