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00:002009
00:05
00:10その人は誰にも見取られることなく
00:15帰らぬ人となって発見された
00:20かつて日本のお茶の間で愛された俳優
00:25大原 玲子
00:28彼女の魅力を凝縮したコマーシャルがある
00:49女と男じゃ 男が悪い
00:53悪いね 男は
00:59少し愛して長く愛して
01:02とにかくかわいかったですよね
01:06いわゆる昔の女のひらがなの
01:11魚女っていう感覚を持ってましたね
01:15これは遺族から託された
01:19大原自身が保存していた資料だ
01:24そこには孤独の中で息を引き取るまでの人生が
01:29知られざる格闘の連続だった痕跡が残されている
01:34最大の戦いは
01:40彼女が女優ではなく
01:43俳優と呼ばれることを望み続けたこと
01:47仕事に関しての男だから
01:51女だからっていうのはない
01:54その俳優としての歩みは
01:57日本の女性たちが
02:00新たな時代を切り開いていった道のりとも重なっていた
02:06私はどうなるんですか
02:08そして1992年
02:12大原は高倉健を相手に
02:16新たな女性像を演じ切る
02:19つまんない意地張るなよ
02:21本音でしゃべりましょうよ
02:23カッコつけてたら
02:25みんなでがんじがらめになっちゃうでしょ
02:27男はそういうもんだ
02:28そんなの大嫌い
02:30人間たちの格闘劇ですよね
02:33演じるっていうことは生きる死ぬの話であるっていうぐらいの
02:37そこに孤独の中で磨かれた大原玲子の集大成があった
02:51少し愛して長く愛してこのコマーシャルのキャッチコピーとともに日本人の記憶に刻まれた私たちの大先輩。
03:19大原玲子さん
03:23昭和から平成にかけ国民的な人気を得た俳優です。
03:29出演したドラマや映画、舞台は250本以上。
03:35愛くるしく透明感のある表情と少しハスキーな甘い声で見るものを虜にし、主演した大画ドラマ、かすがのつぼねの平均視聴率は歴代トップ3に入る32.4%を記録しました。
03:53しかし2009年8月3日その時は突然訪れます。
04:03自宅で亡くなっていたことが報じられ、芸能界に衝撃が走りました。
04:11第一の視点は大原玲子本人です。
04:17実は亡くなった部屋には一辺の詩が飾られていました。
04:25孤独な鳥の5つの条件。
04:29孤独な鳥は高く高く飛ぶ。
04:33そして仲間を求めない。
04:39時代を彩った俳優の知られざる過去をひもとくアナザーストーリー。
04:492025年8月3日。
04:5617回帰を迎えた彼女が眠る墓に、一人男性の姿があった。
05:04元マネージャー、川上涼。
05:09今日はあの、大いにありがたいことです。
05:14大原と共に、時代を駆け抜けた男が強く記憶しているのは、彼女のプロ意識だった。
05:27自分が新入社員で入って、で、ある時、ロケの時に、俺が荷物を持とうとしたら、持ってはダメだと。
05:38あなたはマネージャーなんだからっていうふうに言われた時に、そういうけじめっていうか。
05:45だから、あの、ありがたい教えでしたよ。厳しかったけど。
05:51一方、大原が幼い頃から抱えていた葛藤と、それに始まる戦いの日々をつぶさに見ていたのが、弟の正光。
06:08自分が終わるレコードの人生だったらどうですか?
06:12嫌だね。
06:14それだけつらかったんじゃないよ。
06:17一番気に入ったのはね、これをすごい気に入ってた。
06:23最後の時まで手元に置いていたのが、この女性像だった。
06:31これはすごい大事にしてたね。
06:42これは大原が45歳の頃、当時のバラエティ番組に出演した際の映像。
06:54小さい時ね、あの、うちの近所にね、宮坂ってすごい坂があったんですよ。
06:59こう、両手放して、乗って降りたいなってずっと思って、降りれたんですよ。
07:04で、もうそれがすごい快感で。
07:07すんごいは、両手放しでね、坂道転げ落ちるっていうのね。
07:10転げってない?
07:11いやいやいや、自転車でこうね。
07:13おてんばだった少女は、太平洋戦争が終わった翌年、東京に生まれた。
07:26男まさいやつの、ガキ大将だったから。
07:30勉強は、だいたい、クラスで一番。
07:35とりわけ国語はいつも最高点。
07:40何しろ母の敏子は、辞書の編参にも携わり、後に国語教師を務めた人だった。
07:51一方、和菓子店を営む父、まさたけは、明治生まれの昔かたぎ。
08:01気に入らないことがあると、本気で殴ることもあった。
08:06その上、店の女性従業員に手をつけた挙句。
08:12家族用の部屋から大原たちを追い出した。
08:17女子さんと父親がその部屋で寝て、で、女中部屋に僕と母親、姉と母親が3人で寝てるんです。
08:28でも、姉としてはもう、ある程度女だったからね、子供でも。
08:32それからやっぱり父親の軽蔑はしてたみたいなね。
08:36幼くして味わったのは、人の業の深さだったに違いない。
08:47その後、一緒に家を出た母は仕事が忙しく、
08:53ひたすら帰りを待つ、孤独な日々が続いた。
09:00一筋の光が射したのは、小学6年生の時の学芸会。
09:09太宰治のパンドラの箱で主役を演じ、拍手を浴びた快感。
09:17自らを苦しめた、人間の業を演じる俳優に、道を定めた。
09:24そして、1960年代、大きなチャンスをつかむ。
09:34大ヒット映画、あばしり万が一シリーズで、高倉健の相手役に抜擢された。
09:51この共演以来、大原は高倉を、お兄ちゃんと呼び、俳優とは何たるかを学んでいく。
10:13先輩の大女優には、こんなお願いも。
10:22佐久間さんにも殴られるシーンで、
10:27本当に殴ってくださいって、はっきりお願いして。
10:32で、本当に殴って、殴られて。
10:35新人の青二妻が、この子生意気ねって思ったんじゃないかなと思ったけど、
10:41すごく良くしてくれたってことを言ってくれた。
10:46これが、演じる仕事に道を定めた時からの覚悟。
10:54けれど、まだ10代だった大原が、
10:58ある映画で要求されたのは、
11:01もだえの表現。
11:07与えられる役は、男性スターたちの添え物に過ぎず、
11:13人間のリアルな内面を演じる機会は、
11:17あまりなかった。
11:19ヒューマンドラマみたいなドラマが好きだったから、常に考えてるんだよね。
11:27とにかく日常生活でも人の動きを観察してて、例えば電車に乗ってるときでも、釣り側に人が捕まってるのを見て、それを記憶して、演技だと思えないような感動を与えたい。
11:47実際のドキュメンタリーと同じように。
11:54私は女優ではなく俳優。
12:00この思いが芽生えていた。
12:02主な活躍の舞台をテレビに映した、70年代初頭。
12:12計らずも、世の中に大きなうねりが起きていた。
12:18ウーマンリブ運動。
12:29女性たちは男性優位の社会に異を唱え、立ち上がった。
12:35一般の女性たちの間でも、多様な生き方を模索する時代が始まっていた。
12:46そんな中、視聴者に衝撃を与えたのが、女性教師と教え子の禁断の恋を描いた、この作品。
12:58フランスで起きた、実際の事件を題材にしたドラマだった。
13:05お願いします。私たち真剣です。お父さん、生意気申し上げるようですけど、幸せかそうでないかは自分が感じるものだと思います。
13:25国広富幸は、役に身を捧げるような姿勢を大原から感じたという。
13:34いわば虚構と現実の皮膚一枚を演じているわけですから、そういうのにスッと引き込んでくれるっていうか、そのオーラというか、その芸の中に入れてもらえるんですよね。
13:49うまい人です。プロデューサーが言ってましたけどね。火曜の10時、女性風呂はガラガラだっていう。
14:00女性たちの思いを代弁するようなセリフに、大原自身も強く共感した。
14:12実際、70年代は手足が麻痺する難病にかかりながらも仕事に復帰。
14:22それを支えてくれた最愛の夫と離婚。
14:27仕事を選ぶことと孤独になることが同じ意味を持っていく。
14:35迎えた80年代。
14:40大河ドラマで、東映の男性スターたちとも肩を並べて出演。
14:47大原は国民的な存在へと駆け上がろうとしていた。
14:54そこからの戦いを知るのが、この男だ。
14:58当時、マネージャーを務めた川上涼。
15:11事務所も独立。
15:13仕事は引きも切らない状態だったという。
15:17こんなハードなスケジュールでよく体を持つなというのはありましたよ。
15:24その時、フジテレビさんとTBAさんと2本掛け持ちだったんです。
15:29始まりが朝9時ドライの終わりが30時とかっていうのはありましたよ。
15:3830時?
15:39はい。
15:40朝6時?
15:41この思いもさらに強いものになっていく。
15:48インタビューされた時に俳優と呼ばれるようになりたいっていうのはよく聞いてましたよ。
15:55俳優として一人の演技者、演者として認めてほしいっていうのは、
16:04仕事に関しての男だから、女だからっていうのはない。
16:09うん。
16:10それはものすごく強くありました。
16:12明確にました?
16:13明確にありました。
16:15うん。
16:16すると、時を前後して大原に意外な仕事が舞い込む。
16:24あのコマーシャルだった。
16:28実は当初、断るつもりだったという。
16:32本人と話をした時に、お酒飲まない。私は。ということで、お断りしたわけですよ。
16:41で、そうしたら、プランナーの方が、お手紙を書いてくださって。
16:49まあ、後から思うと、ラブレターみたいなもので。
16:53私は大原霊子で、このサントリーレッド、映画を撮り、コマーシャルで映画を撮りたい。
17:01で、え?と思って。で、そこに描かれてた絵コンテが、とても素晴らしい絵だったわけです。絵コンテ。
17:10それを描いたのが、藤井達郎。
17:16時代の先端を行く男には、どこか大原が求める人間味があった。
17:24藤井が描いた絵コンテが、これ。
17:29泣き顔があり、怒った顔があり、くったくのない笑顔がある。
17:37大原さんとは、まんまる顔の女性の顔がいくつか。
17:44喜怒哀楽、笑ってる顔、怒ってる顔、泣いてる顔っていうのが描いて。
17:50本にそれを見て、ちょっとやっぱり感動したんじゃないですか。
17:55自分をこういうふうに捉えてくれてる。
17:59演出は、名称、市川根監督。
18:05かつて、こんな言葉で励ましてくれた人だった。
18:11その期待に応え、短いコマーシャルの中で、人の喜怒哀楽をどう表現するか。
18:22その挑戦を見ていたのが、今は亡き藤井の部下だった、菊ひとし。
18:29彼女の瞬発性、瞬発力のある演技っていうのが、やっぱり常にこう、前衛的な未熟者でやろうとするみたいな姿勢。
18:41自分の力でコマーシャルを良くしようっていうのは、常に考えていらっしゃったから。
18:47そうして生まれた名作の一つが、これ。
18:53また喧嘩した。今度は私が悪かったと思う。
19:01待ちわびて、やっとかかって電話に向かって。
19:05あら、生きてたの。
19:07ああ、また。
19:11少し愛して、長く愛して。
19:25でも僕は大花さんは、やっぱりきっと怒ったときの顔が一番好きですよね。
19:35カラッとしてるっていうのが、一生懸命な少年みたいな感じはしますよね。
19:40だから女性にも支持されたと思うんですよね。
19:43よくあの飲み屋の人にも、好きですって、このコマーシャルは好きですって、女性からも言われましたよね。
19:52コマーシャルは10年にわたって続き、今も語り継がれる伝説となった。
20:02そして大原は、新聞の人気番付でも、Bとたけし、あかしやさんま、吉永さゆりとならんで、横綱に。
20:16それと引き換えに、また孤独になることを選んでもいた。
20:23二度目の離婚。それに至った経緯も、川上はそばで見ていた。
20:31俺、怒られたもん。
20:33あんた一体何考えてるんだ。え?って。
20:37ね、こんなに仕事仕事でうんうんでって言われた。
20:41当時、大原礼吾さん、トップテレビみたいな。ね、女優で。
20:46それは無理でしょうと。
20:48そしたら、まあ大原さんが、いやいや、川上さんが悪いんじゃないのよって、まあ、かばってくれたんだけど。
20:55やっぱりでも、大原さんも演じていたいっていう思いは揺るがなかったですか。
20:59揺るがないですね。その気持ちは変わらなかったと。
21:05そんな大原が、孤独の中で磨き抜いた進化を見せるのが、1992年のことだった。
21:19実は、亡くなった部屋には、大原の心模様を知る鍵がもう一つ残されていました。
21:29長年、兄のように慕ってきた高倉健さんが、NHKのドラマに初めて出演し、夫婦役で共演したチロルの番歌。
21:41晩年の大原は、その作品を繰り返し見ていた様子があったのです。
21:47第2の視点は、その撮影現場ですべてを目撃していたスタッフたち。
21:57昔片木の寡黙な夫を演じる高倉に、危機迫る覚悟で挑む大原の姿がそこにありました。
22:09心の深淵に触れる、アナザーストーリー。
22:19まずは、北海道の小さな町を舞台にした、このドラマの骨格を説明しよう。
22:27立石は、東京の鉄道会社で働く技術者だったが、アルプス・チロル地方をモチーフにした、テーマパークを作るために派遣される。
22:42立石さん、立石さんでしょう。
22:46そして立石は、驚くべき事実を知ることになる。
22:51実はこの町の洋品店は、4年前に男と共に姿をくらました、立石の妻、静江が営んでいた。
23:04すぐに物語は、転がり始める。
23:17静江と暮らす菊川が、立石が偶然来たことを知るのだ。
23:23君の亭主が来るんだよ。
23:26君の亭主が来るんだ。
23:30ドラマは、少年期を迎えた男女3人の心模様を通して、時代を炙り出していく。
23:43スタッフは、大原の演技に何を見たのか。
23:48人間、まさしく人間そのものを演じたいっていう、猛烈な迫力とまっすぐ前に向かっている、猛烈な熱量なんですよね。
23:57要するに演技をするっていうことに命がけなんですよ。
24:00制作に先立って行われた記者会見。
24:10大原が強い決意で臨んだのは、高倉健の存在だけでなく、脚本が山田太一だったからだ。
24:21何気ないセリフで、人の心の機微に触れる。
24:28山田作品への出演を絶望していた。
24:35付き人だった中島智美は、大原の様子をこう語る。
24:41もうすっごい喜んでいました、このお話の時は。
24:48これから新しい女性映像っていうのを見せるんだっていうのが、自分ができるっていうのがすごくうれしかったんじゃないかなって。
24:56絶対にこれは自分にとっての大事な作品になるからって。
25:02うん。
25:03一方、演出助手を務めた高橋陽一郎は、現場に入る前、少しドキドキしていたという。
25:15現場大変だよ、これ大変なことになるよってみんな予告するんですよ。
25:19まあ、そのくらいやっぱりちょっとこう近寄りがたいというか、
25:23やっぱり現場の要求水準も高いので、大変な方っていうイメージがあったんですけども。
25:28最初の顔合わせの時に、廊下を歩いてこられた時にですね、
25:34もうすでに廊下の壁にね、壁自体というか、手を壁に当てながら。
25:41ただそのリハースのお部屋に入ってきた瞬間からはですね、全くそういう人ぶりは見せないんですよ。
25:49実は、このドラマに入る前、大原は俳優人生初の舞台に挑み、
25:56足首の人体を痛めながら、2ヶ月の公演を全うしていた。
26:04共演した足川真琴は、こんな場面を見ている。
26:10撮影する30分前から、ずーっと駅のホームでストレッチやってるんですよ、お原さん。
26:21すごい気合を入れたんですよ。その気合の入れがあったってすごかったですね。
26:25そしていよいよ、2人が出会う場面がやってくる。
26:33よいよ、寒いの嫌いじゃないか。
26:50九州にでもいるのかと思ってた。
26:54時は、バブルが終わろうとしていた、1992年。
27:04脚本家の山田は、このドラマで、変わりゆく時代を生きる人々の姿も描こうとしていた。
27:17そして、静江の本音が、昔片木の夫にぶつけられる。
27:27余計なことするな。
27:29真面目で、仕事ばっかりで、女はうちを守れとか言っちゃって。
27:36ブスッとしてて。
27:38男らしいのが自慢で、つまんないこと引き受けて、部下にいい顔しちゃって。
27:43私のことなんか、本気で気にしてくれたことあった?
27:50お前に何ができるって言ってたけど。
27:54ここのパートもやったし、じゃがいも掘りもしたし、人参も掘ったし。
27:59お店は大半は私で持ってるんだから。
28:01立派に繁盛させてるんだから。
28:05だって、押しだらてこんなことになったんじゃないんだから。
28:11幸福なんだから。
28:14演出の富澤まさゆきは、その演技をどう受け止めたのか。
28:21ホテルの中で、いくつかあれかな。
28:24枕ぶん投げて、えなかすりとかありましたよね。
28:26言葉だけじゃなくて、本気で言ってるっていうふうなすごさって感じるわけね。
28:31どうやるとうまく見えるとか、下手に見えるとか。
28:33女だからどうだとか、男だからどうだとか。
28:35そういう芝居の仕方は、彼女はないんですよ。しないんですよね。
28:38大事なことは、本気で今このシリフゼリーがちゃんと言ってるかしらとか。
28:43そういうことも尽きるんだと思いますけどね。
28:46これは、2人が偶然スーパーで会うシーン。
28:52この人?
28:54もしもし。
28:56はい。
28:57この人が何か言ってるよ。
28:59いいんです。すいません。
29:01こうした場面でも、大原は出演者全員のセリフを覚えていたという。
29:09東京から来た俳優さんがですね、セリフを一つ飛ばしちゃったんですね。
29:13そしたら、大原さんがそのセリフがたまだま飛んじゃったのを見抜いてですね、パッとそれを指摘するわけですよね。
29:18それを見ていた高倉健さんがですね、なんかこうハッとしたような顔をして、
29:22あ、大原さんここまで読み込んで自分の役をね、感じさせているんだというようなですね。
29:29あの時のちょっと高倉さんの表情というのは、ちょっと忘れられないものがあったんですけども。
29:34私たちには多分想像つかないようなエネルギーの消費だったと思うんですよね。
29:41絵に触ったら、こう弾かれちゃうんじゃないかっていうような、ちょっとこうバリアがあるような感じではありました。
29:51そしてドラマは、三人の日常を淡々と紡ぎながら、かすかに揺れ動く心をとらえていく。
30:06実は、そんな物語がどう決着するのか、不安を感じているスタッフもいた。
30:14その一人が、プロデューサーを務めた高橋耕作だ。
30:21どうやったら収まるのかなっていうのは、みんな一番不安があったんじゃないですか。
30:27あの人が演じなきゃ、幕は下りなかったんですよね。
30:33やっぱり大原さんの圧倒的な熱量の力ですか。
30:37最後の場面のドッカーンとくるメガトン級の熱量がすごいんですよね。
30:49それが3人が話し合うクライマックス。
30:56まさかお母さんがここへ?
31:01そこには娘のほか町のご意見番たちや市長まで顔をそろえていた現れた静江は昭和を背負った男たちには想像もつかない女心をとろすることになる。
31:23決心しました私がだからいなくなりますそんなそれはダメだよいやそうかな俺が消える幸せにやってるものが別れることないよいいいいね冗談じゃありませんもちろん冗談じゃない両方で消えるのいなくなるのって俺は本気だよじゃあ消えてください
31:51変わるとか言って変わってないじゃない
31:55また格好つけてるじゃない
31:57男はそういうもんだ男は安がまいして格好つけるもんだ
32:01そんなの大嫌い
32:03私の本音を言いますこの人も好きでこの人も好きです
32:11あっちかこっちかなんて言わないで 3人ともこの土地で仲良く暮らしていけないでしょうか
32:17若いうちは無理だけど
32:19今なら都市街でそういうことやっていけないでしょうか
32:23無茶苦茶言うな無茶苦茶でも私の本音です
32:30アキちゃんごめんねうんよくわかるほんときっかわさんと出て行ってちょっとどらしのない人だと思ってたけどしっかりしてるんだね
32:52嬉しいアキがそんなこと言ってくれるなんて
32:58いや3人で仲良くバカなこと言うないい歳をした男はハイハイ言えるわけない
33:06いい歳をした男だから言えるんじゃないでしょうか
33:09人生格好つけたまま通せるほど短くないんです
33:13いろんな生き方見つけていいんじゃないでしょうか
33:15あんたは男を知らん
33:17このところはこれまでだ
33:19これまでだって
33:21そして3人は共にこの街に残ることを選び
33:28新たな幸せの形を探していくことになる
33:32さあ今夜飲むぞ
33:34ドラマはこの年のショーに輝き
33:38こう評価された
33:42みんな息を呑んで見てたからな
33:49あの話で
33:50なんかいい加減じゃないですか
33:51あれ3人だから
33:52あの年の子で3人でやっていけばいいじゃないですか
33:55それお客さんも視聴者も含めて
33:58全部言いくるめられる力を持ってんな
34:01あの最後のその小原さんのセリフの熱量っていうかな
34:07僕は二度とあんなものを作れないんじゃないかと思うね
34:12本当に
34:13心に残る役者さんの中のやっぱり1人には入りますか
34:17あっもうなんていうのか
34:191人っていうのか
34:20一番印象的な人ですよね
34:23うん
34:24演技者ですよね
34:25演技っていうか生きてる人間がそこにいると
34:27目の中でやってる人に女性がいると
34:30自分かっこいいだろうなって思ってるような瞬間なんか
34:33どうにもあれはしないっていう感じで
34:35生きるってこと自体が演じるということと
34:38イコールになってるぐらい激しいわけですよね
34:43終わった後は
34:45性も根も突き果てた様子だったという
34:50本当に疲れ切っちゃって
34:522、3日は何もしたくないみたいな感じの
34:57ベッドから出たくないみたいな
34:59すっごい本当に自分に対して厳しいですから
35:02私女優なのよみたいなそういう生き方は全然していなくて
35:07本当に私は1人の人間
35:10お弁当とかも目指しが入ってたりとか
35:13すごいナチュラルな人だったと思いますよ
35:16そして大原さんはその日を迎えます
35:26それはまさに終生心にとどめたこの詩そのままに
35:33自らの道のりを自問自答し続けた末に訪れた詩でした
35:40第3の詩典は脚本家 倉本壮
35:48自らの物語に幾度も大原を起用し
35:52晩年までその心の声に耳を傾けた人です
35:56時代とともに生き続けた俳優が今に残したものとは何だったのでしょうか
36:11北海道フラノ
36:15この地にまだ原野が広がっていた1970年代
36:22東京から移住してきたのが脚本家の倉本壮
36:29人里離れた家を不意に訪ねてきたのが大原だった
36:36初めて建てたちっちゃいうち小屋があったんです
36:39そこの小屋にね初めて遊び来たのが大原れ子なんですよ
36:45神さんと3人でストーブの部屋にとんなとまったんだけど
36:49もう寒いよって言ったりね
36:52ちょっと火入れると暑いよって言ったり
36:55もう一晩中うるさくて寝かしてくれなかったですよ
36:59もう家族みたいにしてました
37:02倉本が描いた大河ドラマ
37:17絵画ドラマ カツカイシュー
37:21大原も出演していた
37:24恋ば扱いなはらんですか
37:29してやるまって
37:32演じたのは
37:34カツカイシューと心を通わせる
37:37長崎の女
37:40当時倉本が長崎ロケに同行した時
37:45飛行機嫌いの倉本を慰めてくれたのは大原だった
37:51倉本がその思い出をつづった50年前のエッセイも
37:58大原は大事に保存していた
38:03先生のこと守ってあげると言いながら
38:08手をつないでくれたという
38:12倉本に高倉健を紹介し
38:16その素顔を教えてくれたのも大原だった
38:22ケンさんはね あの会いたかったから
38:24ちょっと会ってやってよっていう話で
38:26やっぱり人懐かい人だから
38:28それをね 教えてくれたのが
38:31礼子だと思いますね
38:34そうした優しさを持つ大原に
38:37倉本は俳優として
38:40もう一つの資質を見ていた
38:44一時期大正から昭和の前期ぐらいに
38:49バーッと新しい女が出てきたじゃないですか
38:52アナーキズム運動のことですね
38:55その頃の女性なんかは
38:58僕は礼子にぴったりだなと思って
39:00そういう女をね
39:04僕はやりたがってんじゃないかっていう気が
39:06ちょっとしたことあったですね
39:09やっぱり内側に相当可烈なものを
39:11持っていらっしゃる人ではあったんですか
39:13あったんですね
39:15過激派でしたね その意味じゃ
39:17ああ
39:20演じることへのその過激なまでの思いが
39:25やがて自らを苦しめることになる
39:292000年代に入り仕事が減ってきたからだ
39:33何ヶ月かに1回 2ヶ月に1回とか
39:37そういうペースで遊びに参ってたんですけど
39:41お仕事のお話は1歳の方ですね
39:43やりたいんだってことはおっしゃってましたけど
39:46大原玲子じゃなきゃこれは無理でしょって
39:49今まではあったものが
39:53いろんな多様性の女性が増えてきてしまったところに
39:56あるのかな
39:58他の人でいいんじゃないっていうようなのは
40:00お断りしてたと思います
40:03デビュー時から知るスタッフはこう語る
40:09私はね
40:101人静かに静かに消えていくの
40:14何回かそれを言ったら
40:16やっぱり孤独で寂しかったんでしょうね
40:22最後の数年は
40:24膨大な資料の中に記憶された
40:28自らの道のりと
40:301人向き合う日々だったと想像される
40:36かつて受けたインタビュー記事に
40:39こんな書き込みがあった
40:41仕事一筋
40:45かっこいいと思います
40:483年 2年後も
40:51やっぱり俳優でいたい
40:55ある映画を見てるときに
40:58年配の女優さん
41:00スクリーンでアップになったときに
41:02泣くシーンだったんですって
41:04その涙が
41:05そのシワを伝って
41:08こういったときに
41:10ものすごく感動したらしいんですよ
41:12こういうふうな
41:14いい歳のとり方
41:16をしたいなと
41:19いうのは
41:20言ってましたね
41:21うん
41:24たとえそれが孤独な道のりでも
41:28演じることただ一つに我が身を捧げた
41:3262年の生涯だった
41:35大原が大切にしていた
41:45その詩を
41:47倉本が読むのは
41:49初めてだった
41:53読みながら
41:59最後の電話を思い出していた
42:01とにかく電話切らないんですよね
42:08それでもう何時間もかけて
42:12しゃべって
42:14いい感じにしろよっつって言うと
42:16ああそう絶好ガチャンって切るんですよ
42:20それをのぎりゃいろんな面やっちゃったんですよ
42:23親しかった連中と
42:25それでいきなり新聞記事でしょ
42:28だからあれ見たときはちょっとショックでしたね
42:32だからみんな反省と後悔と
42:38いろんな感情があったんですよね
42:44あの組織は
42:46誰だってみんなれいこのこと好きだったんだけど
42:51だからもう少しあったかくしてやればよかったと思ったけど
42:53助けを求めている 妹は助けたけだった
42:57分かってやれなかったっていう
43:00そういうものがありましたね
43:03いい女優でしたよね
43:07それは17回期当日のこと
43:1810代の頃からファンだったという男性が
43:21お参りに訪れていた
43:24お参りに訪れていた
43:30表情がいいよな
43:32うん
43:33わざわざ探していらっしゃったんですか
43:36そう
43:38今から来たんです
43:40ここで残りだけだ
43:42どうも
43:44今夜も晩酌のお供に
43:50彼女のドラマを見るのだという
43:54アナザーストーリーズ
43:59中東の戦場に日本人が取り残された
44:07生きて帰れるかどうかっていうのは分からないなという
44:10あれは人生の中でも特別な任務だった
44:13奇跡の救出劇に迫る
44:16サンブル川の事件
44:19凶悪犯罪はなぜ見逃されたのか
44:2230年もの間犯人はなぜ野放しに
44:26NHKBSで11月5日水曜夜11時35分
44:32膨大なアーカイブス映像の中から
44:39遊園地の歴史をぎゅっと一気見してみると
44:42何か胸に帰するものがありますね
44:47一番奥で燃えてた炎っていうのはまだ燃えてたと思います
44:56ゴッホの星月夜を徹底解剖。
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