00:00美しい夏の夜空
00:12天の川を挟んで一際輝く二つの星があります
00:17県牛星と織姫星
00:21一年に一度七夕の日に出会うというこの二つの星については
00:28こんなお話が語り伝えられているのです
00:32昔ある村にミケランという名前の一人の若者が住んでおりました
00:40ミケランは毎日山へ行っては薪を取ったり畑を耕したりして暮らしていましたが
00:49ある日畑仕事の帰り道不思議なものに出会いました
00:53なんだべこれは
00:56おー衣じゃ
00:58なんという美しい衣じゃ
01:01それはミケランが今までに見たこともないような美しい衣でした
01:07ミケランはその衣がどうしても欲しくなって
01:12衣をかごの中に入れ家へ持って帰ろうとしたのです
01:17と
01:18あのもし
01:20ん
01:21はーてー
01:24誰か俺を呼んだかの
01:27はい
01:28私があなた様をお呼びしたのです
01:32誰じゃ
01:33私に何の用じゃ
01:35どうか私の羽衣を返してください
01:39歯ごろも
01:40はい歯ごろもです
01:42その歯ごろもがないと私は天へ帰れないのです
01:46私は
01:49天に住む女です
01:52下界の女ではありません
01:55今日も友達とこの沼に降りてきて水浴びをしていたのですが
02:01ついついあまりに楽しいので
02:03時を忘れてしまい
02:05私だけ取り残されてしまったのです
02:08どうかお願いです
02:12私の羽衣を返してください
02:15私は羽衣がないと天へ帰れないのです
02:19羽衣じゃと
02:21そんなもの私は知らんぞ
02:24ミケランは
02:25今さら自分が羽衣を隠したとも言えず
02:30とうとう知らぬ存ぜぬで
02:32押し通してしまいました
02:34そして天へ帰れなくなった天女は
02:39泣く泣く下界に残り
02:41ミケランの家に行って
02:43一緒に暮らすようになりました
02:45それから何年かがたちました
02:51天女は七夕という名で
02:54下界の生活にもだんだん慣れてきました
02:57七夕それじゃ行ってくるよ
03:01あらミケランお弁当
03:03あそうだ忘れてた
03:05二人はとても仲の良い夫婦でした
03:09ある日のこと
03:11ミケランが畑へ出た後
03:13七夕は旗を折っていました
03:15あ、あれは羽衣
03:27やはりあの人が隠していたのだわ
03:31羽衣を見ると
03:35七夕の心は
03:37はや天上人のそれと変わりました
03:39一方、畑から帰ってきたミケラン
03:45いつものように家に明かりがついていないので
03:48不審に思いました
03:50あ、七夕
03:52あ、羽衣
03:55ミケランは羽衣を見て
03:59全てを理解しました
04:01七夕はどんどんどんどん天に上りながら
04:05こう言いました
04:06あなた、もしも私のことを恋しいと思いなら
04:11わら地を千足、千足編んで
04:14竹の下に埋めてくださいな
04:16そうすればきっとまた
04:18お会いすることができます
04:20きっと
04:21そうしてくださいね
04:24七夕、七夕
04:25七夕は高く
04:29天上へ帰っていってしまいました
04:32ミケランはとても悲しみました
04:35そして次の日から早速わら地を作り始めました
04:39昼も夜も夜も昼も
04:42ミケランはわら地を編み続けました
04:45あ、寝てしまった
04:51二百六十五、二百六十六
04:55はあ、まだ二百六十七足か
04:58それでもミケランは一生懸命わら地を編み続け
05:07ある日のこととうとう千足のわら地を
05:10竹のこの周りに埋めたのです
05:13はあ、これでいいんじゃろうか
05:17はあ、七夕が去るとき言ったように
05:21周りにわら地を埋めた途端
05:24竹はどんどんと大きくなり
05:26ぐんぐんぐんぐん空高く伸びてゆきました
05:30そうか、これを登っていけば
05:33七夕に会えるのか
05:34ミケランは大きくなった竹を登り始めました
05:38竹はどんどんどんどん大きくなり
05:41ミケランはさらにさらに登ってゆきました
05:44そして、もう少しで天に届くというところで
05:50七夕、七夕
05:53ミケランは七夕に早く会いたい一心で
05:57わら地を九百九十九足しか埋めていなかったのです
06:02あと一歩というところで
06:05どうしても天まで手が届きません
06:07おい、七夕
06:09その時、七夕は天の上で旗を織っていましたが
06:14もしあの人では
06:16雲の上から覗いてみると
06:19やはりそれは恋しい夫のミケランだったのです
06:22あなた、あなた
06:25七夕、七夕
06:27七夕はさっそく手を伸ばし
06:31ミケランを雲の上へと引き上げました
06:33あなた
06:39七夕、会いたかった
06:42その時、何やら妙な男が
06:47雲の間から顔を出しました
06:50七夕の親父様だったのです
06:52お父様
06:54誰じゃ、その男は
06:56はい、私の夫ミケランです
06:59ミケランと申します
07:01初めてお目にかかります
07:04ふむ
07:05で、お主は下界で何をしておられた
07:09はい、畑仕事や山仕事でございます
07:13ふむ、それならちょうどよい
07:17ちょっくらこれをやってもらおう
07:19七夕の親父様は
07:21自分の娘が下界の男と結婚したのが面白くありません
07:26それで何とかしてミケランを困らせてやろうと考えました
07:31あなたどこへ行くのですか
07:34ふむ、お父様に三日のうちに畑に種をまくように言われての
07:37これから畑へ出かけるのじゃ
07:40ミケランは三日間で畑に種をまき終わりました
07:48やれやれ、ほっとひと安心
07:52と、ひと息ついておりますと
07:56おやじ様が現れました
07:58ミケラン
07:59は、はい
08:01わしは畑になぞ種をまけとは言うとりませんぞ
08:05それ、向こうの田んぼにまけと言うたんじゃよ
08:10へえ、そんな
08:12ミケランはもうがっかりです
08:17その時、この様子を見ていた七夕は
08:21なんとか夫を助けようと鳩に頼みました
08:25さあ、お前の仲間を呼んできておくれ
08:28そして畑の種を田んぼへまき直しておくれ
08:33鳩は早速仲間を呼び集めました
08:42そして畑の種をついばむと
08:53みな一斉に田んぼの上へと飛んでゆき
09:01空から種をまき散らしました
09:05こうして種のまきかえはあっという間に終わりました
09:09うーん、みごとじゃ
09:12どうもありがとうよ
09:15うーん、なかなかやりおるわい
09:20いまいましそうにそう言った親父様は
09:23今度はもっとむつかしい仕事を言いつけました
09:27それは、三日未晩、うり畑の番をせよというのでした
09:32うり畑の番をしていると、ものすごくのどが渇きます
09:36でも、うりを食べると大変なことが起こるのです
09:41決してうりを食べてはいけませんよ
09:45くれぐれもうりに手を出さないよ
09:48七夕はああ言ったが、のどが渇いて仕方がない
09:52一つだけならいいだろう、一つだけ
09:56ミケランは我慢しきれなくなって、とうとううりに手を出してしまいました
10:01あっ、ミケラン、だめ!
10:04あっという間に、うりの中から水があふれ出て
10:08ゴーゴーと流れ始めました
10:13ミケラン!
10:15こうして二人の間は、みるみる引き離されてしまいました
10:20そして、川を挟んで向かい合う二人の姿が
10:23ケンギュウ星とオリヒメ星となり
10:27二人は一年に一度、親父様の許しを得て
10:30七夕の日にだけ会うことを許されたそうです
10:34今でも、二人は天の川を挟んで
10:38美しく輝いています