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  • 1 週間前
Japanese folk tales
トランスクリプション
00:00昔、琵琶湖の南に木の川という小さな村があった。
00:19その村に木代という娘が病気の母と一緒に住んでおった。
00:26木代は百姓の手伝いや小盛りをして病気の母の代わりに働いて、
00:36もらった少しばかりのお金や食べ物で暮らしを立てておった。
00:41毎日朝早くから夜遅くまで働いても、暮らしはきっとも楽にならんかった。
00:48寝起きの母にせめて真っ白い米の粥をいっぱい食べさせてやりたいというのが木代の願いだった。
00:58村では雪どけを待って、もう種まきの準備を始めておった。
01:11そうなると木代の子守り仕事は忙しくなる。
01:14そして朝早くから背中に子供をくくりつけての暮らしは、畠めほど楽なものではなかった。
01:26かごめ、かごめ、かごの中の鳥は。
01:34日の暮れるまで村人の家の手伝いや小盛りをして、
01:40雑巾として少しの冷えや泡をもらって帰るのが木代の一日じゃった。
01:51雨の降る日は仕事がないので、母にかゆも作ってやれんかった。
01:57そんな日が木代には一番悲しかった。
02:04そんな、ある夜のことだった。
02:18木代の夢の中に観音様が現れてこう言われた。
02:22木代、明日の朝早く草津川の本末まで行ってみなさい。
02:31木の箱があって、そこにお米が入っています。
02:38その日食べる分だけのお米を持って帰りなさい。
02:47朝になって、木代は半分疑いながら草津川に行ってみた。
02:53一本末はその川の縁にあった。
03:02一本末のところで木代はびっくりして声をあげてしもうた。
03:09夢で聞いた通り、末の木の下に古びた米別が置いてあった。
03:15そして中には真っ白な米がいっぱい入っておった。
03:25はぁー
03:26木代は涙が出るほど嬉しかった。
03:35このお米で病気の母においしいかゆを作ってやれる。
03:39木代は観音様にお礼を言って、両手にひとすくいのお米をもらって帰った。
03:53木代は早速真っ白いお米でかゆを作って病気の母に食べさせた。
03:59それから木代は毎朝一本末まで出かけて行って、お米をもらってきてはおいしいかゆを作り、母に食べさせてやった。
04:1730日ほど経ったある朝のことだった。
04:21木代はふとこんなことを考えた。
04:25お米はたくさんある。
04:26毎朝その日の分だけもらうのも、何日分かまとめてもらうのも、おんなじじゃろ。
04:37木代の心にふとまがさしたのじゃ。
04:48木代は袋にお米をいっぱい詰めるとそれを担いで家に帰った。
04:56その夜のことだった。
05:05木代は寝ていて深い深い谷底に落ちていくような夢を見た。
05:13朝になって木代は胸騒ぎを感じた。
05:16それで木代はまた松の木のところに行ってみた。
05:25そしたらどうじゃろう。
05:30米びつの中にはお米がなくて、食べられないような真っ黒い粒が入っておった。
05:36木代は後悔したけど、もう遅かった。
05:42家に入っておくか。
05:54観音様。
05:57私が悪うございます。
06:00毎日おいしお米をもらいながら、欲の深い心を出してしまって。
06:06どうぞお許しください。
06:08キヨは観音様に許しをおうた
06:12次の日からキヨは心を入れ替え
06:19今までよりももっと働くようになった
06:22キヨは観音様にお詫びをしたいと思ったのじゃった
06:30ある夜また観音様が現れた
06:35キヨ聞きなさい
06:39お前がよく深い心を出した
06:43白いお米は黒い粒に変えたのだ
06:47それは花の種だから巻きなさい
06:52夏になると青い花が咲くから
06:56その花びらを積んで汁を紙に染み込ませると思う
07:02それがきっと役にいた
07:06キヨは観音様に自分のしたことをわびて
07:16二度までもお告げをくれた観音様に感謝して
07:21その黒い種をもらうことにした
07:24キヨはそのもらってきた黒い粒を家の前の空き地に巻いた
07:35黒い粒を巻いて
07:38四十日ぐらいすると小さな芽が出てきた
07:43そして日を追うごとにその芽は次第に大きくなり
07:51雨に打たれるとその茎は驚くほど伸びてきた
07:56ご視聴ありがとうございました
08:26夏になると長く伸びた茎に青い綺麗な花をいっぱい咲かせた
08:46家に帰ると
09:13早速摘んだ青い花の汁を絞り
09:17紙に染み込ませた
09:20何回もやらなければならない
09:23それは大変な仕事じゃった
09:26それでもキヨは
09:28クタクタになりながらも一生懸命青い花を絞り続けた
09:34そして夏が終わる頃にはたくさんの青い色をした紙が出来上がった
09:49そんなある日のこと
09:52今日のゆうぜんどんやの人がその紙を分けて欲しいと尋ねてきた
09:59その紙は青花の紙といってゆうぜん染めの下描きにはなくてはならないものじゃった
10:08キヨはこうしてもらった紙のお金でお米や薬を買った
10:16薬のおかげか母は少しずつ元気になった
10:21その後
10:23村人たちもキヨから種をもらって青花を育てるようになり
10:30やがてこの辺りの村では青花の紙が盛んに作られるようになったということじゃ

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