00:25先日入院していた親父が息を引き取った。とても寒い日だった。僕は親父のことがあまり好きではなかった。というか、あまり関心がなかった。親父は寡黙な仕事一筋人間で、いつも帰りが遅かったため、会話した記憶がほとんどない。僕が夜遅くにトイレに起きて、台所で親父と遭遇すると、いつも気まずい雰囲気が流れた。親父はケチな性格で、僕たちの知らないところで、だいぶお金を貯め込んでいるらしかった。
00:52夜遅くに親父の部屋の前を通った時、ドアが少しだけ開いていたので、中を覗いてみると、小さい金庫を開けて、一人で見分けている姿を見てから、この人は家族よりお金が好きな人なんだ、という印象が強くなった。なので、この人からはあまり愛情を感じられなかった、と言った方が正しいかもしれない。そんなこんなで僕は、病院に面会に行くのを仕事の忙しさにカコつけて、先延ばしにしていたのだった。
01:13そして葬式の日、久しぶりに見た親父は、痩せ細った姿で横たわっていた。けれども不思議と、涙は出てこなかった。翌日、母親と二人で遺品整理をしていると、あの時に見た小さい金庫があって、触れてみると、鍵はかかっていないようだった。そっと開けてみるとそこには、小さい頃に僕が書いた親父の似顔絵。
01:35小学校の時の成績表、母親が撮った僕の運動会の時の写真、そして、僕が赤ちゃんの頃の写真がたくさん入っていた。その横に、息子の結婚費用と書かれた封筒があって、中に入っていたのはたくさんの札束だった。僕は、あの時の光景が頭に浮かんだ。そしたら僕の目から涙がこぼれてきた。しかも次々と流れてきて、止まらなくなった。
01:42あまり覚えていないが、僕はかなり長い間泣いていたらしい。気がついたら窓の外にいつの間にか、雪がちらついていた。
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