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  • 3 日前
Japanese folk tales
トランスクリプション
00:00昔、昔、大昔、日本の山々は、あちこちにのんびりと暮らしておりました。
00:26ある日のこと、
00:28なあ、こうやってただ突っ立ってたって面白くないから、みんなでパーッとお祭り騒ぎするようなことないかな。
00:39そんなものはありませんよ。
00:46あ、そうだ。おい、起きろ。
00:51うーん、何です、岩手藤の旦那。
00:53なあ、お前、日本の山の中で一番背の高い山は、どの山か。背比べをしたらどうかな。面白いぞ。
01:05そんなに面白いですかね。
01:08あ、面白いさ。ところでまず、オラはお前より高いよな。
01:13もしかすると、オラが日本一、高い山かもしれんぞ。
01:19うーん、うっ、うーん。
01:22おい、ちょっと待った。
01:24お前さん、そんなこと言ってエバってるけどな。
01:28あ、あそこに飛んでる。
01:30カーコーが言うには、なんでも日本一高い山は、スルガの富士山だそうだぞ。
01:38やーい、カーコー。ベタラメ言うな。この岩手の富士山より高い山があるんだと。
01:47はい、さようでござんすよ。
01:49この目でちゃんと見てきましたでござんすよ。
01:53スルガの富士山が日本一でござんす。
02:01この噂が、日本中の山々の間に広まって、スルガの富士山が日本一高い山だということになりますと、
02:11そんなことはあるものかと、関東では菊羽山、東北からは岩手富士や津軽富士などが、続々と名乗りを上げてはるばる、スルガまで生比べに行きましたが、どの山もスルガの富士にはかないませんでした。
02:30ところが、加賀の国の白山は、周りの高い山々と勝負をして、勝ち進んできただけに、自信をもって生比べを申し込んできました。
02:44おーい、大変だーい。加賀の白山がスルガの富士に、生比べを申し込んだぞー。
02:53そして加賀の白山は、すごい勢いでスルガへ乗り込んでいきました。
03:00これがまた大変な評判になって、他の山々も一斉にスルガの国に集まってきました。
03:10ご苦労様。
03:18これはこれは、遠い所をようこそ、ご苦労様。
03:24まあまあ、一服なさって。
03:26ありがとうよ
03:28じゃあお言葉に甘えて
03:30バカ冗談じゃないよ
03:35やいお藤
03:36よくもこの白山様を差し置いて
03:39抜け抜けと日本一は自分だなんて言いふらしたな
03:45いいえ
03:46私は何も言いませんよ
03:49周りが騒いでいるだけです
03:51ただの
03:53性比べなんだからそんなに力まなくても
03:57なんだと
03:58これが力まずにいられるか全くも
04:02おいみんな
04:04大きな目開けてよく見ろよ
04:08このにやけた藤の野郎と
04:11このおれさまとどっちが高いか
04:16比べてくれや
04:18うーん
04:21ふじはすらりとしているから高そうに見えるが
04:34本当は白山の方が高いかもしれんな
04:39いやー藤の方が高いよ
04:42雲の上に頭が出ているもの
04:46どっちかな
04:51どっちかな
04:53たくさんだと思うな
04:56おれは藤だ
04:59見物に集まったたくさんの山々は
05:05好き勝手なことを言っていましたが
05:08どちらが高いのか
05:10誰にも分かりませんでした
05:13そこで貝の国の白根さんと
05:18信濃と貝の境の八津ヶ岳
05:21信濃の御嶽さんの三人に
05:26審判員をしてもらうことになりました
05:28こうでしょ
05:32こうでしょ
05:34うーん
05:36白山も富士山も大して変わらないな
05:40ひーふーみーよー
05:47きーふーみーよー
05:53あーやっぱり同じだー
05:57えーとこの辺かな
05:59えーとこれで測っても
06:05ほとんど同じだな
06:07どうします
06:10おいまだか
06:12ただいま公平かつ慎重に測りましたところ
06:17ほぼ同じ高さとみて
06:19引き分けと決定いたします
06:22いや待て
06:24ほぼ同じだから引き分けだと
06:27ほぼとはなんだ
06:28もっと正確に測れ
06:30細かく
06:32そうだそうだもう一度やり直せ
06:35もう一度やり直せ
06:37そこで審判員がまた相談しました
06:42ねえ白山の旦那
06:45引き分けということでいいじゃありませんか
06:50いやだめだ
06:51えーとじゃあ旦那が日本一ということにしたら
06:56余計なことを言うな
06:58俺様がお前より性が高いというちゃんとした証拠がなければだめだ
07:04弱ったな
07:06弱ったな
07:08なかなか相談がまとまらず困っているとき
07:14稲光がして雷様が現れました
07:18こらお前たち
07:22わしが教えて死んでよ
07:24よーく聞け
07:27まず加賀の白山と駿河の富士の頭の上に平らに問いを渡すんじゃ
07:35その問いにわしが水を流してやるで
07:39その水の流れた方が背が低いということになるんじゃ
07:44雷様ありがとうございます
07:48さっそく問いを用意いたしますので水の方をお願いいたします
07:54さあいよいよ雷様の言う通りに
08:12トイを両方の山に乗せて
08:15白山と富士山の山の性比べが始まりました
08:20では雷様水をお願いいたします
08:24あいよー
08:26白山がんばれ
08:28富士山がんばけ
08:30富士山負けるなー
08:44さあどっちだ
08:46わーわー
08:47うわー流れ出しました
08:50トイの中の水は徐々にハクさんの方へ流れ出しました
08:56わらじじゃわらじじゃ
08:58はいわらじじゃわらじじゃ
09:00早く早く
09:02もう間に合いません
09:04間に合いませんよ
09:06周りの応援団たちは
09:15あわてて自分たちの吐いているわらじを
09:18ハクさんの頭の上に入れたのですが
09:20間に合いませんでした
09:22おほっ
09:25これにてけって
09:27駿河の富士の勝ち
09:30どうやらハクさんの負けのようじゃな
09:36うるさい
09:37ねえハクさんの旦那
09:41そう気を落とさないで
09:43山は何も背の高いのがいいとは限りません
09:48旦那だって肩が広くて
09:51立派じゃありませんか
09:53うるい
09:54こうして駿河のハクさんは
09:59駿河の富士さんとの生比べに負けてしまいました
10:04その後これを知った人々は
10:12ハクさんへ登る時
10:13少しでも
10:14背を高くしてやろうと
10:17頂上に着いた時
10:19新しいわらじと吐き替えて
10:21古いわらじを積み重ねて
10:25慰めるということです
10:27ご視聴ありがとうございました
10:41ご視聴ありがとうございました

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