00:00ん
00:02ああああああ
00:13し昔 三河の田原というところにぎょうさん魚の取れる村があったそう
00:23ああああああ
00:30me
00:33me
00:36me
00:38me
00:41ああああああ
00:45このあたりの海はちょっと網を入れただけね 網は今にも引き継いればかりに
00:52にいっぱいになった
00:54うーんさっ
00:56うーんさっ
00:58うーんさっ
01:00うーんさっ
01:02うーんさっ
01:04このなすため
01:06いつもいつも魚を狙いやがって
01:14とっとと
01:16消えうせろい
01:22うーん
01:36本当に油断も隙もあったもんじゃねー
01:40お前たちにやる魚なんぞ
01:44一匹たりともないわ
01:46この魚は全部わちらのもんじゃよーく覚えておけー
02:02こうして日が昇るころには
02:04船が沈むほどの魚を
02:06いっぱいに摘んで
02:08村へ帰っていった
02:10うーん
02:12さーさー
02:14だんだん食ってくれろー
02:16いやー
02:18残してもふたっちまうもんだからー
02:20ああー
02:22ああー
02:24村人は朝方ちょっと海へ出ただけで
02:26魚が有り余るほど取れたので
02:28日の高いうちから飲めや歌への大騒ぎ
02:32そうしてこの大騒ぎは毎晩毎晩
02:38夜遅くまで続いた
02:40あ〜大漁ない
02:46大漁たよー
02:48大漁近
02:51あ〜大漁だあー
02:54あ〜う
02:56よいよいよいよいよいよいよお
03:02ひひろたま
03:04ヒロパー
03:07そんなによるのこと村になんとも出体の知れない火の玉がふわふわと飛び回り始め
03:21うりー降りてくる
03:25ああああああああああああ
03:29いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい 気味悪くふわふわと飛ぶ火の玉に恐れをなした村人たちは次々に家の中に駆け込むと
03:44ぷぴたっと閉めて閉じこもっ
03:50その静まり返った村の家への上をふわふわと火の玉
03:56ああああああああ そして暗い夜の空の中へふわふわと消えていっ
04:03ああああああああ
04:10えええええええええ
04:12えええええええ
04:13さあ火の玉が現れてからは次々に不思議なことが起こった
04:20船に積み込めないほども取れた魚が全部泥に変わった
04:29また突然船の火事が効かなくなって三日三晩海の上を漂ったりした
04:37そして火の玉は毎晩のように火の粉をまき散らしては村の中を飛び回った
04:46こんなことが毎日続くので村の者はみんな家に閉じこもり
04:52寮にも出なくなってしまった
04:56おお20日も寮に出てね このままじゃわしら飢え死にするしかねえ
05:03あの君の悪い火の玉さえなんとかできればんの
05:08こうやって村人たちは村の長老の家に集まり毎日毎日相談したが
05:14正体のわからん火の玉を何とかするいい考えはさっぱり浮かばんかった
05:23それから何日も人々と村に雨が降った
05:33雨が止んだ日
05:35空は久しぶりに晴れ渡り
05:38海は静かに泣いでいた
05:41おーい、寮に出るぞーい
05:47我慢できなくなって一人が叫んだ
05:53もうこれ以上寮を休むわけにはいかねえ
05:56ひろたまなんか怖くねえぞ
05:59寮場に着いた村人は久しぶりの寮に何もかも忘れてかき気づいた
06:11えいさ、えいさ、えいさ、えいさ
06:16火の玉が怖くて漁師が努まるかってんだ
06:20えいさ、えいさ、えいさ
06:22さあさあ、ぶんぶん取って
06:24今までの分も取り返そう
06:26えいさ、えいさ
06:28村人は何かに取り憑かれたように魚を取りまくった
06:32みるみる船は取れた魚でいっぱいになっていった
06:36やがてもう船には魚を積むところがなくなってしまったころのことじゃった
06:42あのことじゃった
07:01現れた
07:03ひ、火の玉じゃ
07:06ああああああ
07:08ゆっくり穂柱の上を回っていた人が
07:21穂柱の上にコツンと降りると姿を現した
07:27それは何百年も年を経た鳥のようじゃった
07:34船の者どもよく聞け
07:38この海で取れた魚は皆お前たちのものだと思っているようじゃが
07:46そうではない
07:47海の魚はわしら鳥たちのものでもあるのじゃ
07:53お前たちは魚を捕れるだけとて
07:56全部自分たちだけのものにしてしまう
08:00それではわしらはういじにじゃ
08:04鳥!
08:06年老いた鳥が声をかけ飛び上がる
08:16どこから現れたのか無水の鳥が
08:19湧き上がったように現れ
08:21村人の船を取り囲んだ
08:24船を取り囲んだ無数の鳥たちは
08:42船を一斉に襲い
08:44村人が取った魚を加えては何を張っていった
08:59そうしてどれだけ時が経ったか
09:02船の魚は一匹もいなくなってしまった
09:06そして年を経た不思議な鳥は
09:10やがて日が沈もうとする西の空めがけて飛んでいった
09:30海の魚はわしらだけのものじゃね
09:34そうじゃのう
09:36海で暮らすわしらがそれを考えていなかったとは
09:41情けねえ
09:43それをわしらに教えるためにあるとしとった鳥は
09:48火の玉になって現れたのか
09:57それからの村人は
09:59自分たちが暮らしていけるだけの魚を取り
10:03その取れた中からこれは海の鳥たちに
10:08といって必ず海に流してやったということじゃ
10:12そうして年を経た不思議な鳥のことを
10:16火の玉になって現れたということで
10:19ごひさま
10:22それがなまってごひんさまというようになったということじゃ
10:26そしてそれ以来
10:29田原の村ではごひんさまが現れるようなことは
10:33決してなかったということじゃ
10:36どうぞ
10:38どうぞ
10:39どうぞ
10:40どうぞ
10:41どうぞ
10:43どうぞ
10:44どうぞ
10:45どうぞ