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  • 1 日前
Japanese folk tales
トランスクリプション
00:00昔一人の泥棒がおったそうだ
00:15ある晩のこと
00:28今夜は一つ酒屋に入ってやれと思って出かけて行った
00:34昼間のうちに剣刀をつけておいた酒屋の勘定場の壁にひっついて時を待った
00:42泥棒働くにも潮時というものがある
00:45普通の泥棒は家の者が深く眠り込む寝入り場のお潮時とするが
00:51この泥棒はもう一つ用心をして真夜中になるのを待った
00:56さあいい潮時じゃ
01:00この自分にはみんな高い引きで寝込んでおるんじゃ
01:04泥棒は仕事に取り掛かった
01:11月明かりにすかして道具も確かめた
01:20ななじゅうごう
01:32ななじゅうろく
01:34ななじゅうしき
01:37ところがじゃ
01:38家の中には起きとるものがあった
01:43はちじゅう
01:45はちじゅういち
01:49それはこの酒屋のムコ殿だった
01:53ムコ殿は恐ろしいおかかや使用人が寝静まるのを待って
01:58その日その日にちょろまかした小銭を勘定するのを楽しみにしていたのだった
02:03そうとも知らず外では泥棒が仕事を進めておった
02:11あああああああ
02:25なんか聞こえた
02:29うん
02:30なんか聞こえた
02:34確かこっち
02:55気のせいか
02:57気のせいか
02:59気のせいか
03:00どうも気が小さくていかんわい
03:07さてまたやり直した
03:14はちじゅうはち
03:19はちじゅうくう
03:21九十二
03:27九十三
03:28やった
03:30壁が抜けたぞ
03:32ひひひひひひひ
03:34やった
03:35百だ
03:36ふっ
03:38今日は百も
03:40くすめたぞ
03:42わははは
03:43ここここここ
03:45オラの首の代わりに行ってこい
03:57さあ寝るとしようか
04:01
04:02なんじゃこりゃ
04:14こりゃ泥棒じゃなんとしよう
04:32もこ殿は何かぶったたくものはないかとあたりを探した
04:36そしてとりあえず芋の茎の干したのを手に取った
04:41おーおーおーおーおーおーどかしてやる
04:45くっ
04:49いやー
04:50それ
04:55首を入れていきなり切られちゃかなわんでな
05:03向こうには誰もおらんさて入るとしよう
05:08その前に念運には念を入れて
05:11盗人の神様にご挨拶と
05:13いさきと
05:19ねーもうかもいい調子じゃあさって
05:23いー
05:25よいしょ
05:26ああああああ
05:33うーん
05:36おい起きろ おいっ
05:42これこれこれ えええええええ
05:49なんというこっちゃ 泥棒の方は切られたと勘違いして伸びてしまうし
05:55向こう殿の方は殺してしまったと勘違いしてしまう たとえ泥棒でも殺せば罪になる
06:03罪になればちょろまかしてきた店の金のこともバレてしまうだろうし この家にはとてもおられんことになる気の小さい向こうどの何事もなかったことに
06:14するのが一番とそれだけ考えて泥棒の体を担いで人気のない瓦に捨てに入っ
06:25冷たい夜の雨に撃たれて泥棒は息を吹き返した じゃが当人は死んだつもりじゃから話はややこしくなる
06:37寂しいなぁ
06:41寂しいなぁ 寂しいなぁ
06:44なんという寂しさじゃろうなぁ
06:48うろう歳の河原に居るんだわぁ
06:54サンズの川じゃぁ
07:02すっかり死んだ気だから 見慣れた景色も別世界に見えてしまうのじゃ
07:09サンズの川に橋がかかっておるのも変な話やそれに気づくような泥棒ではない
07:17です
07:31うわぁ
07:34ごっ
07:36楽じゃ
07:38いつもの日の出がとうとう極楽浄土の光に見えてしまった
07:54おまけに土手下の蓮池の淵に出たのでもういかん
08:00すっかりその気になってしまったぬろぼうは極楽に来たのが蓮の葉に乗ってお釈迦様に一目会おうと泥池に入ってどたばたやりだした
08:24もっと大きくないと乗れないよ
08:27もう死んでもわしは乗るまねだ
08:31え?
08:35は?
08:37そんなところで何をしておるのかな
08:40お、お釈迦様だ
08:43お釈迦様許してくだされ
08:50お釈迦では泥棒じゃったが地獄には生きとうない
08:54どうかどうかお釈迦様地獄にだけではお父さんでくだされ
08:59はって何のことやらさっぱりわからんの
09:04頼みますお釈迦様
09:06頼みますお釈迦様
09:08はー、やっと終えた
09:11やっと終えた
09:13はー、一人で喋って一人で気を失っては困るがな
09:19死んだと勘違いし、極楽に来たと勘違いし、そして最後には町外れの寺の和尚、お釈迦様と勘違いしてしまうた泥棒は
09:30これ目を覚ましなされ、これ寝ては困りますぞ
09:35これ
09:36これ
09:37うん
09:38これ
09:39うん
09:40うん、うん、あ、うわー、お釈迦様、お釈迦様、お釈迦様
09:47和尚が、いくらここは極楽ではなく
10:00また、自分はお釈迦様ではないと言い聞かしても、利きではなかったそう
10:05そしてとうとうそのまま寺に住み込んで
10:09掃き掃除などさせてもらって暮らしていたが
10:13はい
10:14はい
10:16はい
10:17きゃー
10:22毒蛇
10:24結局
10:28勘違いしたまま一生終わったという
10:33ご視聴ありがとうございました

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