00:00たおやかインターネット放送がお送りする 絵本の時間
00:19みみ南吉作 子供の好きな神様
00:25子供の好きな小さい神様がありました
00:32いつもは森の中で歌を歌ったり笛を吹いたりして 小鳥や獣と遊んでいましたが
00:43時々人の住んでいる村へ出てきて 好きな子供たちと遊ぶのでした
00:50けれどこの神様は一度も姿を見せたことがないので 子供たちにはちっともわかりませんでした
01:02雪がどっさり降った次の朝
01:07子供たちは真っ白なのっぱらで遊んでいました
01:13すると一人の子供が 雪の上に顔をうつそうよと言いました
01:22そこで十三人の子供たちは腰をかがめて 丸い顔を真っ白な雪に押し当てました
01:33そうすると子供たちの丸い顔は 一列に並んで雪の上にうつったのでした
01:43一、二、三、四、と 一人の子供が顔の後を数えてみました
01:54どうしたことでしょう
01:58十四ありました
02:01子供は十三人しかいないのに 顔の後が十四あるわけがありません
02:11きっといつもの見えない神様が 子供たちのそばに来ているのです
02:19そして神様も子供たちと一緒に 顔を雪の上にうつしたのにちがいありません
02:28いたずら好きの子供たちは 顔を見合わせながら
02:36目と目で神様をつかまえようよ と相談しました
02:41兵隊ごっこしようしようよしようよ
02:47そして一番強い子が大将になり
02:53あとの十二人が兵隊になって 一列に並びました
02:58気をつけ!番号!
03:04と大将が号令をかけました
03:061、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12
03:20と十二人の兵隊が番号を言ってしまいました
03:25そのとき
03:28誰の姿も見えないのに
03:32十二番目の子供の次で
03:35十三と言ったものがありました
03:39玉を転がすような良い声でした
03:43その声を聞くと子供たちは
03:46それ!そこだ!神様をつかまえろ!
03:50と言って
03:51十二番目の子供の横を取り巻きました
03:54神様は面食らいました
03:57いたずらな子供のことだから
04:00つかまったらどんな目に遭うかしれません
04:03一人のせいたかのっぽの子供の股の下をくぐって
04:09神様は森へ逃げ帰りました
04:12けれどあまりあわてたので
04:16靴を片方落としてきてしまいました
04:20子供たちは雪の上から
04:25まだ温かい小さな赤い靴を拾いました
04:29神様はこんな小さな靴を履いてたんだね
04:36と言ってみんなで笑いました
04:39そのことがあってから
04:43神様はもうめったに森から出てこなくなりました
04:49それでもやはり子供が好きなものだから
04:55子供たちが森へ遊びに行くと
04:59森の奥から
05:00おーい!
05:03おーい!
05:05と呼びかけたりします
05:08おしまい!