- 6 週間前
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ショートトランスクリプション
00:00me
00:16バッカイとよく見え こちらバッカイ漁業組合
00:20第38 特性マル 第38特性マル応答してくださいどうぞ
00:28こちらバッカイ漁業組合 こちらバッカイ漁業組合
00:32第38 特性マル 第38 特性マル応答してくださいどうぞ
00:40こちら第38 特性マル こちら第38 特性マル
00:451時間後にバッカイの自宅に入る予定だ
00:48彼がと伝えそれだぞ 雪 組合のみんなに伝えてくれ
00:53カレー やったー
00:57了解 了解しました
01:06行くしょ
01:09トウハチカレー アソバカレー マガレー
01:13あのー お願いします
01:15カレーを2、3匹分けてください
01:17カレーはよ サプラ東京 持っていくとすげー値段で売れるんだ
01:21俺と一晩遊んだらよ 5匹や10匹分けてあってもいいぜ
01:26一晩遊ぶ?
01:28いやらしいこと言わないでください
01:30勝てること言うなってよ
01:32お前の袋だと男と遊んだ お前うんだそうじゃねーか
01:35なんだって もう一度言ってみろ
01:37お前の親父はどこの誰だか分からねー
01:40父なしごだってことだよ
01:42どうだよ
01:44何してんだよ
01:45確かに 私は父なしごよ
01:48でも お父さんとお母さん すごく愛し合って私が生まれたんだ
01:53ふざけたこと言うと またぶっ飛ばすからね
01:56お母さん このカレー おいしいでしょ
02:11とっても
02:13じゃあ みんな食べて
02:15すっかり平らげて 元気になってよ
02:18ユキ
02:22お前今日 父親の分からない子だっていじめられたんだって
02:27わー さすが狭い村
02:29噂が伝わるのが早いですね
02:32ユキ 辛かったでしょ
02:36でもね お前が生まれる前に亡くなったけど
02:41お前には 立派なお父さんがいたのよ
02:45母上 ご覧くださいませ
02:52このハンサムな青年は
02:54名門 東音楽大学 学長の長男
02:58天才ピアニスト 東雪彦
03:01私の最も尊敬する 父親であります
03:05ずいぶん昔の写真
03:08母さん この頃
03:13お父さんのお屋敷のお手伝いだった
03:1620年前 お父さんとお母さん 足合って結婚しようとしたら
03:21学長のおじいさん すごく怒ったんでしょ
03:25ゆきひこ
03:27お前は私の血を引いて ピアノの才能がある
03:31音楽大学 在学中に日本ピアノコンクールに優勝
03:35日本一のピアニストになったんだからな
03:39私はお前を誇りに思って
03:42名ヴァイオリニストの 結城京子さんと結婚させ
03:46将来は音楽大学の学長にするつもりだった
03:49それを何だ
03:51よりによって こんな娘と夫婦になりたいとは
03:56ゆきひこ
03:58お前はどうしても この女と一緒になるか
04:03お父さん いくら反対なさっても無駄です
04:07私の妻となる人は
04:10このふみこさんしかいません
04:13そうか うん
04:15分かった
04:17親の頼みも危険ような奴は 息子じゃない
04:21きょうかぎり感動してやる
04:23もうお前は赤の他人だ
04:26この屋敷から出て 勝手に野谷地にしろ
04:31それでお父さんとお母さん
04:34東京を離れて北海道に来たの
04:37札幌は母さんの故郷だから
04:40でもお父さん デリケートな人だったから
04:44ワンマンなおじいさまとの 争いに疲れ果てて
04:49病気になってなくなってしまったの
04:52ひどい人ね 学長のおじいさんは
04:55お父さんを殺したのも お母さんを不幸せにしたのも
05:00みんな学長よ
05:01私 学長がにくくてにくくて
05:05胸がぐらぐらするわ
05:10いけねぇ もう8時だ
05:12お母さん ピアノの練習に行ってくるね
05:16生まれくる 我が子に捧ぐ ゆきひこ
05:30お父さん
05:46お父さん
06:16お父さん
06:23ふみこです
06:25どうしてもあなたにお会いして
06:27お頼みしたいことが
06:31ありがとうございます
06:33じゃあ お待ちしています
06:46お父さん
07:09あなたには長い間 大変お世話になりましたけど
07:13私のこの最後の願い
07:17これだけは
07:18何としても 聞いていただけませんでしょうか
07:24私
07:25ゆきひとりを残して死ぬかと思うと
07:28心配で 心配で
07:31夜もずっと眠れます
07:34頼れるのは あなただけです
07:36だから どうか
07:38ああ
07:40ああ
07:41ああ
07:47はい もしもし
07:49先生
07:51えっ
07:52お母さんが帰宅
08:08お母さん
08:10死なないで
08:11私を一人ぼっちにしないで
08:15ゆき
08:17お母さんの最後の言葉
08:20しっかり聞いてね
08:22何よお母さん
08:23何よお母さん
08:24母さんが死んだら
08:25お前すぐに
08:27お父さんの実家
08:28あずま音楽大学
08:29学長さんのお屋敷に行きなさい
08:31えぇ
08:32お父さんとお母さんを追い出した あの学長のところへ
08:33亡くなったお父さん いつも言ってたわ
08:35ピーチ
08:36なによお母さん
08:37母さん
08:38母さんの最後の言葉
08:39しっかり聞いてね
08:40何よお母さん
08:41母さん
08:42母さんが死んだら
08:43お前すぐに
08:44お父さんの実家
08:45あずま音楽大学
08:46学長さんのお屋敷に行きなさい
08:47えぇ
08:48お父さんとお母さんを追い出した あの学長のところへ
08:50お父さんとお母さんを追い出した あの学長のところへ
08:52亡くなったお父さん いつも言ってたわ
08:59ピアノって素晴らしいものだ
09:02僕たちの子供も必ず一流のピアニストにしようって
09:07お父さんが
09:09母さん
09:10お父さんの夢だけは実現したかった
09:13だけど
09:15お前をピアニストにするどころじゃない
09:18生まれてからずっと
09:22父なしごって呼ばせて
09:25片身の狭い思いをさせてきた
09:27お母さん
09:29私
09:30そんなこと
09:31ちっとも
09:32ゆき
09:33お母さんが死んだらお前はたった一人
09:37父親の分からないみなしご
09:39一生日陰の道を歩いて行かなきゃならないのよ
09:43世の中は甘くない
09:47お前がどんなに冷たく扱われるか
09:52でも母さんはもう守ってやれない
09:56それを思うと
09:59辛くて悲しくて
10:02母さん
10:04死んでも死にきれない
10:06お母さん
10:08お前は
10:13東音楽大学学長の長男の娘
10:17本当だったら
10:20堂々と東の聖法なのって
10:24立派にピアノの教育を受けられるのに
10:27お母さん
10:30だから東家へ行け
10:32学長さんに会えって言うのね
10:34そう
10:36学長さんも
10:38憎い母さんが死ねば
10:40みなしごのお前を引き取ってピアニストに育ててくださるかもしれないわ
10:45ゆき
10:48学長のおじいさまのところへ行ってちょうだい
10:51ね
10:52おじいさまのところへ
10:54それしかないのよ
10:56それしか
10:57母さんに約束して
10:59ね
11:00ゆき
11:01分かった
11:04お母さん
11:06引き受けた
11:07私
11:08東京へ行って
11:09東音楽大学へ乗り込んでやる
11:12学長のおじいさに会って
11:14私を孫だと認めさせてやる
11:17ゆき
11:18本当
11:19本当ね
11:21やってやる
11:23お母さんの望みだもん
11:25お父さんの夢だもん
11:27絶対叶えてやる
11:30そうだ
11:31それが本当の親孝行だ
11:33必ず東雪になれよ
11:37お母さん
11:39この人は
11:41ゆき
11:44母さんが死んだらこの人に頼りなさい
11:49この人の言葉は母さんの言葉
11:53この人の指図は母さんの言い付けだと思って
11:59何でもこの人の言う通りにしなさい
12:02でもお母さん
12:04この人は誰
12:05誰なの
12:06この人はね
12:08この人はね
12:10あっ
12:13お母さん
12:17お母さん
12:18失敗して
12:19お母さん
12:21お母さん
12:22お母さん
12:23お母さん
12:24お母さん
12:26お母さん
12:29お母さん
12:30お母さん
12:31お母さん
12:32お母さん
12:33お母さん
12:34お母さん
12:35お母さん
12:36お母さん
12:37お母さん
12:38お母さん
12:39お母さん
12:40お母さん
12:41お母さん
12:42お母さん
12:44お母さん
12:45お母さん
12:46お母さん
12:47お母さん
12:48お母さん
12:49お母さん
12:50お母さん
12:51お母さん
12:52お母さん
12:53航空券だ
13:05日本航空地素制発508便
13:081時間半で東京へ着く
13:23日本航空地素制発508便
13:37日本航空地の日経験
13:41ドラッキー
13:43の1日経験
13:48あの子
14:11すごいピアノ 誰が弾いてるのかしら
14:18多くは
14:25あ
14:27ん
14:31tutor
14:37ん
14:38voodoo
14:42ん
14:48ん
14:50ん
14:52ん
14:54ん
14:56ん
15:00山田出て行ってくれ
15:07だめだ出ていけよ
15:12あら大津先生こんな女の子と何してらっしゃるんですね
15:17僕のピアノ練習の邪魔するから追い出してるところさ
15:21先生のピアノって素晴らしい私も先生のように弾いてみた
15:26あなた大津先生をどんな方だと思ってらっしゃるの
15:30大津先生は東音楽大学のプリンスアメリカのジュリアード音楽院を史跡で卒業
15:35ヨーロッパのピアノコンクールで何回も優勝
15:38東音楽大学学長に何度も何度も採測されて日本に帰ってきたら
15:4326歳の若さでピアノ科の女教授
15:46つまり大津先生はピアノの天才なの
15:49あなたがどう張り切っても大津先生のようなピアノは弾けないのよ
15:53だいたいあなたこの音楽大学の学生じゃないでしょ
15:57この大学から出て行ってくださらない
15:59私この音楽大学の学長さん
16:02あすまゆきおって人に会いたいんです
16:05あすまゆきおって私のおじいさまだけど
16:08今お体の具合が悪くてお屋敷にいらっしゃるわ
16:11そのお屋敷ってどこにあるんですか
16:14教えてください
16:15何の御用でおじいさまに会いたいの
16:19それは言えません
16:21あなたどこのなんていう方
16:24それも言えません
16:25とにかく学長さんに会わせてください
16:28変な人
16:29おじいさまどこの誰だかわからない方とお会いにならないわ
16:34さあ帰りましょう
16:36大津先生明日のレッスン楽しみにしています
16:39失礼いたします
16:40失礼いたします
16:47あの学長さんのお屋敷ってどこにあるんですか
16:51今君と話した人が学長のお孫さんだ
16:54あの人の後をつけていったら
16:56あそっか
16:58お邪魔しました
17:13あずまゆきお
17:15学長さんの家だ
17:19すごいお屋敷
17:20あの君
17:22何してんの
17:23うちに何か用
17:24あの学長さんに会いたいんです
17:26へえ
17:28おじいさんのお客さんにしては随分ヤングだな
17:31かわいこちゃんは大歓迎
17:33どうぞどうぞ
17:35こっちこっち
17:36いくつ履いてんね
17:38今流行り
17:40まったくお兄様ときたら
17:47相手が若い女の子なら誰でもホイホイ言いなりになってしまって
17:51本当にみっともないわ
17:53ねえパパママ
17:55信行さん少し軽はずみよ
17:57あんまりママたちを困らせないでね
18:00信行
18:01この辺の子娘すぐ屋敷からお出せ
18:04あのでもこの子どうしてもおじいさんに会いたいって言うんだよ
18:07お父様がこんな風天娘に会うはずないでしょ
18:11あんたこの医師からさっさと出なさい
18:14出なさいと
18:16学長さんどこにいるんですか
18:20学長さん返事してください
18:23大我慢でき俺は本だしや
18:26学長さん返事してください
18:29学長さんどこにいるんですか
18:32うざい静かにせっか
18:34何を騒いとるんだ
18:36おじいさんも
18:37おじいさんも
18:39あなたが
18:43あずま音楽大学の学長さんですか
18:46いかにもわしが学長のあずまゆきおだが
18:50何者だお前は
18:52私は野川ゆき
18:56野川ゆき
18:57学長さんの孫です
19:00お前が私の孫?
19:02孫だって
19:04これたまげたね
19:07私はあずま家の長女だけど
19:09お父様の孫は信行と三つ子しかいないのよ
19:14私は学長の次女だけど独身だしね
19:19学長さん
19:21あなたにはあずまゆきひこって長男がいたでしょ
19:24ああいた
19:27それはどうした
19:29私はそのあずまゆきひこの娘
19:32つまりあなたの孫です
19:35何?ゆきひこに子供が?
19:39そうです
19:41私の父親はあずまゆきひこ
19:43母親は野川文子
19:45お母さん
19:4720年前
19:48この屋敷でお手伝いをしてました
19:50学長さん
19:51覚えてるでしょ
19:5220年前のお手伝い?
19:54そんな女は覚えてろ
19:56いいえ
19:57覚えてるはずです
19:58あなたはお父さんがお母さんを愛したらすごく怒って
20:022人を追い出したでしょ
20:04とっくに忘れたよ
20:06思い出すのも嫌だ
20:08お父さん
20:09北海道へ渡ってすぐに亡くなりました
20:14お母さんは一生懸命に私を育ててくれましたけど
20:18あんまり苦労したために病気になって
20:211週間前に死にました
20:24こんなことになったのもみんなあなたのせいです
20:28あなたは悪い人です
20:30お前私を憎んでいるのか
20:32はい
20:33子供の時から憎いジジイ
20:35憎いアンチキショーだと思ってます
20:37お兄様が北海道で亡くなったってことは聞いてたけど
20:41子供がいたなんて初耳だわ
20:43信じられない
20:45あなた本当にゆきひこ兄様の子供なの?
20:47あんた?
20:48ゆきひこ兄さんの子供だと言いはるからには
20:51戸籍当本かなんかちゃんとした証拠を持ってるんでしょうね
20:56戸籍当本なら
20:58ここにあります
21:03あらあんた父親の欄に誰の名前も書いてない
21:10真っ白じゃない
21:12はい
21:13私が生まれる前にお父さんが亡くなってしまったので
21:17こんな当本証拠にならないわ
21:20あんたゆきく兄さんの子供だっていうこと
21:23どうやって証明するの?
21:25証明する方法はありません
21:28でも本当なんです
21:31お前は何しにここへ来たんだ
21:34ゆきひこの娘として
21:36私に恨みつらみを言いに来たのか
21:40違います
21:41私は東ゆきひこの娘
21:43東ゆきとして認めてもらいたいんです
21:46分かってるわよ
21:48あんたがなぜ北海道から東京に乗り込んできたか
21:52あんた
21:53あずま家の財産狙ってるんでしょ
21:56財産?
21:57そんなこと全然
21:58とぼけないで
21:59財産狙うなんて小娘の考えることじゃないわ
22:03死んだお母さんに知恵をつけられたんでしょ
22:07違います
22:09お母さんはそんな人じゃありません
22:11私
22:12この屋敷でお手伝いをしていたあんたのお母さん知ってるけど
22:15あの頃から相当したたかな女だったわ
22:18強引にお兄様を誘惑したのよ
22:20お父様がすぐ追い出したけど
22:22でもお兄様まで一緒に
22:25自分が失敗したから
22:27今度はあんたをゆきひこ兄さんの娘に仕立てて
22:30このあずま家の財産を手に入れよってわけよ
22:34執念深い女ね
22:36お兄様があんなに早く亡くなったのは
22:38あなたのお母さんの責任よ
22:40出てってちょうだい
22:41とんでもない偽物だ
22:43まおまがしとると警察呼ぶぞ
22:45出てけ
22:46出てけ
22:50バカにすんじゃねえ
22:51なめんじゃねえ
22:53あたしのお母さんの悪口言ってみろ
22:56許さねえから
22:58あたしのお母さんは嘘をつくような人じゃねえ
23:01あたしだって嘘つくもんか
23:04あたしは本物のあずまゆきなんだ
23:07偽物だなんて言ってみろ
23:09ただ出すまねえから
23:11ああなんて汚い言葉
23:13この娘正体を表したのよ
23:15とんでもない不良家
23:17犯罪者よ
23:18ねえお兄様追い出して早く
23:20静かにしろ
23:21あんたたちがあたしを本物って言うまで
23:25ここを動かねえ
23:26この屋敷を出ねえから
23:28生まれくる我が子に捧ぐ
23:41ゆきひこ
23:43この曲はゆきひこがお前に書き残したものか
23:47そうです
23:49ちゃんとゆきひこって証明してあるでしょ
23:51私このお父さんの曲を毎日一度は必ず弾いてました
23:55お前ピアノを弾くのか
23:57はい大好きです
23:59私を一流ピアニストにするのはお父さんの夢
24:03あずまゆきにするのはお母さんの望み
24:06だからあたし死に物狂いで勉強して
24:09一流ピアニストあずまゆきになりたいね
24:12よし
24:16お前のピアノを大津女教授にテストさせて
24:19才能があるかどうか試してやる
24:22お前が本当に私やゆきひこの血を引いてたら
24:26きっとテストに合格するし
24:29偽物だったら必ず不合格だ
24:32学長さっきの娘の荒れっぽりご覧になったでしょう
24:37これは突っ張りの不良ですよ
24:39どうしてその屋敷から叩き出さないんですか
24:41もしお前が偽物だったら
24:46詐欺罪で警察に突き出してやる
24:49本物だったらわしの幼女にして
24:52あずまゆきと名乗らせる
24:54お父さん
24:55お前が本物か偽物かはっきり分かる日まで
25:00この屋敷に置いてやる
25:02ただしお前の母親のようにお手伝いとして働け
25:06それが嫌なら今すぐ出て行け
25:09お手伝いだって何だってやります
25:12私どうしてもあずまゆきってピアニストになりたいんです
25:22つまりその野川ゆきっていう娘の化けの顔を引っ張らせんいいのか
25:27そうなの刑事さん
25:29学長のお父様も最近健康状態が思わしくなくて
25:34いつどうなるかわからないの
25:36もし万一のことがあったら
25:38途端に遺産相続ってことになるけど
25:41お姉さまとあたして分ける財産を野川ゆき
25:45どこかの馬の骨に3分の1も取られちゃ困らないわ
25:49早く偽物だと決めつけて
25:51あずま家から叩き出したいの
25:53あんたとは場で知り合って高い酒を何度も覆ってもらってる
25:58お互いに独身で話も合う中だから
26:00頼まれたら嫌とは言えねえな
26:02じゃあ引き受けてくださるの
26:05殺し専門の鬼刑事の俺にとっては
26:08小娘の化けの顔を引っ張らせぐらい
26:10朝飯前の仕事だが
26:12問題は報酬だ
26:14私立探偵に払うようなケチな金だったら断るぜ
26:18そりゃもちろん私立探偵の誤売を払うわ
26:23おい
26:48シンデレラのおとぎ話を知っているか
26:52貧乏な小娘シンデレラは
26:54王子様の花嫁になりたくてパーティーに出たかった
26:57かわいそうに思った魔法使いのおばあさんは
27:00ネズミを馬
27:02カボチャを馬車に化けさせてパーティーに行かしてくれた
27:05しかしその魔法は夜中の12時になると切れる
27:09ボンボーンと時計が鳴ると
27:11シンデレラはカボチャやネズミと一緒に逃げ出さなければならねえ
27:15何を言いたいんですかあなたは
27:18お前もシンデレラ
27:20北海道の貧乏な小娘のくせに
27:23大学学長の孫になりたがっている偽物だってことだ
27:26しかしな
27:28鬼刑事のこの俺が乗り出してきたからには
27:30お前の化けの顔を引っ張らして
27:32この屋敷から叩き出してやる
27:35私
27:37偽物じゃありません
27:39本物本物なんです
27:41うるせえ
27:43俺がちょっと調べたところじゃ
27:45お前のお袋は相当不死だらな女だったらしいな
27:48東雪彦に死なれてから
27:51男と入りが随分激しくて何人もの男と関係を結んだような
27:56お前の本当の親父はその中の一人じゃねえのか
28:00私のお母さんそんな人でない
28:03お母さんの悪口打ったら支障しねえから
28:06うん
28:09あ
28:11あ
28:13お前
28:15東雪彦やお袋の写真を貼ったアルバムを持ってるだろう
28:19どいつ俺に見せてもらおうか
28:41これだけ揃ってのは十分だ
28:43このアルバムは俺が預かってくる
28:47返してください
28:48これは私の宝物なんです
28:54お前は俺と一緒に明日大学の法医学教室に行くんだ
28:59大学の法医学教室へ?どうして?
29:03親子鑑定という言葉を知ってるだろう
29:05お前が本当に東雪彦の娘かどうか
29:08この体を徹底的に検査するんだ
29:11お前が東雪彦の娘かどうか
29:21まず人類学的検査から始める
29:23人類学的検査?
29:26お前の顔の写真を撮ってな
29:29東雪彦の写真と比べてみるのさ
29:31似てるかどうかな
29:33野賀行き、レンズを見よう
29:35まず目だ
29:37先生お願いします
29:38初めて
29:40父親と母親が一目瞼の場合
29:42二目瞼の子供は生まれません
29:48次は眉だ
29:49眉の濃い薄いも遺伝します
29:54次は唇
29:56唇の厚さ薄さも親に似ます
29:59お前の顔中の写真を撮りまくって
30:01父親と比べてやる
30:03横向いて
30:04今度は耳だ
30:06耳の形、耳の穴もかなり親から遺伝します
30:09次は鼻だ
30:12鼻の穴が丸いか尖ってるか
30:14これも親に似ます
30:16髪の生え方
30:18静かにしてろよ
30:20指を伸ばせ
30:23広げるんだ
30:24お前
30:27うん
30:30静かにしてろよ
30:32指を伸ばせ
30:34広げるんだ
30:36爪の形や性質を調べて
30:39親と似ているか比較するんだ
30:42指紋と証文を調べるんだ
30:43私、何にも悪いことなんかしてないのに、どうして指紋なのか
30:57黙ってろ
31:14あなたは
31:16どんなに刑事に脅かされても
31:18アズマ家の連中にいびられても
31:21学長の屋敷から逃げ出すな
31:24必ず
31:25アズマユキオの孫になるんだ
31:28あなたは
31:30なぜそんなことを
31:43君が問題の娘、野川由紀さんか
31:50今日は学長の命令でピアノのテストを行う
31:55君が学長の孫、由紀彦さんの娘らしい才能とセンスを持っているかどうか
32:01確かめてやる
32:02ダメだダメだ
32:27ミスター血だらけだし、感情がガタガタに乱れている
32:30初めからもう一度
32:33はい
32:42やめろ
32:44なっちゃいないね
32:46ああ
32:48初めからもう一度
32:50はい
33:00ダメです
33:03私、病院で親子鑑定の検査を受けて
33:08気持ちがめちゃくちゃになってるんです
33:10苦しくって
33:12どうしてもピアノが弾けません
33:15苦しいからピアノが弾けない?
33:18そんな余ったれた根性じゃ
33:20とても一流のピアニストになれないね
33:22一流のピアニストになれないなら
33:24君はやっぱり偽物だ
33:27東由紀彦さんの血なんか引いていないね
33:30いいえ、私は本物です
33:34東由紀彦の娘です
33:36偽物なんかじゃありません
33:37いや、偽物だ
33:39偽物だよ
33:40間違いないね
33:42偽物だなんて言ったら先生だって言わさな
33:45ぶっ飛ばしてやる
33:46ぶっ飛ばす?
33:47どうぶっ飛ばすんだ?
33:50やってみろ
33:56私は本物、本物なんだ
34:01本物なんだ
34:03私は本物、本物なんだ
34:08分かった分かった
34:11君には負けたよ
34:13そこまで思い詰めてる君は
34:14やっぱり本物
34:17東由紀彦さんの娘だ
34:20先生
34:24さあ、もう一度引いてみろ
34:27こうなったら、病院も検査も忘れて
34:31ただお父さんの由紀彦さんだけを愛して
34:34はい
34:36お父さん、聞いて
34:37聞いて
35:07早送り
35:09早送り
35:11運動
35:13早送り
35:14早送り
35:16早送り
35:18朝朝
35:20早送り
35:21朝
35:23早送り
35:24早送り
35:25だったわ あなた
35:28それで一流のピアニストになるつもり やっぱり頭がおかしいんじゃない
35:34偽物だと思うわ確かに下手なピアノだ 全くなっちゃいない
35:39しかし この娘さんのピアノにはすごいハートがある
35:44なぜだ
35:47亡くなったお父さんを 愛して愛して愛し抜いているからですよ
35:53これは偽物じゃない 雪彦さんの本当の子供だな
35:58この娘は私や雪彦の血を引いている 将来は一流のピアニストになれるかもしれん
36:06そういうのが君 この子をあずま音楽大学ピアノ科の学生にして僕はガンガンしごいたら
36:13必ず一流のピアニストになりますよ
36:17先生が私を教えてくださるんですか ありがとうございます
36:23よろしくお願いします
36:25おっ先生 あの子娘をあずま音楽大学入学させるんですか
36:38ピアノ科の学生は1年間で150万円の授業料を収めるのよ
36:43あの貧乏な娘に払えるもんですか
36:46それ それですよ
36:49実は僕 この音楽大学の教育を改革したいんです
36:53音楽大学を改革する?
36:56いいですか
36:56今みたいに授業料が高くっちゃ 大学に入ってくるのは才能のない金持ちの娘ばっかり
37:02これじゃろくな音楽家は一人も育ちませんね
37:05大学は金が儲かっていいでしょうが
37:09君
37:09私は学長代理として大学を切り回している ピアノ科の新人教授だ
37:15どう改革したいのかはっきり言ってもらおう
37:18それは特待生制度を作ることですよ
37:22特待生制度?
37:23そうです 才能のある学生は授業料なんか取らないで
37:29ただで大学に入れ ただで寄宿者に住まわせて
37:32どしどしピアノを教えるんです
37:34そしたら必ず何人か 素晴らしい音楽家が育ちますよ
37:49何なの あの品の悪い人たちは
37:51大津先生が集めた 特待生編入試験の受験生たち
37:54さあ
37:58どんどん自己紹介続けて
38:00私たち特待生になったら 同じ寄宿者に住むんだから
38:04お互いのこと よーく知れとかなそう
38:08よし 行くぞ
38:12清水緑
38:13あたいの親父 腕が割れるくせに 大酒飲みの植木職人
38:17お母ちゃんは昼間はスーパーのレジで
38:19夜はレストランで皿洗い
38:21あたいそのレストランでジャズ弾いてる人から
38:23クラシックピアノ習ったんだけどさ
38:25偶然そのレストランに来た大津先生に発見されたってわけ
38:29らしくー
38:30あたいの得意はピアノと特見合いの喧嘩
38:33へー
38:34しっぱり落ちこぼれの男の兄弟4人と喧嘩して
38:36一度も負けたことがない
38:38おー
38:40んだよりになるよ
38:41よろしくー
38:49次はあんただよ
38:51聞かせてよ
38:53私野川ゆき
38:55北海道ばっかい村の出身です
38:59お母さんは私と同じ漁業組合の事務員でしたけど
39:04最近亡くなりました
39:07そこで私 死んだお父さんのような一流ピアニストになりたくて上京して
39:14へえ 一流ピアニストで何ちゅう名前やったの
39:18その 東雪彦
39:22東雪彦です
39:24東雪彦?
39:27あれ この大学の学長さんで 昔名ピアニストだった人の名前は
39:32確か 東雪彦じゃなかった
39:35あんたの父さん 学長さんと何か関係あんの
39:41はい 学長さんの長男です
39:45息子さん本当? 本当にあの人 学長さんのお孫さんなの?
39:50嘘よ 嘘に決まってるじゃないの
39:53東雪にあんな品の悪い みっともない人間はいないわ
39:56学長さんの孫が どうして特待生の試験を受けるの?
40:00授業料も払えないような 私たち貧乏人と違うじゃん
40:04ねえ なぜさあ
40:07その 私まだはっきりと学長さんの孫だと認められていないんです
40:13静かにしてください 静かに
40:20みんな 静かにしようよ
40:25あなた 私のおじいさまの孫だなんて大嘘
40:29二度と人前で行ったら 私許さない
40:32絶対に許さないから 分かった?
40:37気に入らないね その言い方
40:39何さ 偉そうに
40:40あんた 私たちに喧嘩やるっけよ
40:43面白いじゃん 派手に買ってやるよ
40:45さあ 計ってきな
40:47手を離しなさいよ 三つ子さんに乱暴したら承知しないから
40:52何だてめえは
40:53え 邪魔だぞ 行きな
40:56あやみの中で喧嘩とは何だ
40:58バカな真似はやめろ
41:02三つ子さん
41:04あんな人たちと関わり合ったりしちゃダメ
41:07あなたまで同じような人間になっちゃうわ
41:09そうだ
41:11あの連中の貧乳試験の試験官はパパとママなんだから
41:14どんな手を使ってもみんな落題させてやる
41:17特に野川由紀をな
41:21お前たち 猛練習をやって特待生試験に合格する自信と根性があるか
41:27はい あります
41:29きっと合格してみせます
41:31特待生編入試験頑張ろう
41:34頑張ろう 全合格しよう
41:37ヘイヘイオー
41:39ヘイヘイオー
41:41ヘイヘイオー
41:43ヘイヘイオー
41:45ヘイヘイオー
41:52グーッ
41:56ヘイヘイエイコ
41:57六月だねー シンデレラ
42:00写真による親子鑑定の結果を教えてやる
42:04東由紀彦とお前の顔写真三十六箇所を比べた結果
42:09似ているのはたったの六箇所
42:11あとの三十箇所はまるき1要 nouvelles
42:13きちがるつまりお前と東雪彦は親子じゃねえ 赤の他人だ
42:22ほら よく見てみろ
42:25嘘です そんなことみんな嘘だわ
42:30思いてえだろうが全部本当だ 応援役の先生がはっきり親子じゃないって断定したんだからな
42:38顔写真なんてほんの手始めだ 次は指紋と証文を比較している
42:45ついてお前の血を抜き取って血液型を調べ上げて 俺はな
42:50どんなことをしてもお前が東雪彦の娘ではなくて とんでもねえ偽物だという証拠を固めるつもりだ
42:59そしてまた12時に現れてい お前の化けの顔を引っ張らしてやる
43:05覚悟しておけよ 薄着ためえシンデレラ
43:35ん
43:38ん
43:40me
43:44負けるもん
43:47誰が何を言うと 誰が何をしようと
43:50私は本物なんだ みんなが本物だと認めるまで
43:55戦う気ないんだ
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