00:00ん
00:01ん
00:02ん
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00:10ん
00:11ん
00:12昔昔
00:15ある村にどっさり金があるのに
00:18大層欲の深い金という金貸しがおったそうな
00:23ん
00:25ん
00:27ん
00:29ん
00:30ん
00:31ん
00:32ん
00:33ん
00:34う
00:36ん
00:38上野俊したい
00:39日
00:41ん
00:43ん
00:45ん
00:47ん
00:49ん
00:50ん
00:51ん
00:53ん
00:54ん
00:55なんでおらん家の柿を盗むだ
01:00盗むだと何言うだ
01:03こんなに熟しすぎた柿が
01:05豪大官様の頭にでも落ちてみろ
01:08ただじゃすまねえぞよ
01:10まあまあええさ
01:14おら何も礼なんぞいらね
01:16それが親切ってもんだでな
01:18何しろおら一遍だって
01:29そうしたことねえだからな
01:31秋も深まったある日
01:38キーの家に一人の裕福そうな旅人が
01:42水を飲ませてほしいと立ち寄った
01:44ああうめえこんなにうめえ水は初めてじゃ
01:50あんまりうめえから少しもらってきてえが
01:53よがやんすか
01:54水を褒められたせいか欲張りキーには
01:59珍しく文句も言わなかった
02:01おかげさんで行き帰りやんした
02:05ほんの気持ちでやんす
02:07まあまあここへかけて休みなされ
02:13さささどうぞどうぞ
02:15ではちょいと休ませていただきやんす
02:19たかが水ぐれでこんな大金もろっていいんでやんすか
02:23ねえ旦那
02:25なにわしゃ金を増やす神様を知っとりやんすから
02:30金を増やすそんな不思議な神様があるんで
02:35いやあ金なんてもの渡らねえぐれがちょうどいいんでやんすよ
02:421問お供えすると翌日には2問その2問が次の日には4問と
02:48お供えするたんびに倍々と増やんして
02:52とうとう1年も経たんうちに家中金で座るところもないありさま
02:57そんなに金が
03:01自然運命もんばっかり食うとるもんで体は生るし大気じゃしそれで運動のために歩き回っとるんでやんす
03:11その神様はどこにあるんでやんす
03:14そりゃ教えられめったなことでは教えられ
03:20旦那の欲しいものは何でもやるだ
03:22なあ頼む教えてください
03:25これどういった
03:27じゃがわしには何でもあるしな
03:30そうじゃここの水を毎日届けよ
03:34どんなに遠くてもかまわ
03:36飲んだこともねえほどうめえと言うたじゃろうが
03:39た、た、たのむ
03:40ほうこの水を毎日かえ
03:43うーん
03:46だが絶対秘密でやんすぞ
03:49こうしてうまいこと金を増やす神様を教えてもらうことにした欲張りキーは
03:59翌日約束の水をもってさっそく旅人の家を訪ねた
04:06村から5人ほどしかない山の上にあるその家は
04:22聞き死にまさる立派な家であった
04:29ふーん
04:36ふーん
04:38こんな御殿があるのなんで今まで知らなかったんじゃろう
04:42おおおおおお
04:44よーい出会いした
04:47はいはい
04:48さあ約束の水じゃ早お神様の場所を教えてくだせ
04:52それならほれ今通ってきた林のずっと奥にほこらが
04:57ありがてい
04:59その祠はすぐに見つかった
05:05これか
05:07キーはまず一門だけ備えたが
05:17それでも心配しーしー帰ったのじゃった
05:21そして翌日
05:25まだ夜も明けきらないうちに約束の水を届けると金の増える神様のところへ駆けつけた
05:33おおお
05:34バイシャバイシャ
05:37ひひひひひひひひひひひひひひひ
05:39キーは
05:43毎日老人に水を届けてはほこらにお参りした
05:48備えた金は翌日にはちゃんと倍に増えておった
05:53初めは用心深く小銭で試してみた木を
05:57やがて安心してどんどん備えた
06:01おかげで金はみるむる増えていった
06:04ついに欲張りの本性を表した木は
06:15家中の金を集めその上に
06:18村人たちからまだ相当機嫌のある貸し金まで
06:22情け容赦なく取り上げて歩いた
06:28さて次の日木は有金全部を持ってほこらに向かった
06:34全部で100か
06:53どうか神様今度もよろしいお頼みします
06:57これが倍になりあの御殿よりさっと立派な家が立つ
07:09誰かに見つかって取られやせんじゃろ
07:22楽しみなような心配なような神様
07:28さすがに
07:29全財産をかけたキーは心配で心配で万じりともできなかった
07:35キーは夜が明けるとすぐ馬を走らせた
07:40あった
07:51日踏みよ
07:54いつむ
07:56おー増えてる増えてる
07:58キーの願い通りお金は倍に増えていた
08:03198、199、200
08:08200じゃ200じゃ
08:12倍じゃ倍じゃ
08:20ははは
08:27ははははは
08:31夜になるとキーは全部の金をそっと家に運んだが
08:37嬉しくて嬉しくてなかなか眠れんかった
08:425点どころかどでかい城がおったつわい
08:49我慢でもう一度おがも
08:52なんじゃこれ
09:12そんな馬鹿な
09:15これもダメ
09:18これもダメ
09:21インシクルばかりでインシクルばかりで
09:24キーは夜更けも厭わず旅人の家へ駆けつけた
09:42なにどこへきいたんじゃ
10:01こんなはずはない
10:14こんなはずはない
10:17どうしてくれるんじゃ
10:20キーは夢に夢見る心地してあたり一帯を探し回った
10:28だがあの素晴らしい御殿も神様を祀った祠も跡形もなく消えて
10:36続きの小波が風にそよぐばかりじゃった