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00:25帰り道お月様を眺めていた大きくて明るくて優しくて手を伸ばせば簡単に届きそうなのに本当はずっとずっと遠いお月様は太陽の夢を見るのかな一人で力強く輝いてみんなに元気を与えてくれる太陽
00:52それはそれでかっこいいと思うけどやっぱりお月様が好きだな薄暗くて不安な夜道を歩いている時に大丈夫だよって行き先を照らしてくれるから誰かの期待とか祈りみたいなものを全部受け止めながらそれでも涼しい顔で見守ってくれているから
01:18ねえあなたのようなお月様になれるかな撃ち破れLiar傷つくのが怖いか砕け出すその先で僕を笑うどこの誰が僕をかばえるんだ空に溢れるFlyar
01:34揺らいだ矛先に君は迷う今の君の声は誰の声なんだ時より僕は空っぽで話す言葉とは
01:53いい距離感君との日々には嘘はないけどそれでもどっかごまかして無意識のうちに器用になってなんで今日だって寄りかかり方がわからないや
02:09見動きが取れない迷路タイミングの檻の中打ち破れLiar傷つくのが怖いか
02:34砕け出すその先で僕を笑うどこの誰が僕をかばえるんだ空に溢れるFlyar揺らいだ矛先に君は迷う今の君の声は誰の声なんだ古いビードロみたいな雨だった
03:016月に入った鈍色の空はずんぐり重く街全体をぎゅうぎゅうと押しつぶしていたなぜだか遠い夏の汗道が記憶の底からふわりと浮かび上がりまたすぐに沈んでいく雨の日は嫌いだと昔は思っていたそうでもないなと今では思う
03:20ああ伝えてたとおり今日は3年生による進路相談会だお前ら頼んだはいはい押すねえ
03:33あすか知り合い
03:36?うん後輩だよどういう後輩
03:46?だからただの私の後輩なのうんそっかよしじゃあ君号令カッコつけで
04:04私のことが大好きな君何だよ誰だよそれ俺かよえーと起立霊着席
04:173年の西野アスカですよろしくお願いします早速ですがまずは4つか5つのグループに分かれてもらえますか
04:29?俺の知っているあすねえはいつも一人だったそれは後ろにぼっちのつかない一人で孤高という方が近いかもしれない
04:54先輩っぽいじゃんそりゃそうでしょなんだか寂しくて何かをなくしたような気がしたそれでそれで今日はどんな話が聞けるんだろうなサクが意味ありげなアイコンタクト交わしてた美人で素敵な西野先輩からね西野先輩言ってた
05:03もう少し危機感高めないと私に取られても知らないよってちょっと待てそんな言い方してなかったぞそう
05:14?私はサク君から紹介してもらったよ確かに先輩後輩以上の会話はしてなかった印象かな
05:27ただし西野先輩を見つけたサク君少年みたいに顔輝かせて尻尾振りながら走っていっちゃうけどユアちゃん俺をそんな目で見てたの
05:41?ごめんごめんお待たせしましたさて何の話からしようかなはいはいお二人は付き合ってるんですか
05:57えっとなんていうか付き合ってないよ付き合ってないよついでにそこの君ともねみんなは進路のこと考えてたりするの
06:09?俺は細かいことあんま考えてないっすねまともにバスケできるとこだったらどこでもそれなら朝野君はどの大学でプレーしたいのか考えるところからだね
06:26ああ私も親に頼むから国公立にしてくれって言われてるぐらいでとりあえず青海さんはしっかり勉強かななんで私の学力をあ、ちっとせこらじゃあ七瀬さんはどう
06:32?私は一度福井を出てみようかなって県外組だね
06:38石川か関西、東京もなくはないかも水篠君は
06:56?俺は東京の次第ですかねじゃらいサークル入ってキャンパスライフを満喫すんのそっか身の程はわきまえてるからそっか俺は多分普通に福井かな福井から出る自分そうそうできないし
07:15私も家族のこととか一人暮らしできるかも心配だしえーうっちは大丈夫だよ私なんて料理も洗濯もできるかわからないしゆうこはまず花嫁修行だね私はお責任ひいらぎさんは県内
07:17?県外?
07:17お?正直まだ見えてないんです無難に福井選んじゃいそうなんですけど先輩たちは
07:29?俺は東京の次第に絞ったよ西野先輩は
07:44?実は私も決めきれてないんだよね県内か、東京かえー、さっと決めちゃいそうなのにそんなことないよ私も迷ってばっかりだ
08:10俺は一緒に東京行こうよって言ってるんだけどな一人暮らし用の高級マンション買ってくれるなら考えるよそこはせめて一緒に住むようだろ二人の軽口を見て俺はがっかりしないようにすることで精一杯だったそのがっかりがアスネーに向けられたものなのか自分自身に向けられているものなのかもよくわからない
08:44そんで俺は何してるんだろうなそんで俺は何してるんだろうなオースネー
08:45奥野くんまた明日ねえ
08:53?私、彼と一緒に帰るからおうまた明日ね
09:06さあ、帰ろうか入れてくれる
09:10?傘忘れたの
09:25うん今日は、そういうことにしようかなと思ってそういうことなら、仕方ないねそう、仕方ないの
09:45君の傘、水玉模様だ雨の日は嫌いだと、昔は思っていたそうでもないなと、やっぱり思う
10:01濡れちゃうよ濡れた女はそそるでしょ
10:19よかったこれでいつも通りやっぱりバレてたなんだか、今日の君はちょっと、遠かったね遠かったのは、明日姉じゃないかなそんな風に思う君が、遠いんだよ
10:26女子高生、なんだね女子高生、なんだよ知らなかった
10:48?こんな日には、とびきりつまらないジョークが必要だそれで、あの男はあなたの何なのよ君が見て、理解した通りだと思うよ色目なんか使っちゃって君の周りも色目だらけだったけどね何よ
11:05はははは楽しかったな、進路相談会まるで、君のクラスメイトになった気分だったどうして私はここにいないの
11:18?って思ったよ俺は、ここにいてほしくないって思ったかなうん、それもちゃんと知ってるのだって私は、君の素敵な先輩でなきゃね
11:34ねえ、例えば二人が同級生で、例えば普通に入学式で出会っていたりしたら、毎日こんな風に帰ったりしていたのかな
11:47アスカは俺なんかに興味を示さなかったかもしれないきっと、サクもね
11:56だから、そんな例えばに意味なんてないまだ決まってないんだね、東京か福井うん
11:57何か、俺に話せることはある?ないよ、君に相談すると、私はきっと揺れちゃうからそれは、決意が固まりつつあるようにも聞こえるけどうん
12:16本当にごまかしたいのなら、もっと上手に嘘ついて欲しいな
12:28うん少しでも何かの支えになるなら、とびきりキザな約束でも交わしておこうかえ
12:35?もしも駆け落ちしたくなったら、左耳を触るのが合図だ、とかね
12:36はっ…お
12:54?ううんううんこんばんはー
12:56!花嫁修行のデリバリーでーす
12:58!あ、うちそういうの間に合ってますんでー
13:26ご飯まだでしょ、作ってあげるーデリバリーじゃなくて押し売りだよねーごめんね、突然押しかけてふんじゃじゃーんどーどー
13:31料理教室に慌てて通い始めた新妻みたいで、よく似合ってる妻
13:35!褒めてねーからさっこくん、さっこくんお
13:36?袖ちょっとまくってくれる
13:38?およっお?ありがとうあー、うちずるいー
14:01中学の時に離婚したうちの両親は、仕事人間だったから、あまり家族で食卓を囲んだ思い出がないだからだろうか、学校帰りにカレーの匂いが漂ってきたりすると、無性に切なくなることがある
14:16もしかしたら俺のそういう部分をなんとなく察して、ゆあは時々、ご飯を作りに来てくれるのかもしれない小さじ1杯って、小さじでいっぱい入れるわけじゃないからね、かしこまりー
14:17ねぇ、ほんとに大丈夫?ごめんね、あんまり品数作れなくていや、おいしいよ、ゆうこが作ってくれたゆで卵も、いい感じの半熟だんーさっこくん、ご飯おかわりは
14:41?ん?ありがとうお味噌汁は?うん
14:49ありがとうさっこくん、お茶
15:02?うんありがとうん?ストップー!ちょっと打ちづらい
15:06!何その制裁感
15:13!えっと、そう言われても…うむ、なんなんだろうね、この圧倒的包容力
15:43うっかり身も心も委ねてたわうっ…
16:13嬉しいようっ…うっ…
16:25だけど、そういうことを考え始めなきゃいけない年齢なんだよね、私たちこんな風に一緒にいられるうちに、ちゃんと…
16:46部活を辞めてもうすぐ1年…か…うっ…うっ…
16:52だぁ、取ったと思ったのにぃちょっとグローブ貸してみ…ん
16:53?え?ほら、はめてみろ
17:05何かさっきより柔らかくなってる
17:08ちょっと体触るぞ
17:13手取り足取り教えろっつったのは春だろう
17:16冗談だってば好きにしていいよ
17:20グローブの芯がへこんでるだろう
17:23ここで取ることを意識するように
17:25左手に力入れとけよー
17:27おらっ
17:30うむ その痛みを忘れるな
17:34いきなりスパルタすぎる
17:36ボールは押し出すように投げるんじゃない
17:38こう体をひねってだな
17:41今日はやけに積極的だね
17:43くどいてた覚えはないが
17:48やっぱりそういうあんたが好きだよ私は
17:51今日はやけに積極的なんだな
17:55芯に叩きつけた方がいいんでしょ
17:58さて実践だ
17:59大友よ
18:04小さなボールをただ投げてただ取る
18:05そんなことの繰り返しなのに
18:09やっぱり楽しいなと思った
18:13こういう時間がずっと続けばいい
18:17あっごめん
18:26ゆうすけ
18:27さく
18:35悪いなグラウンドを荒らして後でトンボかけて鳴らしとくから
18:38続けてるのか野球
18:39ただの遊びだよ
18:43あっ
18:44あっ
18:45あっ
18:48千瀬誰?
18:52元チームメイトだよ
18:54サク
18:56その
18:57戻ってくる気はないか
19:01まさか
19:03もうすぐ辞めて一年だぞ
19:05とっくになまってるよ
19:07簡単になまる球じゃないだろ
19:13打者の繊細な感覚は3日もバット振らなきゃ簡単に手から逃げていく
19:15けどやっぱ
19:18野球好きなんだろ
19:21お前たちがそれを言うのか
19:29監督には今度こそ俺たちからも話してみる
19:31サクがいなくなってみてやっと
19:32あのさ
19:35私は事情とか全然知らないけど
19:38あんたたち千瀬が辞めるのを止めなかった
19:41止められなかった人たちだよね
19:44あの千瀬が野球辞めたんだ
19:45何かあったことはわかる
19:47その何かに加担してたのか
19:50見ないふりをしてたのかは知らないけど
19:52一つだけ言えるのは
19:54今のキャッチボール相手は
19:57私ってこと
20:03おい千瀬
20:12ナイスボール アトム
20:14愉快なメンツじゃねえか
20:17俺も混ぜろよ
20:19お前…
20:21陽光中の植村か?
20:25フッ…千瀬はさっぱり覚えてなかったのにな
20:26それで…
20:29そんな鼻につく天才くんを
20:30おめおめ逃した
20:31間抜けな野球部が揃って
20:33何やってんだ?
20:35お前に関係あるか?
20:36ねえよ
20:40俺は女とチャラチャラしてる千瀬が見えたんで
20:41からかいに来ただけだ
20:42いい…
20:48サク
20:50またな
20:51あっ
20:56キャッチボール混ぜてやろうか
21:03冗談だろ
21:03冗談だろ
21:07お前も
21:10いつまで未練がましく素振りなんか続けてんだ
21:16まったく…変なやつだ
21:18ありがとな
21:21俺のキャッチボール相手になってくれて
21:22シンに響いた?
21:26ど真ん中に、な?
21:33サク
21:34今日の放課後は予定ある?
21:37ないけど
21:37またご飯作りに行こうかな
21:42花嫁修行の次はお仕掛けに呼ぼうか
21:45千瀬、予定ないなら練習見てく?
21:48美咲ちゃんもちゃんと責任取らせろってさ
21:50なんのだよ
21:51私をあんな風にしたこと?
21:54うん
21:54誤解を招く表現はやめろ
21:57ねえ、君ー
21:59おっ
22:02今からお姉さんとデートしよ
22:07曲がり角の向こう側で
22:11ゆらゆらと揺れる陽炎
22:15焼けるアスファルトを蹴り飛ばして
22:19はしゃぐ僕が浮かんで消えた
22:26追いかけても離れた
22:30青臭い夏の残像
22:35駄菓子屋で飲み干したサイダーの
22:37飛びる影を見てた
22:42絡みと音が鳴る
22:46煙玉をとっていたかった
22:50欲しいものであふれるのは
22:54今も変わらないんだな
23:00街角に溶ける影帽子
23:03光の粒が煌めいて
23:08揺れる夏の気温の隙間を
23:11歩く方に似ている
23:15水面に映る夕焼け空
23:19ばかに綺麗だと思うのかな
23:24想い出がコスパ一つで暗暗しだして
23:27眩して嫌になっちゃうな
23:30消えないのに掴めないの
23:38時々夢
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