作家・村上春樹さん、国内で18年ぶりの講演会 約500人参加

  • 11 年前
作家・村上春樹さん、国内で18年ぶりの講演会 約500人参加

作家・村上春樹さんが、国内で18年ぶりとなる講演会を行った。
京都大学で行われた講演には、全国から抽選で選ばれたおよそ500人が訪れた。
村上さんは「僕の本を読んでもらって、何か共感するものがあったとすると、そこで僕の物語とあなたの物語が共鳴して感動している。そういう魂のネットワークを作りたかった」などと話した。
来場者は「感動です」、「人となりが実際に見られたので、すごく近づいた。また、好きになりそうです」などと話した。
村上さんの国内での講演会は、18年ぶりとなる。

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作家・村上春樹さんが講演、国内で18年ぶり

 作家の村上春樹さんが京都で講演を行いました。公の場にほとんど姿を見せない村上さんが国内で講演するのは実に18年ぶり。全国から抽選で選ばれた500人が会場に詰めかけました。

 会場の京都大学に到着した村上春樹さん。ベースボールキャップにサングラス、チェックのシャツというカジュアルな出で立ちです。村上さんの国内での講演は18年ぶり。公の場に姿を見せるのは極めてまれです。

 「撮れました。スピーチとかでぴしっとしているので、かなりカジュアルなのでびっくりした。でも村上さんらしい感じ」(スマホで撮影した人)

 この講演は村上さんと親交が深かった故・河合隼雄元文化庁長官の財団が日本文化の発展を目的とする賞を創設したことにちなんで実現しました。会場に入ることが出来た人は全国から抽選で選ばれた500人です。

 「だめもとで申し込んだら、運良く当選した。東京から日帰りで来ました。今年中の運を使い果たした感じ」(参加者)

 テレビカメラによる撮影は禁じられましたが、講演で村上さんは「“ノルウェイの森”がベストセラーになってプレッシャーがすごかった。でも、あれが書けなかったら次にはいけなかった」と作家人生を振り返りました。

(講演を聴き終えた人は・・・)
 「すごい感動しました。インタビュー聞いてても小説を読んでいる時のような、言葉のリズムとかユーモアがあふれていて」
 「発想のしかた、考え方を聞くことができた。読み方が変わりそうで面白かった」

 また、村上さんは人前に出たがらない理由について、「自分はごく普通の生活を送っている普通の人間なので声をかけられるのが困る」と話しました。(07日03:17)

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村上春樹さん デビューしたころを語る

6日の催しの中で、村上春樹さんは、小説家としてデビューしたころのことについて語りました。

村上さんはデビュー当時はジャズバーを経営していて、仕事を終えてから時間を見つけて小説を書いていたということです。
誰からも小説の書き方を学んだことのない村上さんは、最初は短い話を断片的に重ねていく書き方しかできなかったということで、当時について、「村上龍さんの長編、コインロッカー・ベイビーズを読んでこういうふうに書きたいと思って、店をやめました。自由になって、好きな時間に書けるのがうれしかったです。とにかく長いものを書こうと思い、結末も分からないままに最初の数ページを書いてどんどん進めていくと、それがうまくできたので、僕はこういうのがあっているんだなと思いました」と、回想していました。
また、先月発売され、自身の作品では史上最短で100万部を突破したことでも話題になった小説、「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」についても創作のエピソードを語りました。
この小説は、主人公が4人の仲間から突然関係を絶たれ、そこから自分を見つめ直す長編の物語で、村上さんは、最初は短編を書こうと思っていたということです。
村上さんは「書いているうちに4人のことを書きたくなって長編になりました。どうして関係を切ったのかを書きたくなった。登場人物の一人が、主人公に対して4人に会いに行くように言いますが、それと同時に、僕に書きなさいと導いてくる。不思議なことですが、そういうことがあるのです」と話したうえで、「これは成長物語で、(主人公のような)そういう経験をされた方は少なからずあると思うんです」と語っていました。
また、村上さんは小説を書く意味についても語りました。
村上さんは「僕は結局、魂のネットワークのようなものをつくりたいと思うようになったんです。読者が僕の本を読んですごく共感するものがある、自分にもそういう経験があると思うと感応する。僕の物語に呼応して感応する。また別の読者がいて、僕の物語に感応するとネットワークができるのです。それが物語の力だと思います」と、語っていました。