00:00昔、日田の平湯峠の山頂から、国府村広瀬の在所まで延びている尾根、村の人は幽霊街道と呼んでおった。
00:23それは、この尾根続きの山道に、夜もなる寝体の知れない者が、そっとするような叫び声をあげながら、通ると言われていたからじゃった。
00:38用事があんなら早いなさね。そこじゃ寒いから。これ峠から風花が飛んできとるじゃないか。
00:48ある朝、やいちが若い主二人と藤十郎の家へやってきた。
00:54藤十郎、ちょっと聞いてもらえんか?
00:57やいちゃん、何しとる。色々に当たれや。
01:00どこでもない。尾根の幽霊街道のことじゃ、このまま放ってはおけまいが。
01:07春になりゃ峠の春木山にも行かにはならんし、薙畑もせんならん。
01:13日のあるうちに帰らんならんでは仕事にならん。
01:16シロ、やめろ。こら、シロ、イモは大嫌いなんじゃ。
01:21イモ十二郎、入って汁でもすすっていけばどうじゃ。
01:28それで、尾根に行って、あの噂が本当かどうか確かめてきたらと思うんじゃが、どうじゃろう、藤十郎。
01:36俺はもうそう思っていたところじゃ。
01:39相談がまとまって、気のいいイモ十二郎とボンという村の若い衆を連れて、昼過ぎから尾根へ向かって出かけた。
01:49なあ、本当の話だろうか。
01:57若がんけど、そんな嘘つくもんもあるまい。
02:01狐かもしれんに、引き構えて帰るか。
02:05日暮れ方に尾根のとっつきに来た。
02:07そして、その夜はみんな、尾根道に頭をそろえて寝ることにした。
02:15この日は、季節外れの生暖かい風の吹く晩じゃった。
02:20藤十郎だけは、一段高い風の当たるところで、ぼんやり考えごとをしているようじゃった。
02:37お前さ、山へ行くんなら、おぼくさんが食べて行っておくれ。
02:42分かってる。
02:43俺の理事元とも山に増えるときは、必ずおぼくさんを食べて行ったもんじゃ。
02:50はい。
03:02こうすると、どんなことがあっても、嫁のもとに帰ってこれるんじゃと。
03:10そりゃな。どんなことがあっても、お前さんには帰ってもらわんじゃなら。
03:15帽もまだ小さいし、おらも他にしんて一人でおられんよ。
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04:36これを見てみろ
04:37オラの大事な山形だ
04:39先が溶けてなくなっとる
04:42こんなことはあの恐ろしいワモノしかできねえ
04:45トウジウルはキツネに任されただ
04:48キツネだと
04:49もっともっと恐ろしいもんだ
04:52こんなことできるのはこの世のものではねえ
04:55オラたちは見てねえだ
04:56トウジウルだけに見えてオラたちに見えねえってのはまさくにあわねえど
05:01おめえには年老いた爺様がいるでねえか
05:05オラも立派なキツネを捕まえて怪我を取れてな
05:10気持ちよ
05:11なにー
05:14するだトウジウル
05:16そんなに命が惜しくねえんだらオラは知らねえぞ
05:20シロだ
05:23あそこに何かいるの
05:25あそこはそうだ
05:27オラは居眠りしておった場所だ
05:30頭を引っ越える
05:42お寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお寺のお
06:12ご視聴ありがとうございました
06:42ご視聴ありがとうございました
07:12ご視聴ありがとうございました
07:42ご視聴ありがとうございました
08:12ご視聴ありがとうございました
08:42おらたちには何もできなかったら
08:44本当のこと言っては
08:46あびを入れるより
08:47仕方あるめ
08:48やいさん
08:51おややいさん山から戻ったらさ
09:02おやうちの東十郎は
09:06本当にえらいことになってしまった
09:10東十郎が
09:11え、東十郎が何か
09:14東十郎がどうしたというんじゃ
09:21かか、いま戻ったぞ
09:40なんだ、無事でねえか
09:42ど、どうなっちょるだ
09:50バケモノに食われちまったはずの東十郎が
09:53なんで帰ってきたんだよ、なんで帰ってきたんじゃ
09:55なんで帰ってきたんじゃ
09:56お方、東十郎には足があるか
09:59何言っておるか
10:01ここにいつものように座っとるだね
10:04何が何やら
10:05おらにはさっぱりわからんよ
10:08まったく男子は勝手に山に行って
10:15勝手に戻してきて
10:17わいわい言うばっかり
10:18さっぱりわからんねえ
10:21母はまだ知らない
10:25城も東十郎も山に入るときに
10:29仏様のご飯を食べたおかげで
10:32何事もなく
10:34母の元へ帰ってこられたのに