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テレビトランスクリプション
00:04今、日本のウイスキーがすごいことになっているのをご存知ですか?
00:15ここ数年、世界的なコンクールで本場のヨーロッパ勢を
00:19抑えて連続優勝
00:26国内でも価格が高騰しています
00:47購入するのは外国人の富裕層
00:51人気が止まりません
01:02今年8月のオークションでは、なんと1本3800万円で落
01:08札されるものも現れ
01:11ついに、日本のウイスキーが世界のリーダーになったと報
01:16じるメディアも
01:28会心劇が続くジャパニーズウイスキー
01:31なぜ今これほど世界から評価されているのでしょうか
01:48日本でウイスキー作りが始まったのは、大正から昭和の
01:52初め
01:54その頃に建てられた上流所です
02:02ウイスキーはまず、爆瓦などの原料と水を混ぜ、発
02:07酵させたものを上流
02:13樽の中に寝かせ、数年間熟成させます
02:20こうしてできるのが、原酒
02:24樽の材質や寝かせる年数によって、一つ一つ違う個
02:29性を持ちます
02:33ウイスキーは、このいくつもの原酒をブレンドすることで
02:37初めて深い味わいを持つ製品に仕上がります
02:55しかし、この多様な原酒の確保が
02:59後発国の日本にとって大きな壁でした
03:05500年以上の歴史を持つウイスキーの本場、スコット
03:10ランド
03:11100カ所以上の上流所が、個性的な原酒を作ってきました
03:20上流所同士は協力し、原酒を交換し合います
03:25それが、質の高いウイスキーを育んできたのです
03:32一方、日本はメーカーが少なく、互いにライバルでもあるため
03:37原酒の交換ができません
03:43それぞれのメーカーは、自前で多様な原酒を確保
03:47するしかなく
03:47工夫を重ねてきました
03:53例えば、上流の方法
03:57欧米は、上流器を蒸気で温めるのが一般的ですが
04:02このメーカーでは、石炭の直火で加熱します
04:07原酒にコクと香ばしさを加えるためだといいます
04:14原酒を寝かせる樽の作りにもこだわりました
04:23木の成分が原酒に染み出しやすくするため、内側を
04:28よく焼きます
04:33しかも、焼き加減は樽ごとに変えます
04:39原料となる爆芽や、樽に使う木の種類
04:43そして、ブレンダーからの要望
04:48条件に合わせて、微妙に火力を変えながら
04:51様々な味わいを出す樽を模索します
04:59こうした試行錯誤を何十年も重ね
05:02多種多様な原酒作りに成功
05:06赤リンゴやバニラのような味わいのものから
05:12ミルクチョコレートのようなものまで
05:16その数は、数千種類にも及ぶまでになりました
05:47スコットランドよりも南に位置し
05:49気温が高い日本は、ウイスキー作りには不向きだと
05:54考えられてきました
06:01その常識を覆す製品を次々と生み出しているのが
06:05埼玉、秩父にあるこの小さな上流所です
06:13設立から10年余りで、世界的な賞をいくつも獲得してき
06:19ました
06:22こちらがですね、2011年に発売した3年もののシングルモルト
06:27ウイスキーです
06:30国内外で評判を呼び、瞬く間に7000本を完売した
06:35ウイスキー
06:38通常、高級銘柄は熟成に10年以上かけますが
06:42この製品は、わずか3年で出荷されました
06:59わずかな時間で深い味わいを出せるのは
07:02日本の気候が影響しているからだと、この上流所では考えています
07:10それを示すのが、原種の蒸発率です
07:19原種を寝かせた樽は、気温の寒暖差によって
07:22まるで呼吸するように伸縮を繰り返します
07:32その間、原種は、木のふくよかな香りや色を染み込ませ
07:37ながら
07:37わずかずつ蒸発していきます
07:42この蒸発分は、天使の分け前と呼ばれます
07:49この天使の分け前をけちると、おいしいウイスキーにな
07:53らない
07:53というふうに言われているんですね
07:57スコットランドでは、この天使の分け前は年2%程度
08:03ところが秩父では、5%近くにもなります
08:11寒暖の差が大きい土地の気候が、活発な樽の伸
08:15縮を促し
08:17短い期間で、まろやかな味わいの原種を生み出して
08:21いる
08:28そうした考えに基づき、この蒸留所では
08:31自然の影響をあえて受けやすくしています
08:36床はコンクリートをやめ、地熱や湿気が
08:39樽に直に伝わるようにしました
08:45やはりこの日本の四季というものがしっかりあって
08:50メリハリのある温度変化が季節ごとにある
08:53それが秩父の味の特徴を付けているんじゃないかな
08:56という気はいたします
08:59はい、この日本製ウイスキー、果たして本場スコットランドの
09:03ものと
09:03どう違うのか、今日は伊住院静香さんに
09:06飲み比べていただいています
09:09同じ国の中でもね、銘柄によって味の違いというのは
09:12あるんですが、専門家から見てよくその国の特徴が表れている
09:17という代表的なものを今日はご用意しました
09:19はい、違いますか?
09:21日本のものとスコットランドのもの、どう違うんでしょうか?
09:24やはりこのスコットランドのこのシングルモルツと
09:28日本のシングルモルツだと
09:31不思議でね、すごく大事なところは
09:34私はコクと、もう一つはね、苦味だと
09:38コクと苦味、コクはいろんなものでも出るけれども
09:41苦味なから出ないから
09:43でもそれぞれのウイスキーが
09:45コクも苦味もどういうバランスで持っているか
09:49ただ、これはスコットランドのシングルモルツなんですよ
09:53これはものすごくやっぱ苦いんですね
09:55苦いっていうのを最初に日本では感じるはずなんです
09:58もう風薬だっていう人がいるし
10:00でもこれは慣れてくるとやはりおいしいんですね
10:03この日本のシングルモルツは
10:06これやはりね、コクがある
10:09なかなかね、スコットランドでも出さないくらいコクが
10:13イジュニさんは最近
10:14国産ウイスキーの誕生物語をですね
10:17テーマに長編小説を書きですけど
10:20その中で日本人はウイスキーに
10:23日本酒のようなまろみ、まろやかさを持たせようとして
10:27きたんだ
10:27というふうに思いますね
10:29それはね、あの時は大変だったから
10:31市場のほとんどが日本酒だから
10:34その中で海外のね
10:35誰も飲んだことのないウイスキーを
10:38どうしようか、それはどうしても日本酒を意識してきますからね
10:41でもこのまろみをね、作れたね
10:43パトリシンジョーとは大したものだよね
10:46それがやはり苦みではなく
10:48日本人はその、あのコクといいます
10:51そうですね、柔らかさっていうんですかね
10:54それを原酒で作るわけだから大変ですよ
10:56なるほど
10:56これまたね、それまた清い水で
11:00いい味にしてこなきゃいけないしね
11:01はい
11:03この日本のウイスキーですけれども
11:05本場、イギリスで行われる2大コンクールで
11:082010年以降だけでも
11:10ご覧のように、毎年のように
11:13複数の銘柄が最高賞に輝いています
11:16今、世界から他にはない個性と
11:19これを受け止められているのが
11:20飲みやすく繊細な味わいです
11:23こうした味わいを作り出すのが
11:24VTRでもご紹介した
11:26様々な工夫で生み出される
11:28多様な原酒です
11:30例えば、先ほどの取り組みは
11:31日華ウイスキーでしたけれども
11:33こちらはサントリーの蒸留機です
11:36世界でも例のない
11:3816もの異なる形を独自に設計し
11:41原酒の成分に微妙な違いを生み出すといいます
11:45さらに、貯蔵する樽の材質選びにも
11:48試行錯誤を重ねているのです
11:50例えば、欧米では
11:51ホワイトオークやスパニッシュオークといった
11:54奈良の木の一種を使うのが一般的
11:56一方、日本はそれに加えて
11:58独自に水ならや杉といった木を使っているのです
12:06例えば、水ならの樽で寝かせると
12:09お香に似た上品な香りが生まれるといいますし
12:13もう一つの杉は
12:15強い癖のある匂いが特徴なので
12:18樽にはごく一部分だけ組み込むなど
12:20調整しながら使うのだそうです
12:22他にも、ワインやビールを貯蔵していた
12:25樽を転用したりとか
12:26梅酒をつけた樽を使ったりもしているそうです
12:30そうした知恵と工夫を重ねてきたからこそ
12:33こうして世界から評価される
12:35個性的なウイスキーを見ることができたということなんですね
12:39そうですね
12:39樽の作り方一つもね
12:41何年もかけて
12:44黒いウイスキーの生産者たちが工夫をしてやってきた
12:48それは素晴らしいですね
12:49これはなかなか
12:53日本人じゃないとできないという面をたくさん日本のウイスキーは
12:56持っているんですね
12:58それは例えば
13:01生きているということはございますよね
13:04それでお米なんかも世界の中でその辺は日本の一番技術が優
13:08れていますから
13:10生きているものというものに対してはね
13:13そういう繊細さは日本には物作るのを向いているんですね
13:17細かい工夫を重ねて
13:18一見違ったように見えるけども
13:21国産の自動車が一時速世界で売れたでしょ
13:23その時に経営者はね
13:24一台一台が生きているんだということを言うんですね
13:27車が
13:27だから日本人の姿勢
13:30それから創意工夫とか
13:32そういうものに大変適したね
13:36種類のその
13:38まあ宝物だったんでしょうな
13:41まあ今でこそこうして世界的な評価
13:45高い評価を受ける日本のウイスキーなんですけれども
13:47実は長らく売上が減り続ける
13:50いわば冬の時代を過ごしてきたんです
13:52こちらは販売量の変化です
13:54戦後そして高度経済成長期を通して
13:57順調に売り上げを伸ばしたウイスキーは
14:001983年にピークを迎えます
14:03ところがその後
14:04酒税法改正による値上げやバブル崩壊などが
14:07重なり
14:072008年までにはなんと
14:098割も販売量が減ってしまうんですね
14:13消えかけた日本ウイスキーの火をつなぎ止め
14:15現在の快進撃につなげた人たちがいました
14:25サントリーの元取締役
14:28島谷幸男さんです
14:32ウイスキーの冬の時代が始まっていた1986年
14:37大阪山崎の工場長に就任しました
14:43当時老舗の工場でも在庫は増え続け
14:47稼働を制限せざるを得なかったといいます
15:05島谷さんは大きな賭けに出ます
15:10より質の高い本格的なウイスキーを作れば
15:14必ずお客さんは戻ってきます
15:17会社の上層部に訴えました
15:36そして20億円をかけ工場を回収
15:42原料を発酵させるオケや蒸留機など
15:45すべて一から作り変え
15:47より上質なウイスキーを目指しました
15:53当時島谷さんの下でウイスキー作りに参加した
15:57ブレンダーのこしみずせいちさん
16:02自信作ができたと感じました
16:08ところが
16:10飲んでもらったらこの美味しさは分かるはずだというような
16:13思いはあったんですけど
16:15実際に手に取って飲んでいただくっていうことまでの
16:20そのハードルが極めて高かった
16:2580年代から右肩上がりで消費を伸ばしていたのは焼酎
16:33特にソーダで割る中杯は手頃な値段とどんな食事
16:39にも合う爽快感で
16:40瞬く間に広がっていきました
16:44一方でウイスキーのような強い酒は敬遠されました
16:52売り上げの減少が止まらぬままついに25年
17:02国産ウイスキーの火を守りたいと立ち上がった人
17:05々がいました
17:0820代から30代の若手社員です
17:13ウイスキーが好きでこの会社に入ったというのがあって
17:15まあ熟じたる思いというか
17:17ここで復活しないと本当に未来ないかもしれない
17:24打開策を見つけようと連日居酒屋へ足を運ぶ中
17:29あることを思いつきます
17:34ビールやチューハイを豪快に飲み干す若者たち
17:42ウイスキーもあんな風に飲んでもらえばいいじゃないか
17:50目をつけたのはソーダで割るハイボール
17:54戦後の一時期
17:55安くウイスキーを楽しみたい人たちに流行った飲み
17:59方でした
18:03こだわったのはレモンを皮ごと絞り入れること
18:08ソーダの爽快感を強化しました
18:16これをジョッキに入れれば
18:17乾杯がしやすく一杯目から飲んでもらえる
18:22これでいけるというある種の根拠のない自信みたいなのはありましたし
18:26社内でも納得いただけるだろうというような
18:30自信はございました
18:33しかし
18:36営業方針を決める企画会議は
18:39紛糾
18:43ジョッキなどありえない
18:46ウイスキーの品格が崩れる
18:51レモンを入れて薄めるなんて
18:53ウイスキーの味をごまかすのか
18:59当時、会議に参加した藤井隆久さん
19:06最初凄く抵抗を感じたというのはありました
19:09正直
19:09数十年かけてできた自然のウイスキーらしい美味しさ
19:14を
19:14最後に違う味わいとかで
19:16全く見えないようにしてしまうというのは
19:21壁となったのは老舗の伝統とプライドでした
19:28しかし、若手社員たちは諦めませんでした
19:35予算をかき集め、独自の判断で
19:38ハイボール専用サーバーとジョッキ1万個を発注
19:47普通にですね、企画書を作って
19:50上にそのままプレゼンをして通すっていうのは
19:52多分無理だろうなと
19:53だったら、もう飲んでるシーンですね
19:57事実を突きつけたほうが
20:01絶対これはいいだろうと
20:03居酒屋に試験的に置いてもらったところ
20:06評判は上々
20:09普段ウイスキーを飲まない人からも
20:12次々注文が入りました
20:17この実績を携え
20:18再び上層部との企画会議に臨みました
20:23ハイボールを全国展開するかどうか
20:26試飲しながら決断してもらう
20:32若手メンバーはある秘策を用意していました
20:37この重要な場に
20:38普段ウイスキーを飲まない一般の女性を
20:41一人紛れ込ませたのです
20:45一般の人という人が一人いて
20:49え?っていうのはありましたね
20:54今回も大きな課題は
20:56ウイスキーに入れるレモン
20:59上層部の反発は必死でした
21:04その時女性が言いました
21:08飲みやすくて美味しいですよ
21:13それを聞くと
21:13うーんそういうもんなんやなというので
21:17かなりグラッと来たっていうのは
21:19すごく覚えてます
21:24ついに全国展開にゴーサイン
21:28美味しいです
21:37またたく間に居酒屋の定番になりました
21:45ウイスキーは25年に及ぶ低迷を出し
21:48売り上げは上昇に転じました
21:55そして今
21:57パイボールがきっかけとなり
21:58本格的なウイスキーを楽しむ人々の裾野も
22:02広がり続けています
22:06めちゃくちゃ当たり丸山ですね
22:09なかなか奥深いなと思うんです
22:22ウイスキー2の移住員さんとして
22:25このハイボールどうなんですか?
22:26邪道だというふうには思われないんですか?
22:28私はねそうは思いませんね
22:31ウイスキーというもの自体はすごく奥が深いから
22:35入門のカードだと思ったら
22:40飲みやすいじゃないですかね
22:42まあこれは足掛かりに本格的に味わえる
22:44そうですね
22:47これだけ操作で薄めても買われますからね
22:53この日本のウイスキーを救ったハイボール
22:55実は今は海外でもそのブームの兆しが見えています
23:00例えば日本のメーカーによりますと
23:02ハイボールを出す飲食店はアジアでは8200点以上
23:06これまでロックやストレートばかりだった欧米でも
23:09600点近くに広がっているというんですね
23:14今のVTRにもありましたように
23:15本物のウイスキーを作りたいという
23:18老舗メーカーのプライドと
23:21一人でも多くの人に飲んでもらいたいという
23:23若手ゲームマンの情熱がぶつかり合うようなシーン
23:27もありましたけれども
23:28ぶつかなきゃダメですね
23:30企業というものはね
23:31物を作るところはいつも
23:33若い人と今までのトラジオの人がぶつからないようダ
23:36メですね
23:37まあこの場合特にね
23:39ここの会社の寄付にね
23:42もう本当にけんけんがくくしても
23:44最後に誰かが
23:47じゃあやってみながらってね
23:48そこがね
23:50何かで支援がいいんですね
23:52ウイスキーの作り方には非常に合った精神だと思いますよ
23:56なんか日本のものづくり文化のなんかヒント
23:59そうですね
24:01あとは認体力がないとダメなんですね
24:04だからあの
24:06全体ウイスキーの売上が下がったときに
24:09日本人だけはね
24:10ウイスキー作りのときにね
24:12ずーっと品質改良と
24:15お金と時間をかけてやったんですね
24:16それがさっき最初に出た全部の逆転ですね
24:20やっぱり日本のその
24:23ただ商売はもちろんあるんでしょうけど
24:25日本のお酒の文化を守りたいというような思いも
24:29そうですね
24:29それがあるのと
24:31同時にみんなに
24:33なんていうか豊かになってほしいっていうのかな
24:35はい
24:36いわゆる三方良しというんですか
24:38売り手良し買い手良しだけでダメだと
24:41それを見守る社会もみんな豊かにならなきゃいけない
24:45と
24:46何かねあの
24:47古い創始者たちはね
24:49みんな同じようなことを考えたような気がしますね
24:52人の思いがブレンドされたこのウイスキー
24:54これから味わいたいと思います
24:57ありがとうございました