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  • 6 週間前
Japanese folk tales
トランスクリプション
00:00しじみ、しじみいらんかね
00:05しじみ、しじみいらんかね
00:13ちょいとしじみをくれ
00:15はい、まいだり
00:17しじみ
00:21昔々あるところにタロウという男の子が
00:27おっかさんと二人で暮らしておりました
00:29タロウは毎朝しじみを売って打賃を稼ぎ
00:33体の弱いおっかさんを助けておりましたが
00:37二人の暮らしは大層貧しいものでした
00:40ある日のこと、とうとうおっかさんの具合が大層悪くなってしまいました
00:47いい薬があるとは聞いておりましたが
00:50それを買う宅配などどこにもありませんでした
00:54タロウは川の向かい側に住むゴンゾウおじさんのことを思い浮かべました
01:00ゴンゾウは大層な大金持ちでしたが
01:04ひどくケチでおっかさんをゴンゾウおじさんのところへは消していくなと
01:10いつも口癖のように言っておりました
01:12散々志願した挙句
01:16タロウはそれでもゴンゾウのところへ
01:18お金を借りに行くことにしました
01:21ゴンゾウは大きな屋敷にたった一人で住んでおりました
01:27なんじゃ久しぶりに顔を出して何かと思えば金の虫か
01:35頼れるのはおじさんだけなんです
01:37お願いします
01:38助けてください
01:41100問入っとる
01:52ええなあくれてやるんじゃないぞ
01:55貸してやるんじゃ
01:56必ず返してよこせ
01:58ありがとうございます
02:00おっか
02:04ゴンゾウおじさんが100問貸してくれたぞ
02:08100問と言ったらほんのわずかなお金でしたが
02:13それでも貧しい二人にはありがたいお金でした
02:17タロウはそれでわずかばかりの薬を買って
02:21おっかさんに飲ませました
02:23あの人にも少しは優しいところがあったんじゃね
02:31タロウは次の日から毎日夜明け前に起きて
02:39隣町にまで沈みを売りに行きました
02:43そしてやっと一月後
02:45100問のお金を作ることができました
02:48タロウは早速ゴンゾウのところへお金を返しに行きました
02:53お前は常識というものを知らんようじゃな
03:00え?
03:02100問借りて100問返す
03:04それで世の中通ると思っておるのか
03:07利息というものを知らんのかこのバカ者
03:12あ、それはあといくらぐらい?
03:17100問貸して一月か
03:20ま、あと500問じゃな
03:23500問?
03:26なんじゃい
03:27他に貸してくれるものはおらんかったんじゃろうが
03:31少々利息が高いのは当たり前じゃ
03:33不足を言うたら立ちが当たるぞ
03:36早うもってこんと利息はどんどん増えるぞ
03:40タロウは返す言葉もなく
03:47すごすごと家に帰り
03:48そのことをおっかさんに話しました
03:50でも病のおっかさんには
03:53どうすることもできませんでした
03:55翌日からもタロウは毎日足を棒のようにして
04:02働き続けました
04:03でもタロウの稼ぎだけでは
04:06とても500問の利息を稼ぎ出すのは
04:09無理なことでした
04:10やがて年の暮れがやってきました
04:14おっかさんの薬もとうになくなっており
04:17なんとかもう一度薬を買って
04:20また正月にはせめて
04:23餅の一口でも食べさせてあげたい
04:26そう思ったタロウは
04:28再びゴンゾーの屋敷を訪ねました
04:31前に借りた利息分も返せんで
04:38ようそんなことを抜け抜けと言えたもんじゃ
04:42だいたい持ちなどというものは金持ちの食い物
04:46これ以上美体一文課せられん
04:48それより早よ利息分も持ってこい
04:51タロウはがっかりして家へ向かって
04:57とぼとぼと歩き始めました
04:59橋の途中まで来た時
05:07おい小僧
05:10そこには白い毛のおじいさんが
05:16ニコニコと笑って立っておりました
05:18小僧ええもんやるぞ
05:21ほれこの下駄をやろう
05:26その下駄履いてころりと転べ
05:29すると小判が一枚出る
05:32人転び一枚じゃ
05:34けど言うとくがの
05:36いっぺんに転びすぎるなよ
05:38背が小そうになって元には戻れんからの
05:42それだけは気をつけるんじゃ
05:45気がつくとおじいさんの姿はどこかへ消えていました
05:53そしてタロウの手の中には
05:55古びた一本足の下駄が残されておりました
05:59タロウは急いで家に帰り
06:04さっきのことをおっかさんに話して聞かせました
06:07そして早速下駄に足を突っ込むと
06:13言われた通りに転んでみました
06:16小判じゃ
06:28本物の小判じゃ
06:30いやー
06:35ああもうええもうええ十分じゃ
06:38おっか小判じゃ本物の小判が三枚じゃ
06:43よかったよかった
06:46その下駄はきっと神様が授けてくださったんじゃ
06:51タロウはピッカピカの小判三枚でお餅もたっぷりつき
06:58おっかさんの薬も買いました
07:00そして一本足の下駄は宝物として神棚にお祭りしました
07:06翌日下駄の話を聞きつけたゴンゾウがひょっこりタロウの家へやってきました
07:14兄さん
07:17えらいケーキがえらしいの
07:21とんでもないまお上がりなさい
07:24タロウはお借りした利息分を返しに今お宅へ向かったところで
07:29いやーなにあれはもう勘弁してやってもうえええええええええ
07:38ほうこれが噂の下駄か
07:41えええおかげさまで助かりました
07:44そうかそうかなら今度はわしが借りる番じゃ
07:51それは使い方を間違うとえらいことになります
07:55ゲチゲチするなすぐ返してやる
07:59ゴンゾウは下駄をひったくり急いで家に帰りました
08:05そしてすぐ庭いっぱいに棒風呂敷を敷き詰め
08:10下駄をはいて思いっきり転がりました
08:14いやーか
08:18こばんじゃこばんじゃ
08:23噂の通りじゃ
08:27やいほり
08:30やいほり
08:35ゴンゾウは我を忘れて転び続けました
08:37転ぶ度に小判が飛び出して今はだんだん小判に埋め尽くされていきました
08:43へへへ。いやー、小判がだんだん大きよな敵を立つがこりゃけっこうじゃ。
08:50ゴンゾーは小判が大きくなったと思っていたのですが、実は自分の方が小さくなっていたのでした。
09:04そんなことには一向に気づかずに、なおもゴンゾーは転び続けました。
09:10おっかさんから話を聞いた太郎は、あわててゴンゾーの屋敷に駆けつけました。
09:20屋敷の庭は黄金色に輝き、眩しいばかりでした。
09:28そしてゴンゾーの姿は、どこにも見当たりませんでした。
09:35おじさん、ゴンゾーおじさん。
09:41あ、これはおじさんの着物だ。おじさん、どこにいるんじゃ。
09:50やがて小判の山の中から下駄が見つかりました。
09:55手に取ってよく見ると、鼻尾の端っこに何やら小さなものがうごんめいていました。
10:03なんじゃ、虫けらか。
10:09ゴンゾーおじさん、ほんとにどこ行ったんじゃろう。
10:13ゴンゾーは、夢中になって転び回ったので、とうとう小さな虫けらになってしまいました。
10:24それがゴンゾー虫のそもそもの始まりで、
10:29ゴンゾーとはゴンズ、ゴンズとはワラジ、ゴンゾー虫とはワラジ。
10:34ゴンゾー虫けらか。
10:36おじさん、ゴンゾー虫けらか。
10:39おじさん、ゴンゾー虫けらか。
10:44ご視聴ありがとうございました。

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