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  • 3 か月前
Japanese folk tales
トランスクリプション
00:00昔、むかーし、神様がまだこの地上に森や動物たちをお作りになったばかりの頃のことだ。
00:16その頃は森に住む動物たちもほんの数えるぐらいで、大きいのも小さいのもみな一様に浅つ湯を飲んでのんびりと暮らしておる。
00:46動物たちは初めのうちはそれでよかったのじゃが、時が経つにつれて次第に浅つ湯に飽きてしまい、不平を漏らすようになった。
01:09なあ、ヘビよ、もう浅つ湯ばっかりじゃ飽き飽きしたで、神様になんかおいしい食い物頼んでみようや。
01:21なあ、クマよ、もっと腹にずっしり応えるような食い物食いてえだろ。
01:27なあ、みんな、浅つ湯だなんて飽き飽きだな。
01:33ああ、そうじゃそうじゃ、飽き飽きした。
01:36ああ、朝露なんて飽き飽きだ。
01:40そう言って動物たちは不平不満を漏らして、昼間からまるで死んだように、あちこちでぐったりと寝転がる始末じゃった。
02:00こんな動物たちの様子をご覧になった神様が森に降りてこられて、
02:06そんなに浅つ湯が嫌なら、これから生きていくための食べ物を決めてやろう。
02:15では、明日太陽が森の一番高い木のてっぺんに上がった時、
02:22みんな神殿の前の広場に、
02:25集まるがよい。
02:26ああ、とおっしゃった。
02:30自分が生きていくための食べ物って何だろう。
02:35どんな味がするのかな。
02:37ああ、と口々につぶやきながら、森の動物たちは、
02:43明日神様にそれぞれの食べ物を決めてもらうのを楽しみに待つことにした。
02:49ところが、日が暮れて、森で鳥や獣たちが眠り始めた頃、
03:06かたつむりやミミズのように足の遅い虫たちは、
03:10広場に向かってもう動き出しておった。
03:13ゴミのような虫どもめ。
03:17ぞろぞろ浮かれて生きよる。
03:19見ておりよ。
03:20夜が明けたらすぐ追いついて、
03:23蹴散らかしてやるから。
03:26もう、一眠りだ。
03:32よいしょ、よいしょ。
03:36頑張って。
03:37やがて夜が明けて、真っ赤な太陽が少しずつ昇り始めると、
03:48鳥や獣たちも我先にと広場を目指して進んでいった。
03:57そんな中、ノロノロと蛇も進んでいった。
04:01足の速い獣たちは、
04:03お先に失礼。
04:04お先に?と声をかけてどんどん追い抜いていった。
04:10取り残されたヘビはいつの間にか、
04:12小さな虫たちの仲間と一緒になっておった。
04:19まあ、のうびり参りましょう。
04:21そうですね。
04:22あ、よく寝たぞ。
04:33さあ、早いとこ神様に、
04:36うまい食べ物を決めさせて、
04:38ただすぐ食いまくるべ。
04:40へへへへへ。
04:43あれ、誰も通らんようだが、
04:45おらだけ取り残されたんかいな。
04:47なあね、ひとっ飛びでおいしつくんだよ。
04:49と、カエルは寝坊して遅れた分を取り戻そうと、
04:56もの凄い勢いでぴょんぴょんと広場の方へ跳ねていった。
05:00おいおいおい、道をあげろ、道をあげろ。
05:02ああ、カエル様のお通りだ。
05:05邪魔邪魔邪魔。
05:07邪魔。
05:09カエルどん、危ないじゃないか。
05:11なに、野呪魔の蛇丼、何か言おう?
05:16そんなに飛ばすと、危ないじゃないか。
05:20ふん、野呪魔が、何を言おう。
05:23ふっ。
05:24えいよ、この野呪魔め。
05:26やい、悔しかったら、
05:28このおれ様の尻でもなめてみろ。
05:31ほらほら、ほらほら。
05:33ほらほら。
05:33ほらほら。
05:35ふん、ほらほら。
05:37ほらほら。
05:39ほらほら。
05:41あのー、こけなすめ。
05:44のー、カエルどん、
05:46いい加減にして道をあけてくれんか。
05:50ふっ。
05:51お前らには付き合っておれ。
05:54しょうのないやつですな。
05:56カエルどんは、自分のことしか考えてないようですね。
06:03やがて太陽が森の一番高い木のてっぺんにのぼった。
06:10神殿の前の広場には、
06:13鳥や獣や虫たちがぞろぞろと集まってきて、
06:16みんな神様が出てこられるのを、
06:19今か今かと首を長くして待った。
06:28やがて神殿の扉が開き、
06:30黄金色の眩しい光をせに、
06:33神様がお出ましになった。
06:36みんな、集まったようじゃな。
06:40ではこれから順番に、
06:43それぞれにふさわしい食べ物を決めるから、
06:46よーく聞け。
06:47では始めよう。
06:52えーと、鹿はじゃな。
06:55野原を走り回るのが好きじゃから、
06:58草を食べるがよい。
07:00鳥は朝から木々の間を飛び回っておるから、
07:04木の実を食べるがよい。
07:06こうして神様は次々と、
07:11それぞれにふさわしい食べ物をお決めになった。
07:14やがてカエルの番がやってくると、
07:19カエルはひれ伏して神様にお願いした。
07:23どうか、神様、
07:24足には簡単に捕まえられて、
07:27いつまでもなくならない食い物を決めてくだせ、
07:30お願いしますだ。
07:32この通りです。
07:34この通りです。
07:36神様はしばらくお考えになって、
07:39こうおっしゃった。
07:41カエル、
07:42お前はよくぴょんぴょん跳ね回っておるから、
07:46食べ物もぴょんぴょん跳ね回る虫がよかろう。
07:51え、む、虫ですか。
07:55こんな小さい虫、
07:56いくら食べたって腹がいっぱいになるねーやー。
08:03まあ、神様のおっしゃることだから、
08:05がんまんするかー。
08:08さて、つぎはヘビの番じゃなー。
08:13はい、そうです。
08:16神様、こいつはノロマで役立たずだで、
08:20あんまり良い食い物でねーほうがいいですよー。
08:24そうか、そうか、わかったわかった。
08:27じゃあ、どうしよう。
08:29へっ、へっ、へっ、へっ、
08:32ざまぁみろ、ノロマ。
08:34では、ヘビよ、お前の食べ物はカエルが言うように、
08:39あまり良い食い物でないが、それでいいなー。
08:43はい、神様、どんな食べ物でも喜んで。
08:48へっ、へっ、へっ、へっ、へっ、へっ、へっ。
08:49じゃあ、ヘビよ、お前もぴょんぴょん跳ねるもの、食べるのじゃ。
08:56ぴょんぴょん跳ねるものって、
08:58オラと同じ虫ですか?
09:01かみ様、こいつと一緒のものを食うだなんて、お断りだ。
09:06それだけオラの分が、減るじゃないですか。
09:10カエルよ、安心せん。
09:13ぴょんぴょん跳ねるって言っても虫ではない。
09:16だとすると、まさか、うさぎじゃないでしょうね。
09:22こいつもぴょんぴょん跳ねますが。
09:26うさぎでもない。
09:27お前はここへ来る途中で、ヘビに尻をなめろと言って、
09:33ぴょんぴょん跳ねてからかっておったであろう。
09:36だから、ヘビはカエルを食べ物とするがよい。
09:41いやっ、ぴょんぴょん跳ねるって、オラのこと。
09:47よいか、生き物を食べて生きるということは、
09:53自分もまた食われるということじゃ。
09:55これは、浅水を飲んで生きるのよりも、もっと苦しいぞ。
10:01食べ物にありついたときは、感謝の気持ちを忘れるな。
10:10こうして森に生きる動物たちは、
10:13みんな自分にふさわしい食べ物を決められたそうじゃ。
10:21パッ、パッ、助けて。
10:23そしてそのとき以来、ヘビがカエルを見ると、
10:32必ず尻から飲み込むようになったということじゃ。

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