00:00昔、あるところに百姓と狩人が、二軒並んで住んでいました。
00:21百姓の家には、十七年も飼っている、大きな雄の赤猫がいました。
00:30百姓の家には、十七年も飼っている、大きな雄の赤猫はよくネズミを捕って、百姓を喜ばせました。
00:49ところが、ある日のこと。
00:51ドゲンしたんじゃろ、あんなに可愛がっておったの。
01:01犬にでも噛まれて、死んでしもたかの。
01:07百姓が畑から帰ってみると、赤猫がいなくなっておりました。
01:12そこへ、隣の金座という狩人が、山から帰ってきました。
01:19猫というものは、昔から、魔のものと言うて、思いもしね、周知もするもんじゃ。
01:30でも、オラたちは、下にもお金ほど、可愛がってやっておったのにの。
01:36なに、山に雪がつく頃までには、オラが探し出してやる。
01:41漁師は、勘が効くものじゃ。
01:48そうして、半年がたって、山の頂に雪がつきました。
02:18ばあさん、ばあさん、茶窯の蓋が見当たらんが、どこかへやったのかい。ばあさんや。
02:28金座丼は、そろそろ獅子取りが始まるので、鉄砲の弾を作っておりました。
02:35ピン座丼、なにしていなさる?
02:51なんだ、ばあさんかい。ぼちぼち、獅子打ちの玉作りじゃ。
02:56そうかい、お前さん名人じゃから、今年も行産しし、取るじゃろうな。
03:02うーん、じゃが、今日はもう、鉛が切れてしもうたで、玉は作れねえ。
03:09玉は、何発作った?
03:13うん、四発じゃ。
03:15隣のばあさんが、こんなことを聞くのは、珍しいことなので、金座は不思議に思いました。
03:23ところで、金座丼、山に雪がついたようじゃが、うちの猫、見つかったかい?
03:30お、お、そうじゃ。すっかり忘れとった。
03:35近いうちに、必ず探し出してくるわい。
03:38必ずか?
03:40ああ、生きとれば、必ず探し出してやる。
03:45金座丼。
04:00なん、なんじゃい、まだそこにいたのかい。
04:03ししとりに入る山、鉱石山じゃあろ。
04:07登るときは、右から登るか、左から登るか。
04:12ああ、今日は、右からじゃ。
04:15三号目からも、右からじゃ。
04:18お、そうかい。
04:20じゃ、金座丼、ししとったら、食べさせて、おぐれよ。
04:25隣のばあさんは、そう言うと、こそこそと、自分の家へ帰って行きました。
04:30みようなばあさんは、今まであげなことは、聞いたこともないのに。
04:42金座は、ぶつぶつ言いながらも、鉄砲を寝入りに手入れすると、鉱石山へと向かって出かけて行きました。
04:51ところが、金座が三号目ばかり登ったとき。
05:03なんじゃ、この音は。
05:06ん?
05:07こー、こーっと、不思議な山鳴りが聞こえてきたかと思うと、あたりの空が一目、真っ黒くなってきました。
05:18これは、大事じゃん。化け物に違いないぞ。
05:23うん。
05:29化け物め。
05:30うっそーっそーっ。
05:33ん?なんじゃ、あの音と声は。
05:37きっけえだ。
05:42しもた、油断すると、やられてしまうぞ。
05:45ん?
05:46しもた、後ろを取られた。
05:50やーっつ。
05:54さんぱーんつ。
05:58よーんぱーんつ。
06:03なんてこった。まだ生きてるが、4発とも命中したはずじゃか。
06:09金座の玉は、よんぱーんつじゃ。
06:13なまりがなくて、玉切れて。
06:17あとはどうして、死死倒す。それともおいらに食われるか。
06:23くそー。なんで、ほらの玉の数を引けおるのじゃ。
06:29金座はその時かねて、命玉として持ち歩いている。鉄の玉を取り出しました。
06:37よし。できるだけ引き寄せ、これをぶち込んでやる。
06:42金座の玉は、4発で。
06:48なまりがなくて、玉切れに。
06:52あとはどうして、死死倒す。それともお偉いに食われるか。
07:01やった。手応えがありじゃ。
07:05きなり、おばあさんの場所に、きなりに。
07:26こいつは見えなくっちゃこの茶窯の蓋は隣のおばあさんの家のものじゃねえか
07:33おらの玉が焦げんとこに命中しとるでねえか
07:38さては
07:41じいざんお前さんのばあさんもあどけんしたい
07:48うーん山に巻き鳥に生えて肩を怪我して帰ってきよった今薬を飲ませるところじゃ
07:56じいさま茶窯の蓋どうした
08:00どうしたわけじゃ朝から見当たらん
08:03これがそうじゃろ
08:05ああそれやそれをどこで
08:09公職山で拾ったんじゃよ
08:11僕で寝ているのはおめえのばあさまじゃねえ
08:15半年前におらんようになった赤猫は化けとるんじゃよ
08:18赤猫が化けとる
08:21許されねえ
08:34おばあが赤猫だな
08:36どうじゃばあさんご愛は
08:42誰かきなすったか
08:46隣の金座ぞんがおめえのこといなくなった赤猫が化けとるんじゃなんていうもんじゃからおらが叩きのめしてやるか
08:55そうじゃ金座道悪人じゃ
09:02大嘘つきの狩人じゃ
09:06おはような
09:08分離され
09:10正体似せてみ
09:12ах猫め
09:13通し
09:14球があねえんだ
09:16まああ
09:182
09:19ちょ
09:21ぐら
09:23君たどんこれを鉄砲のかまに
09:26よし、これが電気のときのかわじゃ
09:36消えた
09:39あっ、金貸業、あれ
09:46逃がすもんか
09:56この猫、オラに正体を見破られたと思って
10:13黄色山でオラを食い殺そうとしたのじゃ
10:18次の日の朝、二人が床下を探してみると
10:21やはりおばあさんの骨がゴロゴロしていました
10:27赤猫はおばあさんを食い殺して
10:30人間になりすましていたのです
10:34歳をとりすぎて魔性をもった