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00:00:00The Best TV
00:00:30ではゲストの方々をご紹介いたしましょう作家で映画監督の森達也さんこんばんはよろしくお願いします ノンフィクション作家の河合香里さんよろしくお願いします大阪大学大学院の教授で国際政治とメディア学がご専門のバージルホーキンさんですよろしくお願いします
00:00:51皆さんよろしくお願いします
00:00:53今回お送りするATP賞テレビグランプリ 作り手である制作プロダクションのスタッフが審査員となって優れた作品を選ぶ唯一の賞です
00:01:09ドキュメンタリー部門で優秀賞奨励賞を受賞した作品をダイジェストでご覧ください
00:01:21どんどん聞こえやすくなるみたいなそういう薬とかあったらいいけど
00:01:30よく大事に使わないと薬減りますね
00:01:33悔しそうでしたよねあの時ちょっとやっぱりもう一回挑戦したいっていう
00:01:43東京都大田区東工事屋6丁目アパート高齢化率64%
00:02:03東京23区で一番お年寄りの多い地位
00:02:11我々入ってて若かったみんなのここにふるさとがあるってことをねやりたいねそのいつもの日々の記録
00:02:22秀子さんは6人兄弟の3女
00:02:27末っ子の岩尾さんの面倒をよく見たという
00:02:31岩尾のためにやってるとか犠牲になったなんて言われるとね肩払いたい
00:02:36岩尾の方がよっぽど犠牲払ってる
00:02:39半世紀余りの歳月を死刑囚としてそして死刑囚の姉として生きざるを得なかった2人
00:02:47その日々を10年にわたって見つめた
00:02:53不毛の砂漠に描かれた地上
00:02:57一体いつ誰が何のために描いたのか
00:03:04ここですね
00:03:05AIを駆使し見つかった地上絵の数々が考古学の謎に答えを出そうとしている
00:03:15ある種の規則みたいなのが見えるだろうという予想があったので
00:03:19その実像が今地上絵と共によみがえろうとしている
00:03:24ヒマラエに美しさを称えられる山がある
00:03:29ニルギリ 青き山を意味する
00:03:33今回2人の日本人クライマーがニルギリに挑んだ
00:03:38待ち受けていたのは絶望の光景
00:03:43初日敗退か
00:03:45果たして朝鮮の行方は
00:03:51ご視聴ありがとうございました
00:04:21第41回ATP賞テレビグランプリ
00:04:32グランプリ作品です
00:04:34ビジュアルオフィス全
00:04:38NHKエデュケーショナル
00:04:40NHKが制作し
00:04:422024年6月に放送しました
00:04:45NHKスペシャル
00:04:47法医学者たちの告白です
00:04:50岩瀬は今日も歩く
00:05:05千葉大学法医学教室の教授
00:05:13日本法医学会の理事でもある
00:05:16スタッフ総勢20名を誇る
00:05:22日本最大規模の法医学チームを束ねる
00:05:26千葉大では警察からの依頼によって
00:05:34年間400体の解剖を行う
00:05:37多殺か自殺か自己死か
00:05:52法医学は人の死の原因を追求する科学だ
00:05:57今千葉大では大きな問題が起きている
00:06:05取り扱う遺体が増え
00:06:08解剖が数週間待ちになっているのだ
00:06:12岩瀬たちは正確さを求めて
00:06:18一体の解剖に3時間以上かけるが
00:06:21警察からは強く効率化を求められている
00:06:25もし死因の判断を誤れば
00:06:32犯罪の見逃しや冤罪を生む
00:06:34岩瀬は国に法医学の人と予算を拡充するよう
00:06:41交渉してきたが認められないままだ
00:06:44法医学っていう
00:06:49殺人事件の捜査の発端になるはずの
00:06:55解剖ですよね
00:06:58そこについては本当に軽視されてきたし
00:07:01人も全然補充もしてこない
00:07:04警察官は3倍に増やしたけど
00:07:06法医学者は全然変わらない
00:07:07やっぱり法医学がちゃんとしてないと
00:07:11冤罪も作るし
00:07:13犯罪者は見逃されて
00:07:16その辺でまた人殺すかもしれないし
00:07:18そんなに安全に生きていけるはずがないんですよね
00:07:22ドラマでは万能なヒーローとして描かれる法医学者
00:07:28しかし現実には計り知れない重圧の中にいる
00:07:35これまで明かすことのなかった葛藤
00:07:41法医学者たちの初めての告白が始まる
00:07:47氷点下の町 旭川
00:08:03朝6時
00:08:09旭川医科大で教授を務める清水慶子が
00:08:13今日も教会にやってきた
00:08:20法医学者になって25年
00:08:23これまで4000体もの遺体を解剖してきた
00:08:27神様にお祈りをして神様に癒していただかないと
00:08:40なかなか続けられない
00:08:42結構厳しい仕事かなと
00:08:46私にとりましたが
00:08:48神様にお祈りをして神様に癒していただかないと
00:08:52神様にお祈りをしておいた方が
00:08:54神様の仕事を使って取り上げる
00:08:57神様にすると癒された感じになりますので
00:09:01神様にようか
00:09:03神様に癒していただいて
00:09:06その力をいただいて
00:09:08仕事に戻る
00:09:10神様を伝えよう
00:09:12私たちの訪れを
00:09:14御末は取られる
00:09:16All the students who are in the university are around 150 people.
00:09:28She is a professor of Japanese medicine in Japan.
00:09:31She has a 2nd place in the university of Japan.
00:09:38This is the University of the University of the University of the University of the University of the University.
00:09:43This is a big hospital.
00:09:45Yes, it's a place in the middle of the hospital.
00:09:52The work of the work of the解剖室 is a doctor's hospital.
00:09:58The work of the解剖 is the解剖.
00:10:05This is the解剖室.
00:10:10The解剖室 is 3台.
00:10:15The解剖室 is the person who is selected in the abyss.
00:10:27The cases where the解剖室 are 12 years ago.
00:10:32TheCollesen of theocracy is a解剖室.
00:10:38The survivors are broken as 1,000,000 people.
00:10:40The amount of money is more than 2 times.
00:10:42The amount of money is more than the country.
00:10:46There are a lot of症状.
00:10:51Yes.
00:10:52Yes.
00:10:53I'm from the police department.
00:10:55I'm from the police department.
00:10:57Yes, of course.
00:10:59Yes, of course.
00:11:01Yes, of course.
00:11:03清水は薬物を用いた犯罪の数少ない専門家で、全国の警察から調査依頼が寄せられる。
00:11:14法医学者は1つの県に1人しかいないところも多い。
00:11:20絶対数が足りない中、清水への依頼は引きも切らない。
00:11:27今どんな連絡があったんですか?
00:11:29ある事件のDNA鑑定を担当しまして、事件捜査に大きく貢献できたというところで、
00:11:38札幌の担当した署から感謝状というか、表彰状をいただくというご連絡でした。
00:11:52清水が一躍脚光を浴びたのは、袴田岩尾さんの最新。
00:11:58事件から1年以上経って、みそだるから見つかった衣服が袴田のものとされたが、
00:12:05染み付いた血痕には赤みが残っていた。
00:12:11最新を求める弁護団は、
00:12:13血痕に赤みが残るのは不自然だとして、その証明を清水たちに託した。
00:12:20こうした鑑定を行い、法廷に立つのも法医学者の重要な仕事だ。
00:12:27清水たちは、みそに使った血痕の色味がどう変化するのか、実験を行った。
00:12:35その結果、1年以上みそに疲れば、血痕は黒くなることを科学的に示したのだ。
00:12:47清水たちの鑑定が決め手となって、昨年春に裁判のやり直しが決定した。
00:12:57しかし、清水は裁判で証言することに迷いがあったという。
00:13:08普段、一緒に仕事をしている捜査機関に対して、反旗を翻すことになりますので、
00:13:20ちょっとどうなるのかなということは、いくつか頭の中でシミュレーションしてみまして、
00:13:27科学的で公正な医学的判断ということをモットーに、
00:13:32法医学に携わっているものとしましては、
00:13:35そういった人間社会のいろんなことの忖度ではなくて、
00:13:39やはり自然科学に対して誠実でありたいと思いましたので、
00:13:44お引き受けすることにしました。
00:13:50この日も遺体が運ばれてきた。
00:13:55解剖の前に、CTスキャンによる画像分析を行うのが決まりだ。
00:14:09司法解剖を行うかどうかは、警察の検視官が決める。
00:14:14遺体の情報も全て警察からもたらされる。
00:14:19この日の遺体は、マイナス1度の路上で倒れているところを発見され、
00:14:25解剖が必要と判断された。
00:14:28死因は何なのか。
00:14:34他殺か、自殺か、事故死か。
00:14:38清水の判断が警察の捜査方針を左右する。
00:14:43清水がCTスキャンの画像に目を止めた。
00:14:49頭部にクモマッカ出血があったのだ。
00:15:01警察からの情報をもとに解剖が始まる。
00:15:16警察からの情報をもとに解剖が始まる。
00:15:31解剖には警察官が立ち会い、その過程を写真に収める。
00:15:43それが死因の証拠となるのだ。
00:15:48清水はまず、低体温症を疑い、心臓に注目した。
00:15:55低体温症になると、心臓の右心室と左心室、双方の血液に含まれる酸素濃度に差が出ることが分かっている。
00:16:06清水は酸素濃度を機械で測るよう指示した。
00:16:12解剖が進む中、意外な初見が見つかった。
00:16:19頭のてっぺんに大きな亀裂があったのだ。
00:16:23クモマッカ出血はこの骨折が原因だった。
00:16:30帽子はかぶってなかった?
00:16:31帽子かぶってます。
00:16:33途中で脱げてばいいんですけど。
00:16:35本人の足跡しかない?
00:16:38ないです。
00:16:39はい。
00:16:40自分で転んだだけでは、頭のてっぺんを骨折するのは不自然だ。
00:16:49一方で、頭を殴られていれば、現場に複数の足跡が残っているはずだが、それもない。
00:16:58死因は何なのか。
00:17:01その時、心臓の酸素濃度の結果が出た。
00:17:10どう?差が出た?
00:17:12あ、すごいすごい。
00:17:16左心質72%、右心質16%と大きな差が出ていた。
00:17:23清水は死因を確信した。
00:17:27携帯は人だと思うんですけど。
00:17:29これが死因になるほどではない。
00:17:30死を早めたは言っていいと思います。
00:17:32開けてびっくりでしたね。
00:17:35こっち、こっち、こっち、こっち。
00:17:39いいですか?
00:17:40あ、すみません。
00:17:41はい。
00:17:42犯罪性というところまでは?
00:17:44あ、それは、ごめんなさい。あれは私たちはわからないので、そこからはもう捜査。
00:17:49最終的には、捜査機関が大きめになりますね。
00:17:54私たちがわからず、その解剖だけからわかる事態の別っていうのはすごく限られていて。
00:18:00何でもわかるようなイメージが法医学者には、ドラマのせいかありますけど。
00:18:04それは大きな誤解でして、全然そんなことは全くありません。
00:18:09現実はそんなもんだと思います。
00:18:12私が特別にわからないわけじゃなくて、わかるという方がおかしい。
00:18:16難しいですね。
00:18:19死因の判断を誤れば、犯罪の見逃しや冤罪を生む。
00:18:26その重圧の中で、清水は年間250体の死者の声を聞いている。
00:18:42すいません。
00:18:44歩きながら食いますけど、大丈夫ですか?
00:18:46大丈夫ですか?
00:18:47朝4時。
00:18:52毎日10キロを365日。
00:18:56休まず歩き続ける男がいる。
00:18:59工医学者の岩瀬博太郎。
00:19:06仕事のストレスから不眠症になり、10年前から歩き始めたという。
00:19:13そもそも法医学者というものになろうとされたのは?
00:19:22僕のが非常に動機は不純なんで。
00:19:25不純なんですか。
00:19:26当時は法医学教室におみきがいっぱいあった時代なので、お酒ですね。
00:19:39解剖すると、当時は解剖経費があまり出されない代わりにお礼みたいな形でね。
00:19:46よくはお酒を持ってきてた。
00:19:48警察。
00:19:49警察が。
00:19:50警察がですね。
00:19:51なので、それを飲みに来なさいっていう風に、その法医学教室の先生に言われて、まあ、断りきれなくって。
00:20:06岩瀬は長年、東大と千葉大の教授を兼務してきた。
00:20:12法医学の改革のため、人員や予算を増やすよう国に求めてきたが、父として進んでいない。
00:20:24岩瀬が学んだ東大の法医学教室。
00:20:28日本で最も古い歴史を持つ。
00:20:33明治22年、ドイツに留学して法医学を持ち帰った初代教授が日本に広めた。
00:20:42岩瀬が東大で助手を務めていた頃、法医学者の立場の危うさを初めて感じた事件がある。
00:20:591996年に東京足立区で起きた猟奇的な事件。
00:21:10首が切り落とされた胴体だけの女性の少子体が見つかったのだ。
00:21:17解剖を担当した岩瀬に警察は、首締めによる殺人ではないかと見立てを述べたという。
00:21:30しかし、遺体を解剖しても首締めの所見は見当たらず、死因は判定できないと岩瀬は結論付けた。
00:21:41しかし、警察は死因の特定にこだわった。
00:21:46死体遺棄と死体損壊だけなのか、殺人なのかでえらい違いになるからなんだと思うんですけど、
00:21:58すごいその警察はやはり殺人になんとかならないかっていう観点で動き始めたようで。
00:22:09警察は、密かに別の法医学者に死因の調査を依頼した。
00:22:16第6代東大法医学教室の教授、石山育夫。
00:22:22当時、学会の権威とされる人物だった。
00:22:29石山は、肺の一部が膨張していることから首締めによる殺人だと述べた。
00:22:36岩瀬には、医学的根拠のない鑑定に思えたという。
00:22:42分かるわけないのになぜか首締めっていう話が出てきて、
00:22:48そんな馬鹿なって。
00:22:51まだこれ頭が出てこないうちに死因決めちゃダメでしょうって話はしましたけどね。
00:23:00その後、事件は急展開した。
00:23:03あるアパートの庭から頭部が発見され、胴体だけの遺体とDNAが一致したのだ。
00:23:12そして、この家の住人が逮捕され、犯行を自白した。
00:23:22同居していた女性と口論になり、バットで頭を殴ったという。
00:23:27頭部には大きな亀裂があり、自白が正しいと裏付けられた。
00:23:37首締めにこだわっていた警察の見立てが否定されたのだ。
00:23:41時々我々が今でも体験する話ではありますけどね。
00:23:48自分がこう思っても別の意見が出たり。
00:23:51そうですね。やっぱり自分が科学的にここまで言えませんよって言ったものについて、
00:24:00他の鑑定人に持って行って、その人が殺人ですよって言ってくれるような鑑定を出すっていうのは、
00:24:11今でも時々起きてますね。
00:24:17さらに、法医学者は裁判での証言を求められることもある。
00:24:23検察側、弁護側、それぞれの依頼で法廷に立つのだ。
00:24:29しかし、それが大きな重圧になるという。
00:24:36やっぱり彼らも、建前は正義なんでしょうけども、
00:24:40個人としては裁判に勝ちたいみたいな、
00:24:44そういう欲求っていうのは当然あるわけなんで、
00:24:50その中でやっぱりこの脆弱な法医学がですね、
00:24:53非常に悪いような使われ方をすることもありますよね。
00:24:58岩瀬がそのことを痛感した事件がある。
00:25:04それは、2005年12月1日、
00:25:08栃木県の旧今市市で起きた。
00:25:11学校帰りに、小学1年の女児が、
00:25:18突然と姿を消したのだ。
00:25:20翌日、今市市の現場から60キロ離れた、
00:25:30茨城県日立大宮市の山林で、
00:25:33女児の遺体が見つかった。
00:25:35ナイフで、胸を10カ所刺され、
00:25:38山林の斜面に投げ捨てられていた。
00:25:41狂気も発見されず、捜査は困難を極めたが、
00:25:48事件から9年後に、ある男が逮捕された。
00:25:52勝又拓也は、
00:25:57拉致現場に土地勘があり、
00:25:59ナイフ収集の趣味などもあって、
00:26:01犯人像に合致していた。
00:26:10勝又は、取調べを受けて、犯行を自白した。
00:26:14しかし、裁判が始まる前に、
00:26:19自白は強要されたものだと、
00:26:21無実を訴えた。
00:26:282016年2月、
00:26:30宇都宮地裁で、一審が始まった。
00:26:37勝又の自白をもとにした裁判の争点。
00:26:40遺体の発見現場で殺害した。
00:26:44死亡推定時刻は、
00:26:46翌朝4時ごろ。
00:26:48主にこの2つが争われた。
00:26:54まず、殺害現場について審理が始まった。
00:27:03解剖の結果、
00:27:04女児の体内から、
00:27:061リットル以上の血液がなくなっていた。
00:27:10しかし、
00:27:11警察が撮影した現場写真には、
00:27:14その量に相当する血だまりは見当たらなかった。
00:27:19弁護団は、
00:27:20この3輪が殺害現場ではないと主張していた。
00:27:27一方の検察は、
00:27:29血液に反応して光る、
00:27:31ルミノール検査の写真を法廷に提出していた。
00:27:34これが、
00:27:37これが、
00:27:38警察が撮影した写真。
00:27:40確かに、
00:27:41斜面が青く光っている。
00:27:46この写真によって、
00:27:47大量の血液が流れたと、
00:27:49検察は訴えたのだ。
00:27:51この裁判で、
00:27:54検察側の証人となった岩瀬。
00:28:00写真から、
00:28:02血液の量が分かるか証言を求められた。
00:28:05岩瀬は、
00:28:10ルミノール反応が、
00:28:12血液の証明になると断定するには躊躇があったという。
00:28:17岩瀬の答弁の内容はこうだ。
00:28:21ルミノール反応は、
00:28:23本当に血液に反応しているか問題はありますが、
00:28:27血液だとすれば、
00:28:29それなりに、
00:28:30広い範囲に血が落ちているという印象は受けます。
00:28:36これが本当に血液であるならば、
00:28:41それなりの広い範囲にあるように思えるというのを答弁されているんですけど。
00:28:46光って見えたんでしょうね、それなりに。
00:28:49ルミノールって、
00:28:51鉄があれば何でも反応しちゃうので、
00:28:53森の中に鉄がいっぱいあるでしょうからね。
00:28:56だから、これをあえてちゃんと注釈かつけて、
00:29:00本当にこれが血なのかわからないって、
00:29:03ちゃんとご丁寧に答えているわけですよね。
00:29:06ルミノール反応の限界がありますからね。
00:29:09次に、死亡推定時刻についても法廷で争われた。
00:29:16解剖では女児の胃の中に食べ物が消化されずに残っていることが判明していた。
00:29:31消化のスピードを考えると、
00:29:33これは食後4時間で死亡したとするのが、
00:29:36法医学の常識とされていた。
00:29:40弁護側の主張はこうだ。
00:29:46女児が給食を食べたのが1日の午後1時頃なので、
00:29:53死亡時刻はその4時間後の午後5時だと推定される。
00:30:01殺害時刻が勝又の自白した通り、
00:30:052日午前4時頃だとすると、
00:30:08食後15時間が経過したことになり、
00:30:11大きく矛盾するというのだ。
00:30:15検察側は、
00:30:19食後15時間でも矛盾がないか、
00:30:22言わせに証言を求めた。
00:30:27食後経過時間というのは非常に当てにならないものです。
00:30:32消化運動が止まると胃が動かないので、
00:30:35ストレスがかかったり薬を飲まされると、
00:30:38時間は当てにならなくなります。
00:30:41弁護側は、
00:30:46当然アリバイとの関わりがあるので、
00:30:484時間というのを主張。
00:30:50そういうことです。
00:30:514時間以内にしたいわけですよね、弁護側はね。
00:30:54検察側は、
00:30:56十何時間にしたかったんでしょうけど、
00:30:59私にとってはどっちか分からないというのが正直なところですよね。
00:31:04どっちか分からない。
00:31:06分からない。
00:31:07ただ伸びるときがありますよっていう。
00:31:10これはちょっと極端ですけど、
00:31:12僕が昔、地下鉄サリンで亡くなった方を解剖したときに、
00:31:18人工呼吸器で1年以上脳死状態で繋がれていた方を解剖したら、
00:31:26事件の当時に食べたい内容がまだ残っていましたからね。
00:31:311年で?
00:31:32だから、ああいうのを見ちゃうと、
00:31:35うーんと思っちゃいますよね。
00:31:40法廷での証言で、
00:31:42分からないと繰り返す言い合わせに対して、
00:31:46弁護士が質問を浴びせた。
00:31:48先生は、結局分からない分からないで全部終わらせてしまうから、
00:31:56そうしたら、法医学なんて不要じゃないですか。
00:32:00でも、本当にそういう世界なんです。
00:32:06分からないときは、分からないと言わなきゃいけないんです。
00:32:12本当、時々我々ドラえもんみたいには、
00:32:16なんか期待されてるんだなって思うときありますけどね。
00:32:20何でも出してくれるみたいな。
00:32:22違いんですけど、みたいな。
00:32:24他の法医学者が分からないのに、
00:32:28俺には分かるみたいな、
00:32:30ことになるとですね、
00:32:32続々と依頼がきますからね。
00:32:362016年4月、
00:32:40宇都宮地裁は、勝又に無期懲役の判決を言い渡した。
00:32:48争点となった勝又の自白は、
00:32:51白信性があり、信頼できるとされたのだ。
00:32:57判決は、岩瀬教授の証言を重要な裏付けとして盛り込んでいた。
00:33:05まず、現場の血液量については。
00:33:10ルミノール反応に関する岩瀬教授の証言によっても、
00:33:15単なる的下痕としては説明できない量の血痕が残っている。
00:33:22岩瀬が法廷で、
00:33:25本当に血液ならば、と療法をつけたことは採用されることはなかった。
00:33:33そして、死亡推定時刻についても。
00:33:38岩瀬教授の証言を前提とすれば、
00:33:42消化活動がほぼ停止した状態になっていたとしても不合理とは言えない。
00:33:49岩瀬の証言が、弁護側の主張を否定し、
00:33:54検察側を認める方向で使われた。
00:33:59そういうふうに多分、都合よく編集されちゃうというところがありますよね。裁判上はね。
00:34:06法医学、科学。
00:34:08科学が。
00:34:10科学って編集できるものなの?
00:34:13まあ、裁判では編集できちゃうんですよね。
00:34:17まあ、検察側にいいように利用されたりとか、
00:34:22あるいは弁護側にいいように利用されるような、
00:34:25リスクのある仕事の中で、
00:34:27やっぱりそういう、じゃあ何に心の安定っていうか、
00:34:31その、何を信じたらいいかって言ったら、
00:34:33やっぱり科学性だと思うんですよね。
00:34:36それをないがしろにしたら、本当になんかこう、
00:34:41法医学としてなんか、
00:34:43自分が本当に法医学やってるのか分からなくなっちゃうと思うんですよね。
00:34:47自分はもう、普通にお医者さんになるつもりだったんですが、
00:34:57あの、医者には向いてない。
00:35:01研究でもしておいた方が、
00:35:03あの、無難、研究者の方向いてるっていうようなことを言われて、
00:35:07私はだから、法医学教室に入って、
00:35:10まあ、確かにあの、あんまり人好き、好きなタイプじゃなくて、
00:35:14どちらかというと、何て言うんですかね、
00:35:17何かこう、熱中して一人でやるのが、好きなタイプ。
00:35:23東大名誉教授の吉田健一。
00:35:26法医学教室で、岩瀬の先代教授にあたる。
00:35:34いまいち事件は、弁護側が控訴。
00:35:37その弁護側の証人を依頼されたのが、吉田だった。
00:35:44この日、女児の遺体が遺棄されていた現場を、
00:35:48久しぶりに訪れた。
00:35:50吉田は、東大大官後に、弁護側の証人を引き受けるようになったが、
00:36:08それ以来、捜査当局の態度が変わったという。
00:36:15特に弁護側という意識はないんですが、
00:36:19まあ、ただそういうこう、レッテルを貼られてしまったような気がします。
00:36:23弁護側の、はい、何ていうか、法医学者というレッテルを貼られたような気がします。
00:36:28何か先生にとっての変化みたいなのは?
00:36:31そうですね。東京大で解剖していたんですが、解剖の依頼が止まりましたね。
00:36:37え?解剖の依頼が?
00:36:39はい。
00:36:40弁護側に立ってからということですか?
00:36:42そうですね。結構、有名な事件に関わっているということが明るいに出てから。
00:36:48はい。
00:36:49まあ、それは正直言って、辛かったですね。
00:36:52はい。
00:36:562017年10月、東京高裁で二枚一事件の二審が始まった。
00:37:05吉田は、遺体の発見現場で殺されたのか、という想定に改めて挑むことになった。
00:37:13大きなポイントは、ルミノール反応によって後輩に結婚が認められるとした一審判決が正しいか、検証することだった。
00:37:32まあ、かなり下ですね。
00:37:35勝又の自白によれば、林道で女児を殺害した後で斜面に投げ捨てたが、まだ遺体が見えていたため、もう一度抱きかかえて捨てたという。
00:37:48自白通りだとすれば、林道場から斜面にかけて、広い範囲で結婚が残っているはずだが、警察の現場写真で確認しても見当たらない。
00:38:03吉田は、結婚を調べるにあたり、結婚学という分野の世界的権威であるドイツの法医学者に意見を求めることにした。
00:38:18捜査資料を自ら翻訳して送ると、すぐに回答が届いた。
00:38:25現場の結婚をつぶさに解析した報告書には、驚くべき見解が記されていた。
00:38:33合計11個の結婚が識別されているのですが、血だまりがない。
00:38:46それと、一番大きな結婚で、おそらく数ミリリットル以下であろうという。
00:38:54数ミリリットル?
00:38:55スポイトで的化したくらいの量の結婚量が推定されるものが1個あるだけである。
00:39:03この結婚ということから何が言えると思われたの?
00:39:08まず殺害現場ではないということは間違いないというふうに、ある意味確信しました。
00:39:14次に吉田は、事件当時の結婚の状況を科学的に実証するために、本物の血液を準備し、斜面に撒いた。
00:39:29検察側は、血液が土に染み込んだ可能性もあると主張していたが、そんなことが起きるのか。
00:39:37血液をまいて、一昼夜が経った後で、確認を行った。
00:39:47すると、土の表面の血液に変化はなく、土を掘ってみると、染み込んでもいなかった。
00:40:02それでも、検察側には、ルミノール反応という強い証拠があった。
00:40:09実験当時、斜面にはたくさんの落ち葉が募っていた。
00:40:17吉田は、試しに血液をまかずに、落ち葉の上にルミノール検査薬だけをまいた。
00:40:27すると、血液がないにもかかわらず、徐々に落ち葉が光り始めたのだ。
00:40:36明らかにルミノール液をまいた範囲の全体が、それなりの強さの傾向を発しているということに気づきました。
00:40:51血液をまいてないのにもかかわらず、落ち葉、そのあたりの落ち葉が浮かび上がってきている、傾向を発しているということに気づきました。
00:41:06落ち葉には酸化鉄という成分が含まれていて、ルミノール検査薬がそれに反応して光ることが分かった。
00:41:19一心で岩瀬教授が、本当に血液ならば、と留保をつけていたことは重要だったのだ。
00:41:34さらに、弁護団が撮影した落ち葉だけのルミノール反応の写真は、法廷に提出された証拠写真と光り方が似通っていた。
00:41:46警察が撮影したものと、自分たちが今やった落ち葉に撒いたものと比べて、どっちがどっちか区別はできないんです。ほぼ同じでした。
00:41:59提出されている証拠というのは、言葉悪いですが、実際の血でないものを血であるかのように見せかけているということが、本当に瞬時に分かりました。
00:42:12見せかけ。
00:42:13はい。
00:42:14そもそも、現場には11箇所にしか血痕はなく、広範囲にルミノール反応が出るのは不自然だと考えていた吉田。
00:42:26警察が提出した写真にも強い疑念を示した。
00:42:31かなり強い証明に一新ではなっているようです。
00:42:34はい。全く根拠はない。
00:42:41おそらく、実験した警察官はそれは分かっていると思うんですが、そういうものが証拠として使われているということが分かりました。
00:42:52吉田は、法廷で現場の血液量について証言を行い、一審判決の矛盾を立証できたと感じていた。
00:43:07しかし、法廷内では裁判長と検察官との間で異例のやり取りが行われていた。
00:43:14警察官に確認しますが、殺害行為の日時、場所に関し、訴員変更を請求する予定がありますか?
00:43:21警察官に確認しますが、殺害行為の日時、場所に関し、訴員変更を請求する予定がありますか?
00:43:29訴員変更を請求する予定がありますか?
00:43:36検討して速やかに回答します。
00:43:392018年1月、検察官は殺害現場と殺害時刻に関して、それまでの起訴内容を変更する手続きを行った。
00:43:54勝又を犯人としたまま、自白した殺害場所と時刻の縛りを取り払い、新たな内容を提示したのだ。
00:44:10殺害現場は遺体発見現場近くの林道だとして起訴されていたが、
00:44:17栃木県内か茨城県内、またはその周辺と大幅に変更された。
00:44:25殺害時刻も2日午前4時頃で起訴されていたものを、
00:44:34拉致された1日午後2時38分頃から2日午前4時頃までの間と、これも大きな幅を持たせた。
00:44:452018年8月、2審の判決の日がやってきた。
00:45:00判決は、再び無期懲役。
00:45:04裁判長は、吉田の主張を踏まえて、三輪が殺害現場とは言えないとした。
00:45:12その上で、殺害現場に関しては、勝又が虚偽の自白をした疑いがあると指摘。
00:45:19一方で裁判長は、殺害したという自白そのものは信用できると判断したのだ。
00:45:31吉田は、科学的に証明した事実が裁判で法にされ、
00:45:38結局は殺害したという自白が重んじられたと考えている。
00:45:43裁判は、自立認定の場であるということをほとんど無視した。
00:45:53非常にひどい、本当にどう言ったらいいんですか。
00:45:58日本の裁判は、外国の人から見たら、中性波とか暗黒裁判と言われるんですけど、
00:46:04まさにそうだなと思いました。
00:46:09裁判、特にいまいち事件という裁判の場で、
00:46:12科学鑑定、あるいは法医学者というのは、
00:46:14どういう扱いを受けたというふうに思われますか。
00:46:17全く無視されたと思っています。
00:46:202020年、最高裁で勝又の無期懲役が確定。
00:46:32しかし、勝又は無実を訴え、弁護団が最新請求を準備している。
00:46:4721年前、日本の法医学に見切りをつけ、
00:46:52アメリカに飛び出した男がいる。
00:46:56ハワイ、ホノルルの法医学者、小林正彦。
00:47:01アメリカ各地で研鑽を積んだ、全米でも屈指の法医学者だ。
00:47:08ハワイはですね、実は新婚旅行で来たんですよ。
00:47:12でも、実際に住むとは思ってなかったんですけど。
00:47:16ちょうど空きがあったんですよね。
00:47:20これで決めました。
00:47:25決めましたというか、応募して。
00:47:28新婚旅行がきっかけだった。
00:47:30すごいですね。
00:47:32犯罪大国アメリカ。
00:47:371940年代から、犯罪の見逃しや冤罪の防止を求める声が高まり、死因の究明に特化した公的機関が整備されていった。
00:47:53小林が所長を務めるホノルル観察医事務所もその一つ。
00:48:02市の予算で運営される独立機関だ。
00:48:09人口100万人のオワフ島全体を管轄し、年間3500体に上る異常死体を取り仕切っている。
00:48:19今、改装中なので、これが仮の事務所なんですけど。
00:48:26ミュージカルイグダミナ。
00:48:28そうですね。
00:48:30ここも天秤のマークというのか。
00:48:32そうですね。一応公平という感じで出ていますね。
00:48:39はい。
00:48:40小林は東大法医学教室で吉田や岩瀬と同じ教室にいた。
00:48:4833歳の時、アメリカ行きを決断したのだ。
00:48:58事務所には法医学や生物学などを学んだ捜査官と呼ばれる専門職、11人を常駐させている。
00:49:08カリー、アレクシス。
00:49:11はい、クリス。
00:49:12はい。
00:49:1324時間体制で事件発生に備える。
00:49:21小林直属の捜査官は、強制力のある捜査権を持ち、死因の究明に必要な情報を集めることができる。
00:49:33警察という職務とはちょっと違う。
00:49:35そうですね。
00:49:36警察の人はどちらかというと、やっぱり犯人逮捕。
00:49:42主に考えることが多いんですけど、殺人の場合はですね。
00:49:45でも、うちの捜査官は、メディカイザミナに必要な情報を集めてくると。
00:49:52だから、犯人は誰だっていいんです。実際のところ。
00:49:55で、うちとしてはですね、自殺か他殺かとか、そういうのを決めるのが私たちの仕事なので、それに必要な情報を集めてきてくれるんです。
00:50:08事件現場で発見された遺体が、観察医事務所に運ばれてきた。
00:50:21異常死体の管理を、法医学チームが行うのだ。
00:50:27また、ホノルルでは、解剖するかどうかも、法医学者が決める権限を持つ。
00:50:34警察から独立しているのだ。
00:50:38これが、世界の数勢となってきている。
00:50:46取材中、殺人事件が発生したと情報が入り、現場に急行した。
00:50:57事件は、ホノルルの閑静な住宅街で起きた。
00:51:04現場には、多くの警察車両が集結し、地元メディアも集まっていた。
00:51:25家族4人を殺害し、犯人の父親が自殺するという、痛ましい事件だった。
00:51:34観察医事務所の捜査官が、車で到着した。
00:51:40規制線を組み、殺人現場に向かう。
00:51:44法医学チームが現場に立ち会うことは、日本ではありえないことだ。
00:51:51遺体の捜査は、小林と捜査官が警察より優先して行う。
00:52:01殺害現場や、遺体の状況を細かく観察し、写真に収める。
00:52:08警察が自分のところで見たいという、手を出すことはどうなんでしょうか。
00:52:19それはできないです。
00:52:20警察は、もちろん、現場にある状態のご遺体を見ることはできるんですけれども、
00:52:29それ以上のことはできないんですね。
00:52:32ご遺体を動かすこともできないです。
00:52:34うちの捜査官が行くまでは、遺体を動かしてはいけないと。
00:52:37死にを決めるのは、あくまで私たちであって警察ではないというのは、
00:52:43かなりはっきりした事実だと思います。
00:52:50しかも、小林たちは死因の特定のみを行う。
00:52:55それ以上は求められても答える義務がないという。
00:52:58例えば、どれが狂気なのかというようなことを日本の保育学者は特定するとか、そういうことをしますが、
00:53:09そういった狂気みたいなこととかもされるんですか。
00:53:14いや、今までしたことはないですね。
00:53:17頼まれたこともないです。
00:53:20まあ、大体どういう狂気かぐらいは聞かれます。もちろん。
00:53:24で、ナイフとして矛盾がないかとか、それぐらいなら言えるんですけれども、
00:53:30例えば、このナイフはダメで、このナイフはいいとか、
00:53:34それはちょっと難しくなってくるんですよね。
00:53:37日本では、例えば死亡推定時刻、そのようなことっていうのはどうなんですか。
00:53:43そうですね。
00:53:45死亡推定時刻については、こちらでは、
00:53:48まあ、科学的な根拠の薄いことというのが、私の答えになりますね。
00:53:55うん。
00:54:05アメリカでは、裁判において、法医学者の置かれた立場が日本とは異なる。
00:54:10小林は、頻繁に裁判への出庭を求められる。
00:54:23去年も、被害者の解剖を担当した殺人事件で、検察側の証人として法廷に立った。
00:54:38事件は、オワフ島の西部にある海岸で起きた。
00:54:45遺体は波打ち際に遭え、最初は溺死と思われた。
00:54:51しかし、捜査官が調べると、首に刺し傷が見つかったのだ。
00:54:56簡単に言いますと、刺し傷が2つ。
00:55:02首と、あと膝にあったんですね。
00:55:07で、やはり、歴史を示唆する所見ももちろんあるものですから。
00:55:12結果として、先生の死因は?
00:55:16死因の中には、両方組み入れました。
00:55:19はい。で、死因の種類は多殺ということになりました。
00:55:23はい。
00:55:26警察は、女性をめぐるトラブルが原因で被害者を殺害したとして、
00:55:31二十歳の男を逮捕した。
00:55:36その裁判の前に、小林の元に一本の電話がかかってきたという。
00:55:45それは、被告の弁護士からだった。
00:55:48弁護士は、死因について、鑑定書以上の内容をこと細かに聞いてきた。
00:55:56小林は、聞かれたことにすべて答えたという。
00:55:59この事件に関わる法医学者は、検察側の小林のみ。
00:56:08このルールでは、検察側の証人が、弁護側に情報提供することが推奨されているのだ。
00:56:15裁判では、弁護士は、小林から得た情報をもとに、死因から刺傷を排除しようと質問をぶつけてきた。
00:56:28死因が歴史だけになれば、自己死の可能性を訴えることができるからだ。
00:56:35電話でも聞きましたが、刺傷で、湿血多量になって死んだわけではないですね。
00:56:44可能性は低いと考えています。
00:56:50可能性は低いと考えています。
00:56:59彼は、海中でまだ生きていたのですね。
00:57:05その可能性もありますが、そうとも言い切れないのです。
00:57:11先生によると、口に泡がついていた。
00:57:18これも、海中で呼吸していた証拠ですね。
00:57:21しかし、このくらいの傷でも、場合によっては、死に至ることもあります。
00:57:36私も検察側の証人とは言っても、本当に検察の言うことに、全てイエスを言う人では全くないわけですよね。
00:57:49私は、どちらかと言えば中立で、弁護側から意見を求められれば、裁判の前でもお話をして、全て情報をあげます。
00:58:05ホノルルの捜査機関では、法院悪者の存在をどう考えているのか。
00:58:12殺人専門のスコットベル検事に聞いた。
00:58:17この病院です。
00:58:20これも、裁判の順位の誠によっては、裁判の後ろは、裁判の後ろに伴うことがあります。
00:58:29この疾風判は、博団的に対応することがでしょう。
00:58:32So perhaps that's the difference between the system in Japan and the United States.
00:58:37The medical examiner does not work for the prosecutor, or does not work for me.
00:58:42Dr. Kobayashi is completely independent.
00:58:45In other words, Dr. Kobayashi and the police work together,
00:58:48but the police do not tell him what to do,
00:58:51and nor does he tell the police what to do,
00:58:53but rather it's a collaborative approach.
00:58:56So there is no up and down?
00:58:58No, no up and down. More like this.
00:59:02日本を飛び出して21年。
00:59:10ホノルルでは解剖の決定権を持ち、遺体の管理も自らできる。
00:59:16小林は今の仕事にやりがいを感じているという。
00:59:22日本に戻りたいっていうお気持ちっていうのはお絵がきさとしてありますか?
00:59:28それは今のところはないです。
00:59:31理由っていうのは何でしょうか?
00:59:33そうですね。やっぱりこちらで自分の好きな操作ができるので
00:59:38与えられた情報だけでやっているわけではなくて
00:59:42自分から進んでいろんな情報を集めることができる。
00:59:46そういうのは非常に恵まれていると思うんですね。
00:59:50日本に戻るとそれが損なわれる可能性がある。
00:59:55そうですね。そう思います。
00:59:58日本最大規模の法医学チームを率いる千葉大の岩瀬博太郎。
01:00:13異常死体の増加に伴い、岩瀬は警察から解剖を効率化し、受け入れを増やすよう求められてきた。
01:00:25国の支援がないため、NPO法人を作るなどして体制を強化してきたが、それも限界を迎えていた。
01:00:3712月、さらに岩瀬に難題が降りかかってきた。
01:00:43昨日ですね、県警の一家の私と話したいというので来られました。
01:00:53で、解剖が今1週間、2週間待ちの状態になっていると。
01:01:00来年度以降、東京の方で別の大学と契約することも今視野に入れていますということをおっしゃっていました。
01:01:13非常に残念な話です。
01:01:19本当、前からうちの解剖を増やしたいということで、自分の我々も頑張ってきて。
01:01:28もうお互い口には出さなかったけども、安くて早いところに持ってきますよっていうことをちょっと宣言されたなっていうふうに僕は、クオリティではなく。
01:01:38早けりゃいったわけでもないしね。
01:01:42結果的にはどんどんどんどん我々のレベルも落ちていくし、みたいなね。
01:01:49もし解剖数が減らされれば、死因の研究や更新の育成も滞ってしまう。
01:01:59警察からの課題には、悩んだ末、解剖を一部効率化して受け入れを増やすことにした。
01:02:14日本では毎年9000人が医師となるが、法医学者を目指すのはわずか数人だけだ。
01:02:24何だこの国って思ってますよね。
01:02:34だから寝れなくなっちゃったんでしょうけど。
01:02:36真っ暗になっちゃったんですよね、将来が。
01:02:40本当に。
01:02:41私たちの社会どうなっちゃうんですかね。
01:02:44まあ、冤罪が増えたなって思う日が来るかもしれないですね。
01:02:50冤罪に結びつく。
01:02:51冤罪に結びつくし、犯罪見逃しにも結びつくし。
01:02:56ますますそういうのが悪化するんじゃないですかね。
01:03:00まあ、自分のこととして思える人がほとんどいないんですよね。
01:03:05雨の中、岩瀬は京を歩く。
01:03:18雨の中、岩瀬は京を歩く。
01:03:33雨の中、岩瀬は京を歩く。
01:03:38NHKと民放で放送された優れたドキュメンタリー番組をご紹介する。
01:04:00ザ・ベストテレビ2025 ATP賞テレビグランプリのグランプリ作品
01:04:06NHKスペシャル、法医学者たちの告白をお送りしました。
01:04:12警察や検察からの依頼を受けて死因を判定する法医学者。
01:04:17捜査や裁判でとても重要な役割を担っている彼らの告白によって、
01:04:23日本の司法の問題を浮き彫りにした番組でした。
01:04:28いかがだったでしょうか。
01:04:30あれほどまでに法医学者たちが葛藤したり苦しんでいる姿に驚きました。
01:04:37その苦しみというのは科学の限界ではなくて、科学への無理解とか制度の問題であることに衝撃を受けました。
01:04:47本当に法医学がこれだけ軽視されているということは、冤罪につながるのは本当に無理はないと思いますし、
01:04:56結局自白のようなものがどうにでもなるようなほかのものが返帳ということになってしまって、
01:05:03日本の刑事裁判の有罪率が99%って何か分かるような気がしますね。
01:05:11教会でお祈りしていた清水さんが、自分たちは忖度はしないで、自然科学に誠実であることを目指すと、
01:05:25とっても当たり前のことをおっしゃっているんだけど、
01:05:28でもその当たり前のことがなかなか機能できない、
01:05:32日本の司法の在り方っていうのはやっぱり大きな問題なんだろうなと改めて実感しました。
01:05:38さあ、あとこの作品ね、ヒューマンドキュメント、
01:05:41つまりそれぞれの法医学者たちがみんな個性的で面白いんですよね。
01:05:45このあたりはちょっと後からもう少しじっくり聞いてみたいと思っています。
01:05:49制作者をお招きしています。
01:05:51ディレクターを務めたビジュアルオフィス全の木寺一隆さんです。
01:05:56木寺さん、よろしくお願いします。
01:05:58よろしくお願いいたします。
01:05:59木寺さんはですね、DNA鑑定が決め手になって死刑判決に至った
01:06:05飯塚事件をテーマにした正義の行方という番組を作られていますよね。
01:06:11今回見た番組はその正義の行方に関係していますか。
01:06:16そうですね。
01:06:17その飯塚事件という一つの大きなポイントというのがDNA型鑑定というのがあって、
01:06:23その中で警察の科学、警察研究所というものがDNA型の熱相、
01:06:30切り取りを行ったのではないかという疑惑があってですね。
01:06:35そうですね。
01:06:36もう一つ、よくドラマとかでは目にする死亡推定時刻というのがよく出てきますけれども、
01:06:42裁判になったら急に法医学者の新たな鑑定というのがあって、
01:06:48ある種検察に有利になるような鑑定が提出されるということがあったんですね。
01:06:55すごく自分の中では引っかかっていて、
01:06:57何かこの科学と司法ということをテーマにできないかなというのを考えていまして、
01:07:05弁護士側、検察側、何か二つに分かれて、
01:07:10二人の法医学者が争っているケースもよく見る。
01:07:14科学は一つじゃないのかなというのが素朴な疑問というのがありまして、
01:07:20そこから正義の行方、飯塚実験の続編という意味もあって、
01:07:25この政策に入ったという感じですね。
01:07:29番組のタイトルに告白って入ってますけど、
01:07:31法医学者の方が非常に率直に語ってらっしゃいますよね。
01:07:35そうですね。
01:07:36私自身も非常に驚かされたんですけれども、
01:07:40これ放送に出すときに、本当にここまで出していいんですか、
01:07:43大丈夫ですかと何度も確認したんですけれども、
01:07:46いわゆる覚悟はできていますと。
01:07:49やはりそういうことをやらないと、
01:07:51法医学は動いていかないんだと、制度面。
01:07:56もうずっと置き去りになってきているという危機感を
01:08:01皆さん持ってらっしゃったということですね。
01:08:04ではその法医学者の皆さんの告白をどういうふうに聞いたのか、河合さん。
01:08:10はい。
01:08:11岩瀬先生のドラえもんみたいに期待されていると思うけど、
01:08:15という言葉が非常に印象的でした。
01:08:18私法でも法医学者は願いを叶えてくれる存在というふうに思われているんだなっていう。
01:08:25いまいち事件の裁判では、
01:08:28ルミノール反応について、
01:08:30血液だとすればというふうに慎重に前提を話していらっしゃったのに、
01:08:35発言が編集されてしまっていたと。
01:08:38科学は編集できるという言葉をすごく重く受け止めまして、
01:08:44それほど都合の良い存在として、
01:08:47科学とか法医学者が軽視されている現状が見えたと思います。
01:08:53法医学の権威の方から編集できるんだ、裁判ではっていう言い方をされていたのが、
01:09:02私はやっぱり印象に残っていて、
01:09:04もう一つ東大の岩瀬教授がおっしゃっていたのが、
01:09:11こういうことを言われたことがあると警察から、
01:09:14これはもう黒だと分かっているんですと。
01:09:16先生が言ってくれたら犯人を逮捕できるんです。
01:09:21それが社会の正義になるんですとお願いされたことがあるとおっしゃっていて、
01:09:27もちろん岩瀬先生はそれには乗らなかったわけですけれども、
01:09:31その正義に乗る方がいてもおかしくないともおっしゃっていて、
01:09:35そのぐらいその法医学の鑑定っていうのは、
01:09:39ある種どっちにでも転ぶんだっていう。
01:09:43裁判の根底にはそういう、
01:09:45本当に弱い法医学というものがあるんだっていうことに恐怖を覚えました。
01:09:52今回の番組ではハワイの例を出しながら、
01:09:56法医学者は日本では犯行現場に赴くことはないし、
01:10:03死体を解剖するかどうかを決めるのも警察だという話も出てきますよね。
01:10:09ハワイ在住の小林先生が信用を決めるのは私たちであって警察ではないっていうふうにおっしゃっていましたが、
01:10:17この私たちっていうのは科学的専門性からの検知っていうことでおっしゃってるんじゃないかなと思っています。
01:10:25一番大きな違いは、科学や専門性に対する信頼の度合いの違いではないかなっていうふうに感じました。
01:10:35日本では専門家の意見、ご意見というふうによく言われますけれども、
01:10:40司法だったり政治だったり判断する人の都合によって左右されてしまうことがあるんじゃないかなっていうふうに感じます。
01:10:50吉田先生の外国から見たら、中世並みの暗黒裁判っていう表現されてましたけど、
01:10:57すごい衝撃的な発言だなと思いましたね。
01:11:00あれだけ実験をして、アノルミノラ反応が血液の反応したものでないっていう、
01:11:06この科学的に明らかにしたのに、裁判ではそれが無視されるわけですよね。
01:11:11そもそも血液の量がすごく出たのか、ほとんど出てないのかって、
01:11:18結局現物が見れないからそれは分からないっていうことになってしまいます。
01:11:22現場に行けたらまだ分かる部分があるとは思うんですよね。
01:11:26私が目の当たりにしたのは、特に殺人事件の場合は、
01:11:30ご遺体を袋に入れてジッパーかけて、鍵までかけるんですよね。
01:11:36他に触れさせないようにする。
01:11:38警察であっても触れさせないっていう。
01:11:40そのぐらい厳格にやっていて、
01:11:42だから日本は警察が主体。
01:11:44アメリカは法医学者が主体。
01:11:48でも、袴田事件のみそだるの衣類の血液鑑定をやった清水さんが、
01:11:56でもその鑑定結果を公開する前に相当悩んだみたいなね。
01:12:02これは反旗を翻すことになるのではないかと、
01:12:05頭の中でシミュレーションしたみたいにおっしゃっていて、
01:12:08多分これ、欧米の法医学者が聞いたらびっくりするでしょうか。
01:12:12そうですね。びっくりしますね。
01:12:14もう独立しているのが、もう、
01:12:16諸外国が当たり前になってきていて、
01:12:19韓国ですとか台湾も日本と同じような仕組みでやってきたのが、
01:12:23もう第三者機関、警察から独立した法医学研究所的なものを設立して、
01:12:30科学捜査をやるっていうふうにもう、
01:12:32そこを日本はなぜかできないでいる。
01:12:36そこに考えたら当たり前ですよね。
01:12:39そうなんですよ。
01:12:40冒頭で、森さん、
01:12:42このヒューマンとギメントとして、
01:12:44はい。
01:12:45ちょっとその話を聞かせてください。
01:12:48僕たちディレクターは本当それこそもう、
01:12:51放送日が近づいたら必死で尺を詰めて長さを縮めるんですよ。
01:12:55とにかく膨大な量を取ってますから、
01:12:57例えば延々と岩瀬さんが道を歩いているところとか、
01:13:00お祈りしているところとか、
01:13:02これがなくても別に作品時代に変わりはないということで、
01:13:05切られてしまう可能性が高いんだけど、
01:13:07そこをかなりこだわって残してらっしゃるでしょ。
01:13:12それが要するにヒューマンドキュメントとして、
01:13:15結実できているんだけど。
01:13:18やっぱり法医学者っていうのが、
01:13:21やっぱり生身の人間である。
01:13:23私たちと何も変わらない人間であるんだっていうのが、
01:13:26私はやっぱり伝えたいというか、
01:13:29そこの彼が持っている重荷みたいなものが、
01:13:34一つのテーマだというふうに思って。
01:13:37今回は取材の中で岩瀬先生が、
01:13:40毎日雨が降っても雪が降っても、
01:13:42出張に行っても10キロ歩くんだと。
01:13:44清水先生はほぼ毎日のように朝6時からお祈りをされるというのを聞いたときに、
01:13:52これが法医学者の姿を象徴しているのではないかなというふうに、
01:13:59直感的には思ったんですね。
01:14:02そういうシーンがあるからこそ、
01:14:05一人の人間としての専門性に立った葛藤というのを見ることができたんだなというふうに思います。
01:14:12告発だったら、多分事件の真相とか、
01:14:16もっと冤罪を生むシステムに焦点を当てたり、
01:14:19あるいは検察や検察側の意見というのも聞いたりするのではないかなと思います。
01:14:25告白というか、SOSじゃないですか。
01:14:28法医学者からの。
01:14:30岩瀬先生が、なんだこの国って思ってますって、すごい強烈ですよね。
01:14:36それに対して、じゃあ誰が聞いてくれるのかって、
01:14:40普段のメディアはあまり取り上げない。
01:14:43ドラマでは美化するというか、すごいものとして過剰に描き出すということになって、
01:14:50まさにこういうドキュメンタリーがすごい重要だということになると思いますね。
01:14:55今回放送を出してみて、反響、反応はどうだったんですか。
01:15:00これ私も意外だったんですけれども、
01:15:03NHKスペシャルという枠で、年間で1,2を表す視聴率だったんです。
01:15:09やはり冤罪を生むかもしれない。
01:15:11あるいは、逆に犯罪を見逃すことになるかもしれないという、
01:15:17自分に直結した、やっぱり怖さがあるのではないかと思うんですよね。
01:15:22やっぱり私たち市民が法医学がどう扱われているか、
01:15:25この裁判の成り行きを見ているよということをちゃんと示していかないと、
01:15:29いくらでも手法というのは揺らぎ続けるというか、
01:15:34そういうことがやっぱり重要なんだろうなというのを感じました。
01:15:39いや、裁判ってとても大事で重い行為であるので、
01:15:42そのベースはやっぱり科学的であってほしいと思うし、
01:15:45そこがどうなのかということを人事でなく、
01:15:49考えなければならないなということを強く感じました。
01:15:53ビジュアルオフィス全の木寺和孝さんでした。
01:15:56ありがとうございました。
01:15:57ありがとうございました。
01:15:595回にわたってNHKと民放の垣根を越えて、
01:16:03優れたドキュメンタリー番組をご覧いただきました。
01:16:06ザ・ベストテレビ。いかがだったでしょうか。
01:16:10これらのドキュメンタリーを通して、
01:16:13被害者と加害者の非対称性というのを強く感じました。
01:16:18被害者の方は何十年、あるいは100年経ってもなお、
01:16:23忘れられない思いを持っている。
01:16:25一方で、加害者は軽く扱ったり忘れてしまうこともある。
01:16:31さらに、加害者とは誰かという問題を突きつけられたように思います。
01:16:36加害を生む社会の土壌とか構造というのがなかったのか、
01:16:42それは自分自身にも返ってくる問いではないかなというふうに思いました。
01:16:46今回は特に調査報道系のドキュメンタリーが多かったかなという印象があるんですけど、
01:16:53ドキュメンタリーというのは、
01:16:55制作者、ディレクターであったりプロデューサーの思いに依拠するところが大きい。
01:17:02それはいわゆるジャーナリズムとはちょっと違う。
01:17:05そうしたドキュメンタリーが、やっぱりこういう形で作られていくテレビ。
01:17:11とても大事だなと、改めてそういう思いを強くしました。
01:17:15今何が起きているのか、その事実を確認するというのも大事ですけれども、
01:17:20これまでのこと、何があったのか、これからどうすべきかって、
01:17:24辛い歴史を振り返る、向き合うというのも大事ですし、
01:17:27これからどうするのかって、コラボレーションだとか新しい技術を取り入れるとか、
01:17:33そういうものも含めて、やっぱりジャーナリズムについて考えさせられました。
01:17:37これからもどんなドキュメンタリーが出てくるか注目していきたいと思います。
01:17:42皆さんご覧いただいてありがとうございました。
01:17:44ありがとうございました。
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