プレイヤーにスキップメインコンテンツにスキップ
  • 5 日前
Japanese folk tales
トランスクリプション
00:00昔の話だった
00:14大群山脈の真ん中頃に有相な船形連邦が横たわっている
00:21その中で最も高く大きな山が船形山じゃった
00:27その船形山の中腹に船形権元様のお社がちんまりと立っている
00:36祀ってあるのは陽気な女の神様で
00:41この神様にお願いするときっと豊作になるといって
00:47ふもとの村ばかりでなく遠くは名取の方からもお参りする人々が絶えなかった
00:54ある秋の終わりの頃じゃった
01:04権元様はお社の前からふもとの村を見下ろして大きなため行きついた
01:12もうすぐ雪が来るな
01:17雪が来ればこの険しい山道だもの
01:21お参りに来る者はいなくなる
01:23寂しい寂しい
01:26賑やかなことの好きな権元様は
01:31これから来る長い冬のことを思うと
01:35いてもたっても得られなくなった
01:38そうだ
01:44せめて雪の降る前に村に遊びに行ってみよう
01:49ボンゲン様はそれからボロの着物を着て
01:58顔にペタペタと泥を塗ると
02:01どこの誰だかわからないようにして
02:04とことこと山を降りて行った
02:07神富屋の村に着くと
02:15あちこちで月を使って田起こしをしているところじゃった
02:20秋にこうして田を起こしておくと
02:25土の中の虫が冷たい風に当たって死ぬので
02:29雪の来る前に起こしておくのが
02:32この頃の習わしじゃった
02:34ところが皆一生懸命働いているのに
02:39一人だけボケーと立ってあくびばかりしている者がおる
02:43名前はクマと言って
02:47体ばかりでかいが飛んだ怠け者じゃった
02:51そのクマがふとあぜ道を見ると
02:55ボロを着て顔上泥だらけの女が歩いている
02:59ひどい女小敷が来たとクマがじろじろ見ていると
03:05女は立ち止まり獣の泥を払い始めた
03:09その時袖の中からちらっと真っ白な腕が見えた
03:14また払った裾からは真っ白な足が見えた
03:19ちぎな女子じゃなあ
03:22ゴンゲン様は外から見えるところには泥を塗っても
03:27隠れた腕や足には泥を塗らなかったのじゃ
03:32クマは持っていた隙をほっぽり投げると
03:36女の後についていった
03:38ゴンゲン様はクマが追いかけてくるので
03:55慌てて走り出した
03:57ところがあまり急いだので
04:16掘り起こした田舎部に足を取られてばっかり転んでしまった
04:21その表紙に膝が真っ赤に腫れ上がった
04:35ゴンゲン様は痛い膝をさすりさすり
04:53キワダの村まで逃げてきた
04:55キワダの村では他にクロウを塗っておられた
05:01ゴンゲン様は他の水が漏らないように
05:04風に泥を塗っておくのじゃった
05:07ところがゴンゲン様は
05:13その黒の足を取られ
05:18ツルッツルッと滑って田んぼの中に転んでしまった
05:22その表紙に頭から泥をかぶって
05:26体中真っ黒になった
05:28ゴンゲン様はとぼとぼと歩いて
05:32落合の村へやってきた
05:34落合の村では
05:38身を取り終わったゴマガラを片付けているところじゃった
05:41せっせとゴマガラを片付けている村人の中に
05:46セドという若者がおった
05:48セドもクマに劣らぬ怠け者で大きなあくびをしながらぶらぶらしておった
06:00そしてふと道を見るととぼとぼと歩いてくる泥だらけの女がいる
06:06ひどい女こじきじゃ
06:10とじろじろ見ていると
06:12女の顔の泥が乾いてポロポロと落ちてきた
06:17すると泥の下から雪のような真っ白なふっくらとした顔が現れた
06:24見たこともねえ面子ような子じゃ
06:28セドは担いでいたゴマガラを投げ捨てて後をつけた
06:34びっくりしたゴンゲン様はまた走り出した
06:38ところが道いっぱいに広げてあったゴマガラにつまずいて
06:44こういうところがあった
06:46その表紙に鼻のてっぺんの皮がつりーっと向けてしまった
06:55ゴンゲン様は鼻の頭をさすりさすり走った
07:00ゴンゲン様の走るのを見て
07:02セドもとっとことっとこ走り出した
07:05その後をカミトミヤから追いかけてきた
07:09クマがどっとこどっとことついていく
07:13あれはクマでねえか?
07:16クマの前にいるがオチャイのセドだ
07:19二人が走っているのを見た村の若者たちは
07:23なんだなんだとその後を追いかけ始めた
07:27あれは怠け者のクマとセドでねえか?
07:33なんだなんだ?
07:35どうしたんだ?
07:36どうしたんだ?
07:37村の若者たちは
07:39怠け者のセドとクマが走っているのを見て
07:43訳もわからず二人の後について走った
07:46それを見てゴンゲン様はすっかり楽しくなってしまった
07:55ああ!面白い!面白い!
07:59ゴンゲン様は喜んで背中バルめて風を突っ裸して走り回った
08:08村の若者たちは必死になって追いかけたが
08:11風のように目の軽いゴンゲン様を捕まえることはできなかった
08:17そして最後にゴンゲン様が船形山に向かって飛んだ
08:42若者たちはびっくり上手にした
08:45あれは船形山のゴンゲン様だったのか
08:53それから村々は大騒ぎだ
08:58船形山のゴンゲン様といえば豊作の神様
09:03その豊作の神様を追いかけて難儀させるとは
09:07みな慌てて賢ったが後の祭り
09:12ゴンゲン様に謝らねばなんね
09:17みんなで集まってあれやこれや一晩中話し合った
09:27そして決まったことは
09:32上富屋の村ではその日から秋には田おこしをしないこと
09:38日和田の村でも秋に黒塗りをしないこと
09:43そして落合の村ではゴマを作らないことに決めた
09:48そして村の若者たちは集まって
09:52船形山のゴンゲン様の親代にお参りをした
09:56村人たちの気持ちが通じたのか
10:08それともゴンゲン様の方ですまなく思ったのか
10:12次の年も次の年も村は豊作が続いた
10:17村の人たちがゴンゲン様に誓った約束は
10:22今でも守られていて
10:24上富屋では田おこしを冬にして
10:28日和田では黒塗りは春先にしている
10:32また落合では今でもゴマを植えないそうじゃ
10:37ご視聴ありがとうございました

お勧め