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  • 2025/5/13
トランスクリプション
00:00語る上で欠かせない重要なキーワードなのです
00:04やっぱり岡本さんはあそこに生命のエネルギーを
00:13縄文を通して感動したんでしょうね
00:20縄文土器を発見したっていうのは彼の100万の見方よね
00:25岡本太郎さんは縄文土器を発見して自分を見たんだと思いますね
00:29岡本太郎が触れた芸術の発見流
00:35今回はその深淵に迫ります
00:39さあ今日は岡本太郎さんということですけども
00:52あの私の兄は太郎っていう名前なんですね
00:55だから子供の頃からうちの兄がこう
00:57ゲーズ爆発だとか言ってすごいエキセントリックな真似をしてたんで
01:00すごい印象に残ってるんですけど
01:02こうやって改めて岡本太郎さんを見ると
01:05本当すごい弾けまくってますね
01:08鶴太郎さんはそれこそ偉大なる岡本太郎さんと共演なさっていた
01:12僕としてはねその
01:15まあテレビに一番出てる頃ですから
01:19あのやっぱりキャラクターが
01:21あの司会としてはもうおいしいわけですよね
01:23そうですよね
01:24それでね毎週なんですけども
01:27あのおやだまーすって先生おやだまーすって僕の顔に言って
01:31うわぁ似てる
01:33君やったりだって言うんですよね
01:35うん
01:35いやあの鶴太郎ですよって
01:37うんうんうん
01:38つって言ってね
01:39でまた次の週もどんどん先生おやだまーすって時
01:43君やったりだろうって
01:45おー
01:46鶴太郎ですよって
01:47うんうん
01:48名前なんかどうだっていいんだって
01:58君がいればいいんだって言ってね
01:59すごいですよね
02:00散々聞いといて
02:01名前なんかどうだっていいんだっていう
02:03お年はすごいですよ
02:05なんだこれやつら
02:07なんだこれはっていう驚きと喜びとショック
02:10喜びそうね
02:11うんうん
02:12あなんだこれはじゃないんですね
02:14うん
02:14なんだこれは
02:16なんだこれは
02:16おー
02:17ほれてんなこれ
02:39はって言ってる芸術ってものが
02:41人々に広まるんであれば
02:43もう何以人にもそれが優先するって
02:45詩名感がないとね
02:46あそこまで自分を素材には逆にできないと思うんですよね
02:50かっこいい
02:51天田さんは関西出身ということで
02:53あの太陽の塔は子供の時から
02:56夢の中でよく
02:59夢の中によく出てきたんですよ
03:02太陽の塔が
03:04寝てましたらね
03:06客観的に見てるんですよ
03:08寝てる自分を
03:09そしたら太陽の塔がこうやって自分を覗き込んでるんですよね
03:12不気味な感じでありますよね子供から見ると
03:15怖いですよ
03:16怖いですよね
03:17あとあの芸術はうまくあってはいけない
03:20あと何でしたっけ
03:22うまくあってはいけない
03:23きれいであってはいけない
03:25そして心地よく
03:25心地よくてはいけない
03:27けど音楽芸術の音楽は
03:30これ3つ揃わないといけないじゃないですか
03:32だからこうどう理解していいのか今わからなかったんですけど
03:36僕の中ではね
03:372つは僕は同感なんですよね
03:40心地よ
03:42心地いいことを否定してる
03:44っていうのだけがねちょっと僕は
03:46あの岡本太郎さんとはちょっと違うところで
03:49絵とかで
03:50あの色
03:51色合いで
03:52とても心地よくなって癒されるっていう部分は
03:55僕は芸術の中では
03:56とても大事な部分じゃないかなとは僕は思ってるんですよね
03:58岡本太郎の集大成といえる太陽の塔
04:04しかしその誕生の陰に50年前の意外な発見があったのです
04:10上野にある東京国立博物館
04:151951年
04:19偶然ここを訪れた太郎は
04:22運命的な出会いをします
04:24隅の方にね
04:27あっと思うようになった
04:28なんだろう
04:30その時
04:32太郎の目に飛び込んできたもの
04:35こう引き付けられてね
04:37行って
04:38やってみたらね
04:39縄文土器って書いてあるんですよ
04:41太郎に衝撃を与えたもの
04:44それは縄文土器でした
04:47この番組は
04:52バリューコミュニケーションを大切にする
04:55みずほフィナンシャルグループの提供でお送りします
04:581951年
05:02東京国立博物館で
05:05岡本太郎は
05:06今まで見たことのないものを発見します
05:09ガタガタッと引き付けられてね
05:13行って
05:13やってみたらね
05:15縄文土器って書いてあるんですよ
05:17それは遥か昔
05:19縄文時代に作られた土器でした
05:21太郎は
05:23そのダイナミックな造形と
05:25神秘的な文様に
05:27心を奪われたのでした
05:29日本の過去にね
05:33こんなものがあるとは
05:35全然知らなかった
05:36ほとんど誰も知らないんですよ
05:38考古学の資料であったかもしれないけど
05:40美術史には全然載ってなかった
05:43今でこそ
05:45よく知られた縄文土器ですが
05:4750年前の見方は違いました
05:50考古学的に時代分析はされていたものの
05:53美術的には全く評価されていませんでした
05:57当時日本人の原点は弥生人
06:05日本の美の始まりも弥生時にあるとされていました
06:09縄文土器は原始人が作ったものとさえ言われていた時代
06:15太郎はその荒々しいフォルムに美を見出したのです
06:20縄文土器に感激した太郎は
06:363ヶ月後
06:37美術雑誌に論文を発表します
06:40縄文土器論
06:43それは縄文土器の芸術性を厚く世間に訴えるものでした
06:49激しく追いかぶさり
06:53重なり合って
06:55隆起し
06:56加工し
06:57旋回する流線紋
06:59これでもか
07:00これでもかと
07:01必要に迫る緊張感
07:04しかも
07:06純粋に透き通った神経の鋭さ
07:09常々芸術の本質として
07:13超自然的劇場を主張する私でさえ
07:17思わず叫びたくなる凄みである
07:21東京青山にある岡本太郎記念館
07:28生前太郎が創作していたアトリエです
07:32秘書として50年
07:38太郎を間近で見つめてきた
07:40岡本敏子さんが語ってくれました
07:42へぇ
07:45証文と何なんだ
07:46ってびっくりしちゃったね
07:48その
07:48迫力ね
07:50それから空間性ね
07:52もう今の芸術って言ったって
07:54こんなすごいものは作れないっていうほど
07:56猛烈でしょ
07:58それだね
07:59もう本当にね
08:00衝撃を受けてね
08:01だからそれは自分自身や
08:04自己発見
08:05自己確認
08:06はぁ
08:08こんなの作った奴らがいるんだ
08:10これは俺じゃないかって
08:11大きな自己発見をした
08:16縄文時との出会い
08:18太郎は縄文時のどこに
08:21聞かれていたのだろうか
08:23太郎と縄文時の衝撃的な出会いを
08:27物語る証拠が
08:28この美術館に残されていました
08:31太郎はその感動をカメラに収めていたのです
08:45縄文に取り憑かれたかのようにシャッターを押し続けたそうです
08:56その数
09:00なんと220枚
09:02よく見ると興味深い事実がありました
09:07太郎は土器とともに土偶の写真もたくさん撮っていました
09:14土偶は子孫繁栄や病気が治るようにと
09:20祈りを込めて作られた人形です
09:23そのユーモラスでどこか悲しげな表情が気に入ったのだろうか
09:30そしてもう一つ
09:40カメラで全体像を最初フルショットで写しながら
09:45次第に細部ディティールを捉え始めます
09:50太郎の目は細部を主要に捉えていました
09:54写真のほとんどがアップを撮っているのです
09:59中でも太郎の目は渦巻きの文様に注がれています
10:14激しく埋めるこの文様に太郎は何を見ていたのだろうか
10:23岡本太郎が見せられた縄文土器
10:28一体縄文とはどんな時代だったのだろうか
10:32縄文時代
10:35それは時を遡ること13000年前
10:39弥生時代から現代までの3倍以上
10:42およそ1万年という長きに渡って続いた
10:46悠久の時代です
10:48日本の霊名を告げる縄文時代
10:52現在では縄文人は国の木の栽培や
10:57漆の使用などかなり高度な文化を持っていたと考えられています
11:02その証拠が縄文人が世界で最初に発明した土器です
11:08縄文土器
11:11粘土でできた土器に縄の目をすりつけたことからその名がつきました
11:16粘土はですね
11:19そういう柔軟性という重要な性質を持っているものですから
11:24気に食わなければいくらでも作り変えることができる
11:29とことん理想に近づけてですね
11:31自分の形を表現しようとする
11:33それが可能になってきたんですね
11:35だから土器というものが人類の歴史全体の流れの中で
11:42極めて大きな造形的な革新的事件であるという風に評価できるんです
11:50世界最古の陶芸家 縄文人
11:58初期は土器に簡単な文様をつけたものでした
12:02それが5000年前の縄文中期になると
12:06様々な文様と豊かな表現力の土器が現れます
12:11太郎が見せられた縄文土器もこの中期に作られたものでした
12:19誰にも教わらずに作り出した造形
12:24縄文中期に何かあったのだろうか
12:28文化的な高揚器
12:30一番ピークに達した活力にあふれた時代に
12:35たどり着くわけですね
12:38その時が縄文時代中期なんですよ
12:41人口も多くなります
12:42そして日本列島全体での縄文文化の動きも活発になります
12:48縄文時代中期は人口が急激に増え
12:53今までの文化が一気に花開く時
12:56大規模な集落が形成されるようになり
13:00海や山へと行動範囲を広げていきます
13:04土器の造形も力強くなり
13:08文様も複雑になっていきます
13:10実用性を無視したデザインが増えてきます
13:18その中に数多く見られるこの渦巻き
13:27太郎が惹かれたこの文様にはどんな意味があるんだろうか
13:31その答えを探る手がかりが
13:35新潟県長岡にありました
13:38縄文の魅力に取り憑かれた陶芸家
13:44丸山光三郎さん76歳
13:47丸山さんは30年前地元の博物館で見た縄文土器に感動
13:56縄文人の精神を今に伝えようと決意
14:00すぐに勤めていた会社を辞め
14:03自ら土器を作り始めたという
14:06丸山さんは一体縄文に何を感じたのだろうか
14:1620年30年同じものを作っていてもね
14:22非常にこうやって眺めてね
14:24見てるというのをやはり神秘的を感じるんですよ
14:28やっぱり縄文人は非常にそういう紙の
14:31紙のことについて我々の今の現代の人が
14:35頭の中にあるのと違う
14:37その偉大な感覚を持っておったんじゃないかなと
14:42自然を大自然しておったために
14:46そういう貴重なものはこういう形に表してきたんじゃなかろうかと
14:53大自然の中で生きる縄文人は
14:57神への異形の面を土器の文様に込めていました
15:01丸山さんは縄文の精神にたどり着くことができたのだろうか
15:07原稿寺の方は豊かでねえんでねえしょうかね
15:11心の豊かさは
15:13物は豊富だろうもね
15:15物は豊富だけども
15:18心は縄文人と逆らねえでしょうかね
15:20現代人の失った心の豊かさ
15:26これは世界にも見ることができます
15:29不思議なことに
15:33世界中の古代文明の中にも
15:36同じ文様を見つけることができるのです
15:39紀元前3000年の英家文明の器
15:45紀元前1500年のマヤ文明の皿
15:52紀元前1800年のスキタイの飾り
15:59そしてケルトの聖書の装飾にも渦巻きがありました
16:07時代も場所も全く違う古代文明に
16:12なぜか日本の縄文と同じ渦が使われています
16:16特にヨーロッパの古代文明を築いたケルト文化では
16:23渦巻きの文様が多く使われています
16:26ケルト文化研究家鶴岡真由美さんに
16:33渦巻きについて聞いてみました
16:35世界の人類が最も最初にと言っていいかもしれませんけれども
16:44刻んだ文様だと
16:46つまり人間がこの世界に生まれ落ちて
16:49世界を見た時にそれを何かの形にしたいという風に
16:53最初に思うわけですよね
16:55それが渦巻きという形になっている
16:59人類初めてのアート行為
17:03それが渦巻きなのです
17:06古代人は渦巻きにどんな思いを込めていたのだろうか
17:10生と死と再生というものの祈りですね
17:15人間が生きたいという
17:17生きていきたいという
17:18この大神前の中でよりよく生きていきたいという
17:22そういう祈りを込めた文様だということが言えると思います
17:26渦巻きは古代人の
17:31生きるという根源的な願いが込められた芸術だったのです
17:35縄文人の根源的な生命の表現
17:45これこそ岡本太郎が見せられた
17:49縄文の美だったのです
17:52非常に渦巻きというのは芸術的なものなんですね
18:08壺の作り方そのものが渦巻きですからね
18:11なんか今こう作ってますね
18:14粘土をひもにしてね
18:15焼き物の中では
18:17唐津のひも作りとかたたきというのは
18:23全部やっぱり最初に粘土をひも状にして
18:27作るんだって教えてもらったんですけど
18:30やっぱりそれは古代の作り方がそうだったと言いますから
18:33もうすでに何ですか
18:35このドッキーに気づいた時に
18:36そういう作り方なんだと思って
18:39それが継承されているんでしょうね
18:41それが強いとか
18:42すごいですね古代の
18:44初めて作ったのにようそんなことしてましたね
18:47縄文時代の人は
18:49自然界のものっていうのは直線はないんですよね
18:51みんな曲線ですよね
18:52直線というピッという線は
18:54人間が作り出したというか
18:56人間がこう作ったものは直線にはできますけど
18:59自然界のものじゃないですもんね
19:00ですからまさにそのねじれと
19:02うねりっつらも自然界の
19:04全ての造形がこの中に集約されているみたいな
19:09対照的に弥生っていうのはさっき出てました
19:11非常にシンプルな
19:13そうですね
19:13つるーんとした
19:14あれも美しいっちゃ美しい形ですね
19:16シンプルだね
19:18そうですね
19:18けど比べるとなんかあれが古典で
19:21こっちは前衛っていう感じしますよね
19:23やっぱり同じ古代のものですけど
19:24縄文と弥生っていうのはどう比べたらいいのか
19:28よく言われるのは縄文は狩りの文化でね
19:31弥生は濃厚の文化だってますよね
19:33狩りしてる場合にはいつ取れるかわからないです
19:35で自然を相手にしてます
19:37獲物が欲しいとかこういうもの獲物が獲りたいってなった時に
19:41天に向かってこう祈るわけですよね
19:43でそういう時にやっぱり人間のこの弱さとか強さとか
19:47本能的なものがこうむき出しになってくる
19:50そういうこうエネルギッシュな感じと
19:53弥生になるとその濃厚で
19:55つまりその食べるものを育てるわけですから
20:00ある種のそのいつにどれだけ取れるかという計算ができる
20:05なんとなくこうエムラが取れなくても
20:08そんなに慌てなくても大丈夫というか
20:10そういう心の差みたいなものがあるような気がするんですよね
20:15分かりやすいです
20:16でも機能的にはどうなんでしょうか
20:19使うとしたらやっぱり弥生式土器の方を使いますよね
20:24これはやっぱりどう考えても置物にしかならない
20:27これに何か入れてがっつりこう飲んだりはできないですよね
20:31おっしゃる通り実用に向かなかったり立たなかったりするものは
20:34みんなそのお祭りの道具じゃないかって言われて整理されるんだけど
20:38多分その食べることがもうお祭りだったんですよね
20:41うんですよね
20:42そんな今みたいに1日3食じゃなくて
20:45いつもね少しのものを大事に大事に食べてたけど
20:50そこでタンパク質ですよね動物性の
20:53そりゃお祭りですよね
20:56なんかこう悩み苦しみみたいなものがこう詰まっているように私には見えるんですけど
21:02お祭りのものなんだろうけど
21:04このねじれとかこうゴツゴツした感じがね
21:08もちろんその当時の人たちは
21:10このように芸術になろうなんて
21:14はらっから思ってなくて自分たちの感情というか
21:17そうですね
21:18そういうまんまでやっているところの
21:19もう無作為の感動みたいなものにねやっぱり打たれますよね
21:23そういうところにやっぱり岡本太郎さんはやっぱり
21:25もう本能的にパッとこう感じたんだと思います
21:27岡本太郎が縄文の美を発見したのは40歳の時でした
21:36その背景には青春時代
21:43パリでの体験が大きく関わっていたのです
21:471929年18歳の時
21:55岡本太郎は絵を学ぶためパリに渡り
21:59多感な青春時代を過ごします
22:01当時パリは世界の文化の中心地
22:06街は芸術にあふれていました
22:09そこで太郎はある一枚の絵に出会います
22:14偶然入った画廊で見た絵に釘付けになります
22:21ピカソの水差しと果物鉢
22:26本当にピカソの作品を見た時にね
22:33震やがるほど感動したんですよ
22:37これだ全身が叫んだ打ってくるもの
22:41それは画面の色や線の魅力ばかりではない
22:45その奥からたくましい芸術家の精神が
22:48ビリビリとこちらの全身に伝わってくる
22:52太郎は感動のあまり泣いてしまったのです
22:57ピカソの絵に衝撃を受けた太郎は
23:04この日を境に急速に抽象芸術に傾倒していきます
23:09しかし真似るだけでは芸術は生まれません
23:14太郎はピカソに挑みます
23:17僕はよくアンティピカソっていうことを言う
23:20それはピカソに感動してるから
23:22それを乗り越えなきゃいけないと思う
23:23それに感動してますなるほど
23:25はぁなんてやっちゃ芸術じゃなくなっちゃう
23:28本当に感動したものにこそそれを乗り越えなきゃいけない
23:31だから強烈に感動したものに対して対決して
23:36自分を生かしていくことが本当の芸術なんですよ
23:38抽象的な表現だけでは見ている人にまっすぐ届かない
23:44太郎は自分の芸術を模索します
23:48そして新たな画風を作り出しました
23:55それがこの痛ましき腕
23:57抽象と愚症
24:00相反する二つのものを同じ画面の中に描いたのです
24:05リアルに描かれた傷ついた腕
24:08何かを象徴した真っ赤なリボン
24:13意味はわからないけど何かグッとくるものがあります
24:17ただ抽象的であったただ愚症的であったんじゃなくて
24:24抽象と芸術のぶつかり合い
24:26引き裂かれたところに人間の本当の存在があるというので
24:29私は抽象であると同時に愚症的な絵を描き出した
24:32相反するものがぶつかるときに生まれる芸術のエネルギー
24:39太郎はこれを対極主義と呼んでいます
24:42岡本太郎の対極主義を画家の横尾忠則さんはこう解釈しています
24:50概念の違う両極のものをとにかくぶつけるあるいは共存させる
25:00一つの画面の中にもそういう要素が入っている
25:04それをぶつけることによってそこでは爆発するということだと思うんですよ
25:10つまりその落差が両極の落差が大きければ大きいほど
25:14ぶつかったときのエネルギーは拡大されるんですよ
25:19対極主義を手に入れた太郎はパリでもう一つの出会いを果たします
25:26それが民族学でした
25:30岡本太郎は世界中の民族資料を目にし人間のエネルギーに感動します
25:39そしてソルボンヌ大学で民族学を専攻します
25:45自分から発する芸術のエネルギーに対して
25:51世界中から自分に向かってくる民族のエネルギー
25:55それは対極主義をさらに押し広げる必然的な出会いでした
26:02民族学者と芸術家
26:29全く逆の二つの目を持つ岡本太郎だからこそ
26:34縄文の美を発見できたのです
26:38パリで対極主義を身につけた岡本太郎は
26:46戦後アバンギャルドの騎士として
26:48日本美術界に新しい芸術を投げかけます
26:52その代表作森の掟
26:57真ん中にいる赤い怪物
27:03それから逃げ惑う弱き動物たち
27:06怪物はファシズムを表し
27:10戦争反対のメッセージが込められた作品に見えます
27:14しかしこのファスナーは何でしょう
27:17太郎を曰く
27:20全く意味はないそうです
27:23意味あるものと無意味なもの
27:28抽象と愚症
27:31現実と空想
27:34対立するものがぶつかり合う芸術
27:37太郎の対極主義です
27:40次々と発表する太郎の前衛的な作品に対して
27:48当時の日本の美術界はどんな反応を示したんだろうか
27:53日本の伝統文化みたいなところでは
27:57相変わらず球体依然とした状況が続いてたような
28:01そんな感じはあったと思いますよね
28:03岡本太郎を国評する向きももちろんあったわけですよ
28:08色オンチだみたいな言われ方したりとかですね
28:11なんかわけのわかんない絵を描くやつだみたいな
28:14当時の美術界は弥生時に代表される
28:17うまくてきれいで心地よいものが評価されていました
28:21太郎の考える芸術とは全く逆です
28:24そんな時太郎の身に飛び込んできたのが縄文時
28:29本当にそのいわゆる日本の画壇美術界と
28:35ぶつかり合っている真っ最中に縄文にぶつかったんですよ
28:38それはねもうそういうひっくり返さなければならない
28:42いわゆる弥生以降の平板で繊細でお上品で
28:50くちくちしてて陰気で
28:51そういう日本の美術界に対してボーンとぶつけるね
28:55本当彼にとってはもう100万の味方よね爆弾
28:59縄文時と一緒に戦おう
29:02太郎は球体依然とした日本画壇に正面から戦いを挑みます
29:08岡本太郎40歳の爆発です
29:12この日本の芸術界に革命時ですよね言ってみれば
29:21やっぱりピカソの絵を見て本当に泣き出したくらい感動した
29:25感動と憧れと同時にジェラシーがあったと思うんですよね
29:29うわこんなことやりやがって
29:31なんでこんなことできるんだろう
29:33それに対して今度はもう立ち向かっていかなきゃいけない
29:36というそのジェラシーから出てくるその
29:38あのまあ葛藤だと思うんですけども
29:41でもまずはやっぱり僕は何でもそうなんですけども
29:44真似から入ると思ってるんですね
29:45真似から入っていって今度は真似してるうちに
29:48だんだんだんだこれ自分の心の問題になってくると思うんですね
29:51元気なくなると古いもんに戻ってくるんですよ
29:54それで原始的っていうとなんかこう一段低く見てる感じしますけど
29:58例えば原初的っていうその死をね
30:01原初の死を始めるっていう初ですか
30:04原初的って書き換えた時に
30:06なんか僕たちってこう失ってるものを思い出させられますよね
30:10だからピカソにとってのアフリカも
30:12岡本先生にとってのも縄文なんかも
30:15そういう原初的なエネルギーが発露だったかなって
30:19あの鶴太郎さんのボクサー姿
30:23ああいうの一番尊敬しちゃうんですよね
30:25ボクシングやりが始めた時にやっぱりその大好きな世界チャンピオンの真似から入るんですよ
30:29そのステップとか打ち方とか
30:31ちなみに誰ですか?
30:32具志堅さんっていう
30:33ちょちょちょちょちょちょってやるわけですよね
30:36ステップとか全部その真似なんですよね
30:39真似から入っていってだんだん今度は自分の個性が出てきてね
30:43今度は相手の退治って本当に戦うわけですから
30:46真似がちょい辛いなんてカカッとやるからね
30:49じゃあその辺で今度は自分との対峙になっていきたい
30:54似てますよね岡本先生の
30:56似てますよさっきからほんとそっくり
30:59やっぱりけど吸収したんですよきっとね
31:01かもわかりませんね
31:03近所に岡本さん太郎さんの小さい
31:07太陽の塔まで大きくないですけど
31:09そうあるところがあるんですね
31:11一瞬見たときはちょっと不気味でしたよね
31:13なんでここにこんなもの作るんだよみたいに思ったんですけど
31:17そこを通るために
31:19あ、岡本太郎
31:21あ、岡本太郎って思うんですよ歩くたんびに
31:23不気味っていうのは最高の褒め言葉ですよね
31:26要するに芸術的感動としてはね
31:28それはあの岡本太郎さんが掲げている
31:32心地よくあってはならないの部分なんですかね
31:35そうそうですよね
31:37でもあの綺麗であってはいけない
31:39上手くあってはいけない
31:41心地よくあってはいけない
31:43天の弱なんでしょうか
31:45そうなんでしょうね
31:47つまり収まっている心地よさが嫌いなんですよね
31:51ですから本当の意味では
31:53不気味なくない気持ちいいっていうのが
31:55岡本先生の目指したことだと思います
31:57ああいう不気味なものを見たときに
31:59不気味だって思って止まっちゃわないで
32:02こういうものを作る人ってどういうことを考えて
32:05こういうものを作るんだろうって思うんですよね
32:07それをちょっと理解してみたいし
32:09理解できないって思わないで
32:11そこでやっぱりこう一歩こう進む
32:13今まで見たことないもん
32:15見たときの自分のそのちょっとしたね
32:19こう気持ち悪さとか不気味さの中で
32:21僕たちはこう自分の知らなかった自分と出会えるわけでしょ
32:25こんなことを感じている自分って何かなみたいな
32:27そういうリフレッシュ効果がね
32:29たぶん岡本先生は芸術にあるべきだっていうことを
32:33ずっと考えておられたと思うんですよね
32:35そうですよね
32:37縄文人からのメッセージを受け取った岡本太郎は
32:41想像意欲を一気に爆発させます
32:45筆使いが今までより一層生き生きと
32:53力強くなっていくのです
32:57そしてもう一つ
33:03縄文時と出会った翌年
33:06太郎は初めて立体の作品に挑戦します
33:10縄文に触発された太郎は
33:13絵画だけに留まらず
33:15彫刻など様々な分野で
33:17精力的に創作活動を展開します
33:21生命力にあふれたみずみずしい作品の数々
33:31作風にも躍動する縄文の精神が
33:37乗り移ったかのように現れています
33:40まさにこれは岡本太郎が作った土偶です
33:53単に縄文の特徴である造形的なフォルムを
34:01真似したっていうのではなくて
34:03もっと根底での共通したところで
34:09岡本太郎さんの精神とですね
34:12縄文の精神が共振した
34:15共感した
34:17縄文人から始まる芸術の源流
34:20生きることこそが芸術だ
34:23太郎はその集大成ともいえる作品に取り掛かります
34:301967年
34:33岡本太郎は太陽の塔の製作に取り掛かります
34:38それは両手を広げただドカーンと突っ立ったべらぼうなものでした
34:44美術家側の連中ではね
34:47何だとあれは
34:50国の金を使い国の広場を使って
34:52何であまりにも岡本太郎的なものを作るんだって
34:56何言ってんだと
34:57個性的なものを作る方が
34:59普遍性を持つんだってやり返した
35:021970年大阪万博開催
35:07万博のテーマは人類の進歩と調和
35:11そんな会場のど真ん中に
35:14ただドーンとそびえる太陽の塔
35:19詰めかけた多くの観客は
35:22その無邪気さを素直に喜びました
35:25人間のたくましい生命力
35:30縄文の精神を注ぎ込んだ太陽の塔
35:34岡本太郎の最高傑作です
35:37近代社会に対しての疑問符でもあり
35:43そして自分自身の日本人自身の生き方を
35:47根底から問いかける
35:49大きな巨大なクエスチョンマークになっていると思います
35:56両手広げて目を向いて口唐辛いして
36:01岡本太郎の自画像じゃないかなあれは
36:04そういう感じがしますよね
36:07俺を見ろっていうね
36:09俺がなんだこりゃっていうのは俺のことなんだ
36:14っていうね
36:15そういうことを言っているような気がしますよね
36:22万博が終わり
36:24進歩と調和を唱えた会場は全て取り壊されました
36:28しかし太陽の塔だけは永久に保存されることになりました
36:39祭りの後に残されたべらぼうな塔は
36:42今も太陽に向かって両手を広げて立っています
36:47太陽の塔だけ保存されているんですねこれ
36:52そうなんですね
36:53万博の後
36:54よかった
36:55ふっと思ったのは
36:57やっぱりピカソに
37:01憧れて
37:02ジェラシーを持った岡本太郎さんは
37:04どう挑むかということになったときに
37:06生半可のことをやってたって
37:07これははっきりと勝てるわけないし
37:09写実変えたってダメだ
37:11抽象変えたっても全部持ってから
37:12行き場がなかったと思うんですね
37:14そうしたときに
37:15縄文の土器とか
37:16あれに
37:17ディップンと出会ったとき
37:18もうこれしかないと思った
37:19これで勝負するしかない
37:20世界とか
37:21ピカソに対して勝負するには
37:23やっぱり
37:24ナショナリズムだと
37:25したときに
37:26やっぱりその
37:27縄文のモチーフが一番
37:29表現しやすかった
37:32最終的に
37:33ああいう太陽の土
37:34道具にもったったじゃないかな
37:36本当にあの太陽の土ってけど
37:38岡本太郎さん自身ですよね
37:41そうですね
37:42そうですね
37:43そうですね
37:44あの
37:45東京に住んでるんですけど
37:47上野の近くに住んでおりまして
37:50もう一度あの縄文土器を
37:52拝みに行こうかなと思いました
37:55であの実家は
37:57関西なんですね
37:59そんなにあの
38:01千里から遠くないところなんです
38:03だから
38:04もう一回
38:05生の
38:06太陽の土を
38:08見に行こうかなと
38:09でそのときに
38:11あの3歳の娘がいるんですけど
38:13一緒に連れていこうかなって
38:15どんな反応を示すかなって
38:16すごい楽しみです
38:21この番組は
38:22バリューコミュニケーションを大切にする
38:24水穂フィナンシャルグループの提供でお送りしました
38:28新潟県十日町市博物館
38:343年前ここに展示されている
38:40縄文土器57点が
38:42初めて
38:44国宝に指定されました
38:46岡本太郎が
38:48縄文に出会った日から
38:50実に
38:5248年目の出来事です
38:54太郎の言葉が残されています
39:00縄文土器が
39:02いかに素晴らしいとしても
39:04それは過去のものだ
39:06我々が
39:08今日の現実に処して
39:10それ以上に激しくたくましく生き
39:12その表情を
39:14芸術の上に打ち出すのでなければ
39:16何の意味もない
39:18縄文人から受け継いだ
39:24人間のたくましい生命力が
39:27脈々とそこに流れていました
39:30彼が
39:32
39:36ご視聴ありがとうございました
40:06ご視聴ありがとうございました
40:36ご視聴ありがとうございました

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