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私たちを壊した悪ふざけ
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00:00I saw him on the ground with a machine.
00:04He was on the school grounds.
00:06He had to laugh, he was on the TikTok.
00:08He was on the other hand.
00:09And he was on the table with a friend of mine.
00:12This was the real world.
00:17I was a kid watching the movie, so I'm looking for a movie.
00:21But you're not so bad?
00:21You're not really old.
00:22You're the oldest one you're on the way.
00:23You're the oldest one of them, right?
00:32私は無言で彼を見つめた。私の尊厳なんて犠牲にされて当然だったんだ。他人の娯楽のためにね。
00:37翌日、私は転校した。するとレオは酷く取り乱した。
00:41頼むエリ、ただのイタズラだ。こんなのやめてくれよ。
00:47体育の授業の後、私がちょうど用具室から出た時にアメフト部員に囲まれた。
00:52お隣さんのレオカータ。物心ついた時から知っている彼がみんなを率いていた。
00:58レオは私を気絶させ、アメフト部のゴールポストに縛り付けた。
01:02丸に時間もだ。みんなの嘲笑の的にした。
01:08ついにレオが現れた。いつものように気取った薄笑いを浮かべ、ジーンズのポケットに両手を突っ込んでいる。
01:11ブラブラと歩み寄る姿はただの見物客のようだった。
01:14アメフト部の部員たち、つまり共犯者たちも後ろに続いた。
01:19サバンナミラも一緒だ。彼女はピンクのサンドレスを着て、長い髪を肩に垂らしていた。
01:20髪の毛一本一本が輝いているかのようだった。
01:24やだ信じられない。本当にやったのね。最高だわ。
01:28隠しきれないほどの興奮した彼女の声、日の毛が引いた。
01:31私の苦痛は単なる彼女の娯楽だったの。
01:34もちろんサバンナの頼みだから。
01:36私には向けたことのない優しい声だった。
01:39彼はゴールポストに近づき、私を見上げた。
01:41夕日が彼の顔を金色に照らしていた。
01:46見られた顔立ち。だが今の彼は見知らぬ人だった。
01:52一生私を守ってくれると思っていたその目は、今はただ嘲笑を浮かべていた。
01:53彼はまだ冗談めかしていた。
01:56私を人間ではなく、おもちゃ扱いするように。
02:00よしよし、冗談は終わりだ。彼女を下ろそう。
02:01あまりにも無頓着な言い方だった。
02:03天気の話でもするかのように。
02:05チームメイト、数人が不器用にロープを解いた。
02:08私が怪我をしようと、誰も気にしなかった。
02:10私は芝生に激しく落下した。
02:14衝撃で息ができなくなり、肺が潰れたかのように感じた。
02:16体中の骨が痛んだ。
02:17私は死にかけの虫のようにうずくまった。
02:22レオがしゃがみ込み、私の顔からテープを剥がし取った。
02:25皮膚が引き裂かれる痛みに、私は息を呑んだ。
02:28赤く腫れた私の目を見て、彼は一瞬手を止めた。
02:29一瞬後悔の色が見えた気がした。
02:32謝ってくれると思った。
02:33何で泣いてるんだ?
02:34ただのイタズラだろ。
02:36昔からよくやりあってたじゃないか。
02:38彼はあっさりとそう言った。
02:39まるでいつもの冗談と同じかのように。
02:41だが彼は忘れていた。
02:45昔のイタズラは、人の尊厳を壊すようなものではなかった。
02:48何百人もの人の前で、橋を欠かせることもなかった。
02:49こんなに残酷ではなかった。
02:50私は何も言わず、彼を見つめた。
02:55喉に綿が詰まったように感じて、一言も発せなかった。
02:57話したくなかったわけじゃない。
02:58何で言えばばいいかわからなかっただけだ。
03:0216年間の友情をどう問い詰めればいい。
03:03この裏切りをどう言葉にすればいい。
03:05私の視線に彼は居心地悪そうにした。
03:07そんな目で見ないでくれ。君が悪い。
03:10泳ぐ目は罪悪感を物語っていた。
03:13昨日サバンナがイケてるハロウィンのドッキリを取りたいって。
03:15だから大したことないと思ったんだ。
03:17大丈夫だよな。
03:18それでも私は声を出さなかった。
03:20ただ最後に一度だけレオを見た。
03:24その一別には16年の友情と無数の幸せな思い出がこもっていた。
03:26そしてその瞬間を終わった。
03:27背後から声がした。
03:28おいどこへ行くんだ。
03:29もう怒るなよ。
03:30振り返らなかった。
03:33足は震えながらもしっかりと歩いた。
03:34歩くたびにナイフを踏むようだった。
03:37でも止まれなかった。
03:38立ち止まったら崩れ落ちそうだった。
03:41彼の目の前で泣きじゃくってしまう。
03:43そうなったら完全に私の負けだ。
03:47帰宅してまっすぐバスルームへ向かった。
03:51服を脱ぐと体重が鮮み水晴れだらけだった。
03:52ゾッとする光景だった。
03:57熱いシャワーを浴びて肌を何度もこすった。
03:58ミルクシェイクを洗い流そうとして、
04:00屈辱を洗い流すために、
04:02レオの痕跡も全て消し去りたかった。
04:05でも無理だった。
04:06嘲笑う声が耳から離れない。
04:09悪意ある視線が肌にまとわりつく。
04:12そしてレオの無神経な言葉。
04:14ただのいたずらだ。
04:16呪いのように頭の中で繰り返された。
04:19熱い余裕が傷に染みて震えが走った。
04:20でもこの痛みが良かった。
04:24冷静でいられるから、悪夢じゃないと気づかせてくれる。
04:25これは現実なんだ。
04:26サバンナの気を引くため、
04:28レオは私をおもちゃに。
04:29母がドアをノックした。
04:31エリナガブロね。
04:33水道台が高くなっちゃうわよ。
04:35私はシャワーを止めた。
04:37今出るよ。
04:40声がかすれていて、自分の声に聞こえない。
04:41母は読書クラブへ行ったのだろう。
04:43私の異変には気づかなかった。
04:45それで良かった。
04:46説明なんてしたくないから。
04:48どう説明すればいいの?
04:50世界で一番信頼していた人に。
04:51裏切られたと?
04:53ピエロみたいに縛られたと?
04:54学校のゴールポストに?
04:56そんなこと口にできなかった。
04:58鏡に映る私はボロボロだった。
05:00顔は青白く、唇火の毛はない。
05:05手首の深い跡は、吐き気がするような赤紫色で、
05:06骨まで刻み込まれたようだった。
05:08消毒液を取り出して、拭き始めた。
05:11少しずつ刺すような痛みだったが、
05:15心の痛みに比べたら、大したことなかった。
05:1616年間。
05:17レオとは16年間の付き合いだ。
05:21家もご近所で、親同士も古い友人だ。
05:22母親同士で買い物に行き、
05:24週末には父親たちがバーベキューをした。
05:27幼稚園からずっと同じクラスで、
05:29初日に泣きじゃくる彼に、
05:31私がチョコレートをあげた。
05:36それ以来、彼は影のように私に懐いた。
05:37エリ、待ってよ。
05:38エリ、これあげる。
05:40エリ、ずっと一緒だよ。
05:43あの頃のレオは、瞳が輝いて純粋だった。
05:47彼がいたずらをして、私が聞き分けのいい優等生。
05:50彼が問題を起こせば、私がかばった。
05:53先生が尋ねた時、誰が教室の窓を割ったのかと、
05:54私だと言った。
05:55本当は彼が素振りをして割ったのに、
05:57勉強嫌いな彼に勉強も教えた。
06:01期末試験の前にはいつも彼に渡していた、
06:03綺麗にまとめた私のノートを。
06:05そして私は徹夜して、
06:06自分の文を新しく作った。
06:09エリは最高だな。
06:11いつか絶対お嫁さんにしてやる。
06:13顔をわからめて、誰がなるもんかと。
06:15でも心の中ではときめいていた。
06:18私たちは親友で最高の相棒だ思ってた。
06:22それ以上の関係も、ひそかに期待していた。
06:26いつか、真剣な顔で彼にこう言われたかった。
06:27エレのオアボクと付き合ってくれる。
06:30でも彼にとって、私はただのおもちゃ。
06:33いつでも好きに笑い者にできる。
06:35決して離れない都合のいい女だった。
06:39サバンナの気を引くために、平気で私をゴールポストに縛り、
06:43学校中の笑い者にして、私の尊厳を踏みにじった。
06:45スマホが鳴り止まない。
06:46学校のゴシップを扱うインスタのアカウントだ。
06:49新しい投稿があった。
06:51私は無意識にそれを開いた。
06:53今日の午後の動画がアップされていた。
06:58動画の中で、私は壊れた人形のように吊るされ、
06:59風が吹くたびに揺れていた。
07:03コメント欄は爆笑や、泣き笑いの絵文字で溢れていた。
07:05受ける。
07:07エレノアの、自業自得。
07:09今年のミイラ大賞笑い。
07:11全てのコメントに平手打ちされた気分だ。
07:13みんな私のことをそう思ってたんだ。
07:15私はインスタを閉じた。
07:17レオもストーリーを更新していた。
07:19本日のエンタメ、サバンナ満足?
07:23写真に写っていたのは、ポストに縛られた私だ。
07:25ピエロの絵文字までついていた。
07:26サバンナはこう返信した。
07:29みんなひどいただの冗談だったのに、
07:31照れる絵文字が3つ続いていた。
07:32彼女のコメントには、
07:34いいねや返信が殺到した。
07:36レオ、さすがだな。
07:38サバンナ女王のためなら何でも。
07:39次は第2ラウンド。
07:42私はスマホの電源を切った。
07:45心にぽっかりと穴が飽きたようだった。
07:48私の痛みは彼らの娯楽だったのだ。
07:50私の尊厳はおもちゃにされた。
07:52そしてレオは、
07:56ずっと味方だったと思っていたのに。
07:58私を一番深く傷つけたんだ。
08:02レオはすぐに彼女に夢中になった。
08:03いや正確には、
08:05完全に魅了されていた。
08:07その日から、
08:08サバンナしか見えなくなった。
08:10授業を5分早く抜け、
08:14カフェテリアの特等席を彼女に取ったりした。
08:17以前は私がいつも彼の席を取っていたのに。
08:18街を半分横断してまで、
08:22彼女に朝食を買ってきたりもした。
08:23彼女が何気なく言ったからだ。
08:26話題の進展のドーナツを食べてみたいと。
08:28彼女の笑顔のためなら、
08:30彼は何でもした。
08:33私をゴールポストに縛り付けることすら。
08:35これ以上ここにいたら、
08:37泣き出してしまいそうだった。
08:39ドアを閉めると、
08:41ついに涙がこぼれた。
08:43決壊したダムのように、
08:45音もなく溢れ出た。
08:48声を出さないよう、口を押さえた。
08:51両親に聞かれたくなかった。
08:55ノートPCを開き、調べ始めた。
08:57カリフォルニアの学校に転校する方法を、
08:59ここから出なきゃ。
09:01こんな息苦しい場所から、
09:03レオから離れて、
09:05全ての屈辱と嘲笑から離れて、
09:07カリフォルニアにいい高校があった。
09:09おばの家の近くだった。
09:11中3の時に誘われていた。
09:13こっちに引っ越さないかと、
09:14当時は断った。
09:16故郷を離れるのが耐えられなかった。
09:19レオと離れるのが。
09:22今思えば、情けない話だ。
09:23離れたくなかった相手が、
09:25平気で私を傷つけた。
09:27また電話が鳴った。
09:29レオだった。
09:31着信を拒否した。
09:33かけ直してきた。
09:35再び拒否した。
09:3610回以上着信があった後、
09:39メッセージが来た。
09:40詰めるなよ。
09:41明日遊園地に行かないか。
09:42ずっと行きたがってたろ。
09:44わかった悪かったよ。
09:45これで満足か?
09:47エリー怒るなって。
09:48お気に入りのカップケーキ買った。
09:51持って行こうか。
09:53返信しなかった。
09:55カップケーキ。
09:56カップケーキで全て解決すると、
09:58本気で思ってるの?
09:59メッセージはまだ続いた。
10:00エレノアバンス。
10:02いい加減にしろ。
10:04ただの冗談だろ。
10:05そんなに気にするか?
10:07サバンナも謝っただろ。
10:08これ以上どうしろって。
10:10このまま無視するなら、
10:12お前とはもう終わりだ。
10:14エレノア、わかった。
10:15どうでもいい。
10:16お前の勝手だ。
10:19謝罪が通じないと、脅しに出た。
10:20それがレオ。
10:22自分が世界の中心で、
10:26世界は自分を中心に回ってると思ってる。
10:27彼の番号をブロックした。
10:31やっと静かになった。
10:34窓の外の満月が明るかった。
10:37小さい頃、よく裏庭のブランコで、
10:39一緒に月を見た。
10:40彼は言った。
10:42月が巨大なチーズに見えない。
10:44私は答えた。
10:46銀のお皿みたい。
10:47すると彼は、
10:48お腹空いてるから、
10:50全部食べ物に見える。
10:53そして、ポケットの雨を開けた。
10:56いい思い出よ。
10:59でももう戻れない。
11:00よく朝私は、
11:02学校の事務室へ行った。
11:03進路指導の先生に、
11:04転校の相談をした。
11:05優しそうな、
11:06眼鏡の中年女性だ。
11:07学年途中の転校は、
11:09単位の移行が難しいわ。
11:10本当に今、
11:11転校する気?
11:13私、この学校でいじめられてます。
11:15消え入りそうな声だった。
11:17口に出すだけで精一杯だった。
11:18証拠はあるの?
11:19本当なら、
11:21厳正に対処するわ。
11:22私はスマホを開いた。
11:23動画はまだ残っていた。
11:25どれも悪夢そのものだった。
11:27見返すのは、
11:28心臓を刺されるような苦痛だ。
11:30でも今は、
11:31これが証拠になる。
11:32画面を見る先生の顔が、
11:33どんどん曇っていった。
11:35警察には通報したか?
11:35私は首を振った。
11:38ただ、
11:39転校したいんです。
11:42深い疲労感が、
11:44全身に染み渡る。
11:46できるだけ早く、
11:47もう一秒も、
11:48ここにいたくありません。
11:50離れられれば十分だった。
11:51逃げじゃない。
11:52あいつらに、
11:53時間も気力も無駄にしたくない。
11:55わかったわ。
11:56どこに転校したい?
11:57カリフォルニアの、
11:59パロアルト高校です。
12:01西海岸屈指の名門校だった。
12:03叔母の家と同じ学校にあった。
12:04叔母の家に引っ越せば、
12:06居住条件を満たせる。
12:07学業の評判も高く、
12:09面倒な騒ぎとも無縁だ。
12:11パロアルト高校?
12:13あそこは成績への重圧が厳しいわよ。
12:14ええ、叔母にも確認済みです。
12:16住所は学内なので、
12:19居住証明書と必要書類を提出すれば、
12:20入学できるはずです。
12:22実は先月、
12:23叔母から同居して、
12:24転校しないか誘われていた。
12:26調べてくれていた。
12:27私の成績なら、
12:29パロアルトへの編入は確実だった。
12:31その時は断ってしまった。
12:34家をレオを離れたくなかった。
12:35なんて哀れなんだ。
12:37彼にとって私が全てだと。
12:41向こうは私を余興の道具としか見てなかったのに。
12:43先生はとても同情的だった。
12:45分かったわ。
12:45公式な成績証明書と、
12:47予防接種の記録を用意するわ。
12:49先生はその日のうちに、
12:50転校先に連絡して、
12:51書類の手続きを急いでくれた。
12:53手続きに数日かかるけど、
12:54早ければ、
12:55来週の月曜には、
12:56新しい学校に登校できるわ。
12:58ありがとうございます。
12:59心からの感謝だった。
13:01エレノ。
13:01さり際に声をかけられた。
13:03新しい学校では、
13:04心機一転してね。
13:05ここでのことは忘れて、
13:07あなたは、
13:08もっと幸せになれる。
13:09また涙がこみ上げてきた。
13:11他人の優しさの方が、
13:13知人の残酷さより心に響いた。
13:15ジム棟から外に出ると、
13:17日差しがやけに眩しくて、
13:19思わず深呼吸をした。
13:21新たな始まりが待っている。
13:23私ならやれるわ。
13:25エレノ。
13:25気をつけて、
13:27早く帰るのよ。
13:28カータさんが、
13:29バーベキューを、
13:30今夜、裏庭手でするそうよ。
13:32わかったわ。
13:33転校のことは、
13:34親にに秘密ににしていた。
13:35心配かけたくなかったし、
13:37止められたくもなかった。
13:39全部決まってから話すつもりだった。
13:41学校はいつも通りだった。
13:42微席分の授業以外はね、
13:44クラスメイトは、
13:46面白がるような目でで私を見ていた。
13:48おい!ミイラの登場だ!
13:49ひそひそ声ががついて回る。
13:50今日母といると、
13:51ペーパーなしか?
13:53昨日レオが会いにに行ったのに、
13:55冷たくあしらったらしいぜ。
13:56自分の立場が分かってないな。
13:58私は無表情で席に着いた。
14:00好きに言わせておけばいい。
14:02今日が最後なんだから。
14:02まだ怒ってる?
14:04彼は愛想よくよく振る舞っていたが、
14:05その目に歯には相変わらず、
14:06思い上がりがが見え隠れしていた。
14:08私のの怒りを、
14:10子供のの感触だとでも。
14:11遊園地後のアトケット買ったんだ。
14:12放課後行かない?
14:15お気に入りののカップケーキもある。
14:16食べれば機嫌治るって。
14:17無視してして、
14:18教科書を取り出し、
14:19荷物を整理し始めた。
14:21ロッカーから、
14:22私物を全部片付けた。
14:24ペンや焼けしゴム、
14:25一つ残さずに。
14:32ほら、ジャスティンも。
14:34昨日眉毛を襲られたけど、
14:36怒ってなかったぞ。
14:37私は一言も発殺。
14:38荷造りを続けた時、
14:39サバンナが入ってきた。
14:41私たちを見て立ち止まり。
14:42おはよう、みんな。
14:43笑顔で歩み寄ってきた。
14:45その声は、
14:45母きけががするほど甘く。
14:47エリー、大丈夫?
14:48この間は、
14:49本当にごめんなさい。
14:50ちょっと、
14:51やりすぎちゃったわね。
14:52構わないわ。
14:53私は彼女の言葉を遮った。
14:55偽りの謝罪など聞きたくなかったし、
14:56最後の時間無駄にしたくなかった。
15:00レオは即座に彼女をかばった。
15:02ヒナを守る母鳥の用意。
15:03サバンナはもう謝ったろ。
15:05もう水に流せよ。
15:06悪気はないんだ。
15:07あいつのことわかるだろ。
15:09純粋なんだよ。
15:09考えずに口走るだけだ。純粋?
15:13思わず吹き出しそうになった。
15:14サバンナは、 私が会った中で、
15:16最も人を操るのが上手い人間だ。
15:19表向きは被害者ぶるが、
15:21裏で策略を巡らせる天才だった。
15:23でもレオは、
15:24彼女の芝居を信じきっていた。
15:26トイレに行く。
15:27席を断った頭を冷やしたかった。
15:30そうしないと、
15:31理性を失い。
15:32サバンナの化けの皮を、
15:34みんなの前で剥がしそうで。
15:36トイレで鏡に映る自分を見た。
15:39顔は青白く、
15:40目の下にはクマが。
15:42悪夢にうなされよく眠れなかった。
15:44夢の中では、
15:45まだゴールポストに縛られていた。
15:47みんな笑っていた。
15:49レオが誰よりも笑っていた。
15:51目覚めると、
15:52枕が涙で濡れていた。
15:54目覚めると、
15:55枕が涙で濡れていた。
15:57冷たい水で顔を洗った。
16:00エレノはあと一日の辛抱よ。
16:02明日になれば自由になれる。
16:04教室に戻ると、
16:05レオとサバンナが楽しそうに話してた。
16:07彼女は私の席に座り、
16:09二人はぴったり身を寄せていた。
16:11レオは彼女に数学を教えていた。
16:13手取り足取りという感じで、
16:16ドアの前に立ち、静かに二人を見た。
16:18昔は私にもああして教えてくれた。
16:20唯一の違いは、
16:22私が相手だと、
16:22いつもイラついていた。
16:24エレノは、
16:25なんでそんなにバカなんだ。
16:26こんな簡単な問題も解けないのか。
16:30チャイムが鳴った。
16:31私は黙って、
16:32後ろの空席に座った。
16:34もう二人の姿を見たくなかった。
16:36午前中は、
16:38ずっと教室の後ろで過ごした。
16:39昼休みに学校の自販機に行った。
16:41お菓子を山ほど買った。
16:43普段なら絶対に買わないようなものだ。
16:45そんなに買って、
16:46何かあるのか。
16:47気分がいいの。
16:48もうすぐ自由になれるから。
16:50この息苦しい場所を抜け出せるから。
16:53最後の授業で荷物を全部まとめた。
16:55本も文房具も、
16:58ロッカーのゴミすら。
16:59明日来ないつもりとか。
17:01何も残さなかった。
17:02休みたかったから。
17:02彼は笑顔で軽い口調だった。
17:04でもその冗談は、
17:05ツボシだった。
17:06私は彼をチラリと見て黙っていた。
17:08言いたいことは山ほどあった。
17:10何であんなことしたの?って。
17:11でも結局何も聞かなかった。
17:13聞いてどうなる。
17:14答えは分かってる。
17:15最後のチャイムが鳴った。
17:16リュックを肩にかけて、
17:18教室を最後にもう一度見渡した。
17:20この部屋には、
17:21三年の思い出が詰まってる。
17:22笑ったことも、
17:24泣いたこともあった。
17:25でも今日からは、
17:26私にはもう何の関係もない。
17:27待って、遊園地に行くはずだろ?
17:30私は振り返らずに歩き出した。
17:31その態度は何だよ。
17:33私は歩くスピードを上げた。
17:34校門を出るとすぐに、
17:36叔母の車に乗り込んだ。
17:37彼女はわざわざ、
17:38カリフォルニアから迎えに来てくれた。
17:40準備はいい。
17:41うん。
17:41じゃあ出発ね。
17:42車が走り出したバックミラに、
17:43学校から走ってくるレオが見えた。
17:45彼は校門に立ち、
17:46孤独で途方に暮れた顔をしていた。
17:48その手にはまだ、
17:51遊園地のチケットが2枚握られていた。
17:52風が彼の髪を揺らしていた。
17:53私が感じた痛みのほんの一部でも、
17:55さよならレオ。
17:57生成するわ。
17:58カリフォルニアに着く頃には暗かった。
18:015時間のフライトは静かだった。
18:03私はほとんど話さなかった。
18:05叔母も詳しく聞こうとはしなかった。
18:07時折私をちらっと見るだけで、
18:09その目は思いやりに満ちていた。
18:10彼女の家は、
18:11高校から歩いて十分だった。
18:13当分ここにいていいのよ。
18:15落ち着いたら、
18:16寮には入るかどうか決めればいいから。
18:18ありがとうおばさん。
18:20水臭いこと言わないの。
18:21家族なんだから。
18:22彼女は優しく、私の髪を撫でた。
18:24その手つきはとても軽くて、
18:26私を傷つけるのを恐れているようだった。
18:28叔母の目は怒りに燃え上がった。
18:30レオの話が出た時だ。
18:31彼女も動画を見ていたから。
18:32あのクソガキ完全にモンスターよ。
18:34あなたが止めなかったら、
18:36母だけに電話してガツンと文句を言ってやったのに。
18:38おばは激怒していた。
18:39あわや彼の両親に電話するところを。
18:41その場でね、
18:42止めたのは私だった。
18:43大騒ぎにしたくなかった。
18:45ただ静かに去りたかった。
18:46もう終わったことよ。
18:47私は無理に笑った。
18:49終わったつてどういうこと?
18:51私は、すごく心配したよ。
18:53どれほど胸が痛んだと思う。
18:54あの動画を見た時、
18:56君は本当にいい子なのに、
18:58あんな扱いを受ける言われはないわ。
18:59おばさん、大丈夫。
19:01これからは良くなるから。
19:04その夜、私はスマホの電源を切った。
19:05メッセージは見たくなかった。
19:07レオが探してるかも知りたくなかった。
19:11学校の誰かが、私の不在に気づいたかどうかも、
19:13何も知りたくなかった。
19:14ただ、ぐっすり眠りたかった。
19:16そして、久しぶりに深く眠った。
19:20悪夢も見ず、冷や汗で起きることもない。
19:23嘲笑う声も、悪意のある視線もない。
19:24隣の部屋から聞こえるおばの小さな、
19:27いびきだけだった。
19:28それが心地よかった。
19:31よく朝、おばと学校で続きに行った。
19:34パロアルト高校は前の学校よりずっと広く、
19:35芝生は青々と手入れされ、
19:37廊下は静かな活気に満ちていた。
19:40学びの場のね、ピエロも嫌がらせもない。
19:42新しいカウラセラーのベネット先生よ。
19:45先生は30代で、眼鏡をかけた温かい笑顔の人だった。
19:47エレノオアバンスでいいかしら。
19:48パロアルトへようこそ。
19:52その笑顔は心からで、前の学校の先生の作り笑いとは違った。
19:56うちの学力実習競技のチームが、新入部員を探しているの。
20:00ぜひ挑戦してみて、成績表を見たけど、とても素晴らしいわ。
20:02意表をつかれた。
20:07前の学校では、生徒会やクラブの役職は、サバンナとその友達が独占していた。
20:10成績が良くても、誰も私に見向きもしない。
20:11可愛くないし、金持ちでもない。
20:15人気もないから、本当に私は少し自信がなかった。
20:19もちろん余成席が証明してるわ。自分を信じて。
20:22新しい教室にはいると、40人の視線が私に向けられた。
20:26そこに嘲笑や悪意はなく、ただの純粋な好奇心だった。
20:29皆さん、はじめまして。エレノオアバンスです。
20:30よろしくお願いします。
20:35声は少し震えたけれど、冷静を装った教室に拍手が沸き起こった。
20:37温かく、誠実な拍手だった。
20:39転校生、すごく可愛いね。
20:41誰かが囁いた可愛い。私が。
20:43それに、超頭いいんだって。
20:45すごく物静かそう。
20:51オタクと呼ぶ人も、金魚の分扱いする人も、変人を見るような目もない私の席は、
20:553列目の窓際だったような光が差し込み、心地よい風が吹いていた。
20:57私はクロエ・デイビス。
20:58クロエって呼んで。
21:00彼女が笑うとエクボが二つできったエリーよ。
21:02わぁ、素敵な名前ね。
21:04そんなことないよ。
21:05両親がつけてくれただけだし、大したことないよ。
21:08ご両親もすごくはず。
21:09彼女はおしゃべりだった。
21:10チャイムが鳴るやいなや。
21:11私を引き寄せて、クラスの事情を教えてくれた。
21:14厳しい先生は誰か。
21:15面白い生徒は誰か。
21:17金曜のカフェテリアの。
21:18ピザは最高だとか。
21:19図書館のどこで静かに課題をかけるかとか。
21:22うちにいじめっ子はいない。
21:23みんな結構いい奴だし。
21:25前の学校ってすごく厳しかったの。
21:27すごく緊張してるみたい。
21:29普通だったよ。
21:31私は首を振り、過去の話はしたくなかった。
21:33まあ、心配しないで。
21:34私がついてるから。
21:35クロエは胸を叩いていった。
21:37誰かがちょっかい出してきたら、
21:38まず私を通さないとね。
21:40彼女の話を聞いていると、
21:43胸の奥に温かいものが広がっていった。
21:44これが優しく扱われるっていうことなんだ。
21:47ビクビクしなくていいんだ。
21:48顔色をうかがう必要もない。
21:51嫌われる心配をしなくていい。
21:53純粋な友情なんだから。
21:56その頃オハイオでは、レオはパニックになっていた。
22:00エレの上が、昨日の放課後から消えていたからだ。
22:02電話は留守電になり、メッセージも届かない。
22:04暗くなるまで校門で待ったが、
22:06彼女は現れなかった。
22:07番付けに駆け込むと、
22:10母親はおばのところに行ったという。どこのおばさんですか?
22:13カリフォルニアに住んでいる。
22:14レオ、エリと喧嘩でもしたの?
22:17カリフォルニア!? そんな遠くへ。
22:19今日は授業があるのに。
22:20嫌な予感が、レオの胸に広がっていく。
22:23まさか、あいつが出ていくわけない。
22:25ただ怒ってるだけだ。 数日すれば戻ってくる。 いつもの喧嘩と同じように。
22:29そう自分に言い聞かせた。
22:34ロッカーも空っぽで、
22:35何も残っておらず、
22:37お気に入りの小説すら消えていた。
22:39あの、なぜエレの上が休んでるんですか?
22:42声には焦りが滲んでいた。
22:43カウンセラは怪言な顔をした。
22:45知らないの?
22:46転校したわよ。
22:47事務的な声だった。
22:48天気の話でもするかのように。
22:50レオの頭は真っ白になった。
22:52転校?
22:53いつ?
22:54なんで俺に言わないんだ。
22:55どうして?
22:56どこに転校したんですか?
22:58声が震えていた。
22:59カリフォルニアのパロアルト高校よ。
23:02遠すぎる。
23:03本当に行っちまったのか。
23:05あのくだらないドッキリのせいで。
23:07ありえない。
23:08エレノアは子供の頃から、
23:10俺の後ろをついてきた。
23:11酷い態度をとっても、
23:13本気で怒ることはなかった。
23:14少し拗ねた後、
23:16優しく声をかければ、
23:17悲言を直してくれたのに。
23:19あんな些細なことで転校なんて、
23:22どうして何も言わずに、
23:24去っていったんだ。
23:27俺と縁を切るつもりなのか。
23:28嘘に決まってる。
23:29レオはスマホを取り出し、
23:31慣れ親しんだ番号へ再びかけた。
23:34すぐに留守電になった。
23:35彼は諦めなかった。
23:37何度も何度も、
23:38チャイムが鳴るまでかけ続けた。
23:39それでも留守電のまま。
23:41レオ?
23:41どうしたの?
23:42エレガーが転校した。
23:43まるで幽霊でも見たような顔だった。
23:45え? どうして?
23:46だが彼女の目に、
23:47勝利の光がよぎった。
23:49なぜだ?
23:50彼もその理由が知りたかった。
23:52ほんの冗談だったのに。
23:53前にもっとひどいいたずらをした。
23:55こんなに怒ったことはなかった。
23:57なのになぜ今回は?
23:59レオは昨日の放課後を思い返した。
24:01エレガー上が最後に見せたあの眼差し。
24:05彼女の目は冷たく落ち着いていて、
24:06まるで他人を見るようだった。
24:08そこには愛も憎しみも、
24:09何もなかった。
24:10死んだような虚無の静けさ。
24:13突然胸が強く締め付けられた。
24:15うずくまるほどの鋭い痛み。
24:17胸が張り裂けるとはこういうことか?
24:19耐えがたいほどの苦痛。
24:22レオ、大丈夫?
24:25サバンアが尋ね、彼を助け起こそうと手を伸ばす。
24:26彼女の柔らかな手が彼の腕に触れた。
24:28以前ならその感触に胸がなったはずだ。
24:31だが今は不快なだけだった。
24:33触るんじゃねえ。
24:34彼は唸り声をあげ、その手を振り払った。
24:36サバンアは凍りついた。
24:38レオがこんな風に言うのは初めてだった。
24:40レオ?
24:40触るなと言ったんだ。
24:42彼は吠えた。
24:44その目は傷ついた獣のように血走っていた。
24:46クラス全員が振り返って見つめる。
24:48サバンアの目に涙が浮かんだ。
24:50だがレオは気にも留めない。
24:51彼の頭にはエレクのあの子としかなかった。
24:54彼女は本当にいなくなった。
24:56本当に自分を見限りたのだ。
25:00その後の数日間、レオは別人のようだった。
25:04以前は明るく騒がしかったが、今は静かで塞ぎ込んでいる。
25:08授業中も虚空を見つめ、昼食も一人で座っていた。
25:09誰とも口を聞かなかった。
25:11友達は彼が狂ったと噂した。
25:13おい、ただの女だろ。
25:15転校したからって、なんなんだ。
25:17なんでそんな態度なんだ。
25:21前はよく、うざいって文句言ってただろ。
25:24もういないんだ。喜べよ。
25:26だが彼は喜べなかった。
25:31毎日放課後になると、無意識のうちに歩き出していた。
25:32エレがあの家へ向かって、
25:36彼女がおばを数日間訪ねているだけで、
25:37すぐ戻ってくると信じたかった。
25:42だがつい立ちが二日になり、そして一週間が過ぎた。
25:43彼女は戻ってこなかった。
25:46バンス夫人は言った。
25:47彼女は元気にやっていると。
25:49カリフォルニアの新しい学校で、
25:51レオ、二人に何があったの?
25:56エリはとても急いで立ったわ。
25:57レオにも言わずに。
26:00彼は答え方がわからなかった。
26:02何と言えばいいのか。
26:04他の女子の気を引く道具にしたと。
26:06彼女の尊厳を踏みにじり、
26:08心を壊したというのか。
26:10彼はひたすらに、
26:13メッセージや留守電を残すしかなかった。
26:14だが返事は一切なかった。
26:16理由を知りたかった。
26:18彼女を連れ戻さないと。
26:20彼は血まなこになって、
26:21ネットで情報を探し始めた。
26:24パロアルト高校のことについて。
26:25学校のサイトの生徒紹介のページで、
26:28彼女の写真を見つけた。
26:30新しい制服を着て、
26:32女子の輪の中で笑っていた。
26:34その笑顔は、
26:35久しく見ていないものだった。
26:37リラックスして、
26:39自然で心から幸せそうだった。
26:40彼といた時のように、
26:42花瓶になったり、
26:43顔色を伺う様子はなかった。
26:45彼がいなくても、
26:46彼女はこんなに幸せになれるんだ。
26:48今すぐ飛行機で会いに行きたい。
26:50でも、足は動かない。
26:53あなたに会う勇気もないのか?
26:56エリ、とても元気そうだね。
26:57僕といた時よりずっと、
27:00僕が行けば全てを壊してしまうのか。
27:01ためらっていると、
27:03写真の背景に背の高い男子が写っていた。
27:05彼女を見るその視線に見覚えがあった。
27:08純粋な愛情を込めた目だった。
27:10胸が再び締め付けられた。
27:12鋭い痛みにうずくまるほどだった。
27:15彼は完全に永遠に、
27:17彼女を失ったのだ。
27:19パロアルト高校での生活は、
27:21心地よいリズムに落ち着いていった。
27:25新しい同級生は、みんな親切だった。
27:26誰も私の過去を知らなかった。
27:30みんなにとって、私はただの転校生だ。
27:32成績が良くて、おとなしい性格。
27:36それだけ、クロエは一番の親友になった。
27:39にぎやかで、私のことを全力で守ってくれた。
27:40エリ、放課後テニスしようよ。
27:42エリ、この問題教えてくれる?
27:46エリ、どうしてそんなに肌がきれい?
27:49彼女のおかげで、毎日が明るくにぎやかだった。
27:53新しい友達を紹介し、輪に入れてくれた。
27:56少しずつ、私は警戒を解き始めた。
27:58信じられるようになった。
28:00誰もが私を傷つけるわけじゃないと、
28:04私にも優しくされる価値があると思えた。
28:07新しい学校の雰囲気は最高だった。
28:10みんな勉強に集中していた。
28:14隠室なグループも、残酷なからかいもなかった。
28:18先生たちは熱心で、生徒たちは優しかった。
28:21成績も、これまでで一番良かった。
28:25私は集大会で優勝し、全国リベート大会に出場し、
28:29学力重視競技のチームは、全国大会の決勝まで進んだ。
28:35ベネット先生は、よく私を褒めてくれた。
28:38クラスメイトも心から喜んでくれた。
28:43嫉妬も仲間外れもなく、心からの祝福だけがあった。
28:46人生はこんなにもシンプルで美しい。
28:47世界は悪意ばかりじゃなかったんだ。
28:50ある日の休み時間、
28:54クロエが内緒話をするように顔を寄せた。
28:55エリ、隣のクラスのケイレブリードが、
28:57あなたのこと気にしてるよ。
28:59ケイレブリード?
29:03エイト…ピン…と…来ない名前だった。
29:04バスケがすごく上手な男子だよ。
29:09身長185センチのイケメン。
29:13みんな彼のことが好きなんだから、知らないな。
29:15知らないな。
29:17本当に知らなかった。
29:21ここに来てからは、勉強ばかりで、
29:24バスケ部の首相なんて気にしてなかった。
29:27知ってるはずよ。本を拾ってくれた人でしょ?
29:33先週あなたが廊下に落としたときに。
29:36そこで思い出した。
29:40先日、六下で本を出していたとき、
29:44隣のクラスの長身の男子が手伝ってくれた。
29:49明るい雰囲気で、眩しい笑顔だった。
29:50ありがとう。
29:52気にしないで。
29:55彼は首の後ろを書きながら答え、
29:56耳を少し赤くしていた。
30:00それだけだった。
30:01私の何を聞いてたの?
30:03何だと思う?
30:06絶対あなたに気があるのよ。
30:08うちのエリーはすごく可愛いから、
30:11イケメンが惹かれるのも当然よ。
30:13私は固まった。
30:15誰かが私を好きに?
30:19本気の純粋な行為で、
30:22私を所有物扱いしたレオとは違う。
30:26勝手に呼びつけて追い払うよな。
30:27私がいつでも、
30:30側にいると思い込む人じゃなく、
30:32照れながら私のことを気にして、
30:35親切心から助けてくれた人。
30:39と、からかわないで私は言った。
30:40でも心の奥底では、
30:45何かが静かに変わり始めていた。
30:50私でも好かれるんだ。
30:54私にも大切にされる価値がある。
30:571ヶ月後、放課後の図書館で、
30:59十種競技チームと集まっていた時、
31:01誰かがドアをノックした。
31:03すみません。
31:04エレのオアバンスはいますか?
31:08顔を上げると、
31:09世界で一番会いたくない人が、
31:11そこに立っていた。
31:13レオ?
31:14彼は痩せていて、
31:16目は血走っていた。
31:17私を見た瞬間、
31:19彼の目が輝いた。
31:20エリー!
31:23アンドと緊張が入り混じった声だった。
31:25チームのみんなが私自身に注目した。
31:26クロエが心配そうに、
31:28私の袖を引いた。
31:30私は立ち上がり図書館を出た。
31:32プライベートな揉め事を、
31:34新しい友達に見せたくなかった。
31:36ここで何してるの?
31:38私の声は冷たく、
31:39自分でも驚いた。
31:41こんなに冷静に彼と向き合えるなんて。
31:43私の口調に、彼は怯んだ。
31:45君を探しに来た。
31:47なぜ何も言わずにいなくなった。
31:501ヶ月も探したんだぞ。
31:53君の母親がやっと教えてくれた。
31:541ヶ月?
31:56私は驚いた。
32:00彼が私を探すなんて思いもしなかった。
32:02ましてや、そんなに長くなんて。
32:04私の記憶では、
32:05彼は金魚並みの集中力しかなかった。
32:08なぜ私を?
32:09連れ戻すために決まってるだろ。
32:11彼は言った。
32:12それが当然だと言わんばかりに。
32:15こんなところで一人は良くない。
32:17戻って来いエリー。
32:18許してやれ。
32:20許すですって?
32:22私は吹き出しそうになった。
32:26今でも、彼は相変わらず傲慢だった。
32:28未だに私が間違っていて、
32:30許されるべきは私の方だと思っている。
32:33勘違いしないでレオカーター。
32:37謝るべきなのは、あなたの方よ。
32:38謝っただろ。
32:39遊園地のチケットも買ったし、
32:42君が好きな贈り物も用意した。
32:44これ以上、何が不満なんだ?
32:47私は彼を見た。
32:4810年以上も憧れていた男の子を。
32:53今の彼は、すっかり見知らぬ人だった。
32:57レオは一生わからないだろ。
33:00チケットも贈り物も欲しくなかったこと。
33:01敬意を払って欲しかった。
33:04一人の人間として扱って欲しかった。
33:06おもちゃじゃなくて。
33:07もう何も欲しくない。
33:10ただ帰ってちょうだい。
33:13二度と私を探さないで。
33:15彼は私の腕を掴んだ。
33:18エレノは、いい加減にしろ。
33:20ただのいたずらだろ。
33:21何でそんな態度を取るんだ。
33:24いたずら?
33:25いつだってそう。
33:30彼の中では、私をゴールポストに縛り付けて。
33:32人前で恥を欠かせたことも、 ただのいたずらなのだ。
33:39そうただのいたずらだから、私が消えたのも。
33:41ただのいたずらよ。
33:43本気にしないで。
33:49ショックで凍りつき、立ち尽くす彼を残し、 私は図書室へと振り返らずに戻った。
33:52大丈夫?今の誰?
33:58平気よ。
34:00もうどうでもいい人よ。
34:02それは本当だった。
34:04彼のことなどどうでもよかった。
34:09世界の終わりのように、感じたことも、今はちっぽけに見えた。
34:15彼なしでは生きられないと思っていた相手にも、 今は完全に冷静に向き合えた。
34:18レオの件は、些細なつまずきだった。
34:20私の人生は前に進んだ。
34:26中間テストの後、私の成績はクラスの上位パーセントに入った。
34:31ベネト先生は、私を学業の表彰式で、特別に唱えてくれた。
34:35エレノアは、転校生ですが、見事に適応しました。
34:38皆の素晴らしいお手本です。
34:40誰も嫌味を言わない。
34:44オタク呼ばわりもされない純粋な評価だけだった。
34:48ついにケイレブが勇気を出して誘ってくれた。
34:49エレノア、今週末空いてる?
34:53よかったら、一緒に映画でも見ない?
34:58彼はひどく緊張していた。耳は真っ赤で、手汗もかいていたはず。
35:01彼の後ろで、クロエが必死に合図していた。
35:02早く答えて、いいよって。
35:07私は少し考えてから、いいよ。断る理由なんてない。
35:10私だって、尊重される権利がある。
35:16ありのままの私で、好かれたって、いい普通の高校生活を送る権利がある。
35:18ケイレブは、飛び上がらんばかりに喜んだ。
35:20本当?やった。そのチャンスをくれて、ありがとう。
35:28彼は首の後ろをかきながら、無邪気に笑った。
35:31その週末、私たちはピクサー映画を見に行った。
35:33ケイレブはとても気が利いていた。
35:39ポップコーンとソーダを買って、ポケットティッシュまで用意していた。
35:42この映画、少し悲しい話らしいから。
35:44泣いた時のためにね。
35:46私は微笑んだ。
35:49彼はひどく緊張していて、手のやり場に困っていた。
35:54映画は素晴らしかった成長と、勇気を見つける物語だった。
35:58私は泣かなかったけど、心が温かくなった。
36:02映画の後、家まで送ってくれた。
36:03今日は本当に楽しかった。
36:05と彼は言った。
36:06私も。
36:10あのさ、またいつか誘ってもいいかな。
36:13彼はそう尋ねた。その目は期待に満ちていた。
36:16まるで大きなゴールデンレドリバーのようだった私が。
36:19頷くと、彼は満面の笑みを浮かべた。
36:21大切にされるってこういうことなんだ。
36:23慎重だけど確実で。
36:25顔色を伺う必要もない。
36:28見捨てられる心配もしなくていい。
36:31ただ純粋に好意を寄せ合う二人。
36:33それを知ったおばは、私をからかった。
36:35うちの襟も、ついにデートかしら。
36:41私は顔を分からめた。まだよ。ただの友達だもの。
36:44でも、もしかしたらそれ以上になれるかも。
36:47今年のホームカミングのダンスには二人で行くのかしら。
36:50私も応援するよ。ケイレブ君のこと知ってるわよ。
36:55いい子よね。バスケ部のキャプテンで。成績も優秀。いい相手だわ。
36:58ええ、彼はいい人だった。
37:02もう昔の私には戻らない。
37:03誰かのそばで卑屈にまったり。
37:07たまに気にかけてくれるのをまったり。
37:08機嫌がいいときの笑顔をまったりしない。
37:11もっと大切にされるべきだ。
37:15そのころ、レオの世界は崩壊しつつある。
37:19エリーはただ拗ねているだけだと、数日すれば機嫌を直すと思っていた。
37:20でも彼女は本当に見限ってい。
37:25カリフォルニアから戻ったあと、彼は部屋に引きこもった。
37:28何年分もの記憶を頭の中で何度も繰り返した。
37:29エリーはいつもすぐ後ろにいた。
37:31どこへ行ってもついてきた。
37:32何を言っても耳を傾けてくれた。
37:36怒っているときは機嫌を取ろうとし、喜ん。
37:38彼以上に喜んだ。
37:41彼女の存在は息をするように当たり前だった。
37:44彼女がいなくなり、息が詰まる思いだった。
37:45学校で席を取ってくれる人もいない。
37:47朝食を持ってくる人もいない。
37:49一緒に帰る人もいない。
37:52黙ってそばにいてくれる人もいない。
37:53彼の好みを覚えている人もいない。
37:57そして何より、あの優しい瞳で見つめる人はいない。
38:02彼が世界のすべてであるように、太陽や月であるかのように、
38:07サバンナはまだ彼と遊ぼうと、急に全く興味が持てなくなった。
38:10わざとらしい態度や悲劇のヒロイン気取りに、ただいらだった。
38:12エレであとは比べ物にならない。
38:15彼女ほど美人ではないが、笑顔があたたと。
38:17かかった。
38:17少しオタク気質でも優しかった。
38:21泣き虫だが理不尽ではなかった。
38:22彼の好きなものをすべて覚えていた。
38:25天道だと知っていて、いつもお菓子を持っていた。
38:29雨の日が嫌いだと知っていて、余分に傘を持ってきてく。
38:32数学が苦手だと知っていて、根気よく教えてくれた。
38:33それに比べてサバンナは要求するばかりだ。
38:36周りにチャホやさせるだけだ。
38:38彼は後悔し始めた。
38:42なぜエレのオニアンな態度を、サバンナを笑わせるためだけに。
38:45サバンナの笑顔は彼女の涙に似合うか。
38:48本当に自分を思ってくれる人を失う価値があったか。
38:50あの日を思い出した。
38:51拘束を解かれた時の彼女の目を。
38:54絶望と怒り、そして深い失望。
38:56どんなに辛かっただろう。
38:59大勢に2時間も縛りつけられ、シェイクを投げつけられ。
39:01彼はただ笑って立っていた。
39:03冗談だと言って、俺は最低のクズだ。
39:07彼は病的に、彼女のSNSを監視し始めた。
39:08ケイレブとの映画の写真。
39:12ダンスパーティーで、一緒に踊る姿。
39:13試合後にフォーへキスされる姿。
39:15どの写真も心に突き刺さった。
39:19釈明し謝りたかったが、もう顔を見せる。
39:21権利すらなかった。
39:23ある時ついに、電話が繋がった。
39:27エリ、ごめん。本当に俺が悪かった。
39:28どうか許してくれないか。
39:32彼女は静かに聞き声は、穏やかだったね。
39:36レオ、ごめんじゃ、すまないこともある。
39:38粉々に割れた鏡と同じよ。
39:42繋ぎ合わせても、日々はずっと残ったまま。
39:44もう戻れない。
39:46彼女は電話を切り。
39:50彼には発信音だけが残された彼女は、正しかった。
39:55もう元には戻れないすべてを壊したのは、彼自身だった。
40:00高校3年になり、MITから早期合格の通知を受け取った。
40:01希望する選考の欄にチェックした。
40:06物理学よ。私の学年の競争率は異常なほどだった。
40:07MITに受かるなんて前代未聞だった。
40:10私は数少ない合格者の一人だった。
40:15これが今までの努力が報われた最高の証拠だった。
40:17ケイレブは私以上に喜んでくれた。
40:19すごいや!
40:22あなたももっと頑張って、ボストンの大学を目指さなきゃ。
40:23彼と付き合って半年。
40:25彼は本当に優しかった。
40:27私を尊重し守ってくれた。
40:29決して私に恥を欠かせることはない。
40:33勉強で疲れた時には、タピオカを買ってきてくれた。
40:35ストレスが溜まれば長く散歩してくれた。
40:43生理周期まで覚えてて、こっそり鎮痛剤と回路、そしてお気に入りのアイスをロッカーに入れた。
40:47レオがしなかったこと、ケイレブは全てしてくれた。
40:49クロエは私たちがお似合いだと言った。
40:50私もそう思った。
40:56恋愛がこんなに素晴らしいなんて、こびることもすがることもなく、見捨てられる恐怖に怯えることもない。
41:01ただ二人が並んで歩き、共に前に進み、互いを尊重し大切にする。
41:06私のMIT合格のニュースはオハイオにまで届き、レオはおかしくなった。
41:10アメフトの大事な試合の夜、最大のライバルコートの試合だった。
41:12彼はカリフォルニアへ飛んできた。
41:16クォータバックのケイレブが決勝のタッチダウンを決めた。
41:20試合の残り1分で、スタジアム全体が湧き上がった。
41:21観客はフィールドになだれ込みにあった。
41:27ケイレブは人混みをかき分け、私を見つけると、力強く抱きしめてくれた。
41:31強音の歓声の中で、突然レオが現れた。
41:37大きなバラの花束を抱え、場違いなスーツを着て、哀れで異常な様子だった。
41:41彼は観客を強引にかき分け、私たちの前に立った。
41:47エリ、俺が悪かった。本当に間違ってた。どうか許してくれ。やり直そう。
41:52彼は大げさな、ロマンチックな演出をしようとしていた。
41:56皆が見ている目の前で、ケイレブはすぐに私の前に出た。
42:00彼の大きな背中が、レオを視界から遮った。
42:05レオはついに彼に気づいたようで、その目は危険な色を帯びた。
42:10彼の声には、敵意と苦々しさが混じってた。
42:12彼女の彼氏だ。
42:16ケイレブは一歩も引かずに行った。明確な宣言として私の手を取った。
42:18そんなはずない。エリ、言ってやれ。
42:20レオは凍りつき、そして取り乱した。
42:26俺たちが一緒になるはずだろう。子供の頃から俺を愛してたじゃないか。ずっと一緒にいるって言ったじゃないか。
42:29静かに彼を見つめ、ケイレブの後ろから前に出た。
42:33全員の視線が私たちに注がれ、カメラのフラッシュが光る。
42:36あの日ゴールポストに縛られた時のように。
42:39でも今回は無力な被害者じゃない。
42:43レオ久しぶり、私を学校中の笑い者にしたね。
42:47冷たく澄んだ声で周り中に聞こえるよういい話した。
42:51今度はここ、カリフォルニアで、自分が笑い者になってるね。
42:52私たちはもう終わり、とっくに終わってたの。
43:00私、オゴールポストに縛りつけた瞬間に、血の気を失う彼に、私は言葉を続けた。
43:01全てを壊したのは、あなたよ。
43:06私の尊厳を踏みにじって、人の心をおもちゃにした。
43:07今更謝るの?遅すぎるわ。
43:10そう言ってケイレブの手を取り、背を向けた。
43:15ケイレブの仲間が私たちの周りに壁を作って、
43:16レオを私たちの世界から締め出した。
43:22背後から彼の悲痛な声が聞こえたが、勝利を祝う感性にかき消された。
43:24私は振り返らなかった。
43:26一度失ったものは二度と戻らない。
43:30一度傷つけた人は、決して取り戻せない。
43:33彼はサバンナを選び、私を笑い者にした。
43:35今彼はその報いを受けるのだ。
43:38今度こそ、本当に終わりだ。
43:40今度こそ、本当に終わりだ。
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