00:00おかしもかし、宮城県、お鹿のあたりに小さな島があって、その名をアジシマと言えた。
00:20この島の人たちは毎日料理で魚をとって暮らしておった。
00:26名前、名前、名前、名前、名前、名前、名前。
00:30名前、名前、名前、名前、名前、名前、名前、名前。
00:36ところが、この島の沖合には、いつの頃からか恐ろしい化け物が出るようになる。
00:44その化け物が出ることは決まってどうしてはあれくる。そして。
00:50海坊主じゃー!
01:00海坊主が出た!海坊主が出た!
01:04それは海坊主だったが、おかげでしっかり魚が取れなくなってしまった。
01:10ほとほと困り果てた島の人たちは、海の神様である竜神様を海を見渡せる丘の上の一本松の根元に祀り、
01:23たくさんの海の幸をお供えして、どうか大量でありますように、どうか海坊主が出ませんようにとお祈りした。
01:32おかげでそれ以来、ぴったりと海坊主も出なくなり、安心して漁ができるようになった。
01:49ところが、この島にはジンベエという大層な怠け物が住んでおった。
01:55この男は、海で捕れた魚を馬に積んで、魚商人の船着き場に運ぶという自分の仕事を放り出して、
02:06昼日中から叫びたり。
02:09へっ、何が竜神様じゃん。海坊主なんかいるもんかい。
02:15ジンベエは、馬を引き引き山を下ると、
02:20ふもとの自分の家に帰り、馬を馬屋に繋ぐと、
02:23竜神様にお供えした魚や貝をかっさらって持ち帰り、
02:29酒の魚に食べてしもうた。
02:34うーん、うめえうめえ。
02:41これも竜神様のご利益じゃ。
02:45うーん、うめえうめえ。
02:48すると、穏やかだった海が以前のように荒れだした。
02:59おかしいの。
03:01竜神様にはちゃんとお参りしとるのに。
03:05お供えもんもたーんとしとるしの。
03:08何はともあれ早く帰るべ。
03:10うめえ。海坊主が手のうちにな。
03:16その夜、島の漁師は網元の家に集まった。
03:22竜神様にはお供えをして、
03:25漁の無事を毎日祈っとるのにな。
03:29このままだとまた魚が捕れんようになる。
03:32ほんじゃ、お供えもんと立派なもんにしてお願いしてみるべ。
03:40翌朝、竜神様に立派なお供えをした漁師たちは、
03:45遺産で沖に出て行った。
03:49ジンベエは今日もやっぱり仕事をほったらかして、
03:52酒飲みながら船の出て行くのを見つめておった。
03:55あ、今日のお供えはなんだでな。
04:05楽しみ楽しみ。
04:07ジンベエはまたお供えを盗みに出かけ、
04:12辺りに人がいないのを見ると、
04:14そーっと竜神様の前に進み出た。
04:19ほー、こりゃうまそうだ。
04:23そこにはなんと大きなタイが一匹
04:27今日の大量を祈っておいてあり
04:30ジンベエは素早くそのタイを懐にねじ込んだ
04:34ひっしめしめ
04:36今日はたいそうなごちそうだ
04:38早く帰って一杯飲むとしようか
04:42ひと目につかぬように裏の山道を一目散って逃げ帰った
04:50こりゃなんてまあうまそうなタイじゃろ
04:57久しぶりのごちそうじゃ
05:00竜神様に代わってこのオラが片付けてあげるからの
05:20さて
05:29酒もなくなる頃にはもう夜になって
05:34ジンベエはいつしかトロトロと眠りかえって
05:37外はいつの間にか嵐になってきた様子だった
05:42ご視聴ありがとうございました
06:12こんばんは
06:15今行くだ
06:21どなたさんだろう
06:23ジンベエは眠い目をこすって戸を開けてみたが
06:29誰もおらん
06:32おかしいのこんな嵐のようにだるだんべ
06:36風の音と聞き違えたから
06:39誰じゃ
06:43誰じゃ
06:45いやいいジンベエ
06:49おらはおみ坊主だ
06:52うぎゃー助けてけろ
06:56おい
06:57ううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう
07:27食べてしまう 海に来い
07:31うわぁ
07:32がっ えっ
07:36勘弁しちくりゃー
07:37勘弁できるもんでね
07:39オラが悪くこれからは決して取らんね
07:42勘弁しちくりゃー
07:45オラはおかげでずっとなんも食べていない
07:49腹が減って今お前を食わると死にそうだ
07:53ああああああ
07:57やんだあああああ
07:59食われるのはやがかったああああああ
08:04ジンベエは手を離せば食われてしまうと思い力いっぱい柱にしがみついた
08:09ウメ坊主の力もものすごいものじゃったが助かりたい一瞬のジンベエの力も大したものじゃった
08:17あああああああああああ
08:21てっこんな
08:26ん
08:27ん
08:29だめだ
08:31腹が減って力が出る
08:35ん
08:37ん
08:39ん
08:43ジンベエはそのまま気を失ってしまったのじゃが
08:47耳の底に海坊主の
08:50お前の代わりに馬をもらっているよ
08:55という声と同時に馬の鳴き声をかすかに聞いたような気がした
09:01ジンベエが気がついたときはもう朝で嵐はすっかり止んでいた
09:07そのときゆうべうみ坊主が言った言葉をふと思い出した
09:12お前の代わりに馬をもらっているぞ
09:16あわてて馬小屋に行ってみたジンベエはパッと立ちすくんでしもた
09:24ああ
09:25裏の馬が裏の馬が
09:28ああ
09:29ペタペタと続く海坊主の足跡を追いながら
09:33ついに海辺に立ったジンベエは
09:36そこの岩の上にはっきり残る馬の足跡を見つけた
09:41ジンベエの馬は固い岩もへっこんでしまうほど頑張ったけれども
09:47力の強い海坊主にとうとう海の中に引きずり込まれてしまったのじゃろう
09:53かわいそうなことしたらな
09:57勘弁してくれろ
10:01その朝
10:11丸い頭をした黒い生き物は
10:15沖の方へ揺らいはと泳いで行くのを
10:19島の漁師が見たという話があったが
10:22とにかくそれ以来
10:25ジンベエは龍神様のお供えには決して近づかなくなり
10:29そのためか
10:31その後くっつりと海坊主は現れなくなり
10:35島は栄えたという話じゃ
10:39裸々の古い文字も
10:47神様の説明な説明を
10:51見つけた