00:00昔々 岩手の山あいに春が訪れました
00:14暖かい日差しで水はぬくもり 野山は生き生きと燃えてきました
00:30森の中の生き物たちも それぞれの生活が始まりました
00:46このあたりに一匹のヘビがおりました
00:52このヘビは毒を持っているマモシで
00:57ほらほど強いものはいねー 兵と妹を威張っておりました
01:02ううおおおおおおがく
01:03おおおおおおお
01:06うおおおおおおおおおおおおおお おおおおお
01:10このクソうううう ぺっぺっ
01:15will
01:20鳴いた好物のカエルじゃ
01:28ぐわーぐわーぐわーぐわーぐわーぐわー
01:42うまそうなカエルじゃったがなー
01:47あぶねーあぶねー
01:50いのちあつてのものだねだー
01:54うわーうまそうなネズミじゃ
01:59やー助けてー
02:01待てー助けてー
02:04待てー
02:06待て待て待てー
02:08やー助けてー
02:09待てー
02:10待てー
02:11待てー
02:12やー助けてー
02:14ここらでちょっとひとやすみするべいか
02:26ここはぽかぽかあったかいカヤハラなので
02:29マムシはいつのまにかぐっすり
02:41眠りこけてーしまいました
02:43こうして眠っているマムシの下から草の目が力強くぐいぐいと伸び蛇の体を持ち上げて行きました
03:04うーん
03:14ありゃこりゃはー
03:16どうしたこったー
03:19マムシはあたりを目渡すと何もない高いところにツバナという一本の細長い草に乗っているのでした
03:30ツバナというのはカヤの目のことで鬼の目をつくというほど刃物のように尖っているのでした
03:39うわー痛い痛い痛い痛い痛い痛いよ痛いよ
03:45カヤの目の先がマムシの腹をぶっ通したので前にも後ろにも行けなくなってしまいました
03:52いやいや誰か来たぞ
03:58どうしようどうしこんな無様な姿を踏められたくないよ
04:05あわてたマムシはトグロを巻いてカヤの目が腹に刺さっているのを隠しました
04:12ありゃマムシ
04:16あんでそこで何をしてるだ
04:23いやーちょっと昼寝をな
04:27そんなところで昼寝とは驚きだな
04:31えーどこで昼寝しようとおらの勝手だべ
04:35でもなんでまたカヤの目なんぞに
04:40うん
04:42油汗が出てるがひょっとして
04:45カヤの目が刺さっとるのと違うか
04:49バババカなこと言うでねー
04:53いつまでも昼寝の邪魔をしとるとただにお金ぞー
04:58ううううな
05:07ところが釜首をもたげた表紙にカヤの目の刺さった穴が ずりぃっと大きくなったようでした
05:15いていていていていてえ いたいぶううううなさげね
05:18ううううううううううう
05:18うううううううううううううううううう
05:20ううua all カエルだ
05:24こいつはさっき食いに返したカエルだ
05:32今日はついてねーや
05:35あんねんま
05:38そんな高いところで何をぶつくさ言っとるだんね
05:43昼寝じゃ昼寝
05:46などもかやの目にとぐろを巻いて昼寝とは変でねーか
05:52俺は何かととぐろ巻くのんが好きな方でよ
05:58もしかしてかやの目に刺さってるんでねーのか
06:04うるさい
06:05ぎゃー
06:08あーいててていてよー
06:16ううううううう
06:19やっぱりあのマムシのやつかやの目に刺さってるんだな
06:28道理で追っかけて来ねーわけだ
06:32あーひょっとしてこのままの垂れ死にするんじゃなかろうか
06:40ふぅうううううううう
06:41ほぅううううううううううううううううう
06:43恐れを知らぬマムシもこうなればただの蛇
06:47無様な姿をさらすことになりました
06:50ふぅうううう
06:55めったって仕方がね
06:56元気でいれば何となるもんだ
07:00ええやさほいいやさ
07:02ええやさほいいやさ
07:05ええやさほいいや
07:08おー
07:09おーいててててててて
07:11骨身に応えていて
07:13いていていて
07:14おらより強いもんはねえと思っておったのに
07:19たかがかやの上に
07:21手も足も出ねえなんて
07:23あんな格好で
07:26ずっとおとなしくしてくれると
07:29おらたちの暮らしはずっと楽になるんだがな
07:35なんとか助けてやりていが助けたら
07:39おらたちの命が危ねえなでどうしようもねえな
07:43それからどれだけ時がたったか
07:59なんじゃいあれは
08:11チューブラリンのマムシの真下から
08:15三本真っ赤のわらびの芽が地面の中から突き抜けてすくすくと伸びてきました
08:22三本真っ赤とは三本の枝に分かれたという意味です
08:29ひょっとすると助かるかもしれねえ
08:41三本真っ赤のわらびさぐんぐん伸びてくれろ
08:45わらびさぐんぐん伸びてくれろ
08:49ぐんぐん伸びてくれろ
08:51こんな時は敵も味方もあるもんか
08:55一言声をかけてやるべ
08:58三本真っ赤のわらび
09:01大きく伸びろ
09:03ぐんぐん伸びろ
09:05ぐんぐん伸びろ
09:07三本真っ赤ぐんぐんを押し上げろ
09:11三本真っ赤のわらび
09:13ぐんぐん伸びろ
09:15大きく伸びろ
09:16ぐんぐん伸びろ
09:18とうとうわらびはかやの目を追い越し
09:23蛇の体を高く持ち上げました
09:26ぐんぐん伸びろ
09:29やったー
09:31たたたたすかった
09:34ありがたいこっちゃ
09:37わらびさこのうは決して忘れねえ
09:41決して忘れない。あのネズミとカエル、オラをバカにしたなあ。
09:49バカになんかしてないよ。
09:52応援しただけだよ。
09:55これだから応援なんかするんじゃなかった。
09:59逃げろ、逃げろ。
10:01それからだそうです。
10:08山へ入ったときは、マムシ、マムシ、かやはらで昼寝してわらびの恩を忘れたか。
10:17アビラウンケソワーかと唱えると、
10:21うひゃ、すみません。
10:24マムシは恐れ入って退散するので、マムシに出くわさずに済むんだそうです。