00:09人間なんて嫌いだ。自分勝手で他人のことなどお構いなし。全員は悪意に利用され、正直者が馬鹿を見る。
00:11先生?
00:12先生!
00:13あっ。
00:15ああ。
00:16どうしたの先生?ぼーっとした。
00:21ああ。いや、すまん。なんでもない。
00:26きっと先生は初日ということもあってお疲れなのですわ。
00:27そうかな?どうせどうでもいいこと考えてたんじゃないの?
00:36うさみもそう思うの。この顔はろくでもないこと考えてたの。
00:37み、みなさん!先生にそんなこと言っては…
00:49まあ、当たらずとも遠からずというか、この仕事は人間嫌いの俺にとって天職なのかもしれない。
00:50なんかニヤニヤしてるの。
00:52さては先生!あたしたちがかわいいから見とれてたんでしょう。
00:59まあ、でも気持ちはわかりますわ。
01:09とばりさんの青い瞳も、うさみさんの長いお耳も、いさきさんのふわふわなしっぽも、素敵だと思いますわ。
01:13ああ、もういいか。授業を続けるぞ。
01:15はーい。
01:17では、人間の社会についてだ。
01:23将来人間になったとき、困ることのないよう、しっかり勉強してくれ。
01:29そう、彼女たちは人間じゃない。
01:34けれど誰よりも、人間に憧れていた。
01:44人間に憧れていた。
01:49人間に憧れていた。
02:04人間に憧れていた。
02:38めんどくさい奴だな 嫌もたない様だろう
02:43そうやって笑いながら 今日も確かめ合うよ 人間の形を
02:53いつだって寂しがりや 僕ら確かめ合うよ 人間の形を
03:06さあ 18キル いけるいけるいける これは自己新記録来るか
03:13あった
03:17夜中に大きい声出さんの 近所迷惑って言ったでしょ
03:22あとちょっとだったろうに
03:24ゲームばっかりで 再就職の話はどうなったの
03:29ああ そのうち
03:36そのうちって仕事を辞めて2年になるのよ もう先生をやる気はないの
03:40先生なぁ
03:41ああ
03:43お母さんも あんたが辛かったのは知ってるから
03:50れいちゃんのこと 心配してるってことだけは分かってね
03:56うん
03:58あれから2年か
04:02さすがにもう 教師はな
04:06できるだけ人間と会わずに 済む仕事がいいなぁ
04:09ん?
04:12山の中の のどかな空間で癒されながら お仕事しませんか
04:17これこれ 探せばあるじゃないか
04:19社会保障完備 天然温泉あり
04:25自然豊かなマイナスイオンあふれる職場です
04:27人間らしい方大歓迎 生徒思いの先生をお待ちしておりますって
04:35私立知らぬい高校女子校の教員募集?
04:37教師かよ
04:39俺にはもうあんなことは
04:45人間らしい方大歓迎
04:50生徒思いの先生をお待ちしております
05:09マジでこんな何もない山奥場所あってるよなぁ
05:10確か地図には
05:13あれ?
05:16こんなの入ってたっけ?
05:20うん?
05:28えっとバス停の脇に道があって
05:32大きな桜の木があるはずなんだけど そんな道どこにも…あ?
05:42あった…桜も…こんなのさっきあったっけ?
05:57ああ…ここが…
05:58おはようございます
06:00ああ…
06:01ひとま先生ですね
06:04あっ…はい!はじめまして!
06:07本日よりこちらでお世話になります
06:08ひとま、れいと申します!
06:12ようこそ、私立知らぬい高校へ
06:13僕は星野悟
06:15数学科担当です
06:20ひとま先生は社会科担当だって?
06:24はい、前の学校で4年ほど社会を教えてまして
06:28おっこの瓶何ですか?
06:32うんこの学校の特徴かな
06:33特徴?ん?
06:37ここが職員室ね
06:39失礼します
06:40あっ星野先生!
06:45その方がひとま先生ですか?
06:47か、かわいい!
06:49あっ?
06:53はじめまして、理科を教えてる、サウトメユキといいます
06:57生徒からはユキちゃん先生って呼ばれてますから
07:01よかったらひとま先生も、ぜひそう呼んでくださいね
07:05ユキ…ちゃん…
07:06おっ…
07:10ふっ…
07:14やったー、取れましたよ、まつげ!
07:16あっ!
07:18えっと、ありがとうございます
07:24ユキ先生、いきなり初対面からいかがなものかと思いますよ
07:27あっ、すみません、目についたものですから
07:34ごめんめひとま先生、校長が待ってるから、荷物を置いたら挨拶してきなね
07:35は、はい
07:39あー、ドキドキする
07:42リモート面接でしか会ってないけど
07:47礼儀正しく、厳格で、これこそ指導者って立派な感じで
07:51それがよくこんな俺を採用してくれたよな
07:55俺にチャンスを与えてくれた校長の期待に応えないと
08:00どうぞ
08:00どうぞ
08:02失礼します
08:07面接では、お世話になりました
08:10改めまして、ひとまレイと申します
08:11よろしくお願いします
08:13はぁ…
08:15はっ?
08:17よろしくー!
08:19ようこそ、私立知らぬい高校へ!
08:21ああああああああ!
08:23なんだあんたは!
08:26僕は校長の金島なのね
08:27そんなわけがあるか!
08:30俺が知ってる校長とは全然別人だ!
08:34それは僕の仮の姿なのねん
08:35は?
08:37この学校に適性のある人間には
08:42僕の姿が渋くてダンディなナイスミドルに見えるような
08:43現実をかけていて
08:48今、その現実を解いたのねん
08:49現実?
08:53この学校にも認識阻害の現実が欠けてあって
09:01君がはめた指輪の宝玉には、その現実を無効化する力があるのねん
09:05指輪をはめた途端に道が見えたのは、それで?
09:12この学校は変わった生徒が集まるから、いろいろとカモフラージュが必要なのねん
09:14変わった生徒?
09:19一言で言うと人間じゃない生徒なのねん
09:23犬、猫、ドラゴン、エルフ、人魚
09:29ここはそういった人外の子たちが人間になるために学ぶ学校なのねん
09:33人外が人間になるための学校?
09:37我が校は生徒思いの先生を求めています
09:43生徒たちにはそれぞれ人間になりたい理由があります
09:47しかし簡単には人間になれない。
09:55だから彼女たちを導く教師の負担もおのずと普通の学校より大きくなってしまいます。
09:58ひとまれいくん。
10:02それでもこの学校で教えてくれますか?
10:13私立知らぬい高校。ここで学ぶのはまず一般教養。
10:17これは人間が学校で教わることと大体似ている。
10:21次に人間性、人間度。
10:25人間らしい感情や思想、振る舞いについてだ。
10:29人間らしくない行いやルール違反をすると原点される。
10:31いわゆる内心書のようなものだ。
10:34最後に社会性、社交性。
10:40これは他者との交流、協調性、思いやりなど人間関係について。
10:41評価は生徒たちが行う。
10:51正面玄関に生徒一人一人の便が置いてあり、随時生徒たちが投票することで評価ポイントがたまっていく。
11:03クラスは下から社級、中級、上級とあり、学年末評価で基準に達したものだけが進級したり、卒業して人間になったりする。
11:16さあ、これが俺のこの学校での初めての授業。
11:17何事も最初が肝心。
11:19指導者として厳しく。
11:21そして人として優しく。
11:23頼りになる大人の態度を示す。
11:28威厳と寛容を持ち合わせた立派な最初の挨拶を。
11:29はぁ。
11:36やれんそーらんそーらんそーらんそーらんそーらんそーらん。
11:37はい、はい。
11:39えっと。
11:44ここ、上級クラスの担任を務める、ひとまあれいだ。
11:4529歳男、人間。
11:48担当は社会科。
11:50好きな食べ物は寿司。
11:52趣味はゲーム。
11:56君たちが人間になれるよう指導していく。
11:57遠慮なく何でも相談してくれ。
11:59質問はあるか。
12:00はーい。
12:02彼女いますか?
12:07土定番の質問で先生の心をえぐるのはやめなさい。
12:08いません。
12:09生徒に手を出すフラグなの。
12:13先生はロリコンじゃありません。
12:18うさみさんには興味はなくて、みなずきさんとかならあり得るってことでしょうか。
12:22先生を犯罪者予備軍にするな。ありえません。
12:27いさき、もしかして今うさみのことをディスったなの。
12:28ち、違います。
12:30そ、そういう意味では。
12:32はい。
12:32そこまで。
12:35今度はみんなに自己紹介をお願いしよう。
12:37まずは羽田から。
12:39はーい。
12:40羽田とバリ。
12:41種族はモズだよ。
12:43趣味は音楽鑑賞。
12:47人間になりたい理由は音楽をしたいから。
12:49音楽をしたいか。
12:50次、うさみ。
12:52うさみすい。
12:53うさぎなの。
12:59人間になりたい理由はお世話になった人間に恩返しがしたいから、なの。
13:00恩返しか。
13:02次はみなずき。
13:06私の名前はみなずききょうかですわ。
13:07種族は人魚ですの。
13:12人間になりたい理由はダンスがしたいから、ですわ。
13:19あいにくながら人魚の私はヒレしかありませんでしたが、この足を手に入れてからというもの。
13:23ひとま、この辺で止めないときょうかは一生しゃべるの。
13:25あ、ああ。
13:28じゃあみなつき、続きは今度聞かせてくれ。
13:32わかりましたわ。ご静聴くださりありがとうございます。
13:33はあ。
13:34最後は大神。
13:37えっと、大神いさきです。
13:42種族は一妖狼です。
13:43一妖?
13:52あ、えっと、その、たまに人間になってたっていうか、私じゃない私になってしまうっていうか。
13:53ん?どういうことだ?
14:06あ、その、私は人狼のようなもので、人間になりたい理由は、人狼という中途半端な存在じゃなくなりたいから、です。
14:12人間になりたいって、みんなたったそれだけの理由で。
14:13先生。
14:14おっ。
14:18もしかして、私たちが人間じゃないからビビってる?
14:20おっ。
14:23私たちのこと見て、気持ち悪いとか思っちゃったんじゃないの?
14:27うん。
14:31気持ち悪いとは思っていない。
14:32で?
14:38確かに最初は驚いたよ。けど、嬉しかったんだよな。
14:39う、嬉しかった?
14:47俺は今まで、人ならざる者は架空の存在で、実在しないと思ってたから。
14:51それが本当にいるって聞いて嬉しかったんだよ。
14:53ゲームとかでファンタジーものとか好きだから?
15:01それもある。でもそれ以上に、俺は人間が嫌いなんだ。
15:02えっ?
15:07俺は人間が嫌いで、人間と関わるのはあんまり得意じゃない。
15:14だから、ここで人間じゃない生徒を教える方が向いてるんじゃないかと思ったんだ。
15:22先生はどうして人間が嫌いなの?
15:26それは、まあ、いろいろあって。
15:28いろいろって?
15:29それはいろいろ。
15:33えー、興味あるな。私聞きたい。
15:35私も聞きたいですわ。
15:40人間になる上で、ぜひとも知りたいですわ。
15:41わ、私も。
15:43そう言われても。
15:48ここまで話しておいて、言わないとかありえないの。
15:49ああ。
15:51先生、聞かせて。
16:06人間は、人間なんて自分勝手で、他人のことなどお構いなしで、善意は悪意に利用され、正直者が馬鹿を見る。
16:12誰かのために頑張っても、ちょっと気に入らないというだけで、容赦なく踏みにじられて。
16:20だから、そんな人間のところに、自ら飛び込もうという、君たちのことが、俺には。
16:21それでも憧れたから。
16:24ああ。
16:25憧れたんだよ。
16:26人間に。
16:28その通りですわ。
16:36私たち人外にはない、人間ならではの文化、生き方、思い、そのそれぞれに感動し打たれ。
16:37わあ、もううるさい。
16:39強化は黙るの。
16:43とにかく、人間にならないとできないことがいっぱいあるの。
16:45そうですね。
16:50それに、人外の世界だって、いいことばかりじゃないですし。
16:56だから、私は人間のこと、そんなに悪くないと思うんだけどな。
16:57先生は?
16:58うん。
17:00うん。
17:04人間は嫌いだ。だけど。
17:05うん。
17:12何やってんだよ、俺。信用を失ったよな。
17:17最初が肝心だって言ったくせに。
17:22じゃあ、ここまで。
17:24さあ、お弁当だ!
17:26今日は何かな?
17:31寮母さんのお手製は美味しくて、いつも楽しみですわ。
17:33そういえば、寮ってどんな感じなんだ?
17:38質問が曖昧すぎるの。聞きたいことがわからないの。
17:39ああ、すまん。
17:44えっと、寮ではみんなうまくやってんのかなって。
17:46プライベートに踏み込んでくるななの!
17:50やっぱ信用を失ってる。
17:55あら、先生、本日は教室で昼食をお召し上がりに乗りますの?
17:57あ?
18:00でしたら、せっかくなので、私と昼食にいたしませんか?
18:01あ、あ!
18:03ああ、ありがとうな、みなつき。
18:04そうだな。
18:08いい機会だし、今日はこっちで飯を食おうかな。
18:09どうか!
18:10ひとまに取り入れる気なの!
18:12ずるいの!
18:15まあ、では、うさみさんもご一緒されますか?
18:16するの!
18:18なになに、先生の取り合い?
18:20そうなの、取り合いなの!
18:21今の取り合いなの?
18:26生徒とはいえ、女の子に取り合いされるなんて。
18:27ひとま。
18:28あ?
18:29びやけ顔きしょいの。
18:31勘違いすんななの。
18:34ひとまじゃなくて、点数の取り合いなの。
18:35勘違いしてねえし。
18:41でしたら、今日はクラスの全員でお昼にする、というのはいかがでしょう。
18:42私もいいよ。
18:44伊崎さんもいかがですか?
18:49あ、えっと、よろしければぜひ。
18:55なんか、そこまで信用なくしてはないみたいだな。
18:57よかっ。
18:57おっ。
19:00どうした!? 大丈夫か!?
19:02うるせえの!
19:04お前のほうが大丈夫じゃないの!
19:06あ、ごめん。
19:08ひとま。
19:10ひとま。
19:10ひとま。
19:11ひとま。
19:12ひとま。
19:12ひとま。
19:12ひとま。
19:12ひとま。
19:13ひとま。
19:13ひとま。
19:19ひとま。
19:20ひとま。
19:36ひとま。
19:45ひとま。
19:49ひとま。
20:00ひとま。
20:12ひとま。
20:15ひとま。
20:18私の卵焼きを差し上げます。はい。
20:19アーン。
20:20アーン。
20:25アーンだと?アーンって実際にするのか?
20:28アレか?女子高生の世界では普通なのか?
20:31先生、見過ぎじゃね?
20:34希少いな。
20:35キャー!
20:38どうした?ミナツキ。
20:41ち、ち、ちくわが…
20:48私、ちくわもダメですの。
20:53そっか。ちくわも魚をすりつぶして作るからな。
20:55ひとま最低なの。
20:59ご、ごめん。すぐに食べるから。
21:04大丈夫ですか、先生。
21:05お、お茶。
21:11えっと、たしか人間は箸を置いた向こう側から飲めば治るんだっけ?
21:12それはシャックリなの。
21:18お茶は走りに立って飲むと良くなると聞きましたけど、
21:19それは茶柱なの。
21:21ウサミ、よく知ってるね。
21:22いいから来れ!
21:24あっ。
21:29死ぬかと思った。
21:31ありがとうございます、先生。
21:35命がけで私を守ってくださったのですね。
21:37先生、やるじゃん。
21:39素敵です。
21:40いや、そこまでのことじゃ。
21:42調子に乗るななの。
21:44はい。
21:45えへへへ。
21:46宮崎さんも本当にありがとうございます。
21:48陣外だけの学校。
21:52生徒思いの先生を求めていますか。
22:00ここでなら、俺もやっていけるかな。
22:05人間に、人間に、人間になりたい。
22:09人間に、人間に、人間になりたいな。
22:11出てい!
22:14上手!
22:15上手!
22:17上手!
22:22人間になって何したい?
22:27人間に、人間になって何したい?
22:28人間になって何にしたい?
22:31ひとりひとり夢があるのが
22:34人間も、人間も、人間も知りたい。
22:36人間も、人間も、人間も、人間も教えて。
22:39みんな、まわてるけど。
22:41みんな、ほこが不敵で。
22:43まだ、ほこが不敵で。
22:44ちょっと不思議な教室。
22:45ファンタジー?いや、現実。
22:46今日も。明日も。
22:49夢の彼女を目指すんだって。
23:21BABY! A-G-E-A-B!
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