大阪　妊婦殺害　男に懲役２１年　2016年12月14日

妊婦殺害 男に懲役２１年
2016年12月14日　17時20分
去年５月、大阪・豊中市のマンションで、妊娠中の女性をナイフで刺して殺害した罪に問われた男の裁判員裁判で、大阪地方裁判所は、「落ち度のない被害者を、
一方的な思い込みで殺害した、極めて残虐な犯行だが、発達障害などの影響もある」と指摘し、有期刑の上限より１年少ない、懲役２１年の判決を言い渡しました。
去年５月、大阪・豊中市のマンションで、妊娠中だった滝畠裕美さん（当時３３）が、当時１歳だった長男の目の前で首などを刺されて殺害され、同じ階に住んでいた
上原亮宏被告（５５）が、殺人などの罪に問われました。
上原被告は、精神鑑定で、▽発達障害の１つの自閉スペクトラム症や、▽妄想性障害があったとされ、弁護側は、障害の影響で当時の記憶が欠けていて、殺意も
責任能力もなかったと主張していました。
１４日の判決で、大阪地方裁判所の小倉哲浩裁判長は、「首や頭をサバイバルナイフで強い力で何度も刺して、骨に達するほどだった」として、殺意があったと認め、
障害はあっても、善悪の判断力には影響はなく、責任能力があったと認めました。
その上で、「被害者にはまったく落ち度はないのに、嫌がらせを受けていると一方的に思い込み、幸せな生活と未来を奪った極めて残虐で、冷酷非道な犯行だ。遺族は、
生まれてきたはずの子どもも失い、極刑を望むのも理解できる」と述べました。
ただ、「犯行の動機になった妄想は精神的な疾患によるもので、独自のロジックで思考する自閉スペクトラム症であることを無視して、被告を非難するのは一方的すぎる」
として、有期刑の上限の懲役２２年の求刑に対し、懲役２１年の判決を言い渡しました。
言い渡しの間、上原被告はほとんど表情を変えず、滝畠さんの夫の正義さんは、傍聴席でじっと裁判長を見つめていました。
滝畠裕美さんの夫の正義さんは、判決のあと記者会見し、「遺族としては、おなかの赤ちゃんも殺された２人の殺人だという思いをずっと持っている」とした上で、
「たとえ死刑でも、うれしいという気持ちはない。妻が帰ってくること以外、どんな刑でも喜べない」と述べました。
また、上原被告の障害については、「病気などがあったとしても殺したという事実は残る。それを覚えていないとはよく言えるなと思う」と述べ、妄想についても
「勝手な都合だと思う」と述べました。
そして、「被告には怒りしかない。反省はなかったし、あったとしても許しません。できることなら記憶から消えてほしい。裁判は早く終わらせてほしい」と述べ、
控訴は望まない考えを示しました。


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