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00:00さすがに江戸は活気があるね
00:07シリーズ大江戸東京のルーツ 江戸の知られざる姿をご覧いただきましょう
00:16皆さん江戸の通りには不思議な仕事があふれていたようですよ
00:23お坊さんに奉仕した大道芸人
00:30こちらはキセルをちょっと吸わせてくれる商売
00:38様々な仕事が集まる江戸は日本史上空前の巨大経済都市でした
00:47去年そのことを伺わせる大きな発見がありました
00:53江戸時代の日本が世界トップクラスの経済成長を遂げていたと初めてわかったのです
01:02江戸時代の日本の経済が世界で最も速いスピードで成長していたなんて大変な驚きです
01:16いわゆる鎖国が続いていた江戸時代
01:20なぜ驚異の経済成長が可能だったのでしょうか
01:26オリンピックを前に街の大改造が進む東京
01:32その地下から江戸の経済成長の秘密を解き明かす鍵が次々と見つかっています
01:41江戸の町人が暮らした長屋の跡
01:46長屋といえば貧しく質素なイメージがありますが
01:51意外にもその暮らしぶりは豊かなったようです
01:57これは高価な陶器として知られたオリベ焼きの大皿
02:03アワビです 大きいな 贅沢だな
02:08高級食材のアワビも食べていたようです
02:13江戸の庶民の方々は思った以上に贅沢な暮らしだった
02:21発掘された品々を元に長屋の様子を再現してみましょう
02:27一見質素な部屋ですが
02:30漆物の鏡に化粧道具
02:36ほじゃれた弦のキセルに煙草入れ
02:41現代のアイドル写真のように人気役者の浮世絵もずらり
02:47江戸の町人は華やかな消費生活を楽しんでいたのです
02:54そして新たな資料から浮かび上がってきた
02:57商人たちの陣になり戦い
03:05世界に先駆けて生まれた
03:08画期的な商売の仕組みも明らかになってきました
03:15東京のルーツとなった巨大経済都市江戸
03:21謎と不思議に満ちた江戸の素顔に迫る旅の始まりです
03:51もうマスターって本当に頑固
04:05いやいや吉野さん江戸の人はね
04:08貧しくものはなくても胸張って肩を寄せ合って暮らしていたんです
04:13だからそれが勘違いだって言ってるでしょ
04:18ちょっとちょっとまた喧嘩ですか
04:20純平君ちょっと見てこの傘
04:24武士が内職で作ったんだ江戸の風合いがよく出てるでしょ
04:29だからねこんなボロボロの傘は全然江戸っぽくないの
04:33江戸はもっと豊かで彩りに満ちた時代だったの
04:37そんなわけないだろう
04:39誰に物言ってる私はこの純吉さん江戸のマスターだよ
04:43あら私はお客よ
04:45二人とも落ち着いて
04:46あそうだちょっとこれを見てください
04:50こないだ江戸時代の発掘現場の取材に行ってきたんですけど
04:54江戸の人たちは結構いろいろなものを持っていたことが分かってきたんです
05:00ほら青いガラスのかんざしでしょ
05:05これは銅の小物入れ
05:08それから飾りが綺麗なペーパーナイフ
05:13だから吉野さんの言う通り江戸の暮らしは結構豊かだったみたいですよ
05:18江戸時代の日本は世界有数の経済成長率だったという研究報告もあるの
05:25ごめんなさいごめんなさい
05:28その最新の研究報告
05:30あしが説明オーバー
05:34江戸時代の頃の世界の経済成長率をご覧なすって
05:41当時の経済大国はイギリスやオランダ
05:45海外に植民地を持ち貿易で稼ぎ高い経済成長率を誇れやした
05:54一方こちら江戸時代の日本
05:58いわゆる鎖国を続ける中オランダや他の国を超えて
06:03なんと世界第2位だ
06:06ものすげえ
06:09ほらね
06:14でもその頃の江戸の経済
06:16特に商人とかはどんな暮らしをしていたんですかね
06:20マスター
06:26それを知りたければ日本橋へ行け
06:30え誰
06:31またマスターの悪い癖が出た
06:34感情が高ぶると
06:36そう誰かが降りてきちゃう
06:45祭りの見越しが練り歩くのは日本橋
06:49江戸で最も栄えた商人の街です
06:57江戸時代運河に沿って市場が開かれ
07:01全国から大量の食料や物資が集まりました
07:07物と人があふれる日本橋は江戸の経済を牽引する
07:12いわば新造物
07:17街にはおよそ5000件の商店が立ち並んでいました
07:22しかしその後の火災や空襲のため
07:27江戸時代の店の記録はほとんど残っていません
07:33これは150年前
07:36日本橋の街並みを撮影した写真です
07:41井の印は鰹節丼屋の伊勢屋
07:45現在の株式会社任弁です
07:53創業元禄12年
07:56300年の歴史を持つ知利瀬
07:59任弁に江戸時代の貴重な記録が眠っていました
08:07伊勢屋の門外不出の記録を見せてもらえることになった
08:12すいませんこんにちは今日はよろしくお願いします
08:16こちらなんですけど
08:19この中で
08:22すごい
08:24江戸時代の頃からの書も続いています
08:30秋内の記録や日記帳だという
08:34面白いですね
08:36我々の先祖が書き記して今まで残っていたという
08:42当時の出来事が詳しく書かれていた
08:48こんな言葉があった
08:51猛獣のごとく秋内をせよ
08:56いやー激しいな
09:02書いたのは三代目の伊勢屋伊兵衛
09:06眼光鋭い人物だ
09:10さてはマスターに憑依したのはこの人か
09:18伊勢屋の記録を紐解くと江戸が世界有数の経済成長を遂げた秘密が見えてきます
09:30時は江戸幕府の誕生から100年余り
09:35三代目伊勢屋の少年時代です
09:38この度は誠にありがとうございました
09:42またよろしく頼むな
09:45父親の初代伊勢屋伊兵衛
09:50父上ただいま戻りました
09:52おう宇野介戻ったかほんの今しかたな
09:56あおぶけ様
09:59この時代江戸の経済の主役は武士でした
10:05はじめは小さな田舎町だった江戸
10:09大名たちが関わる2つの出来事によって経済が大きく動き出します
10:17一つは天下武士
10:20全国の大名が堀や水道など都市の基盤を築きました
10:27この巨大公共事業によって江戸に巨額の建設資金が流れ込んできました
10:35もう一つは産金交代
10:39大名は1年ごとに江戸で暮らすことを義務付けられ
10:43家来たちと共に膨大な消費を生んだのです
10:49江戸は人口100万世界最大の都市に成長します
10:56その半数は生産せず消費だけを行う武家
11:01残り半数は町人
11:04商人やものづくりの職人たちでした
11:09経済が急成長する江戸に各地の人々もチャンスを求めて次々と流れ込んできました
11:19初代伊勢山その一人
11:22武士との商売で一旗あげようとしていました
11:29見ておれ猪瀬
11:33わしはまさに武士相手の飽きないわし
11:38この伊勢山を必ずや日本橋で一番の鰹節屋にしてみせる
11:48あの時代にとても珍しくすごく大きな都市が突然出現したという形ですね
11:56幕府が参勤交代を命じて勝ったことによって江戸という町は巨大な消費するだけの人たちを抱えることになって
12:07亜勤土側から見ればビッグチャンス
12:11こんな都市は世界のどこにもありません
12:17伊勢山はある大物に狙いを定めます
12:24加賀百万石の大名前田家です
12:29江戸屋敷は現在東京大学のキャンパスになっています
12:36伊勢山は加賀藩の出入り商人の座を狙って巧妙な策をめぐらします
12:44ここに陣兵衛という人がお金が困ったので譲りをしてあげました
12:49そしたら返せないとですね
12:54伊勢山は陣兵衛という加賀藩の出入り商人にお金を貸し返せなくなったとみるや出入りの権利を譲らせたのです
13:07乗し上がる人と落ちぶれる人の江戸商人の実態ですよね
13:13そこで伊勢山が乗し上がっていくと
13:15そういうことがたくさん起きているということです
13:17チャンスがあって
13:19チャンスが起きたときにそれをつかむ要因があった
13:24伊勢山が商売を始めた加賀藩の江戸屋敷は東京ドーム7つ分もの広さ
13:323000人が暮らすまるで一つの街でした
13:37屋敷跡の発掘調査から大名たちの暮らしぶりが見えてきました
13:45収蔵庫には出土品の箱が2万も並んでいた
13:51すごいお宝があった
13:54金箔の瓦ですね
13:59景色が金色に輝いていたってことか
14:04こっちは食べ物関係
14:08沢山の貝類が過ごしているんですけど
14:11高等品ですねこれは
14:14大きなアワビ
14:17贅沢だな
14:20このいまり焼きの皿に乗せて宴会をしたのかな
14:27広告を見るとこんな料理を9000人分も用意したらしい
14:32大名とはいえ豪勢だ
14:37豪華にしなきゃいけなかったんですか
14:40必要経費というふうに理解したほうが分かりやすいと思います
14:45もう対面それから格式
14:49こういったものを維持しないといけないということから
14:54ここは必ず借金してでもやると
15:00加賀藩は資質のおよそ半分
15:04今のおかげで年間60億円もの大金を江戸で使っていました
15:11この巨大な大名に初代伊勢谷は食い込んでいきます
15:19伊勢谷は加賀藩との秋内で急成長します
15:27わずか一代で8000両
15:3110億円ほどの資産を築き上げました
15:36大名家の旺盛な消費
15:39いわば大名バブルがもたらした後継期
15:44豪華絢爛な元禄文化が花開きます
15:48歌舞伎や相撲など今に続く江戸の文化も育っていきます
15:57同時にバブルのあだ花も目立ち始めます
16:02儲けた金をばら撒く商人です
16:06平成バブルにも似たうかれようです
16:11江戸の経済成長
16:15第一の鍵は江戸建設を担った大名たちの経済力だったのです
16:25絶好調だった伊勢谷を突然不幸が襲いました
16:31初代伊勢谷伊兵衛が亡くなったのです
16:38残されたのはまだ若い息子たち
16:45一家は信頼する同業者万代谷を頼りにします
16:53大名相手の飽きないで成り上がった初代の死
16:59それは一つの時代の終わりを告げるものでした
17:07この頃江戸の経済に激震が走ります
17:13大名バブルの崩壊
17:17物価の急激な上昇に年後の収入が追いつかず財政が行き詰まったのです
17:27多くの大名が商人からの財産を奪い返し
17:32財産を奪い返し財産を奪い返し財産を奪い返し
17:39多くの大名が商人からの借金を踏み倒しました
17:51伊勢谷も踏み倒しにあい
17:54大名頼みだった経営は一気に傾いていきます
18:00追い討ちをかけたのがあの万代屋でした
18:30大名バブルの崩壊後
18:45商人たちは生き残りを賭け
18:48こうした仁義なき戦いを繰り広げたのです
18:54街では潰れる店が相次ぎます
19:10伊勢谷も借金の不便に駆け回る苦しい日々でした
19:23伊勢谷の財産を奪い返し
19:30財産を奪い返し財産を奪い返し財産を奪い返し
19:34万代屋
19:37まさかあの伊勢谷が嫉妬ばかりの金で苦労するとはな
19:44この時の経験を三代目伊勢谷が記しています
19:50万代屋が意気揚々としていた
19:55しかし私には何もできない
19:59ただ泣くことしかできなかった
20:07はじめ武士に頼って成長した江戸の経済
20:14しかしその武士が没落する中
20:18商人たちも大きな危機に直面していました
20:24当時の江戸はなかなかサバイバルな街だった
20:29江戸は仁城の街というイメージからかけ離れてますね
20:34辛い日々だった
20:37大名の踏み倒しって許されてたんですか
20:41そう幕府からお咎めがなかったの
20:49実はこの後江戸の主役は武士から商人に移りやす
20:55だがこの頃はまだ商人の地位は低いものでした
21:01あの大岡越前も物価高の原因は商人だと決めつけ非難した
21:08現価に利益を乗せて品物を売る
21:12今じゃ当たり前の商売の仕組みを武士は理解せず
21:16大切な行いと見下したんだ
21:20伊勢谷が借金を踏み倒されたのもこんな時代だったからだ
21:28ひどいぞ大名
21:30ねえマスター今日は脅威が長くない
21:37でつまり生活が苦しい武士頼みのビジネスモデルは成り立たなくなって
21:43江戸の商人はキロに立たされたわけ
21:47えっじゃあ江戸の経済成長もそこまでってことですか
21:56ちょっと江戸の日本橋に行ってみよう
22:02バブル崩壊で不景気かと思ったら結構にじやかだぞ
22:08活気があるね
22:10さようねここにはいろんな人がいますよ
22:15町の人だ
22:17確かに不思議だわ
22:20ご覧なせ最新研究による江戸の経済成長
22:26大名バブルの崩壊も下がるどころか経ってぐっと上がってやす
22:33でなぜか江戸の経済はますます栄えていく
22:38まるでミステリーだ
22:42大名の没落後誰が江戸の経済を支えたのか
22:48その謎を解く手がかりがフランスにありました
22:54モネやルノワールが学んだ美術学校で
22:58日本の研究者たちが大量の浮世絵を発見しました
23:04こういう絵って一つだけでも大変なものなんですけど
23:08それが60点あったのでちょっとびっくりしたんですけど
23:13その浮世絵の解析から意外な事実が浮かび上がりました
23:20例えばこちら有名な葛飾北斎の浮世絵
23:28署名もちゃんと残されていますが
23:32この面も確かに北斎流なんですけど
23:35もう少しカッと北斎だと勢いがある
23:40そう本人ではなく弟子の一人が北斎風に描いたようです
23:49有名絵師の署名が入った他の浮世絵も
23:53その多くは作風を真似たものでした
23:58実はこれ、江戸の経済に新たな主役が生まれたことを示すといいます
24:06江戸の後期になってこういうものを買う商人が増えたから
24:10できるだけ複数のものを量産して市場に出していくことが要求された
24:16やっぱりその経済原理が働いて
24:19やっぱりそれだけ株層が増えてきたということですよね
24:24それまで一部の金持ち相手に売られていた高価な浮世絵
24:30作風を真似た安い絵が大量に作られたことは
24:35それを求める町人の巨大な消費マーケットが生まれていたことを物語ります
24:43大名の没落後、武士に代わって町人が江戸の経済成長を支えたのです
24:52江戸の新たな主役になって
24:55鰹節丼屋の伊勢谷もその新たなマーケットを狙い、動き始めます
25:04旦那!旦那!
25:06ありがした。大阪の鰹節丼屋で見つけました
25:09おー、でかした
25:15旦那!旦那!
25:17旦那!旦那!
25:18旦那!旦那!
25:19旦那!旦那!
25:20旦那!旦那!
25:21旦那!旦那!
25:23これだこれ、これは売れるぞ
25:27伊勢谷の秘策は網節という鰹節
25:33小ぶりですが味は良く、何より値段が安い品でした
25:42大名に変えて、町人相手の商売に活路を見出そうとしたのです
25:50この頃、江戸では蕎麦屋や天ぷら屋が増え
25:55出汁に使う安い鰹節が求められていました
25:59そんな事情も伊勢谷の背中を押しました
26:05人口100万の半分が武家、半分が町人
26:12江戸の商人たちは、鰹節の鰹節を売るために
26:17江戸の商人たちは伊勢谷と同じように
26:22商売の軸をこの50万の町人へと移していきます
26:302020年のオリンピック・パラリンピックを前に進む工事現場
26:37江戸後期、消費社会の主役となる町人たちの暮らしの跡が
26:43次々と見つかっています
26:47発掘された長屋跡
26:52町人の家族が狭い空間にひしめき
26:56質素で貧しい、あのイメージ通りの長屋です
27:06しかし、地中から現れた品々は
27:10意外にも豊かだった暮らしを教えてくれます
27:16これは何ですか?
27:18これがですね、江戸時代のエアトニックの入れ物です
27:23エアトニック?
27:25これに水をつけてこうやったりですとか
27:30あわびですか?
27:31あわびです
27:32大きいな!
27:33大きいですね
27:34贅沢だな
27:36大名屋敷で発掘されたのと同じ、あの高級食材のあわび
27:43確かに、町人もすでに豊かな消費生活を送っていたとわかります
27:51長屋の住民はまさに江戸経済のきちっとした下支えをする
27:58そういう中流ですね
28:01これの塊である
28:02例えば大工の収入なんかでもって
28:05ちゃんと交際費っていうのがあるわけですよ
28:08娯楽といいますか、お芝居を見に行くとかっていうことに
28:12使うお金だってないわけではない
28:15そうなりますとね、これなくしては江戸は経済は成り立たない
28:21ドイツ・ベルリン
28:25江戸が経済成長を続けた深層に迫る
28:28もう一つの手がかりが見つかりました
28:32基台商欄
28:35長さ12メートルに及ぶ絵巻物です
28:40見本橋のさまざまな商店と通りを行き買い
28:44買い物を楽しむ町人たちの姿が描かれています
28:49この絵から江戸経済のどんな秘密が読み取れるのでしょう
28:57橋のたもとには魚市場
29:02売り手と買い手が入り混じり、ものすごいにぎわいです
29:08瀬田を売る店
29:11蒲鉾の店
29:14そしてこちらはお菓子の店
29:19雛人形の屋台には大勢が群がっています
29:25一際大きな五福店は今の三越市です
29:32描かれた人の数1671人
29:38およそ90件の店と100種を超える職業が描かれています
29:45実は職業がこれほど多く分かれたことこそ
29:51江戸後期の経済成長の原動力だと考えられているのです
29:57都心の中においてさまざまな職業が生まれることによって
30:01産業間の取引も活発化していきますから
30:04それによって総合間の取引が高まっていくということは
30:08新たな市場がそこに生まれる
30:11それによって経済成長が促進されていく
30:15例えば浮世絵
30:18藩元の下で絵師、彫り師、擦り師が分業します
30:23さらに紙、顔料、筆などの専門店も数多く関わり
30:30互いに取引することで経済が活発になったのです
30:37へえ、そうなんだ
30:40確かにいろんな仕事があるぞ
30:45ラストよ
30:47ソースと坊主が来るときは山中義也と申します
30:52びっくりした
30:54お伏せを求める大道芸人
30:57こんな仕事もあったんだ
31:00はい、描けたよ
31:03はあ、いい絵だね
31:07この人は綱絵を描いて小銭をもらうんだね
31:13チャイトお兄さん
31:15ちょっと一服終わらないし
31:17まあ、一服だけじゃなくてもいいんだけど
31:25キセルを一服吸わせるこの商売
31:28遊び目風の格好で誘うのか
31:34ズレないね
31:38街にあふれるいろんな仕事
31:41確かに江戸の経済、ますます活気がある
31:45かつお節どんやの伊勢谷
31:50商売回復の秘策
31:53町人向けの安い編み節をいよいよ売り出します
32:00伊勢谷のもう一つの売りは
32:03壁の看板のこの小銭
32:06この小銭が
32:08伊勢谷の商売回復の秘策
32:11商売回復の秘策
32:13壁の看板のこの言葉
32:17現金掛け値なし
32:20商品に定価を付け現金で売る
32:24今では当たり前の商法です
32:28しかしこの時代
32:30ほとんどの商品は付での支払い
32:34その分高く売るのが常識でした
32:38伊勢谷は現金払いなら安く定価で売ること
32:43そして野蓮の信用にかけて品質を保証することを打ち出したのです
32:52この料金安価の小札販売は
32:57欧米に先駆けた画期的新商法
33:03武士に武士道があるように
33:06商人は野蓮をかけて飽きないをする
33:08いわば商人道がこの時代江戸に生まれたのです
33:32これまで高い鰹節に手が出なかった町の人々が
33:38続々とやってきました
33:48網節は爆発的にヒット
33:52江戸の評判になります
33:58伊勢谷の記録
34:00良い品を安く売れば客は倍増
34:05利益も増える
34:09どん底にあった伊勢谷の経営は
34:13劇的に回復していきます
34:16その伸びは江戸の経済成長と重なり合います
34:26大名が没落した後
34:29武士中心から商人中心に変化していった江戸の経済
34:35驚異の経済成長
34:38第二の鍵は商人50万人の新たな消費マーケットだったのです
35:04今マスターが持っているのがグルメ部門
35:0818世紀の中は江戸中すでに食べ物屋さんだらけだったのよ
35:34花の都パリでも1789年のフランス革命前は
35:39レストランもほとんどなかったみたい
35:41あ、マスター見てみて
35:44ほら、日本橋伊勢谷さんも乗ってる
35:48え、伊勢谷?
35:51あ、あ、マスター教諭はもういいわ
35:55あ、そう
35:57これはまさに江戸の庶民経済が花開いた証ね
36:02確かに
36:05町人中心の豊かな経済が花開いた江戸の街
36:12しかし急速な経済成長による歪みが生じ始めていました
36:19この日伊勢谷に因縁の相手が現れました
36:26お願いします
36:29少しだけでも貸してください
36:33三代目、こんな奴に貸す必要ねえですよ
36:40伊勢谷から取引先を奪った万代家の息子でした
36:49店もつぶれて住む家もなくて
36:53様見やがれ
36:55秋内に失敗して宅配を失い借金を求めてきたのです
37:02この頃江戸の街には
37:05豊かな者と貧しい者との貧富の格差が広がっていました
37:11三代目
37:15ありがとうございます
37:19伊勢谷の日記には
37:21一日に87人への施しをしたこともあったと記されています
37:32この格差社会がさらに悪化する事態が起こります
37:39浅間山の大噴火
37:42東日本が灰で覆われます
37:48そのため起きた天命の危機
37:55我死した人は10万人とも100万人とも言われます
38:01農村で追い詰められた人々は江戸に流れ込み
38:06格差はさらに広がります
38:09そして
38:11打ち壊しが起こります
38:14富を蓄えた庶民を食い詰めた人々が襲い始めます
38:195日間で江戸の店1000軒が破壊され
38:24米や財産を奪われました
38:29農村の人々は
38:31農村の人々は
38:33農村の人々は
38:35農村の人々は
38:37農村の人々は
38:39農村の人々は
38:41農村の人々は
38:44この江戸経済を襲った危機も
38:47伊勢谷の日記に記されています
38:50江戸中の売買が停止した
38:57人々の心は盗人となってしまった
39:04金持ちと貧乏に一気に矛盾が生じちゃって
39:10いきなり金持ちに対してぶつかっていくという
39:14打ち壊しが勃発しちゃったわけですね
39:17格差社会が生じつつあるときに
39:20非常に危険な状態
39:22危機が生じたときに
39:24金持ちがどういう行動をとるかっていう
39:27それが持続的な経済といいますか
39:30成り立つするものだと思うんです
39:36江戸に打ち壊しが起きたこの年
39:39同じように格差による危機が訪れたのが
39:43フランスです
39:47貧困に喘ぐ多くの市民をよそに
39:51国王や貴族は優雅な生活を続け
39:55手を打ちませんでした
39:57そして
40:00フランス革命
40:02市民の放棄で200年続いた王朝は倒れ
40:07国王はギロチンにかけられました
40:13このフランスと同様
40:16江戸はいつ大戦が崩壊してもおかしくない状況でした
40:25では江戸は危機をどう乗り越えたのか
40:30それこそが江戸の経済成長第三の鍵でした
40:37江戸の大商人たちは格差解消に取り組む
40:42町会署という組織を結成
40:45運営を開始します
40:48地区ごとに金を集め褒めなどを買い
40:52貧しい人に分け与える仕組み
40:55いわば江戸のセーフティーネットを作ります
40:59町会署が運営した米蔵の図面です
41:0350メートルもの巨大な蔵が江戸の各所に
41:0830以上建てられました
41:11中には貧しい人々に配る米だわら
41:1650万人が半年以上食べ続けられる膨大な量を蓄えました
41:22費用の負担も運営も大商人が中心となり行いました
41:33町会署の救済の記録です
41:36救い願い上げ候補町とかそういう町名になっていますね
41:43例えば江戸の町会署が
41:46おすくいとして半月分の食料と生活費9万円ほどが支給されました
41:55江戸の豊かな商人たちは貧富の格差を解消するため
42:00自ら多額の負担をしていたのです
42:04貧富の格差を解消するために
42:07貧富の格差を解消するために
42:10自ら多額の負担をしていたのです
42:16お金持ちの人たちからの反発はなかったんですか?
42:20それをしないと打ち壊しにあってしまう
42:23あそこの家はすごくお金があって裕福だけどケチだよとかね
42:26そういう評判が町にあると大変なことなんです
42:29本当にすごいのがそういう貧困とか町の問題を
42:34力で制するんじゃなくて
42:36ちゃんと解決しようと救おうとしたわけですよね
42:39しかもそれが幕府じゃなくて
42:42町の力でね
42:47日本橋の鰹節丼や伊勢谷の三代目は
42:51晩年こんな言葉を残しています
42:58富が人々より優れば
43:01人は必ず憎む
43:06情けに通じ
43:08樽を知ることが富である
43:13儲けばかりを負うのではなく
43:16思いやりを持つことこそ
43:18本当の富につながる
43:21長い商人人生の末
43:24たどり着いた境地でした
43:29江戸後期
43:31放置すると経済が麻痺する
43:34大きな問題がもう一つありました
43:37江戸中に張り巡らされた水路の劣化です
43:42建設から長い年月が過ぎ
43:44土砂で埋まった水路が増えていました
43:48水路を使った水運は
43:51食料や物資の大量輸送に欠かせない
43:54江戸の経済の大動脈
43:57その維持は死活問題でした
44:02最新の研究によって
44:04この水上ネットワークの維持も
44:07商人が運営する町会所が行っていたことが
44:11明らかになりました
44:13町会所で集めた金を使い
44:16水路の再建工事を開始したのです
44:228年後
44:24延べ12キロに渡る水路が復活
44:28大動脈が息を吹き返します
44:33水上交通の再建や
44:35格差是正の貧困対策に
44:38商人たちが大きな貢献を受けました
44:42水から集め
44:44水から投じた金は
44:46江戸時代を通じて
44:481000億円を超えました
45:12商人たちが築いた政府定年度
45:15これこそ江戸の社会が安定し
45:18経済成長を続けられた
45:20第三の鍵でした
45:23明治維新を前に
45:25江戸は商人の力で
45:27その後の発展の石杖を築いていたのです
45:34あの時
45:36江戸は
45:38江戸は
45:40あの時代に
45:42もう独自のセーフティーネットが
45:44あったってわけだ
45:46弱いものを助けることが大事
45:48江戸の人々は
45:50それに気づいたんだね
45:52そうか
45:54いいな、江戸って
45:56つまり
45:58絶え間ぬ努力と工夫を
46:00200年以上も積み重ねていった結果だね
46:03マスター
46:05マスターも努力と工夫を積み重ねないと
46:07見て、お店
46:09今日もお客さん私たちだけよ
46:24江戸三大祭りの一つ
46:26神田祭り
46:30神輿が通るのは
46:32江戸の商人たちでにぎわった
46:34日本橋の大通りです
46:38日本経済の石杖を築いた
46:40江戸の商人たち
46:44代々秋内を続け
46:46今も変わらず営業する老舗が
46:48日本橋には
46:5020以上あります
46:53店ののれんの信頼を
46:55200年
46:57300年と
46:59守り続けてきました
47:00良品安価を打ち出した
47:02鰹節豆乳の伊勢谷
47:09良い品を安く売り
47:11のれんの信頼を守り続け
47:17当時画期的だったその会社
47:19今も
47:21日本橋の大通り
47:23今も
47:25日本橋の大通り
47:27日本橋の大通り
47:28当時画期的だったその考えは
47:30その後
47:32日本中に広がります
47:36江戸商人たちの精神は
47:38後の時代にも
47:40脈々と受け継がれていきます
47:44戦後の経済成長期
47:46日本の製品は
47:48メイドインジャパンという
47:50のれんの信頼によって
47:52世界中で求められ
47:54日本経済を支えました
47:58江戸時代
48:00武士から町人に主役が
48:02変わる中で実現した
48:04驚異の経済成長
48:08その遺産を土台に
48:10東京
48:12そして日本は
48:14これからも成長を続けていきます
48:28日本橋の大通り
48:30日本橋の大通り
48:32日本橋の大通り
48:34日本橋の大通り
48:36日本橋の大通り
48:38日本橋の大通り
48:40日本橋の大通り
48:42日本橋の大通り
48:44日本橋の大通り
48:46日本橋の大通り
48:48日本橋の大通り
48:50日本橋の大通り
48:52日本橋の大通り
48:54日本橋の大通り
48:56日本橋の大通り