2015年2月5日放送
NHKニュースウォッチ9
「性同一性障害に悩み 命絶ったわが子…思い受け止め母親は」
7年前、函館に赴任したばかりの時期に、飲食店街でギターを抱えて歌う一人の青年と出会いました。今の時代には珍しい「流し」を行い、衰退していく函館を盛り上げようと奮闘する姿をカメラで撮影し始めたその日、彼に「自分は性同一性障害で女なんだ」と告白されました。
活発に活動をしながら、常にニコニコしている彼の笑顔が印象的で、自分の障害を乗り越えて生きていることが、ファインダーを通して感じられました。
おととし11月。その彼が自殺したと連絡が入りました。性同一性障害という事を認めてくれる多くの仲間がいる中で、なぜ自殺をしてしまったのか。他人には分かる事ができない深い悩みがあったんじゃないのか。自分が取材した事が、自殺という彼の行動に何か影響を与えてしまったんじゃないか・・・。
自殺から1年がたとうとするころ、彼の母親に話を聞く事ができました。いつか障害が治り女の子に戻ってくれると願う母親と、心の性である男に「戻りたい」という彼の気持ち・・・。すれ違う親子の思いを通じて、放送を見た人たちが、性同一性障害について何かを感じとってくれればと考え、リポートを制作しました。
いまテレビでは、性同一性障害などの「性的マイノリティー」が、タレントとして多く出演するようになりました。戸籍上の性別を変える性同一性障害者も年々増え、社会は少しずつ寛容になりはじめています。
しかし当事者たちは、まだまだ苦しみながら生きて行かなければいけない日本の環境に、私たちが思っている以上に深く悩んでいます。私たちに出来る事は、まず「性同一性障害」を知ること。そして、どう接していけばいいのかを考えていかなければならないと感じた取材でした。
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