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  • 6 日前
Japanese folk tales
トランスクリプション
00:00昔々、ある山あいに一人の男が住んでおりましたそうな。
00:19働き者の男が畑仕事に出かけるのは、大抵まだ空に、お星様がぴっかり輝いている頃でありました。
00:30男の山の畑には、昔から水止めの桃と言われている古い桃の大木が建っておりました。
00:44水止めの桃の貴様、いつもいつも、おらの家と畑を守ってくださって、本当にありがとうございます。
00:53今日も一つよろしくお願い申し上げます。
00:58こうして男は桃の木に、毎日手を合わせては仕事にかかるのでした。
01:10ここに一人の女がおりました。
01:14女はこの男の嫁様になりたいものと、人知れず思うておりました。
01:19女は、来る日も来る日も畑にやってきては、男を見つめておりました。
01:36けれども、女の思いなど、この男には到底通じそうもないのでした。
01:46ところが、桃の花も終わり、やがて良い香りの実が、タワワに実った夏の初めの、暑い、暑い日のことでした。
01:56えぇ、気持ちじゃぁ、くろう、お前も来ーい。
02:05はははははは、おぉ、そうじゃった。お前は水が苦手じゃったの。
02:11な、なにするだ、おらの着物を何にするだ。
02:21おら、お前の嫁様になりてぇだよ。
02:25お前がうんと言うなら、着物は返してやる。
02:30いや、嫁などいらん。
02:32じゃあ、着物はもろうていく。
02:35待て、おらのたった一枚の着物。
02:37待て、待ってくれぇ。
02:45うんじゃあ、嫁にしてくれるだか?
02:48うーん、いやぁ、嫁などぉ。
02:50嫁にしてくれなければ、着物をもろうていこ。
02:55ええんじゃな、着物をもろうていくぞ。
03:01わかった、お前を嫁にする。着物を返せぇ。
03:05わぁぁぁ。
03:07ほんとじゃなぁ、ほんとじゃなぁ、ほんとじゃなぁ。
03:12こうして女は、男の嫁様になりました。
03:18思い通り男の嫁様になれた女は、よう働いて、
03:23男の世話を焼くものじゃから、男もやがてすっかり嫁さんが好きになりました。
03:28はぁぁぁ。
03:29はぁぁぁ。
03:30はぁぁぁ。
03:31はぁぁぁ。
03:32はぁぁ。
03:33はぁぁ。
03:34はぁぁ。
03:35それからというまま、畑にも、いつも二人仲様を出かけるようになりました。
03:41水止めの桃の木様、おらの家と畑をお守りくださって、ありがとうございます。
03:50今日もひとつ、よろしくお願い申します。
03:54どうしていつも、桃の木なんぞにお参りするだ?
03:59この木は、神様の木なんじゃ。
04:04桃の木が、どうして神様なんじゃ?
04:08この、桃の木はな、昔、この辺りに洪水があったときに、
04:16神様のお告げで、二度と洪水が起きないようにと、植えられたもんじゃ。
04:22そんじゃから、水止めの桃と呼ばれとるんじゃ。
04:26神様はな、この桃の実は絶対に食べてはいかん。
04:31もし、桃の実を食べたときには、再び大水を出すぞと申されたそうじゃ。
04:38これを食べると、大水が出るってか。
04:43うまそうな実がこんなにたんとなってるのに、食べられねえのか。
04:49ええだか、この桃の実は土芸に欲しくても、食っちゃいけんぞ。
04:54そんなにおっかない声出さずとも、わかっただよ。
05:00幾日か経った、ある夜のことでした。
05:11おっ!
05:12大変じゃ。
05:18こんな嵐に何するだ。
05:21桃の木は心配だ。行ってくる。
05:24ええ、そんな。ほら一人でおっかねえだ。行かないでおくれ。
05:30嫁様の頼みを振り切って、男は嵐の中に出て行きました。
05:38その夜の嵐は、家も壊れて飛んでしまうかと思われるほどのひどい嵐でした。
05:44嫁様は頭から布団をかぶって、一晩中震えておりました。
05:53一夜が明けて、嫁さんが山の畑へ行ってみると。
05:57あ、あ、あんた!
06:07おら、一人でどんなにおっかねえかった。
06:11すまねえ。おら、桃の木が心配で、うちにいられなかっただよ。
06:16今日一日寝てるだ。おらが畑に行くで。
06:23おい、桃の実だけは食べるで、ないぞ。
06:28ええなあ。
06:33まったく、もう桃の木桃の木って、そればっかりなんじゃから。
06:38ああ、いっぷくしるねえ。
06:48ああ、あついあつい。
06:53あつくてたまらん。
06:56ん?
06:58なんちゅうええにおいなんじゃろう。
07:01おいしそうじゃなあ。
07:03桃の木はあたり一面、甘い香りを漂わせておりました。
07:11涼しい風が吹くたびにむせるような、香りが女を包むのでした。
07:17シーッ。
07:32どれに、ほしくてもとってくっちゃいけんぞ。
07:37桃の梅をとってくると、大水がでるぞ。
07:42桃の木が、心配だ。
07:45おい、桃の実だけは食べるで、ないぞ。
07:51二言目には、桃の木桃の木って。
07:56バカバカしい。
07:58桃の実を食って、水など出るわけじゃない。
08:01ボケがない。
08:03ご視聴ありがとうございました
08:33お前桃の実を食うただな
08:36あんたどうしてここへ
08:39俺はなんとの気になってきてみたら
08:42お前はなんということをしてくれたな
08:45まだそんなこと言うとる
08:49俺は食ったがなんも起こらねえよ
08:54ほれ
08:55そういえばなんも起こらねえな
09:00だあんたはいい加減な言い伝えを信じてきただよ
09:10ずっと
09:12いい加減な言い伝え
09:15そうかもしれない
09:17こうしてとうとう男は桃の実を食べたのでした
09:22いい加減な言い伝えた
09:32いい加減な言い伝えた
09:42いい加減な言い伝えた
09:44いい加減な言い伝えた
09:46うわあああああああ
10:03助けてくれー
10:05山から引き出した
10:10家も男も女も一切の物を一瞬のうちに押し流してしまったのでした
10:20こうして桃の実一つのために全てはなくなってしまったのでした
10:26水の引いた後の荒れ果てた土地に桃の木に
10:325.2033
10:34
10:353.156
10:37詰めた
10:393.15-12
10:4016
10:427.15
10:4415
10:4517
10:4617
10:473.21
10:4918
10:5118

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