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00:00It's a pretty good look, isn't it?
00:17I don't think it's a good job.
00:22Don't be afraid of that.
00:26I'm just looking at the line.
00:30Did you see it?
00:32Yes.
00:36I'll do it.
00:38I'll do it.
00:40I'll do it.
00:42I'll do it.
00:44I'll do it.
00:46I'll do it.
00:48I'll do it.
00:50I'll do it.
00:54I'll do it.
01:02Hey.
01:04How are you?
01:08Hey.
01:10How are you?
01:12How are you?
01:14How are you?
01:16How are you?
01:18How are you?
01:20How are you?
01:22How are you?
01:24How are you?
01:26私は私のケースが落ちていて中身が散乱してました。
01:33誰かと揉み合ったってことですか。
01:36身元は?
01:39スーツのポケットにこれが。
01:41新帝都銀行銀座支店支店長氷村学。
01:45ちなみに自宅は品川です。
01:48帰り道じゃないってことすね。
01:56終わりました。
02:09どうも。
02:10すいませんね。返却する商品のお整理なんか頼んで。
02:13いいえ、どうせ暇なんで。
02:15おや、ひょっとして。
02:18やはりオーダーメイドスーツでしたか。
02:26よくわかりましたね。
02:28左右の袖の長さが微妙に違います。
02:31あ、入ってますね。
02:34いい品です。
02:35体にぴったり合わせる。
02:37オーダーメイドならではの仕立てですね。
02:40ほう、古屋洋服店でしたか。
02:46ご存知で?
02:47銀座で3代続く老舗のテーラーです。
02:50なんでも店主はロンドンで修行したそうで、
02:53丁寧な仕事だと評判ですよ。
02:55よく知ってますね。
02:57あ、もしかして杉下さんテーラーで作ってます?
03:00僕もロンドンにいた頃にサビルローで作ったことがありましてね。
03:03非常に気に入りました。
03:05あ、君も一度試してみたらどうですか。
03:07いやいや、僕はあつらえるよりも選んで買うのを楽しみたい。
03:10あ、そうですか。
03:11ところでこのスーツですか。
03:13何かの事件の証拠品でしょうか。
03:15昨夜遺体で発見された新帝都銀行の支店長が来ていたものです。
03:20この方です。
03:22有志業績3年間トップ。
03:26かなりできる人物だったようです。
03:29敵も多かったらしく、冤婚の線を当たってるようです。
03:32失礼します。
03:39クローゼット拝見してもよろしいですか。
03:48はい、どうぞ。
03:49杉下さん、興味があるのは事件ですか。
03:59スーツですか。
04:00もちろん事件ですよ。
04:07どのスーツも細いラペルに2つボタンです。
04:13最近のトレンドで言うとそうでしょうね。
04:16乾式で見たスーツはもっとこうクラシカルな感じでしたけど。
04:20確かに死亡時に着ていたスーツは太いラペルに3つボタンでした。
04:25急に趣味が変わったんですかね。
04:32英国堂。
04:34英国堂。
04:35同じ銀座にあるテーラーです。
04:40ご主人はいつも英国堂の洋服を着ておられたのですか。
04:45ええ。
04:47本店の重役に勧められたとかで。
04:50みなさん、そちらで作るそうなんです。
04:53みなさん。
04:54ええ。
04:56オーダーメイドは別名ビスポークと呼ばれています。
04:59語源はビスポーク。
05:02話しながら作るという意味ですよね。
05:05そして話しながら自分の体にフィットしたものを作っていく。
05:09体だけではありません。
05:11テーラーは何のために着る服なのかを重要視します。
05:14つまり仕事やプライベートの予定などもこと細かに話すことになる。
05:18長年のお客になりますとね。
05:20家族の知らないことも知っていたりするようですよ。
05:23まるでホームドクターみたいですね。
05:25まさしく。
05:26ですから銀行などのように機密性を重んじる業種は、
05:29情報漏洩を防ぐためにも同じテーラーを使う監修があるようです。
05:34なのにそのテーラーを変えたのは。
05:37やはり気になりますね。
05:40ええ。
05:47ちょっと上かな。
05:48はい。
05:49そうそうそうそう。
05:51いらっしゃいませ。
05:52いらっしゃいませ。
05:53警視庁特命係の杉下と申します。
05:59同じく寛弁です。
06:01天使の古屋です。
06:04あの、新帝都銀行の日村学さん、こちらのお客様ですよね。
06:10日村様。
06:12ええ。
06:13どなたがご担当。
06:15私のお客様です。
06:17おや、女性の方でしたか。
06:20一着だけですが。
06:22テーラーの笹原と申します。
06:25最後にこちらにいらっしゃったのがいつ頃か覚えてますか。
06:28昨日いらっしゃいました。
06:30なかなかいい仕上がりじゃないですか。
06:33何時頃でしょう。
06:36閉店間近だったので、8時頃だったと思います。
06:41何か変わった様子はありませんでした。
06:43仕上がりを取りにいらしただけでしたので、特には。
06:48あの、日村様が何か。
06:53実は今朝、遺体で発見されました。
06:57昨夜9時頃。
06:59お二人はどちらにいらしたかお伺いしてもよろしいですか。
07:05私ならここで作業をしておりましたか。
07:09私は奥のフィッティングルームで片付けをしてました。
07:12そうですかそうですか。
07:14どうもありがとうございました。
07:16もうよろしいんですか。
07:18形式的な操作ですので、それより一つお願いがあるのですが、スーツを一着、仕立てていただけませんか。
07:28えっ、刑事さんなんですか。
07:30実は木村さんのスーツを一目見てすっかり気に入ってしまいましてね。
07:36あなたにお願いしたいのですが。
07:38申し訳ございません。当店はご紹介がないと。
07:42かしこまりました。
07:44ありがとうございます。
07:46ちょっと杉下さん。
07:47ああ、君は先に帰ってください。
07:49ああって。
07:51いかがですか。
07:55市宮の低速食器で折られた生地です。
07:58今、愛好家の間で評判の生地ですね。
08:01昔ながらの機械で、1日に数メートルしか折れないとか。
08:05はい。
08:06触っていただければ分かりますが、折り目が緩やかですので、生地に自然な膨らみがございます。
08:12ああ、いいですね。
08:16ちなみに、チャコールグレーはありますか。
08:19少々お待ちください。
08:22でしたら。
08:28あ、このくらいの色はいかがですか。
08:34この生地を決める瞬間、何とも言えません。
08:40これ、これに決めました。
08:44生地元の倉庫にあったと思いますので、明日にでも取りに行ってきます。
08:50では、先に採寸に入らせていただきます。
08:53こちらは紹介制だったんですね。
08:56こちらは紹介制だったんですね。
08:59はい。
09:00一元のお客様には申し訳ないんですが、なるべく古いお客様を優先したいという店主の方針です。
09:08そうとは知らずにお願いしてしまって。
09:10いえ、あんな風に私をご指名してくださる方はなかなかいません。
09:15ですから、古いおは受けさせていただいたんだと思います。
09:19こちらはスーツのデザインといい伝統を大切にするお店なんですね。
09:23はい。
09:24うちはご年配のお客様も多いですし、そう心がけています。
09:33利き腕は右手でよろしいですね。
09:35触っただけでわかるものですか。
09:37筋肉のつき方が違うんです。
09:39プロですね。
09:41ええ。
09:46警察手帳出し入れしやすいように、胸元に少し余裕を持たせておきます。
09:51いろんなことに細かく気を配るんですね。
09:54お客様がお店に一歩入った瞬間から、テーラーの仕事は始まっていると言われてます。
10:00道理で。では、僕もお気になったことを一つ。
10:03ひょっとして近々、お休みを取る予定だったのでは。
10:07どうしてですか。
10:09メジャーをしまわれてました。
10:12テーラーの方は肌身離さず、持っているものじゃありませんか。
10:16昨日片付けをした時に道具を整理したんです。
10:22あ、そうでしたか。すみません。つまらないこと聞いてしまいました。
10:25よく見てらっしゃいます。さすが刑事さんですね。
10:29恐縮です。
10:33まさか本当にスーツが目当てだったわけじゃないですよね。
10:36はい?
10:37急に仕立ててほしいなんて。
10:40君は引っかかりませんでしたか。
10:43えっ、何に?
10:44彼女の言葉です。
10:46私のお客様です。一着だけですが。
10:50テーラーは本来、長い付き合いをすることが前提です。
10:55なぜ、一着だけなどと決めつけた言い方をしたのでしょう。
10:59亡くなった人だからじゃないですか。
11:01いや、その事実はまだ伝えていませんでした。
11:03あ、そうか。
11:04いや、でもわざわざ注文しなくたって。
11:07カンベ君。
11:08はい。
11:09あれほどしっかりしたスーツにはなかなか出会えませんからね。
11:14今から仕上がりが楽しみです。
11:17で、何かわかったんですか。
11:20一つだけ。
11:22彼女は店を辞めるつもりかもしれません。
11:25辞めるって事件の直後ですよね。
11:28本人は否定していましたが、気になります。
11:35先生。
11:36毎度の事ながら、一家の目を盗んでここに来るのは心拍数があります。
11:41何か。
11:42こちら、新帝都銀行の融資検討に関する資料なんですけども。
11:50笹原真希、金武咲、古屋洋服店。
11:54杉下警部がこの店のスーツを気にされていたものですから。
11:58新店舗準備金、新店舗準備金って事は、彼女独立を考えてたんでしょうか。
12:03支店長決済とありますね。
12:05支店長の一存で決められる融資枠があるそうです。
12:08年間1億円が日村さんに任されてました。
12:11とすると、笹原真希は、被害者と直接の利害関係にあったことになりますよね。
12:17三百億か。
12:26人が死んでもおかしくねえかったな。
12:29おっ、出たよ。
12:32聞き込みですか?
12:34ええ。実は…
12:36何もありませんよ。そういう警部殿は?
12:39我々は支店長決済のことで少々…
12:42支店長決済?
12:43ほら、年間1億ってやつですよ。
12:46あー…
12:47そうでしたか。どうぞどうぞ。
12:49うん。
12:50では。
12:51どうぞどうぞ。
12:52どうぞどうぞ。
12:53どうも。
12:54いいんですか?
12:55所詮1億だろ。
12:56こっちお前300億だぞ。
12:58額の問題ですか?
13:04お電話いただいた笹原真希様のご融資に関する件、調べておきました。
13:10検討段階で保留となってますね。
13:15保留って中止ってことですか?
13:18おそらく。
13:19何があったんでしょう。
13:21さあ、いきさつは日村と後藤二にしか。
13:25見事なものですね。
13:32もう何十年もこればかりやってますからね。
13:37しかし、ハサミ一本とは。
13:39道具は結局、最初に学んだ道具が一番安心できますからね。
13:42道具は結局、最初に学んだ道具が一番安心できますからね。
13:47古谷さんはフレアさんはロンドンで修行されたそうですね。
13:54いや、修行というほどのものでは。
13:56あ、ところで笹原は何か失礼はございませんか。
14:00何の問題もありませんが。
14:02古谷さんはロンドンで修行されたそうですね。
14:05いや、修行というほどのものでは。
14:08あ、ところで笹原は何か失礼はございませんか。
14:13何の問題もありませんが。
14:15ですか、そうでしたらよろしいのですが。
14:18いや、女だというので気になさるお客さんもいらっしゃるもんで。
14:24僕は一向に、もっとも紳士服に女性のテーラーがいるとは思っていませんでしたので、
14:31いささか驚きはしましたが。
14:34男のスーツというものは鎧です。
14:39その鎧の裏側には女に見られたくない恥や目が隠れているのです。
14:48なるほど。
14:50しかし、女性の目から見た紳士服というのも参考になるのではありませんか。
14:55どうでしょうか。
14:57それより、あの店は色気で客を釣ろうとしている。
15:03なんて噂も立ちかねませんし。
15:06そうですか。難しいものですね。
15:09難しいものですね。
15:16お客様をお待たせしておいて、どこに行ってたのかね。
15:19いえ、お待たせしていたわけでは。
15:21ええ、今日は僕が勝手に寄っただけなんです。
15:24お願いしておいた記事が入るというお話でしたので。
15:28だったら時間ぐらいお伝えしておかないか。
15:31申し訳ありません。
15:37いかがですか。
15:40結構ですね。
15:42ありがとうございます。
15:43先ほどは申し訳ありませんでした。
15:46いえ、こちらこそお見苦しいところをお見せしてしまって。
15:51なかなか厳しい方のようですね。
15:53女がテーラーになるなんて、か、口癖なんです。
16:00確かに僕も女性のテーラーとは初めて聞きました。
16:05なぜ紳士服のテーラーになられたのですか。
16:09あ、申し訳ない。
16:13立ち入ったことを聞いてしまいました。
16:15僕の悪い癖。
16:16いえ、亡くなった父がテーラーでスーツを仕立てていた。
16:22父が亡くなった後も、母が父の部屋にスーツをかけたままにしていて。
16:32それを見ていると、ただのスーツなのに、まるで父がそこにいるような気がして。
16:41お父様の分身のようなものだったのかもしれませんね。
16:46はい。
16:48丁寧に作ったスーツに直しを重ねて、さらに体になじませていく。
16:56そう父がテーラーの話をしていました。
16:59そしてテーラーの世界に入り、夢を叶えられた。
17:05女を雇ってくれるところなんて、どこにもありませんでした。
17:10私は運が良かったんです。
17:13このお店は、3年前に亡くなられた、古屋さんの奥さんの口添えで入れてもらいました。
17:20そうですか。奥さんの口添えで。
17:23もともと古屋さんは反対でした。
17:26なるほど。それで店を辞め、独立しようとされていた。
17:33独立?
17:36日村さんに新店舗の融資の相談をされていたそうですね。
17:41その話は日村さんに持ちかけられたんです。
17:44日村さんから持ちかけられた。
17:46はい。でもお断りしました。
17:49お断りしたのはなぜでしょう。
17:51それはお店を持つにはごひいきのお客様や仕入れ先の人間関係も必要です。私にはまだ早いと思ったんです。どうかされましたか?
18:19うん?
18:21なんか気づかない?
18:23おや、スーツを新調されましたか?
18:26分かる?
18:27分かります。
18:28えっ?
18:29これ、スーツの木村。上下で29,800円。信じられるか。
18:34課長は買い物上手ですね。
18:36だろう?
18:38そういえば、例の市店長殺し、あれスーツの方から追ってんだってな。
18:43ちなみに市店長のスーツ、記事代で30万だそうです。
18:4730万?
18:49えっ? そんなにするのか、高賀スーツが。
18:51仕立て代でさらに40万。
18:57おい。
18:58俺のお前、替えズボンがついてんだからな。
19:02あ、わぁ。
19:06日村さんも携帯から割り出した関係者です。
19:10銀行の市店長だけあって、付き合いが随分広かったようですね。
19:14安藤総一郎。株式会社安藤総合ビルの社長です。
19:18全国にビルを持つディベロッパーですね。
19:20現在、300億のプロジェクトを動かしているんですが、突然メインバンクを差し置いて、新帝島銀行が融資元になったようなんです。
19:27300億。なるほど。一家が追っていたのは、その件でしたか。
19:31それだけじゃないんです。
19:33気づきませんか。
19:35密ボタンに太めのラペル。あの店の仕立てに似てますよね。
19:42確かに。
19:46どうぞ。
19:48失礼します。
19:53今回の融資のご担当は、どなたですか。
19:56担当?
19:58メインバンクがあるにも関わらず、突然銀行を変えた。
20:02こういう場合、裏で個人的なやり取りがあることが多いもんですから。
20:07銀行とうちの担当者が癒着していると言いたいんですか。
20:12ええ。まあ、その担当者と日村さんとの間に、何がしかのトラブルがあったのではないかと。
20:21新帝島銀行に決めたのは他でもない。この私ですよ。
20:26社長が?
20:27社長の私が、会社の不利益になることをして、何の得があるんですか。
20:36失礼します。警察の方です。
20:42おやおや、またお会いしましたね。
20:44もう、いい加減にしてもらえませんか。
20:47ご心配なく、邪魔はしませんので。
20:49だからもう捨てますって。
20:50ああ、いいとみ。
20:52何?
20:53わかった。すぐ戻る。
20:54米澤さんですか。
20:55空耳でしょう。
20:56はい、行くぞ。
20:57じゃあ、失礼します。
20:58失礼します。
20:59で、そちらはどんなご用ですか。
21:00申し訳ございません。
21:01係りが違うもので。
21:02そう言われてもね、私も忙しいんでね。
21:07では、一つだけ。
21:08何ですか。
21:09いい記事ですね。
21:10ちょっと、失礼。
21:11失礼。
21:12失礼します。
21:13失礼します。
21:14失礼します。
21:15で、そちらはどんなご用ですか。
21:16申し訳ございません。
21:17係りが違うもので。
21:18そう言われてもね、私も忙しいんでね。
21:19では、一つだけ。
21:21何ですか。
21:22いい記事ですね。
21:27ちょっと、失礼。
21:30失礼。
21:31何をするんですか。
21:41申し訳ない。
21:42いい洋服には目がないもので。
21:44低速食器で折られた記事ですね。
21:46ちょっとして銀座の古屋洋服店ではありませんか。
21:50ええ。
21:51なぜわかるんです。
21:52実は、僕も今作ってるんです。
21:54スーツ。
21:55そうですか。
21:57古屋さんと若い頃から、
22:00お世話になってましてね。
22:02確か、日村さんも同じテーラーをお使いでしたよね。
22:07日村君は…いや、違いますよ。
22:10彼は英国堂です。
22:12ああ。
22:13では、洋服の話をされたんですね。
22:15日村さんと。
22:16ええ。
22:17どこで作ったか聞かれたので。
22:23こちら、被害者の手帳なんですけども。
22:25この部分を見てください。
22:27池田。
22:28安藤氏に容疑がかかったことで、
22:30改めて調べてみました。
22:32そこで上がってきた人物です。
22:34池田範明。
22:35一人で、
22:36池田リサーチという調査会社をやっています。
22:38あんた、
22:40前科があるんだよな。
22:44そんなあんたに、
22:46銀行の支店長が、
22:48何頼むんだよ。
22:51信用調査ですよ。
22:55融資の前に、
22:56相手の資産状況を調べるのは当然でしょう。
22:59誰を調べてた。
23:01氷村さんは殺されてるんだ。
23:03今さら、
23:05守秘義務なんて通用しねえぞ。
23:08手帳には、
23:10安藤総合ビルではなく、
23:12安藤総一郎の件ってありましたよね。
23:14池田範明が、
23:16この事件に関与しているとすれば、
23:18安藤さんに銀行を返させるために、
23:20氷村氏が、
23:22何かを探らせていたと考えるのが、
23:24自然でしょう。
23:26つまり、
23:27脅迫のネタですか。
23:29氷村さんに頼まれたんですよ。
23:33何でもいいから、
23:34安藤の弱みをつかめって。
23:37そんなことだと思ったよ。
23:41だけど、結局、
23:42何にもつかめなかったんです。
23:45何にも?
23:475年前に奥さんを亡くしてからも、
23:50女の影ひとつないし。
23:54ちょっと警部殿!
23:56伊丹さん、5秒で終わります。
23:57えっ?
23:58あなたが、
23:59氷村さんにそのことを報告したのは、
24:01いつのことですか?
24:04去年の…
24:0611月ですけど。
24:07どうもありがとう。
24:08えっ、失礼します。
24:10本当に5秒でしたね。
24:16氷村さんですか?
24:18ええ。
24:20最初にいらっしゃったのは、
24:2112月だったと思います。
24:23やはり、そうでしたか。
24:25どうかなさいましたか?
24:27実は、
24:28氷村さんが脅迫目的で、
24:30ある人物の身辺を探っていたことが分かったんです。
24:33ある人物?
24:34安藤総合ビルの、
24:36安藤総一郎氏です。
24:38こちらの、
24:39古いお客さんだとか。
24:41はい。
24:43氷村さんから、
24:44何か聞かれませんでしたか?
24:46何かとおっしゃいますと。
24:48テイラーでは、
24:49お客さんといろんな話をするとか、
24:51その中では、
24:52人に言えないような、
24:53秘密を話すこともあるとか。
24:55彼の狙いが、
24:57安藤氏を脅迫するネタを手に入れることだったとしたら、
25:01突然、
25:02テイラーを変えたのは、
25:03そのためだったのではないかと。
25:06他のお客様のことを、
25:08公害することはありません。
25:10では、
25:11採寸票はどうでしょう。
25:13採寸票?
25:14テイラーにおける採寸票や型紙は、
25:17客の情報を詰め込んだカルテのようなものだと聞きます。
25:20僕の時も、
25:22話すたびにいろんなことを書いてらっしゃいましたね。
25:26それはそうですが。
25:28日村さんが採寸票を盗み見た可能性がないとは言えません。
25:41こちらへどうぞ。
25:46古屋の棚です。
25:49安藤さんは、
25:50ずっと古屋のお客様です。
25:53うちでは、
25:54お客様の情報をそれぞれ管理してます。
25:57お客様から聞いたお話は、
25:59テイラー同士でも明かしてはいけない。
26:03古屋は、
26:04それぐらい徹底してるんです。
26:06つまり、
26:07自分の客以外の採寸票を見ることは、
26:09できないというわけですか。
26:11こう申し上げては失礼ですが、
26:13何か、
26:15思い違いをされてるのではないでしょうか。
26:17結局、
26:19日村さんは何も掴んでなかったってことですよね。
26:24だから、
26:25安藤さんを脅すことはできなかった。
26:27そうでしょうか。
26:28え、
26:29何か思い当たることでも。
26:32一つだけ。
26:33一つだけ。
26:35明日、
26:36安藤さんを追い詰めることになりますが。
26:38どうして私が凶悪されなきゃならないんです。
26:45では、そんな事実はないと。
26:47馬鹿げてます。
26:49だいたい私が何のネタで、
26:52脅されると言うんですか。
26:54社長就任祝賀会。
26:57創立40周年記念式典。
27:00ビル落成式。
27:01創立50周年。
27:03これを見る限り、
27:055年前からですね。
27:07安藤さんが、
27:09密揃えのスーツに変えられたのは。
27:11これなどは真夏にもかかわらず、
27:14きちっと密揃えを着てらっしゃる。
27:16突然なんです。
27:185年前というと、
27:19確かちょうど奥様を亡くされた頃じゃないでしょうか。
27:22何を言ってるんだ。
27:24初めてお目にかかった時から気になっていました。
27:27安藤さんのスーツ、
27:30少々、
27:32仕立てが変わってますよね。
27:35一見しただけでは分からないように、
27:37うまく仕立ててありますが。
27:39場所によって、
27:41真摯の厚さが違います。
27:44先日、
27:48背中の記事に触れた際に、
27:51気がつきました。
27:53我々の関心は、
27:56事件の解明にしかありません。
27:58秘密は守ります。
28:04お話願えませんか?
28:08日村君の提案を断って、しばらくたった頃です。
28:18悪いが、いつも通り太陽銀行で行く。
28:24私は、一度出した結論は変えない主義でね。
28:30さすがは安藤さん。
28:33男らしいお答えです。
28:36でもね、
28:37結局はうちを選ぶことになるんですよ。
28:42驚きましたよ。
28:44奥さんが亡くなってからですか。
28:47ああいう趣味に走られたのは。
28:50マンの話だ。
28:53人は見かけによらないもんです。
28:56そんな立派なスーツの下に。
29:00まさか女性用の下着が隠れてるなんてね。
29:07こっちには、確実な証拠があります。
29:11融資が無事成立したらお渡ししますよ。
29:14だけど、私じゃありません。
29:17実際に銀行を変えたんですよ。
29:20殺すつもりなら、要求に応じたりはしないでしょう。
29:25ところで、日村さんはどこであなたの秘密を知ったのでしょう。
29:31おそらく、調査会社が何か使ったんでしょう。
29:36融資の際に、相手を調査するのは、連中がよくやることですから。
29:43あなたを探っていた男なら、何もつかめなかったと調言していますが。
29:48私にわかるわけがないでしょう。
29:51テーラーの古谷さんは、当然、あなたの秘密を知っていましたよね。
29:58そうですか。
30:00いや、古谷さんは漏らすはずはない。
30:05あの人はそんな人じゃない。
30:08遺体発見現場のすぐ裏が、愛人のマンションでした。
30:12そのマンションから見つかった、日村さんの荷物です。
30:15こちら。
30:17つまり、日村さんは、愛人に会いに行く途中で殺されたってわけだ。
30:23学生時代に麻薬使用で逮捕。
30:26品川に20歳の隠し号。
30:28なるほど、これで脅迫してたんだ。
30:30どうやら、日村さんは他でも同じ手を使っていたようですね。
30:33道理で業績が上がるわけですね。
30:36一家が脅迫を受けていた人物を片っ端から当たっているようです。
30:39ありました。
30:41コピーのようですね。
30:43昭和45年って、40年前からの付き合いなんですね。
30:52あっ。
30:54なるほど。
30:56指紋、お願いします。
30:59名刺の指紋と、再選票の指紋を称号してみました。
31:05同一人物って間違いありません。
31:08やっぱり、情報を流したのは笹原真希か。
31:11しかし、彼女はなぜ日村さんに協力をしたのでしょう。
31:15勇士は断ったと言ってましたね。
31:17それも嘘だったのかもしれません。
31:20まさかこういう事情があったとは。
31:32ようやくつながり始めましたね。
31:35いらっしゃいませ。
31:44ああ、いらっしゃいませ。
31:47ああ、それ、僕のスーツですね。
31:50はい。
31:51なるほど。
31:52こんなふうに作業を重ねて、刈り縫い。
31:56さらに、本縫いまで気の遠くなるような作業ですね。
32:01今日は何のご用ですか。
32:05誤解は解けたんですよね。
32:11いや、どうやら思い違いではなかったようです。
32:20あなたが日村氏に安藤さんの情報を渡したこと。
32:25それがすべての始まりでした。
32:27ちょっとお待ちください。
32:29安藤様は私の古いお客様です。
32:33この子に任せたことは一度もございませんが。
32:37いいえ、たとえ一度も話したことがなくても、情報を流すことは可能です。
32:43こちらの書類に見覚えがありますよね。
32:48日村さんが持っていました。
32:50笹原真希さん、あなたの指紋が残っていました。
32:53いい逃れできませんね。
32:56最寸の時、日村さんに持ちかけられたんです。
33:00コピーを渡してくれるだけでいいんです。
33:02協力してくれれば、私もあなたの力になりますよ。
33:05私の?
33:06独立資金を融資します。
33:07自分の店が持てるんですよ。
33:08口先だけじゃ信じてもらえないと思いましてね。
33:09自分の店を持てるんですよ。
33:10口先だけじゃ信じてもらえないと思いましてね。
33:11自分の店を持つのが夢だったんです。
33:14だからつい、笹原真希さんに持ちかけられたんです。
33:16コピーを渡してくれるだけでいいんです。
33:17協力してくれれば、私もあなたの力になりますよ。
33:20私の?
33:21独立資金を融資します。
33:24自分の店が持てるんですよ。
33:27口先だけじゃ信じてもらえないと思いましてね。
33:34自分の店を持つのが夢だったんです。
33:37だからつい、笹原に乗ってしまいました。
33:44鍵の番号、奥さんの誕生日ですよね。
33:49本当に申し訳ありませんでした。
33:55しかしあなたは、実際に融資は受けていませんでした。
34:00なぜでしょう。
34:05古谷さん、先日あなたの仕事を見ていて、一つ気になったことがありました。
34:16道具は結局、最初に学んだ道具が一番安心できますからね。
34:22その言葉に引っかかりました。
34:29テーラーにとって、祭壇は最も緊張する場面だそうですね。
34:33もし少しでも生地を傷めてしまえば、もう使い物にならない。
34:37本来、祭壇にはこのようなハサミを使うのは普通です。
34:48ところが、あなたは、あ、これ、この使い慣れたハサミを使用していました。
34:59もし基本から洋服を学んだのであれば、どの道具も偏ることなく、手に馴染んでいたはずです。
35:05古谷さん、あなたが最初に洋裁を学んだのは、ロンドンではなく、刑務所ですね。
35:18刑務所では、刑務作業という、公正や社会復帰のために、作業が与えられます。
35:26木工、金属、印刷、そして、洋裁。
35:33このお店には、無雇用紙で入られていたんですね。
35:38竹下勲。
35:40結婚される前の、あなたの名前ですね。
35:4521歳のとき、喧嘩で相手に重傷を負わせ、傷害罪で懲役3年の前科があった。
36:00おっしゃるとおりです。
36:05出生したあと、洋裁の仕事がしたくて探しましたが、刑務所帰りの人間を引き受けてくれるところなんか、どこにもありませんでした。
36:20けど、先代は引き受けてくれた。
36:26それどころか、私を後継ぎにしてくれたんです。
36:33それに答えようとして、私は死ぬ品だって勉強しました。
36:40日村氏に雇われていた池田という男に話を聞きました。
36:46最初はあなたに、安藤さんの採寸票を流すよう、話を持ちかけていたそうですね。
36:53テーラーは信用が命なんでしょう。
36:58銀座の老舗のオーナーに、障害の前科があるなんてバレたら、店はどうなるんでしょうかね。
37:10お一人ください。
37:17本当にバラしますよ。どうぞ。
37:20その時は潔く店畳みます。
37:23あなたが、日村氏に協力をしたのは、このフレアさんの秘密を守るためでした。
37:35私はテーラーです。そんなこと絶対できません。
37:39せっかくのチャンス、不意にする気ですか。
37:42お断りします。
37:44そうですか。
37:46じゃあ、こっちならどうでしょう。
37:52あんなことが出回ったら、このお店も、古谷さんも。
38:06どうして、古谷さんのためにそこまで。
38:11古谷さんの過去を知らされた時、気づいたんです。
38:18過去を抱えてテーラーを続けてきた古谷さんだからこそ、私を雇ってくれた。
38:25女だからこそ、厳しく育ててくれたんじゃないかって。
38:32なのに、私は古谷さんの期待には応えられなかった。
38:39採寸票を渡した時点で、私はテーラーの資格を失ったんです。
38:54お店の名前を怪我してしまって、すいませんでした。
39:01長い間、お世話になりました。
39:06ああ、このシャツガーターですが、本来は仕事中に、袖を止めるためのものですよね。
39:21ところがあの時、古谷さんは、袖を伸ばしたまま仕事をしていました。
39:28まるで、何かを隠しているかのように。
39:32現場には争った形跡がありました。
39:35犯人も傷を負っている可能性が高いと思われます。
39:44真実を話していただけませんか。
39:47これ以上、笹原さんを傷つけないためにも。
40:04この傷を負った、死の前日。
40:09安藤様が、店にお見えになりました。
40:14君とは、30年の付き合いだ。
40:17疑うわけじゃないが、聞いてもいいかね。
40:22あ、どうだ。
40:24ある人物に脅迫されていてね。
40:27例のこと、知られた。
40:31何ですって。
40:33いや、いい。
40:39君の顔を見てわかった。
40:42つまらんこと聞いてすまなかった。
40:45ファイルの並びが、いつもと違っていたので、何が起きたのかすぐ分かりました。
41:00誰がやったのか、なぜやったのかも。
41:06お願いします。
41:08はい。
41:09ありがとうございました。
41:13ありがとうございました。
41:18日村さん。
41:33なんで、こんなところに。
41:37池田という男をよこしたのは、あなただったんですね。
41:42何の話だ。
41:43採寸表を返してください。
41:46うわっ。
41:47何言うんだよ。
41:49うわっ。
41:51まったく。
41:52老舗のテーラーが聞いてあげる。
41:55店主は善化者だし、女のテーラーなんているし。
41:59邪魔すると、あんただけじゃなく、あの女も困ることになりますよ。
42:04女のくせにテーラーだなんて。
42:06しかも、客の秘密を売るテーラーなんて噂があったら、どうなりますかね。
42:10うわっ。
42:12なぜやったよ。
42:14うわっ。
42:16うわっ。
42:19はぁ。
42:22はぁ。
42:24どうぞ、連行してください。
42:36もともと、残った仕事が片付いたら、自主するつもりでおりましたから。
42:43英国堂で聞きましたよ。
42:48彼女を雇ってくれるよう頭を下げたそうですね。
42:52あのプライドの高いフリアさんがあって驚いていましたよ。
42:57あなたが逮捕されれば、当然笹原さんのイメージも悪くなり、テーラーを続けることはできなくなってしまう。
43:07あなたはそうなる前に、なんとか笹原さんを受け入れてくれるところを探そうとしていたんですね。
43:16一つ聞いておきたいのですが、なぜ刑事である僕のスーツを彼女に作らせたのでしょう。
43:31断ることもできたはずですか。
43:34私のわがままです。
43:38もう一度最後に、笹原が仕立てたスーツを見ておきたかったんです。
43:47たたえ女であろうが、誰が何と言おうと、テーラーとしての実力は私が一番よく知ってるんですから。
44:02人は洋服の下にいろいろなものを隠してるってことですかね。
44:17ですが、互いを思い合う気持ちは、もっと早く明かすべきだったのかもしれませんね。
44:23彼女、やっぱり辞めちゃうんでしょうか。
44:28古屋さんの思いを受け継ぐのは、彼女だけなのですから、できれば続けてほしいですね。
44:33ですよね。
44:35あ、それに、僕のスーツがまだ未完成じゃありませんか。
44:40あ、だったら辞められちゃ困りますね。
44:43困りますね。
44:45あーだったら辞められちゃうんですね。
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