00:04教室の時計の秒針が、まるで心臓を叩くハンマーのように響いていた。
00:08友谷にとって、45分の授業は永遠に続く拷問に等しかった。
00:14鉛筆の芯が紙を削る音、隣の席の生徒の呼吸、窓の外を横切る鳥の影。
00:19あらゆる刺激が彼の脳内に濁流となって流れ込み、じっとしていることを許さない。
00:24またか、友谷、担任の悪痛の声が鋭く空気を切り裂いた。
00:29友谷は無意識のうちに貧乏ゆすりをし、消しゴムを細かくちぎって机の上に並べていた。
00:32すみません。でも、言い訳はいい。
00:35お前はいつもそうだ。集中力も忍耐も欠けている。
00:39博筆は冷徹な眼差しで、教宅から友谷を見下ろした。
00:40クラスメイトの冷ややかな視線が突き刺さる。
00:47いいか、友谷、お前のような人間は、社会に出ても誰の役にも立たない。
00:50何一つ、一生かけても成し遂げることはできないだろう。
00:54せいぜい、他人の足を引っ張らずに生きる方法を探すんだな。
00:58その言葉は、幼い友谷の心に消えない楽園を押し付けた。
01:00自分は壊れた時計なのだと。
01:03誰からも期待されず、どこにもたどり着けない。
01:04ただの不良品なのだと。
01:09そんな彼を救ったのは、母に連れられていった睡眠部スクールだった。
01:12水の中に入った瞬間、世界は一転した。
01:13地上であれほど彼を苦しめていた雑音は消え、
01:16ただ水の抵抗と自分の鼓動だけが響く。
01:19静寂がそこにはあった。
01:20止まらぬ衝動は推進力へと変わり、
01:23溢れ出すエネルギーは水面を切り裂く派となった。
01:26もっと、もっと早く。
01:27彼は泳いだ。
01:28悪質の言葉を振り払うように、
01:30自分を否定した世界を見返すために。
01:34ADHD特異への過集中は、
01:35ひとたび目的を見出すと、
01:39常人には到底到達できない次元の努力へと彼を突き動かした。
01:41中学に進むと、
01:42友谷は水泳部に入るした。
01:46彼は練習に明け暮れ、少しずつ成長を遂げる。
01:49コーチは彼の努力を見抜き、特訓を施した。
01:50心の中での葛藤は続いていたが、
01:55水泳の中でだけは未来への希望を見出していた。
01:56高校では彼の才能が花開く、
02:00大会での優勝や全国大会進出が続く。
02:04仲間たちの応援、コーチの励ましが友谷を支える。
02:07彼は自分がオリンピック選手によれると信じ始めた。
02:08数年後、テレビ画面は、
02:14史上最多となる20個目の金メダルを首にかけた男の姿を映し出していた。
02:15表彰台の頂点で、
02:18友谷は君がよう聞きながら空を見上げた。
02:19かつて何も成し遂げられないと言われた少年は、
02:25今、人類の歴史で最も多くの栄光を掴んだ存在となっていた。
02:26そして日本では、
02:29テレビ画面に映る友谷の姿を見ていた、
02:30白髪まじりの当時の教師、
02:32阿久津が、
02:33手を合わせながら涙を流していた。
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