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  • 9 年前
過労死の遺族が思いを語る
2016年11月25日 19時56分
大手広告会社、電通の新入社員だった女性が過労のため自殺した問題を受けて札幌市で23日、過労死をテーマに遺族が思いを語るシンポジウムが開かれました。
この遺族は亡くなった娘の労災認定が認められず悔しさを訴えました。
23日に開かれたシンポジウムで講演したのは、4年前過労による自殺で娘を亡くした母親です。
母親は「一生懸命冷たくなった足をさすって温めてあげたら息を吹き返すんじゃないかと思いました。
もう目を開けてくれることはありませんでした。23年の短い一生でした。時間外(勤務)が100時間に少し足りなかったため、労災は認められませんでした」と悔しさをにじませました。
娘の綾さんは、総合病院の看護師になってわずか8か月後に部屋で首をつって自殺しました。
電通の新入社員の女性と同じ23歳でした。
綾さんが勤務していたのは「急性期病棟」と呼ばれる肺がんなどの重い患者を看病する病院の中でも過酷な職場でした。
綾さんの時間外勤務は平均して月60時間から80時間に上り、1か月に90時間を超える月もありました。
綾さんが残した遺書には「苦しくて誰に助けを求めていいのか、助けてもらえるのか全然わからなくて考えなくてもいいと思ったら幸せになりました。甘ったれでごめんなさい」と、
誰にも助けてもらえない気持ちが綴られていました。
母親は労働基準監督署に労災認定を申請しましたが、綾さんの時間外勤務が月100時間を超えていなかったことなどを理由に認められませんでした。
精神疾患による自殺とされた綾さんの場合、月100時間を超えないと労災と認定されないという大きな壁があったのです。
母親は「いろいろ説明されたあと、労基署の担当者から、この事件は『パーソナリティーの問題だ』ということで締めくくられました。
娘はパーソナリティーの問題で首をつったのかなとその言葉で片付けられ、本当に何とも言えない気持ちで電話を切りました」と振り返っていました。
そのうえで「デスクワークで100時間の残業と常にコール対応で追われ、仮眠も取れない看護師の100時間の残業では、同じ残業でもまったく違うと思います。
認定基準がこれではおかしいのではないかと思います」と話し、職種によっては残業時間が月に100時間を越えなくても過労死に陥るケースがあるとこれからも警鐘を鳴らしていきたいとしています。
この母親は綾さんの死が労災と認められるよう求めて近く裁判所に訴えを起こす予定です。
北海道労働局が昨年度、道内のおよそ1600事業所を対象に、時間外労働の勤務実態を調査したところ、月に80時間を超す労働者がいた事業所は、およそ半数にのぼりました。
こうした実態を重くみて労働局はこの春から監督対象の基準を1か月100時間から80時間の労働者がいる事業所に拡大するなど、過労死対策を強化しています。

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