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  • 5 hours ago

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00:00島根県の松江で暮らした小泉八雲は日常聞こえてくる声や音に耳を澄まし日本文化を五感の全てを使って捉えようとしていました。
00:26しかしそれだけではわからない不可思議な現象に八雲は出会います。
00:37悲しいのに日本人はなぜ笑うのか。
00:41彫刻でもない自然の石をなぜ庭に飾るのか。
00:48相手の立場に立つことで八雲は日本人を理解していきました。
00:56100分で名著、日本の面影。異なる文化と向き合うヒントを小泉八雲から学びます。
01:05100分で名著、司会の竹内藤子です。
01:32さあ今回は小泉八雲の日本の面影という本を取り上げておりますけども前回もうあの八雲さんと一緒に盆踊りを体験したり出雲大社に行ったり100年前の日本を試したような気分にもなりましたね。
01:48この本を知るごとに自分たちが日本人の本質をかなり離れちゃってるんじゃないかなとそしててことはここ近づくためには小泉八雲並のもしかしたら以上の感性を僕らは磨かないとちゃんと日本人に戻れないような気がしてその辺をテーマに僕は挑んでみたいと思っております。
02:07その辺をテーマに僕は挑んでみたいと思っております。
02:11では今回指南役を務めてくださるのは早稲田大学教授池田正幸さんです。よろしくお願いいたします。
02:20きょうは2つをテーマにしたいと思います。1つは八雲さんが日本に来てですね日本の文化を全身で五感を開いて受け止めたんですね。そういう八雲さんの受け止め方とそれからもう1つ八雲さんに特徴的なのは相手の立場に立ってものを理解するものを受け止めるというところがあるんですね。
02:46まあこの2つを中心にと思いますさあ庶民の生活から本質を見抜いていく八雲ですがどんな方法を取っていたんでしょうか八雲の作品は耳の文芸といわれるほど聴覚で捉えたものの記述が多くあり日本の面影においてもその特徴が表れている箇所があります例えばこんな感じ
03:12松江に到着したばかりの八雲が新事故のそばにある旅館富田屋で迎えた朝の印象を記した部分です。
03:21松江の一日は寝ている私の耳の下からゆっくりと大きく脈打つ脈拍のようにずしんずしんと響いてくる大きな振動で始まる。
03:30柔らかく鈍い何かを打ちつけるような大きな響きだ。
03:39その間の規則正しさといい包み込んだような音の深さといい音が聞こえるというよりも枕を通して振動が感じられるといった方がふさわしい。
03:48それは小目をつく重いキネの音であった。
03:57朝目覚めたときに聞こえるキネの音を表現することで情景が目に浮かぶだけでなく、日本の暮らしの中で大切な米を意識させ、食文化までを感じることができるようになりました。
04:26そして一日の終わりをこんな表現で締めくくっています。
04:33一日の終わりをこんな表現で締めくくっています。
04:40東高寺の柔らかい凡章の音がとどろいているそれからお酒でほろ酔い気分になった人たちの歌声が聞こえてくる夜の物売りも朗々と声を響かせているうどん屋いそば屋い!
05:04暖かいそばを売る商人が最後の一回りをしているところだ。
05:11橋の上を行き交う無数の下駄の音がこだましあっている。
05:18東の空から新たな光が昇ってきた。
05:25山の頂の背後からとても大きくて不気味な青白い月が白いもやの中を抜けて出てきたのである。
05:37八雲は音や声を通して日本文化を体感していたのですこんなにこう聞いててうっとりするというかトリップする文章も珍しいですね。
06:01ものすごく細かくいろんな音を拾っているんですねヤクモさんは目が悪かったせいもあって地上に耳が敏感というか本当に音をうまく取り入れてるんですね普通の人だとなかなか言語ができないようなだからヤクモの文学を耳の文芸なんて呼んだりしているんですね。
06:27徐々にもうスーッと音からまずちょっと耳すましたらこんな音聞こえるような気しませんかから入られるととても入りやすいというかまんまと入っちゃううっとりしちゃうんですかね。
06:38松江に到着して第1日目寝ている時に翌朝ですねそういう米をつく音が最初しかし作品の中では何の音か言わないんですよね音がとにかく重い音が聞こえてくるキネの音らしい米をつく音がそれがやはり日本人の命を養う食べ物であるしその米というのがやはり日本文化の根幹にあるということをまあそういう音が聞こえてくるんですよね。
06:47直感的に見抜くわけですよね。
06:56そこが僕はすごいな。
07:05いつ読んでもこの一行は本当にヤグモさんはすごい直感力の優れた感性がねこう開かれてる人だなっていうふうに思うんですね。
07:14それは単なる食べ物だけではなくてそれはなんとか非常に霊的なねもう日本の神話ではやっぱりお米の話稲の話が出てくるわけですからね。
07:23だからそういうところまで恐らくつかんでいてのことなんじゃないかなというふうに思いますけど。
07:42普通の西洋の方は日本に当時来た方は恐らく見るという行為を通して相手を客体化するというか客観的に見ようとする。
08:03どうしてもまあその時代は欧米の文化が中心だからどうしてもこう上から見下ろすというようなね彼らのキリスト教文化圏の価値観だとかそういういろんな価値観を持ってどうしても見てしまう。
08:18ところが八雲さんは見ることもするけれどもむしろ聞くというそういう行為ですねを通して日本人の中に入っていくとだから見るというとね主体的な感じがしますけれども聞くというとね少し受け身的な感じがしますけれども八雲さんはただ受け身的だけではなくてこの両方をやっぱり持っていてそういう立場をものすごく大事にしてた人だと思うんですね。
08:45聞いてみて入ってく時は何かすごく内面から入ってくっていうか近い感じがしますねそうですねむしろ見るという行為よりも聞くという行為の方が何かこう入っていく対象の内面といいますかねそういうことがあるんじゃあったんじゃないかな。
09:05だから俺たちもワクワクするっていう多分朝ずしんずしんって言ったなさあ何っていうクイズのヒントが出てくるみたいに僕らもそれに僕その引き込まれてる僕らもだって思ったもん朝なんだろうこの音はって振動がする脈拍のようなリズムでってなるじゃないですかそこのような気がするなあ。
09:27さてこの異文化理解に長けていたヤクモですが見たり聞いたりしてそれを文章にするだけでなくさらに型にはまらない方法で理解を深めていたといいます。ご覧ください。
09:39ヤクモが目をつけたのは日本人の微笑。
09:48私たち日本人は無意識に微笑んでいることが多いですよね。
09:53無意識なので気づかない場合もありますがほらこうやってね。
09:59でも西洋人にとっては日本人がいつも顔に微笑を浮かべているのはとても不思議で不可解なことのようなのです。
10:10一方でヤクモは日本の友人から西洋人がいつも厳しい顔をしている理由を聞かれましたそれをきっかけにヤクモは日本人の微笑の意味を分析し始めます
10:27双方はごく自然に相手のしぐさや心情を自分たちの流儀で押し量り結局は誤解して受け止めているのである。
10:40日本人がイギリス人の厳粛な態度に不可解なものを感じるとすればイギリス人はあえて言えば日本人の軽さに同様な不信感を持っているのであろう。
10:55日本人が言うところの怖い顔をした外国人たちは日本人の微笑が嘘をついている証拠ではないかと怪しんでいるのである。
11:09そしてヤクモはこんな話をします子供を亡くした母親が葬式でどんなに激しく泣いたとしても彼女があなたの家の使用人であったとしたら微笑を浮かべて子供の死を報告するだろうと。
11:31しかしこの笑いは事故を押し殺しても礼節を守ろうとするギリギリの表現なのであるこの笑いが意味しているのはあなた様におかれては私どもに不幸な出来事が起こったとお思いになりましてもどうぞお気を煩わされませんようお願いいたします失礼をも顧みずこのようなことをお伝えします。
12:01事故をお許しくださいという内容なのである。
12:09要するに不可解な日本人の微笑は日本的な礼儀正しさの感覚にあるのです。
12:18目上の人に対する礼儀でありどんな場面でも圧力なく過ごすための教養の一つでもあるのです。
12:26ほほ笑みを浮かべずに不幸そうに見えるということが相手に対する無礼とも言えますなぜなら好意を持ってくれる人々に心配をかけたり苦しみをもたらしたりしてしまうからです
12:43さらに悲しみをこらえ事故を抑制し己に打ち勝ったものにこそ幸せは訪れるという日本人の道徳観がこの微笑には象徴されているとヤクモは分析したのです。
13:01それを体現しているのがこの鎌倉の大仏。
13:08日本人にとっては当たり前とも言える周りを嫌な気持ちにさせないための配慮、気遣いなのですがヤクモはこのことを見事に分析し気持ち悪いと思われていた微笑を理解しました。
13:26相手の立場に立ち相手の思考を自分なりに追体験してみることで本質にたどりつく手法をヤクモは自然と身につけていたのです。
13:41ここまで言ってもらうと自分はちゃんと常にほほえめてるだろうかっていうことを少し考えてしまいますけど普通はオリエンタルスマイルっていう不気味な笑いというふうになってしまってるのがねヤクモさんはこれを救い取ってくれてるような感じがしますけれども。
14:05途中ね日本人の微笑を研究してこんなフレーズが出てきましたねヤクモさん子どもを亡くした母親の例を出していますがこの笑いが意味しているのはあなた様におかれては私どもに不幸な出来事が起こったと大思いになりましてもどうぞお気を煩わされませんようお願いいたします失礼をも顧みずこのようなことをお伝えいたしますことをお許しください。
14:34あの日本人の笑いというのは何か心の状態がねこう表現されている実際こういうまあ日本人の心ねというか心の状態があるんだろうとこれが一つの礼儀であり礼説であると相手に対するそういうふうにまあこの日本人の微笑で結論づけてるわけですよね。
14:58なんでこういうことに行き着くというか気づくんでしょうかヤクモはそれをやはり日本人の側に立ってそれを解明するということは
15:28やっぱり日本人の本質もつかんでるヤクモさんが展開したのはあのイギリス人のね見方日本人の微笑は不気味だとしかし日本人から見るとイギリス人はなんとこう固くてねクソ真面目かというふうに思うんですね。
15:46ただヤクモさんのいいところはこの2つを比較しながらイギリスがよくないとかねそういう言い方はしないで非常に相対性があって公平な見方をしてるかなというふうに思うんですね。
16:02ただの日本美意気って話じゃないですもんねこれは。
16:06しかもヤクモは最後には鎌倉の大仏のほほえみが日本人の道徳観や心の平安までを象徴しているとヤクモさんはまず大仏様の微笑あれをやっぱりほほえみというふうに捉えてますねそして心の状態平安な人々の平和を祈るそういう心を大仏様の顔の中に見ているつまり日本人の代表表情に見ているということですよね。
16:35そのまあ悟りを開いてるわけですから仏様たちはもう平穏そのものなわけじゃないですか平穏も以外何者でもない状態がややほほえんでるっていうこと日本人は理想とする平穏はあの大仏の顔であるとするならばフラットっていう状態はあの顔には恐らくならない国のほうが多いでしょうねそうでしょうねやっぱり共感力というか相手の立場に立つというか役者さんはそういうことを身についてたとか生来のものということもあります。
17:35八雲は分析を続けていくわけなんですがもう一つの例を見てみたいと思います。
17:40八雲は松江で妻の説と一緒に庭のある武家屋敷に暮らしていましたこの庭を八雲はとても気に入り西洋とは大きく異なる日本の庭を観察し分析しています八雲は花の庭である西洋に対し日本の庭は石の庭であると定義しています。
18:02八雲は花の庭である西洋に対し日本の庭は石の庭であると定義しこう書いています。
18:11日本庭園の美を理解するためには石の美しさを理解しなければならないということだ。
18:22石といっても人の手で切り出されたものではなく自然の営みで生まれた自然石のことである。
18:30石にもそれぞれに個性があり、石によって色調と明暗が異なることを十分に感じ取れるようにならなくてはいけない。
18:42そうでないと日本庭園の美しさの神髄が心に迫ってくることはないだろう。
18:49日本では寺や神社などの庭園に自然に石が置かれていることから、日常的に石をめでるという神秘眼が養われたのだと八雲は分析しています。
19:06さらに庭に植えられている樹木についてこう言及します。
19:11大きな樹木にも小さな棺木のように面白い詩や伝説が残っている。
19:21ちょうど岩や石が庭の平面図の骨格をなすものであるならば、松の木は庭全体の中心になるものだ。
19:32日本ではやはり松もまた特別な意味を持つ。
19:36常緑であるがゆえに松は不屈の志や年をとってもなお精力的である老年の象徴とされている。
19:46また譲葉は新しい葉が十分に育つまで古い葉が落ちないことから息子が一人前に成長するまで父親が死なないようにという願いを象徴していると八雲は書き記しました。
20:05庭に置かれているもの一つ一つに意味があり背景があるこの日本の庭という小宇宙に八雲は日本の風景が凝縮されていると感じ感動したのですいや何か八雲さんも興味を持って徹底的に調べたり尋ねたりしたんだと思うんですけど。
20:32目の付けどころがいいんでしょうね教えてくれる人もいるけれどもやっぱりそこに疑問を持ってこれはどういうことだっていうところに突っ込んでいくものすごい観察眼ですね八雲さんが住んでた急きょですねこれ武家屋敷治さんが昔住んでたそこにまあお庭がついてるんですけどほんのね小さい庭なんですよでも作品になるとこれだけ非常に小さいものが微小なものがもう部分拡大でこれだけ広いものです。
22:31それの何かおかしいぜっていうのがなかったら入っていかないじゃない先に感じないんならえらいのはそこで止まらないことでもう一個ねそうなんですよ違和感があるからあいつらおかしいなって言うと終わっちゃわないっていうのが僕はすごい気がするんだよねやっぱり相手の立場に断ち切るということでしょうねそこに寄り添うということでしょうねそこへ入っていくということでしょうね
23:01相手日本を褒めるとなると自分の国は駄目だってなったりとかしないんですよね僕らも多分隣国のことを認めながらも自分たちのアイデンティティングもきちんと守れることは絶対あるはずですよねそういう寄り添い方って絶対ありますよねそうですよね
23:19ヒントがいっぱいありますね本当にさて次回は最終回ですが庶民の生活に深く入り込んだ八雲はその土地に伝わる民話や伝説にもとっても興味を示し階段を書くに至りました八雲が階段に心引かれたのはどうしてなのかひも解いてまいりますではまた来週どうぞよろしくお願いいたしますありがとうございました
23:44ありがとうございました
23:45ありがとうございました
23:45笑んで終わっちゃう
23:47笑んで
23:48スマイル
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